【一覧表】介護付きと住宅型の特徴の違い
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いは、入居条件や費用、介護サービスの有無などさまざまです。
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いを以下にまとめました。
介護付き | 有料老人ホーム住宅型 | 有料老人ホーム||
---|---|---|---|
入居 対象者 |
自立 | ||
要支援 | |||
要介護 | |||
入居時の 費用の目安 |
0~1,380万円 | 0~380万円 | |
月額利用料の 目安 |
14.5~29.8万円 | 8.8~19.1万円 | |
付帯 サービス |
食事 | ||
緊急時の 対応 |
|||
介護 サービス |
なお、介護付きと住宅型で迷っている方は、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設での自己負担限度額による介護サービスと、居宅介護サービスの想定利用料を比較してみましょう。
居宅介護サービスの利用料が上回るのなら介護付きがおすすめで、逆に、居宅介護サービスの方が下回るなら住宅型が適しています。
介護付きは定額で介護サービスが利用できる

介護付きは、有料老人ホームにおいて、行政により特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設です。
介護サービスが充実していることが大きな特徴で、食事や入浴、排泄の介助といった日常生活の介護サービスに加えて、それを支えるための設備面も充実しています。
特定施設の指定を受けているので、介護保険サービスの自己負担額が毎月定額となり、予算が立てやすいのもポイントです。
介護付きは以下の3種類に分けられます。
- 介護専用型
- 混合型
- (一部)入居時自立型
入居時の状態に合わせた施設選びができるのも魅力です。
住宅型はイベント、レクが充実

住宅型有料老人ホームは、自立〜介護度の低い方の入居割合が高めです。そのため、イベントやレクリエーションが盛んな施設が多いです。
実施するイベントの中身は施設ごとで異なりますが、囲碁や将棋、茶道などの専門の講師を読んで本格的な習い事をする施設もあります。
このようなイベントやレクリエーションを通して他の入居者とコミュニケーションを取れるため、施設内で友達を作るきっかけにもなります。
さらに、住宅型では介護が必要になっても、外部の介護サービスの利用が可能です。
介護付きと住宅型の入居条件の違い
続いて、介護付きと住宅型の入居条件の違いを紹介していきます。
介護付きは施設によって条件が異なる
介護付きには、介護専用型・混合型・入居時自立型の3タイプで、一部の施設では、入居時自立型の施設があります。
どの施設も感染症にかかっていると入居を断られる場合があるので、事前に施設に確認しましょう。以下では、それぞれの施設のタイプを詳しく説明していきます。
介護専用型
「介護専用型」の入居対象となるのは要介護1以上の認定を受けている方です。
夫婦で入居を希望するときは、夫婦の一方が要介護で、もう一方が要支援の場合も考えられます。その場合、介護専門型には夫婦そろっての入居は原則できません。
混合型
「混合型」は自立の方、介護が必要な方のどちらも入居の対象となります。
どちらか一方のみが介護が必要である夫婦の場合も、混合型の施設であれば入居できることになります。
入居時自立型
また、一部の施設では「入居時自立型」もあり、この場合は、入居時には自立生活ができていることが入居条件となっています。
入居時自立型は、入居後に介護が必要になっても転居することなく引き続き生活を続けられるのが特徴です。
住宅型は一律に決められた条件がない
住宅型は、自立した方から介護を要する方まで幅広く受け入れる施設が多いため、入居者の身体状態に関する条件が一律に定められていません。
施設の多くは入居条件に60歳以上としていますが、入居希望者の状況次第では60歳以下での入居ができる施設もあります。
また、住宅型では施設職員による介護サービスを受けられないため、介護が必要な方は外部の介護サービスを利用します。しかし、施設や敷地内に訪問介護事業所を併設する施設もあり、充実した介護サービスの提供を高める施設も増えています。
要介護度が悪化すると退去になることもある
住宅型は施設によって、外部の医療機関と連携をして医療ケアに対応をする施設もあれば、一方で嘱託医(しょくたくい)を持たず医療体制が不十分に感じられる施設もあります。
さらに、看護職員の配置も法律で義務付けられていないため、看護職員を配置する施設と配置しない施設があります。
医療体制が整っていない施設へ入居後、 要介護度が重くなると施設での対応が困難となり、退去になる可能性もあります。
介護付きと住宅型の人員体制
介護付きと住宅型の入居条件を解説したところで、続いて人員体制を解説していきます。
介護付きは「3:1」の人員体制
介護付きの人員体制は施設によって大きく異なります。ただし、介護保険法に基づき「3:1」の人員の配置基準が設けられています。
要支援2以上の入居者3人に対しては、1人の介護・看護職員の配置が必要です。また要支援1の場だと、入居者10人に対して1人の介護・看護職員の配置が決められています。
この基準は24時間ではなく、常勤換算なため夜間は人員を減らしている場合があります。
住宅型の人員体制の基準は明確に決められていない
住宅型有料老人ホームには介護付きのような人員配置基準は設けられていません。
そのため、人員配置の基準は施設ごとに違います。ただし、最低基準がないからといって人員が常に少ないということはありません。
住宅型の人員配置は、施設ごとに利用者に充実したサービスを提供できるような人員を整えています。
入居者が気軽に相談できる場を充実した施設であれば生活相談員を配置、レクリエーションのサービス提供に力を入れている施設だと機能訓練指導員の配置など、施設によってさまざまです。
介護付きと住宅型のサービス
受けられるサービスには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下で解説していきます。
介護付きは手厚いサポートを用意
日常・生活支援サービス
介護付き有料老人ホームは特定施設入居者生活介護の指定を受けており、要介護状態の方は、以下のように日常生活のあらゆる面で手厚いサポートが受けられます。
- 食事
- 入浴
- 排泄
- 更衣
- ベッドから車椅子への移乗
また、生活支援サービスも、以下のように充実しています。
- 掃除
- 洗濯
- 来訪者の受付
- 行政手続き
- 買い物の代行
- 入居中に入院したときの部屋の管理
このように、サービスが充実しているため、介護度の高い方や寝たきりの方でも、安心して日々の生活を送ることができます。
医療サービス
住宅型の医療サービスは、医師や看護師が24時間常駐する義務が定められていません。
ただし、夜間に看護師がいない施設でも、緊急時に呼び出しを受けてすぐに病院に搬送できる体制が整っている場合はあります。
なかには医師を常駐させ、24時間体制で看護師を配置している施設もありますので、事前に施設に確認しましょう。
レクリエーション・イベント
介護付きは、イベントやレクリエーションが盛んに実施されていますが、内容は施設ごとに違います。
誕生日会や花見などの行事の実施、充実したサークル活動をするなど、さまざまです。
また、筋力や体力を維持して自立した生活が過ごせるような「生活リハビリ」に、力を入れる施設も増えています。生活リハビリは食事や排泄など、日常的に行う動作をリハビリに捉えたものです。
住宅型は介護サービスを外部に委託
住宅型有料老人ホームでは、以下のようなサービスが提供されています。
- 食事サービス
- 洗濯や掃除などの家事支援
- 見守りサービス
- 生活相談サービス
食事や掃除や洗濯などの家事も施設のスタッフが行ってくれるため、入居者は施設で充実した日々を送ることができます。
介護サービス
住宅型では、介護付きとは異なり、介護サービスを施設常駐の職員から受けることはできません。
介護サービスは、居宅介護支援事業所のケアマネージャーと個別に契約、相談しながら、訪問介護や通所介護などの外部の事業所による居宅サービスを受けることになります。
居宅介護支援事業所や訪問介護事業所が館内や敷地内に併設されていることも多く、その場合はサービス利用の手続きや手間を大幅に省くことができます。
レクリエーション・イベント
住宅型の大きな特徴のひとつが、レクリエーションやイベントが充実しているということです。
比較的元気な入居者の方も多いので、楽しみながら参加する方も多く、それだけ内容も充実したものになりやすいのです。
例えば食事関連のイベントでは、入居者の家族を招待して「マグロの解体ショー」を行っている施設、定期的にすし職人やそば職人が出張する施設などもあります。
どんなレク、イベントが行われているかはパンフレットなどでも確認できるので、行事ごとが好きな方はチェックしておきましょう。

介護付きと住宅型の費用
介護付きと住宅型の費用を解説していきます。
続いて、介護付きと住宅型それぞれ詳しく解説していきます。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームの費用には、大きく分けて入居一時金と月額利用料があります。
以下の表にまとめました。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
30万円 | 20.4万円 |
介護付きの入居一時金
入居時に必要となる、入居一時金の目安は30万円です。
なかには、0円としている施設もありますが、立地場所や設備のクオリティなどに応じて数百万~数千万円と変動します。
富裕層向けの高級施設だと1億円以上することもあり、料金プランは施設ごとにさまざまです。
介護付きの月額利用料
月額利用料は、家賃をはじめ管理費、食費、水道光熱費がかかります。
さらに、要支援・要介護状態の方は介護サービス費の自己負担額(収入に応じて1~3割負担)を毎月定額で支払っていきます。
ほかにも、医療措置が必要な持病がある場合は医療費が、トイレでの排泄ができない場合はおむつ代の負担が別途必要です。
月額利用料は施設ごとに大きく異なり、約20.4万円となっています。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームの費用には、介護付きと同じく、入居一時金と月額利用料を支払います。
住宅型有料老人ホームの費用は以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
5.1万円 | 12.5万円 |
住宅型の入居一時金
介護付きと同じく、住宅型に必要な費用は入居一時金と月額利用料です。しかし、介護付きと比べて住宅型は比較的費用が安いという特徴があります。
住宅型の入居一時金は約5.1万円ほどで、施設によって必要な費用は大きく変わります。介護付きと同じく、入居一時金0円の施設もあり、初期費用を抑えたい方からの人気が集まっています。
住宅型の月額利用料
住宅型の月額利用料の内訳は以下の通りです。
- 家賃
- 管理費
- 食費
- 水道光熱費
- 雑費
介護付きとほとんど変わりませんが、介護サービス費は大きく異なります。
住宅型では介護が必要な場合、訪問介護や通所介護などのサービスを個人で契約しなければなりません。介護サービスを定額で利用できる介護付きと違って、住宅型は利用した分だけの自己負担額を支払う必要があります。
自己負担額を減らす制度
自己負担額を減らしながら有料老人ホームを利用する手段もあります。
例えば「高額介護サービス費」や「高額介護合算療養費」の制度などがあります。
これは、有料老人ホームの入居者だけではなく、在宅介護を受けている人も使える制度です。
高額介護サービス費
介護サービスを利用するとき、所得に応じて自己負担1割(収入により2割から3割)の支払いが必要で、自己負担額には上限額が決まっています。
この上限額は、1ヵ月に支払った自己負担額の合計が上限を超えたとき、超えた分が払い戻される、高額介護サービス費の利用ができるのです。
上限額は所得によって段階的に定められています。例えば、生活保護受給の世帯の負担上限額(月額)は1万5,000円、市町村民課税〜課税所得380万円未満だと4万4,000円の上限額となります。
高額介護合算療養費
高額介護合算療養費とは、医療費と介護保険の1年間の自己負担の合算額が規定する上限を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
限度額の設定は所得や年齢などから行われ、70歳未満で所得が年収156万〜370万円だと、自己負担額の限度は60万円、70歳以上は56万円の上限額となります。
支給を受けるためには市町村の窓口に申請をしますが、限度額との差が500円未満だと支給の対象外となることを頭に入れておきましょう。
介護付きと住宅型のメリット・デメリット
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームには、それぞれメリットとデメリットがあります。ここではその2つを比較してみましょう。
介護付きのメリット・デメリット
介護付きのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
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メリット:定額で介護サービスを利用できる
介護付きの最大のメリットは、充実した介護サービスを受けられることです。
介護職員が24時間常駐しているため、急なトラブルにも瞬時に対応をし、安心した生活を過ごせます。
さらに終身利用を前提とした施設が多く、看取り体制も整っているので、退去を求められることはほとんどありません。
費用は、要介護度の段階に応じて月々に支払う定額制です。そのため、どれだけ介護サービスを利用しても費用は一律となります。
デメリット:費用が少し高め
一方で、介護や看護のプロが常駐している体制であることから、費用がやや高いというデメリットもあります。
施設数のバリエーションが豊富なので予算内の施設を見つけられるかもしれませんが、希望する条件が多いと選ぶのに時間もかかってしまいます。
また、訪問介護やデイサービスといった外部の介護サービスを利用したいときは、自由に利用しにくいので注意が必要です。
住宅型のメリット・デメリット
住宅型のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
|
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メリット:一人ひとりに合った自由な生活を送ることができる
住宅型は自立した方の入居を想定した施設なので、イベントやレクリエーションの充実度が高いことが特徴です。
そのため、アクティブに過ごしたい、他の入居者とのコミュニケーションを楽しみたい方におすすめです。
また、バリアフリー設置の館内や、医療ケアをサービスに含む施設もあり、健康面に不安のある方でも安心して入居できます。
デメリット:介護度が上がると退去になる場合もある
一方で、デメリットとして退去や転居になる可能性があるという点が挙げられます。
入居してから要介護となった場合は、住み替えることになる可能性が高いので、介護が必要となった場合どうするかを入居前から決めておくことが大切です。
介護度が上がってくると、外部の介護サービス利用にかかる費用も高くなるので介護付きへ住み替えを検討するのも良いでしょう。
まとめ
介護付き有料老人ホームは特定施設入居者生活介護の指定を受け、介護体制が整っているので、要介護認定を受けた方や今後受けそうな方に適した施設だと言えます。
住宅型有料老人ホームは、介護付きほど介護体制は整っていないこともあります。一方で、元気な入居者が多いので友人・知人を作りやすく、レクリエーションやイベント、娯楽設備が充実していて日々楽しく生活できるという点が特徴です。
ただ、実際には個々の施設ごとに特徴は大きく変わるので、入居先選びの際は、パンフレットやホームページの閲覧、見学や体験入居などを通して、じっくりと比較検討することが大事です。
介護付きと住宅型に関するQ&A
有料老人ホームは何が違う?
介護付き有料老人ホームは食事、入浴、排泄などの介護サービスを受けられるだけでなく、施設内の設備も充実しています。住宅型有料老人ホームはレクリエーションやイベントが豊富で、アクティブな高齢者に人気があります。介護付きは自立から要介護5を対象とし、住宅型は自立した方が対象です。類似した施設として、サービス付き高齢者向け住宅という施設もあります。
介護付き有料老人ホームって何?
介護付き有料老人ホームとは、要介護の高齢者が安心して生活できるように入浴や排泄などの日常生活の介護サービス、レクリエーションなどを提供する施設です。介護付きには介護専用型、混合型、自立型があります。介護専用型と混合型は24時間の介護サービスが受けられます。自立型は自立している方を対象とした施設です。
住宅型有料老人ホームって何ですか?
住宅型有料老人ホームとは、介護を必要としない自立した方を対象とした施設です。レクリエーションや季節のイベント、囲碁、さどうなど、趣味を楽しめるさまざまな企画を用意しています。生活援助や外部の介護サービスを自由に選ぶことができ、緊急時の対応のサービスも可能です。
有料老人ホームは何種類?
有料老人ホームは介護付き、住宅型、健康型の3種類あります。介護付きは介護サービスの充実した施設、住宅型はレクリエーションが豊富な施設、健康型はアクティブなシニアライフを過ごしたい人に向けた施設です。