終活とは

終活の意味
終活とは「人生の終わりを考えることを通して、残りの人生をいきいきとしたものにする活動」のことです。つまりは元気なうちに先にある不安を解消して⼈⽣100年時代を楽しみましょうということです。
具体的には葬儀や墓の段取り、遺言の準備、身の回りの整理、財産相続などを行います。
「終活」という言葉は2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で選ばれたことで注目を集めるようになり、当時は団塊世代が定年退職を迎えるなど、高齢化が加速する時期と重なったこともあって社会現象になりました。
多くの方は60代ぐらいになると終活を考え始めるようですが、終活に早すぎることはありません。葬儀代や墓地の費用など、亡くなったときにかかる費用が具体的にわかるので、老後の設計もしやすくなります。
また、身の回りの整理や延命治療の有無、臓器提供の意思表示などを明確にしておくことは、年齢を問わず役立ちます。いつか必ずやってくる自らの最期をどのように迎えるか考えることは、今をより良く生きるためのきっかけになります。
終活はいつから始めるか
「まだ早い」と思った時が終活の始め時です。体調が悪くなったり、病気になってからではなかなかできません。またいつ病気になるのか、それは⾃分⾃⾝でもわからないから元気なうちに始めてください。
例えば、区切りとして退職や還暦などの⼈⽣の⼤きな節⽬にするもの良いでしょう。
短期間で一度にすべてを行うことはできないので、細分化してひとつひとつ進めていきましょう。
取りかかる順番としては、自分にとって優先順位の高いものから少しずつ始めることをおすすめします。
終活は何から始めるべきか
終活を始めるにあたって、何から着手すれば良いのかわからない方も多いのではないかと思います。
終活にはルールはありませんが、基本的には次の順番で進めていくことをおすすめします。
順番が前後してしまうと、目的が見えにくくなり、充実した終活ができない可能性が高くなります。
まずはエンディングノートを用意するところから始めるようにしましょう。
エンディングノートは⼤学ノートと違い、カテゴリで別れているので書くことにより、⾃分が何が不安でどのようなことが必要かもわかります。
終活の「やることリスト」
エンディングノートを用意する

自らの死後を考えると、埋葬や相続への希望、家族へのメッセージなど、周囲の方々に伝えたいことは山のようにあると思います。
エンディングノートは⾃分の過去を振り返りから現状、そして⼤切な⽅と未来を考える構成になっています。
例えば、お葬式のページだと「家の宗旨宗派を何か?」などがあります。今の現状を書くところから始まり、「どんなお葬式をしたいか」未来のことを考えます。
まずは過去、現在から取り組むと未来の考えも整理しやすくなります。
そして、遷延性(せんえんせい)意識障害患者になってしまったり、認知症を発症して自身で伝えることができなくなってしまったりした場合に、自分の気持ちを伝える手段として注目を集めているのがエンディングノートです。
何を書くか、どのように書くかは自由です。自分のこれからの人生や死後をイメージして、伝えたいことをしっかりまとめていきましょう。
遺影を撮影する
遺影とは、葬儀の際に飾られる写真のことです。
遺影は葬儀で使って終わりではなく、法事や仏壇などでも使われます。
遺影写真は多くの人が目にする故人の最後の姿ですから、亡くなった後にご家族に任せるのではなく、生前に気に入った写真を選びましょう。
また、最近では写真館や葬儀社などで遺影写真の撮影をしてもらう「生存遺影」が人気です。元気に出歩けるうちに赴いて撮影すると良いでしょう。
寝たきりの場合でも、自宅に出張して撮影をしてくれる写真館や葬儀屋もあります。
撮影するうえでの服装の決まりは特にないので、自分らしいと思える服装を着るようにしましょう。なかには毎年撮影する⼈もいます。
なお、後ろ姿の⽅で撮影される方もいれば、動画にする⽅もいます。⼤切なのは「⾃分らしさ」を表現してください。遠い未来はまだ⾒ぬ⼦孫もその写真をみて⼿をあわせることです。
お墓を用意する

身体が健康なうちに、お墓を用意するようにしましょう。
残念ながら、お墓に⼊るときはこの世にいないので、守ってくれる⼈と決めましょう。
お墓の用意なく、希望も伝えないまま本人が亡くなってしまうと、家族はどうすれば良いか悩むものです。
元気なうちに希望をまとめておくことで、お墓を守る家族の負担を軽減しつつ、自分の望む形を選べるようにしましょう。
また、お墓は祭祀財産なので⼀般的には非課税財産です。お墓の支払いを生前に完了しておけば、その分は相続税の対象にはならないため、相続税対策にもつながります。
葬儀社・葬儀スタイルを決める
葬儀では費⽤や形も気になりますが、亡くなる場所で⼀番多いのは病院です。全体の約65%を占めており、病院で亡くなった場合は⾃宅や葬儀社などに連れて帰る必要があります。
病院の紹介で葬儀社を選ぶこともできますが、ご⾃⾝や家族の意図する葬儀社とは限りません、そのため葬儀の事前相談をすると良いでしょう。⾒積もりも今が元気な⽅でも出してもらえます。
3箇所くらいから⾒積もりを取れば、費⽤の目安や仕組みもわかってきます。
なお、お墓と同じで葬儀も祭祀財産となり相続の対象外です。最近では「⽣前契約」といい、預託⾦として預かってくれる葬儀社もあります。地域の情報をしっかり把握するためにも葬儀の事前相談がおすすめです。
生活品・遺品整理をする

残されたご家族が困るのが、遺品の整理です。
残された家族は故人の気持ちがわからないため、遺品の処分に困ることが多くあります。そのような事態を避けるためにも、元気なうちに身の回りのものの整理をしましょう。
例えば、書籍は図書館に寄贈したり、趣味関連の品は同じ趣味を持つ人にあげたりすることなどが考えられます。
また、写真はデジタル化して保存したり、衣服や装飾品はリサイクルショップに行けば買い取ってもらえたりします。
なお、貴⾦属などはデザインもありなかなか相続しても使いにくいこともあります。不要と思ったものは買取業者などで引き取ってもらい、そのお⾦でご⾃⾝の⼈⽣に使ってください。
そのほか銀⾏⼝座は残ると家族の⼿続きが増えて⾮常に⼤変です。⼝座は3つまで、クレジットカードは2枚など最⼩限の数を決めて今のうちに解約などしてください。このような情報をエンディングノートにまとめ、家族と共有も忘れずにしましょう。
家系図を用意する
自分が亡くなった後、残された家族は遺産の相続手続きをする必要があります。
しかし、相続人を確定させるために、家族や親族の戸籍を取り寄せるなど、多くの時間を費やすことも珍しくありません。
このようなときに家系図があれば、作業の負担が減り、遺産分割協議を行いやすくなるでしょう。
遺言書を用意する

エンディングノートと遺言書の違いは、法的効⼒を持つか持たないかです。
遺⾔書は法的効⼒のある正式な⽂書なので認知症になってから作成したものは認められません。
そのため、⼤事な⾃分の財産を元気なうちに家族に託す⼿段です。⾃分が死んでしまった後に家族が揉めることのないよう、きちんと専⾨家の相談し作成しましょう。
遺⾔書作成に必要なことは以下の2点です。
- ⾃分の財産の確認(借⾦、現⾦以外も含む)
- 法定相続⼈の把握
なお、遺⾔書には「⾃筆証書遺⾔」「公正証書遺⾔」の2つがあります。
- ⾃筆証書遺⾔
- ご自身の手で作成する遺言書のこと。ワープロや代筆は無効になるので注意が必要です
- 公正証書遺言
- 公証役場で公証人が作成する遺言書のこと。遺言者が公証人に対して遺言を伝え、公証人が筆記します。
どちらを選ぶかは家族ともしっかりと意見を交換し、決めましょう。
遺言書の書き直しは可能

実は遺言書は、何度でも書き直しが可能です。そのため、「将来のことなんてどうなるかわからないから」という⽅も一度書いてみることをおすすめします。
家族の状況下やご⾃⾝の状況や気持ちの変化で再作成する⽅も少なくありません。しかし遺⾔書の作成にはその都度、費⽤や⼿間がかかりますので専⾨家に相談してということも⼤切です。
遺言書は法的効力がある重大なものなので、その場の気持ちや状況だけを見て判断しないようにしましょう。なお、最近では市区町村の無料相談もありますのでチェックしてください。
法定相続人以外に遺産を分割したいときの対応

シニアライフでは、意外なところで意外な方にお世話になる可能性も出てきます。
例えば、遠い親戚などで法定相続人の範疇に入らない方に、老後から介護でお世話になるケースもあると思います。また最近では⾃分が⼿助けしたい団体に寄付したいなどの要望も増えています。
このような方々に遺産を受け渡したいと考えたときは「遺贈」を行うことになりますが、これをするためには、遺言書にその旨を記載する必要があります。法定相続人以外に遺産分割をしたい場合には忘れないようにしましょう。
見守りのための契約を結ぶ
財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、財産管理と療養看護に関する委任契約をまとめた契約を指します。
病気や怪我で心身状態が悪化して、財産や治療に関する判断が困難になった場合、本人の代わりに財産管理や病院の治療、介護・福祉サービスなどの手続きを行います。
よく似た制度に「成年後見制度」がありますが、成年後見制度は高齢や認知症などの影響で判断能力が低下または低下する恐れがある場合に利用できる制度です。
一方、財産管理委任契約は判断能力の低下やその可能性を前提とせず、誰でも利用できることが特徴です。
任意後見契約
任意後見契約とは、認知症や外傷などによって判断能力が低下した場合に、あらかじめ決めておいた「任意後見人」が本人に代わって財産管理や医療・福祉・介護サービスなどの利用の手続きを行うものです。
自分が元気な間に、家族や信頼できる相手と任意後見契約を結び、将来老齢や病気によって判断能力が衰えたときは、契約内容に基づいてお金や契約に関することの手続き代行をするように依頼します。
なお、任意契約にかかる費⽤は⾃由に決めることができます。
見守り契約
将来、任意後見契約で支援する方と本人が、任意後見契約をいつスタートするか相談しながら判断していく契約です。
見守り契約の目的は、任意後見契約を結んでも、お互いに合わないまま時間が経ってしまって信頼関係に疑問が残るようなケースを防ぐために用意されています。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、死亡届の提出や葬儀の手配、関係者や親族・友人知人などへの連絡、遺品処分に関する指示など、死後に発生するさまざまな事務処理を信頼する人に委任する生前契約です。
葬儀のスタイルのお願いやパソコン内のデータの消去といった、人に見られたくないものの処分などの委任内容を話し合って、公正証書にしておきます。
ただし、任意後見契約や遺言執行人などとちがって、相続手続きに関してはタッチできません。
民事信託
民事信託とは、家族や親族に自分の財産を託して、管理、運用、処分してもらうことを言います。
信託銀行などの営利目的の信託ではなく、信頼できる家族や親族に財産管理を託すことから、家族信託と呼ばれる場合もあります。
民事信託は生前から遺産相続の分割について詳細に決められるため、通常の遺言や成年後見人制度よりも柔軟に財産を管理できるのが大きな特徴です。
もし認知症などによって判断能力が衰えたとしても、事前に信託契約を結んでおけば適切な財産管理が可能になります。
ただし、法律上の法定相続⼈や遺留分を無視する内容は契約を結べないので注意が必要です。
自治体で行われている「終活サポート」
日本の高齢化社会を背景に、身寄りのない高齢者を支援するための「終活サポート」の取り組みが増加しています。多くの自治体がこの支援を実施しております。
具体的なサポートとしては、終活相談窓口の設置、エンディングノートの無料配布、終活セミナーの開催などが行われています。
※自治体によって取り組み内容が異なるため、詳細はお住まいの地域の自治体にご確認ください。
終末期医療の意思表示
終末期になり本人の意識がなくなったり、判断力が低下したりしたとき、事前に意思表示をしていないと、本人の希望通りに処置が行われないことがあります。
そのようなことがないように延命治療や救命処置、臓器提供の希望の有無、介護状態になったときの対処方法などを書面にして残し、家族やかかりつけの医者に伝えておきましょう。亡くなったあとは研究機関への献体を希望するなど、できるだけ詳細に記載しておくといいでしょう。
また、身内がいない場合は、後見契約を結んでおくと希望通りの終末期を迎えることができます。たとえ意識がなくなっても、本人の人権を守ってもらえるので安心できます。
ただし、後見人は本人の代理で契約などもできるので、信頼できる人を見つけてお願いしなくてはいけません。
介護について調べる
年齢とともに身体機能の低下や病気の発症・進行などで、自立した日常生活を送ることが困難になる場合があります。
高齢になるほど、手厚い介護サービスに支えられながら暮らすケースが増えていきます。
今後介護が必要になった場合、あらかじめどのような介護サービスがあるのか調べておくことは、自分の希望に合った介護を受けるためにとても大切です。
加齢によって認知機能の低下も進んでいくため、いざ介護が必要になっても、思うように介護サービスを探したり、選んだりすることが難しくなるおそれがあります。
「元気なうちに将来自分が受けたい介護を考えておけば良かった」と思わないで済むように、早い段階から介護サービスや入所施設などを探したり、介護費用の用意したりする準備をしておきましょう。
施設介護を検討する
老人ホームの種類を知る
老人ホームの種類ごとに「入居のしやすさ」などの特徴をまとめたのが以下の表です。
入居条件を参考に、それぞれの希望に合った老人ホームを選択するようにしましょう。
種類 | 運営 | 入居金相場 | 月額相場 | 自立 | 要支援 | 1~2要介護 | 1~2要介護 | 3~5認知症 | 認知症 | 重度看取り | 入居の しやすさ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
介護付き 有料老人ホーム |
民 | 間 施 設0~ 580万円 |
15.7~ 28.6万円 |
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住宅型 有料老人ホーム |
0~ 21万円 |
9.6~ 16.3万円 |
|||||||||
サービス付き 高齢者向け住宅 |
0~ 20.4万円 |
11.8~ 19.5万円 |
|||||||||
グループホーム | 0~ 15.8万円 |
10~ 14.3万円 |
|||||||||
ケアハウス | 公 | 的 施 設0~ 30万円 |
9.2~ 13.1万円 |
||||||||
特別養護 老人ホーム |
なし | 10~ 14.4万円 |
|||||||||
介護老人 保健施設 |
なし | 8.8~ 15.1万円 |
|||||||||
介護医療院 (介護療養型 医療施設) |
なし | 8.6~ 15.5万円 |
※1:要支援2から
充実した対応
受け入れ可
施設によっては可
受け入れ不可
介護のプロによる本格的な介護を受けながら安心して暮らしたい場合は、施設介護を選択肢に入れましょう。
「自宅の売却に不安がある、入居後も自宅は残しておきたい」といった方も、事前に利用したい施設を決めておくと、いざ介護が必要になった場合に安心して入居できます。
特別養護老人ホームをはじめ介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、入居できる老人ホームの種類は多くあるので、元気なうちから情報収集をしたり、気になる施設を見学したりしておくことがおすすめです。
老人ホームの費用を知る
老人ホームにかかる費用には入居時に支払う「入居一時金」と毎月支払う「月額利用料」の2つがあります。
それぞれの費用がどのくらいかかるか理解しておくことで、予算に見合った施設を見つけやすくなり、費用の滞納といった問題を未然に防ぐことができます。
より詳しい違いを知りたい方は、以下の記事をぜひチェックしてみてください。
終活が必要な理由

かつての日本では、家族がひとつ屋根の下に暮らし、さらに近所づきあいなど地域社会の結びつきが強かったため、死を前にしても疎外感や孤独感に襲われず、「自分の死後のことを家族や地域社会に任せられる」という意識を持っていました。
そのため、死に対しては「誰にでも訪れる運命」として受け入れ、終活のような死を前にして特別な活動を行うという習慣は見られなかったのです。
しかし、現代の日本においては、核家族化が進んで世帯全員が高齢者ということも多く、以前のような地域共同体も崩壊しているのが現状です。
そしてこのような社会状況が到来した現在、高齢者は「死を前にして余生をどう生きるか」、そして「死後の葬儀をどうするか」ということについて、自分自身で考えなければならなくなっています。
さらに、「自分らしく生きたい」という価値観が広まったことも影響し、終活をしたいという人が増え、今やブームになりつつあるのです。
家族に自分の意思を引き継ぐため
終活を行う理由のひとつとして、「家族などに自分の意思を引き継ぐため」ということを挙げられるでしょう。日常生活を送る中で、家族や友人に感謝の言葉を述べたい気持ちになることは多いものです。
しかし、面と向かって言おうと思っても照れ臭く感じ、口に出せないままの人も多いでしょう。終活では、エンディングノートなどを通して、自分の正直な思いを残すことができます。
普段は伝えられない思いを伝える機会になりますよ。
財産を引き継ぐため
終活は、財産の引き継ぎをスムーズに行うためにも行われます。まずは、現在保有している金融資産と不動産のリストを作り、誰にどれだけ残すのかを考え、それを自分の意思としてエンディングノートに記載します。
ただ、先に解説した通りエンディングノートには遺言書のような法的効力はありません。あくまで、自分の意向を家族に残しておくという形になります。
また、終活によって、自分の大事にしていたものなどを特定の人に渡したいときに、その意思を家族に伝えることもできます。
相続人がいない場合は”国”が遺産や預金を相続する
内閣府が発表する「高齢社会白書(2016年概要版)」によれば、独居老人の数はおよそ600万人に上ると指摘されています。
みなさんは、身寄りのいない方が亡くなられた場合、その人の持つ相続財産は国(国庫)に引き継がれるということを知っていますか。実は、年間400億円の遺産が国庫に納付されているのです。
さらに、休眠預金活用法という法律が策定され、10年間放置された預金は公益性の高い団体などに助成・融資しても良いということになっています。その額は年間約600~700億円。
ご自身の資産の使い道を自分で決めたいのであれば、なるべく早めに終活を始め、自分の意思を表明しておかなければなりません。
自分の最期を考えるため
終活によって、自分の最期をどう迎えるかについての意思を残しておくことができます。
例えば、「延命治療を行うかどうか」という事態に直面したとき、家族だけでは決断が難しい状況が起こるかもしれません。そんなとき、自分の希望を明確に示しておくことで、家族は悩まずに済むわけです。
また、飲んでいる薬や主治医のことについて書き残しておけば、自分の身体状態が悪化して意識がなくなるような状況になったとき、家族が適切に対応できます。
終活のメリット

自分の人生を振り返るきっかけになる、ということも終活のメリットだと言えます。自分がこれまで過ごしてきた人生を思い起こし、長く会っていなかった友人や昔住んでいた土地のことを思い出すということもあるでしょう。
自分でも予想もしなかった思いが、心の中にこみ上げてくるかもしれません。また、死と向き合うということは、自分の余生を有意義に生きるための準備を行うことでもあります。
やり残したことや言い残したことなど、生きているうちにすべき事柄を整理する機会にもなるのです。
終活を行うことで、「悔いのない人生だった」と感じられる最期を迎えたいと思うようになり、自分の老後を前向きに生きようとすることにつながるでしょう。
死に対する不安軽減になる
終活を行うメリットのひとつとして、死に対する不安軽減につながるということがあります。
一般的に死に関する話題は縁起が悪く、不安な気持ちにさせるというイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、終活に取り組むことで自分自身の整理がついて、不安が軽減できたという声が多く聞かれます。
先行きがあいまいになりやすい老後生活だからこそ、充実した毎日を過ごせるように自分自身でしっかり把握できるようにしましょう。
家族の負担を減らすことができる
終活を行うことで、残されたご家族の負担を大幅に軽減することができます。
もし終活を行っていない場合、お墓や葬儀などに関することが何も決まらないまま亡くなることになります。
そうなった場合、遺された家族がすべて決めることになるため、負担は大きくなります。
ご自身の希望をあらかじめ書き記しておけば、それを参考にご家族は葬儀などの段取りを進められるようになるので負担軽減につながります。
ほかにもある終活
お仏壇
お仏壇の保有率は高く、一戸建ての場合は全国平均で50%を超えています。そのため、亡くなったあとはお仏壇を家族が引き継ぐことになります。メンテナンスの際などに役立つため、購入先の情報などはエンディングノートに書き残しておきましょう。
新しいものを購入する場合は、残されたご家族のライフスタイルに合わせたものにしましょう。最近はいろいろなお仏壇が出ているので、家族と相談して決めるのがおすすめです。
ペット
ペットを家族同然の存在として暮らしている方が、最近は増えてきました。そのため、亡くなったあとのペットの処遇に頭を悩ませる方もたくさんいます。
家族の誰かが世話をしてくれるのならいいのですが、本当に大切に扱ってくれるか不安が残るものです。
そんなときは、遺産の相続に「ペットを世話する」という条件をつけるといいでしょう。そうすると、亡くなったあとでもペットの世話をしているか、遺言執行人が定期的にチェックしてくれます。もしもペットの世話を怠っているなら、遺産を返さなくてはいけません。
保険
葬儀には平均して200万円ほどかかると言われていますが、亡くなる直前までお金の心配はしたくないですよね。預貯金や積立金などでまかなえれば良いですが、足りなければ家族に負担をかけてしまいます。
そこで活用したいのが保険です。
保険にはさまざまな種類がありますが、終活では少なくとも死亡時における保障と貯蓄を目的とした「終身保険」と、葬儀費用に特化した「葬儀保険」の2種類には入っておきましょう。
最近は高齢になってからでも加入できる終身保険もあるので、保険の専門家であるファイナンシャル・プランナーなどに一度相談してみましょう。
他の人はこちらも質問
終活は何歳から?
終活は定年退職後の60〜65歳から考える人が多いです。時間に余裕ができ、自分を振り返ることができます。今後の生き方を考えるタイミングでもあるため終活を始めやすいです。
しかし終活を始める時期は早くても問題ありません。気になったとき、時間に余裕のあるときに始めるのがおすすめです。
終活はどうやる?
終活の方法は次の通りです。
- 今後の人生や死後を伝えるエンディングノート
- 遺品整理をする
- 遺言書を書く
- 終末期医療に関する意思表示
- お墓の用意
- 葬儀方法を決める
終活という言葉はいつから使われ始めた?
終活は2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」で選ばれ、広く知られるようになりました。
この時期は団塊の世代が定年退職するなど、高齢化が増加していたことから特に注目されました。
自分らしく生きたいという考え方が増えたため、終活を前向きに準備する人が増えています。
終活は何歳から?
終活を進める順番に決まりはなく、自分の好きなところから始められます。
家族に自分の意思を受け継いでほしい場合はエンディングノートに記載したり、自分の最期の迎え方を考えまとめた意思表示を作成したりなど、自由に終活をスタートできます。
終活を考える時期で最も多いのは、時間に余裕が生まれる定年退職後です。