みんなの介護アンケート
老人ホームの希望条件を整理する
希望条件を整理して優先順位を決めておくと、老人ホーム探しがスムーズに行うことができます。
老人ホームへの入居を決める「決定打」を吟味し、いくつか決めておくと良いでしょう。
希望条件をすべて満たす老人ホームを見つけることは困難ですが、優先順位を決めることで見学の際にチェックするポイントが明確になります。
多少の妥協はあったとしても、満足する入居先がみつかる可能性が高くなるでしょう。
入居予定者の身体状況を確認する
希望条件を定める前に、入居予定者の身体状況を確認しましょう。
なぜなら、要介護認定や認知症の有無、医療依存度などによって適した老人ホームは違います。
本人や家族の希望する条件と一致する施設を見つけても、「入居希望者の身体状況では入居できません」と断られてしまいます。
老人ホームに入居するには「医師による診断書」の提出が必要です。準備も兼ねて早めに医療機関を受診すると良いでしょう。
入居者の性格・趣味・嗜好から考える
老人ホームへの入居後も、趣味の時間を大切にしたい方が少なくありません。
そのため、アクティビティやサークル活動についても確認しましょう。
ガーデニングが趣味なら庭がある施設のほうが良いですし、カラオケが趣味ならレクリエーションに組み込まれている施設がおすすめです。
なお、お酒やタバコを嗜まれる場合は禁止されている施設もあるので、見学の際は確認しましょう。
老人ホームの欠かせない希望条件
老人ホームの希望条件として考えたいポイントは以下の7つです。
- 予算・料金
- 立地条件
- 介護サービス
- 生活支援サービス
- 医療ケア
- 認知症ケア
- レクリエーション
みんなの介護が実施したアンケート「老人ホームの希望条件で欠かせないものは?」に対する回答も交えながら解説していきます。
予算・料金
アンケートへの回答として最も多かったのは「費用」に関することでした。
ご自身の貯蓄や収入から老人ホームの費用を賄うことができるか関心が高いことがアンケートからわかります。
以下は全国の老人ホームの費用相場をまとめた表です。どのくらい費用がかかるのか参考にしてみましょう。
費目 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
入居一時金 | 94.7万円 | 10.0万円 |
月額利用料 | 15.2万円 | 13.5万円 |
なお、資産に該当するものとしては以下があります。
- 年金
- 有価証券の配当
- 家賃収入
- 預貯金
- 不動産の売却
- 有価証券の売却
- その他資産の売却
なお、これら資産を売却する場合はそれぞれの相場を確認することをおすすめします。
予算に見合った老人ホームを探す立地条件
老人ホームを選ぶうえで考えたいのが「立地条件」です。
入居者本人にとって、施設周辺の立地が合わないとストレスの要因となってしまいます。
以下では入居者の方とご家族の方の視点から、立地条件の選び方を解説します。
入居者本人の趣味嗜好に合った立地
自宅で暮らしていたときの環境から大きく変わってしまうと、入居者本人に少なくないストレスを与えてしまいます。
例えば、日ごろから散歩を日課にしている方なら、近くに公園ある立地や散歩を楽しめるルートがあると良いでしょう。
また、人との触れ合いに興味がある方なら、イベントやお祭りなどが頻繁にある地域の老人ホームがおすすめです。
費用や施設内の環境を重視することも大切ですが、立地が本人の生きがいにもつながる大切な条件だと理解しておきましょう。
家族の家から近い立地
家族が面会に通いやすい立地かどうかも大切な判断材料の一つです。
自宅から近い場所に施設があればいつでも顔が出せますし、本人にとってもご家族にとっても安心できるでしょう。
また、自宅から近いメリットとしては、緊急時でもすぐに駆けつけられることにあります。
利用者にとっては、いざというときに家族が来てくれるという安心感になります。
【後悔しないために】老人ホームを選ぶ際に押さえるべき5つの立地条件
希望地域から老人ホームを探す介護サービス
介護サービスはスタッフの介護スキルだけでなく、入居者への対応や雰囲気もあわせてチェックします。
親しみやすいスタッフがいると入居者も家族も相談しやすいでしょう。
介護サービスの種類については以下の記事で詳しく解説しています。あわせて確認してみましょう。
生活支援サービス
生活支援サービスでは、食事の準備や買い物の代行、掃除などの日常生活に関するサポートを受けられます。
自分で身の回りの世話をすることが難しい方は、施設でどのくらいのサービスを受けられるのか事前に確認しておくと安心です。
以下では代表的な生活支援サービスを4つ紹介します。
1. 食事
入居者の多くが老人ホームの暮らしのなかで楽しみにしているのが、毎日の食事です。
老人ホームでは栄養バランスの取れた食事だけでなく、四季折々の素材を用いたイベント食を提供しています。
また、嚥下機能が低下した方に向けて介護食を提供している施設も少なくありません。
入居者の身体状況や食へのこだわりを加味して条件を設定すると良いでしょう。
手作りの食事の老人ホームを探す2. 入浴
入浴介助の頻度も施設によって異なるほか、場合によっては別途料金が必要な場合もあるので必ず確認しましょう。
なお、高級老人ホームのなかには温泉付きの老人ホームもあります。
3. 緊急時対応
老人ホームによっては医療機関と提携している施設があります。そういった施設であれば、緊急時のときも安心して任せることができるでしょう。
緊急時にはスタッフの対応が生死をわけることもあります。普段からの備えや訓練についても確認しておくことをおすすめします。
4. 介護予防・機能維持サポート
老人ホームに入居することで要介護度が上がってしまっては本末転倒です。
健康診断の頻度や、リハビリの有無などもチェックしましょう。
リハビリの場合、臨床心理士や作業療法士などの専門スタッフが常駐しているのか、機能訓練室が完備されているのか、利用料金が別途発生するのかなども確認しておきましょう。
リハビリが手厚い老人ホームを探す医療ケア
医療ケアが欠かせない方の場合、老人ホームでどのようなケアを受けられるのかは非常に重要なチェックポイントです。
確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 看護職員や機能訓練指導員が常勤しているか
- 提携する医療機関とその内容
- 看取り体制
- 訪問診療や健康診断の頻度
- 看護職員が勤務している時間
施設によっては、24時間体制で看護師が常駐している老人ホームもあります。
入院時の対応について確認する
入院や通院が必要になったときの対応も確認しておきましょう。
入院期間や退院後の状態によっては、退去しなくてはならない場合もあります。
また、入院費や通院費の負担はどうなるのか、通院時の付き添いは、施設側でやってもらえるのかなど、あらかじめ確認しておくと、いざというときの対応がスムーズです。
以下は傷病別に「平均在院年数・月数」をまとめた表です。
もし入院中に月額利用料が発生する場合は、その分の負担が必要になりますので注意しましょう。
認知症ケア
認知症を発症している場合、まずは認知症の方を受け入れている施設なのか確認が必要です。
老人ホームの中には認知症を発症していることが理由で入居できない施設もありますし、同じ認知症でも軽度の場合は受け入れ可能で、徘徊などを伴う重度の場合は入居できない場合もあります。
せっかく希望に沿う老人ホームがみつかっても、認知症だから入れないということにもなりかねませんので、事前にチェックしておきましょう。
【わかりやすく解説!】認知症とは(初期症状・種類・予防方法・進行・何科を受診?)
認知症の方が入居できる施設を探すレクリエーション
レクリエーションは、身体的・精神的な健康を目的に行われます。
さらに、ほかの入居者とコミュニケーションを取るきっかけをつくるので、孤立感から抜け出して充実した生活ができます。
レクリエーションの主な種類は以下の通りです。
- 頭を使う
- 計算、漢字、パズルゲームなど
- 手先を使う
- 編み物、塗り絵、折紙など
- 体を動かす
- 体操、ダンス、簡単なストレッチなど
- リフレッシュ
- カラオケ、玉入れなど
希望条件をもとにした施設の探し方
ここまでは希望条件について紹介しました。
ただ、すべての希望条件と一致した老人ホームを見つけることは難しく、施設を探す時間もかかってしまいます。
そのため、希望条件のなかで優先順位をつけて施設を探すことが大切です。
入居予定者の身体状況も考慮しながら「これだけは譲れない」という最優先を家族で決めましょう。
以下では、優先順位をつけるポイントを紹介します。
実際に施設を検索してみる
みんなの介護では、エリアや身体状況などの希望条件に合わせて施設を絞り込んで検索できます。検索する際は、優先度の高い条件から検索しましょう。
また、入居予定者の希望する条件に対して、どのくらいの施設が該当するのか把握できます。
以下のボタンから実際に施設を検索できるので、希望条件に合った老人ホームを探してみましょう。
希望条件に合った老人ホームを探す介護のプロに相談してみる
希望条件を絞ることが難しい場合は介護のプロに相談してみることがおすすめです。
介護のプロに話すことで、自分の中で条件の優先度が明確になったり、プロのアドバイスから条件を見直したりすることもできます。
「みんなの介護入居相談センター」では、無料で施設パンフレットや見学予約などのサービスを提供していますので、お気軽にお問い合わせください。
身体状況に合った老人ホームの選び方
この項目では身体状況から、おすすめの施設種別を4つ紹介します。
施設種別の特徴を把握したうえで、上記で紹介した希望条件で絞り込んで検索することも可能です。
介護不要な方は「サ高住」
サービス付き高齢者向け住宅は、主に自立した方を対象としており、館内はバリアフリーが整っています。
外出や居室内の入浴は自分のタイミングで利用でき、ほかの施設よりも自由度は高いです。
なお、入居後に要介護度が上がったり、自立した生活が困難になったりした場合は退去を求められる可能性があります。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や食事・認知症対応を解説(有料老人ホームとの違いも)
サービス付き高齢者向け住宅を探す介護が一部必要な方は「住宅型」
住宅型有料老人ホームはあまり介護を必要としない方におすすめです。
住宅型では食事や掃除などの生活支援サービスを利用できます。介護サービスが必要な場合は外部の事業者と契約して利用します。
また、イベントやレクリエーションが盛んなため、入居者同士のコミュニケーションも楽しむことができます。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説
住宅型有料老人ホームを探す介護が常に必要な方は「介護付き」
要介護の重い方、重度の認知症の方は介護付き有料老人ホームがおすすめです。
介護職員が24時間常駐しているので、いつでも介護を受けられます。また医療体制も整い、医師による訪問診療などが受けられ、持病のある方も安心して暮らせます。
また、介護付きは特定施設の指定を受けているため、介護保険サービスを毎月定額で利用できます。そのため、サ高住や住宅型からの転居先としてもおすすめです。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護付き有料老人ホームを探す認知症ケアを受けたい方は「グループホーム」
グループホームは認知症に特化した施設です。
認知症ケア専門のスタッフのサポートを受けながら、家事全般を入居者自身で行います。自立した生活をすることで、認知症の進行を遅らせます。
なお、施設と同じ住民票でなければ入居できない点に注意しましょう。
【図解】グループホームとは?入居条件や認知症ケアの特徴・居室の種類を解説
グループホームを探す【事例】老人ホームの希望条件
この項目では入居者や入居目的に合った希望条件について紹介します。
二人部屋に夫婦で同時入居をしたい
二人とも要介護状態の場合
長年連れ添ったご夫婦がともに要介護状態になった場合、二人部屋を希望されることもあるかと思います。
基本的にご夫婦での入居を断られることはありませんが、有料老人ホームなどは一人住まいを前提に間取りが決められています。
そのため、もともと二人部屋として用意されている居室があるか、ある程度の広さが確保できる一人部屋の居室でないと、ご夫婦で同室の入居は難しいでしょう。
ご夫婦のどちらかが自立の場合
たとえご夫婦であってもどちらか一方が自立されている場合、同時に入居できる老人ホームは限られてきます。
その場合は上記で紹介した「サ高住」や「住宅型」への入居がおすすめです。
なお、みんなの介護では夫婦入居できる老人ホームも紹介しています。以下のボタンから検索してみましょう。
夫婦入居できる老人ホームを探すペットと同居ができる施設に入居したい
「ペットと離れて暮らしたくない」という理由から、高齢者の方が介護施設への入居を躊躇することがあります。
そうした需要に応えるため、最近は有料老人ホームやサ高住、シニア向け分譲マンションなどで「ペット入居可」の施設が増えてきました。
なお、入居後のペットの世話は原則的に入居者が行うケースがほとんどです。そのため、ご自身で面倒が見れなくなった場合の対応についても確認しておくと良いでしょう。
アニマルセラピーの効果も期待できる
最近はレクリエーションに「アニマルセラピー」を導入している施設も増えてきました。
動物と触れ合うとストレスが軽減したり、心が落ち着いたりすると言われています。また、日々の活力や自信にもつながるとされています。
ペット入居可の老人ホームを探すまとめ
老人ホームを選ぶときの希望条件には費用や施設内の環境、サービス内容などが真っ先に思い浮かぶと思いますが、ご紹介したようにチェックすべき項目は他にもたくさんあります。
ご夫婦での入居やペットと一緒の入居など、ご本人の嗜好やご家庭の状況に応じて、どのような条件を希望するのか改めて整理してみましょう。
場合によっては、老人ホームは「終の棲家」となる場所です。
入居後に後悔することがないように、少しでも希望に沿う老人ホームをみつけましょう。