人口10万人あたりの老人ホームの数は全国で第8位!
群馬県には老人ホームの数が充実しているという特徴があり、県庁所在地の前橋市を中心に、高崎市や太田市などに施設が多く分布しています。
一方、人口の少ない地方部にはそれほど多く少ないため、地方での入居を考えている場合は事前に空き状況を確認しておくと良いでしょう。
また、費用面ではそれほど高額にならない老人ホームが多く、入居一時金は0~100万円台、月額利用料10万円前後と、東京都や神奈川県、埼玉県など、関東の他の地域と比べると低額で利用できるのが魅力です。
なかには入居一時金を数百万円と設定しているケースもありますが、その場合は月額利用料が低く設定されており、利用者の経済状況によって選択には幅が用意されています。
一方で気候的に目を向けると、夏場は40℃前後まで気温が上がる全国でも有数の酷暑地帯で、冬場は日中でも気温が5℃前後までしか上がりません。
各老人ホームでは室内の温度調節は万全ですが、群馬県の老人ホームへの入居を考える際には、健康面にも十分に配慮しておくと安心です。
2033年には高齢者数は約60万人に増加
群馬県の総人口は、2004年に203万人を記録して以降年々減少し、2015年には197万人、2023年には193万人となっています。今後も増加に転じることなく、2033年には177万人ほどになると予測されています。
世帯数は人口と同様に将来的には減少が予想されていますが、現在に至るまで年々増加しています。2015年の76万3,000世帯から、2024年には82万4,000世帯へと増加しています。
そんななか、高齢者人口については年々増加し、将来的にも増加し続けると見られています。2000年当時の前期高齢者(65歳~74歳)人口は21万2,000人、後期高齢者(75歳以上)人口は15万5,000人でした。
それが2023年には前期高齢者人口26万6,644人、後期高齢者人口は32万2,267人に増加、前期高齢者人口よりも後期高齢者人口の方が多くなりました。2033年にはなるとそれぞれ22万9,539人、36万8,414人とさらに後期高齢者人口は増加する予測です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高齢化率も年々上昇しており、1995年には15.6%でしたが、2010年には23.4%、2015年には27.6%に到達。2023年には30.3%との調査結果が出ています。この年の全国平均は29.0%のため、群馬県の高齢化率はやや高い水準と言えます。
介護保険制度開始後の約24年間で施設サービスの利用はおよそ2倍に増加
群馬県内の、介護保険サービス利用者数の推移を見ると、主に在宅介護者が利用する「居宅サービス(介護付有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護も含む)」、特別養護老人ホームなど介護施設に入所して受ける「施設サービス」、そして事業所と同じ自治体内に住んでいることが利用条件となる「地域密着型サービス」、それぞれが年々上昇しています。
現行の介護保険制度が始まった2000年4月当時は、居宅サービスの利用者数が1万7,064人、施設サービスの利用者数が8,771人の合計2万5,835人でしたが、14年後の2014年3月では、居宅サービスの利用者数が5万5,194人、施設サービスの利用者数が1万5,336人、地域密着型サービス(2006年4月から開始)が5,936人で合計7万6,466人。さらに2024年には居宅サービスの利用者数が6万2,732人、施設サービスの利用者数が1万6,672人、地域密着型サービスの利用者数が1万3,353人と合計9万2,757人でした。
この24年で居宅サービスを利用する人の数は約3.7倍、施設サービスを利用する人の数は約1.9倍増加、地域密着型サービスは18年約2.2倍増加したことになります。
介護保険サービスを利用することになる、要介護認定者(「要支援」認定者含む)の数も年々増加。2000年4月時点では3万3,120人でしたが、2005年3月は6万6,260人、2010年3月は7万5,506人、2014年3月には9万205人、2024年には10万5,346人と10万人に達しています。
要介護認定者数の推移の特徴としては、比較的軽い状態の認定者(要支援1、2の認定者と要介護1の合計)の伸びが非常に大きいということです。
一方、中重度の状態(要介護2から要介護5までの段階)の同期間の伸びはそれより少なくなってます。
「ぐんまはばたけポイント制度」で高齢者の介護予防をサポート
群馬県では、高齢者の要介護状態を防ぐための健康づくり、介護予防のための福祉事業がさかんに行われています。
具体的な施策については各市町村が担うことになりますが、県としても①介護予防の啓発・普及活動を行う②健康づくりと健康維持活動を促進する③市町村に対する支援、などを行うことで高齢者の介護予防活動をサポートしています。
また、地域の高齢者の介護予防活動を支える「介護予防サポーターの育成」活動に力を入れており、地域リハビリテーション広域センターが協力して育成力をさらにアップさせ、地域の高齢者への介護予防への理解度を高めようとしています。
そして、高齢者のスポーツ大会である「ぐんまねんりんピック」の開催や全国健康福祉祭(ねんりんピック)への高齢者選手の派遣に加え、高齢者にボランティア活動に参加する意欲を持ってもらうための「ぐんまはばたけポイント制度(介護ボランティア・ポイント制度)」などを実施。
上記に加え、市町村の介護予防事業の経済的なサポートを行う「地域支援事業交付金」の交付、市町村の職員への研修などを行う「介護予防対策促進」など、多様な取り組みが展開されています。
2020年時点で約9万人となった単身高齢者を地域レベルでサポート
群馬県では、2014年度に「ひとり暮らし高齢者基礎調査」が行われ、ひとり暮らしの高齢者に対して「日常生活や地域のことで不安に感じることはありますか」という質問をしました。
回答で多かったのが「健康に関すること」(29.1%)、「体調を崩した時の身の回りのこと」(27.8%)、「災害時のこと」(19.3%)などでした。
県内のひとり暮らしの高齢者数は年々増加し、2014年時点では6万人近くを記録。老後にひとり暮らし、あるいは要介護状態になっても、安心・安全な生活を持続できる社会の構築は、群馬県において急務といえます。
こうした状況を背景に、現在県で進められているのが、各地の「地域包括ケアシステム」構築です。
地域に住む高齢者に対する、医療サービス(在宅診療)の体制強化、住みかえ先の住まいの提供、介護予防・生活支援サービスの充実化を図り、その目的である高齢者が「住み慣れた地域で楽しく過ごせる社会の実現」を目指しています。
群馬型の地域包括ケアシステムにおいて期待されているのは、「元気な高齢者の活躍」。高齢者人口の増加に伴い、NPO、ボランティア、シルバー人材センター、自治会などで元気に活躍する方が増えています。
元気な高齢者が所属する各種団体が、同じ地域に住む高齢者の介護予防、生活支援に積極的に参加し、地域包括ケアの「支え手」の役割を担いつつあるのです。
福祉サービスの相談は「介護サービス苦情相談窓口」で受付
群馬県では、福祉サービス利用者がより適切、快適なサービスを受けられるよう、苦情解決制度を設けています。
介護保険サービスに関する苦情を受け付ける公的機関としては、「国民健康保険団体連合会」による「介護サービス苦情相談窓口」と「群馬県福祉サービス運営適正化委員会」があります。
福祉サービスに対する苦情は、訪問介護サービスに対してであれば、それを提供している訪問介護事業所にまず相談するのが望ましいです。
もし介護事業所に公平な視点で問題解決にあたる「第三者委員」が設置されているなら、そちらに連絡するのが良いでしょう。
しかし人によっては、直接事業所に苦情を訴えづらいと感じる場合もままあり、また、実際に苦情を直接事業所に申し出ても、円満解決に至らないということはよくあります。
介護事業所に訴え出ても解決できない場合、あるいは直接訴え出るのが気が引けるという場合は、国民健康団体連合会の介護サービス苦情相談窓口、もしくは福祉サービス適正化委員会に相談します。
どちらも介護保険サービスに関する苦情を受け付けている機関で、事業者に対する指導助言、問題解決のためのあっせんを行ってくれます。
いずれの機関も相談は無料、相談の受付は来所以外にも電話やファックスでも可能。相談時間は月曜日~金曜日まで、午前9時~午後5時までとなっています(祝日及び年末年始は除く)。