【一覧表】ケアハウスの種類(介護型・一般型)ごとの費用を比較
ケアハウスとは、制度上では軽費老人ホームに分類される高齢者向け施設のことです。大きく分けて、以下の3つに分けることができます。
- 軽費老人ホームには食事提供付きのA型
- 自炊で生活するB型
- 食事や生活支援サービスを受けられるC型
それぞれの入居一時金と月額利用料の相場は以下のようになっています。
施設種類 | 入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|---|
軽費老人ホームA型 | 基本なし | 6~17万円 |
軽費老人ホームB型 | 3~4万円 | |
ケアハウスC型 | 入居一時金 | 0~30万円 |
上記で紹介したA型とB型は1990年以降新設されておらず、2008年からは軽費老人ホームの基準はC型のみとされ、A型とB型は順次建て替えていくことが制度上決まっています。
また、ケアハウスは大きく分けて自立者を入居対象とする「一般型(自立型)」と、要介護者を入居対象とする「介護型」の2種類があります。
一般型の場合、介護保険サービスは訪問介護や通所介護などの居宅サービスを利用します。サービスの利用方法は、自宅の場合と基本的に同じです。
一方、介護型(特定施設入居者生活介護の認定を受けている施設)では、介護サービスの利用料は要介護認定の段階ごとに定められている額を毎月固定で負担します。
ケアハウスについての詳細は以下の記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。
入居一時金(初期費用の内訳)
ケアハウスに入居する際に必要となる初期費用について紹介します。
まず、一般型では初期費用として「保証金」が必要となり、平均でおよそ30万円ほどかかります。
一方、介護型は初期費用として「入居一時金」が必要です。負担金額は施設によって大きく異なり、数十万円のこともあれば、数百万円かかることもあります。
- 保証金
- ・「一般型」のケアハウスに入居する場合に必要。
・不動産契約における敷金のようなもので、退去する際に入居者に返還されます。 - 入居一時金
-
・「介護型」のケアハウスに入居する場合に必要。
・施設ごと償却期間と償却率が定められ、償却期間内に退去すると規定に基づいて返還金が入居者に支払われます。
保証金と入居一時金に関する詳細は次の項目で見ていきましょう。
初期費用の目安は0~30万円
まずはケアハウス入居時にかかる初期費用の平均値と中央値を紹介します。
平均値 | 中央値 |
---|---|
35.9万円 | 0万円 |
上記データからもわかる通り、ケアハウス(軽費C型)の場合は、0~30万円が全国相場となっています。
続いて、保証金と入居一時金の違いについて解説します。
軽費老人ホームには保証金が必要
軽費老人ホームに入居する際、初期費用として「保証金」を支払うのが一般的です。
保証金とは一般的な不動産では敷金に該当し、退去の際に居室内の原状回復のために使われます。また、入居中に家賃の支払いが滞った場合、滞納分の支払いに充てられるのが通例です。
また軽費A型や軽費B型の場合は「賃料」がかからないので、入居時も0円で入れるケースも珍しくありません。
これに対し、ケアハウス(軽費C型)の場合は施設によって形態が異なり、保証⾦がかかる施設もあれば、介護型のように⼊居⼀時⾦が必要な施設もあります。
ケアハウス(介護型)は入居一時金が必要
入居一時金は、施設の家賃および管理費の前払い金として入居時に一括で支払う費用です。
入居一時金には施設ごとに償却期間と償却率が定められています。支払った入居一時金がすべて償却される前に退去したときは、所定のルールに基づいて返還金を受け取ることが可能です。
契約する際は、償却期間と償却率は必ずチェックしましょう。
保証金・入居一時金は戻ってくる?
ここまではそれぞれの特徴について紹介してきましたが、次は「返還金の有無」について事例を交えながら解説していきます。
保証金は退去する際、室内清掃や修繕にかかった経費を引かれたうえで返金されます。
一方、入居一時金は居住費用の前払金です。
その償却期間、償却率(前払いされたお金をどれくらいの期間、どれくらいの割合で使っていくか)は施設ごとに異なるので、入居の際は必ず確認する必要があります。
例)入居一時金300万円、初期償却30%、償却期間60ヵ月の場合
月々にかかる月額利用料の項目
以下の表は、全国のケアハウスの月額利用料の平均値と中央値です。
平均値 | 中央値 |
---|---|
11.2万円 | 10.4万円 |
ケアハウスで生活するにあたり、月々にかかる費用の内訳は以下が一般的です。
- サービス提供費(事務費など)
- 生活費(食費や共用部分の水道光熱費など)
- 居住費(賃料、管理費、居室ごとの水道光熱費など)
なお、介護サービスを個別に利用した場合は、別途費用を負担することになります。
以下の表はケアハウスの種類別に、負担費目をまとめたものになります。
施設種類 | サービス | 提供費生活費 | 居住費 | 介護サービス費 |
---|---|---|---|---|
軽費老人ホーム | A型・B型負担あり | 個室の光熱費がかかる場合あり | 負担なし | |
ケアハウス | (一般型)負担あり | |||
ケアハウス | (特定施設)負担あり |
なお、特定施設入居者生活介護の認定を受けた介護型ケアハウスの場合は、さらに毎月定額の介護保険サービス費が必要です。
ではそれぞれの費目について、下記で詳しくご紹介しましょう。
費用はケアハウスのタイプによって異なる
まずはじめに、ケアハウスの月額利用料金は、一般型か介護型かで介護サービス費が変わります。
以下は、一般型と介護型の介護サービスの利用形態と負担額についてまとめた表です。
施設種別 | 利用形態 | 利用料 |
---|---|---|
一般型 | 外部サービス事業者と契約 | 従量制 |
介護型 | 施設で提供されるサービス | 定額制 |
介護サービス費以外の居住費や食費、そのほか費用(施設運営費、水道光熱費、人件費など)は全額自己負担となります。
居住費は地域や居室面積、設備の規模などによっても違い、一般的には都市部の方が高い傾向にあります。
そのほか費用は施設によって異なりますが、電話代やおむつ代、水道光熱費、理美容代などがかかるのが一般的です。
また、負担額に関しては本人や扶養家族の世帯収入や要介護度、地域によっても異なります。
介護保険サービスについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事より、確認できます。
【種類一覧表あり】介護保険サービスの内容や自己負担額を専門家が解説
サービス提供費
冒頭の表(費用負担の種類)でも、少しふれたサービス提供費について、ここでは「年収別の徴収費」を挙げながら、説明していきます。
サービス提供費の徴収基準
区分 | 年収 | 徴収額(月額) |
---|---|---|
1 | 150万円以下 | 1万円 |
2 | 150万円超~160万円以下 | 1万3,000円 |
3 | 160万円超~170万円以下 | 1万6,000円 |
4 | 170万円超~180万円以下 | 1万9,000円 |
5 | 180万円超~190万円以下 | 2万2,000円 |
6 | 190万円超~200万円以下 | 2万5,000円 |
7 | 200万円超~210万円以下 | 3万円 |
8 | 210万円超~220万円以下 | 3万5,000円 |
9 | 220万円超~230万円以下 | 4万円 |
10 | 230万円超~240万円以下 | 4万5,000円 |
11 | 240万円超~250万円以下 | 5万円 |
12 | 250万円超~260万円以下 | 5万7,000円 |
13 | 260万円超~270万円以下 | 6万4,000円 |
14 | 270万円超~280万円以下 | 7万1,000円 |
15 | 280万円超~290万円以下 | 7万8,000円 |
16 | 290万円超~300万円以下 | 8万5,000円 |
17 | 300万円超~310万円以下 | 9万2,000円 |
18 | 310万円超 | 全額 |
軽費老人ホームの費用のうち、「サービス提供費」については応能負担(本人の収入に応じて支払う)とされ、本来のサービス提供に要した金額から利用者の負担額を引いた残額は、自治体からの補助金によって賄われています。
ただ、具体的な補助金額は自治体ごとに異なっているので、入居先を検討する際はその点もチェックしてくださいね。
生活費
生活費は食費や共用部分の水道光熱費や電話代が該当し、食費は施設から提供される1日3食分を支払います。
居住費
居住費としてかかるのは、賃料、管理費、居室ごとの水道光熱費など。賃料は施設に住み続けるための費用、管理費は施設を管理・維持するためにかかる費用のことです。
サービス加算
介護サービスの質の向上を目的として、介護保険制度にはサービス内容に合わせて料金が増額するシステムがあり、この増額分のことは「加算」と呼びます。
個別機能訓練加算
常勤の機能訓練指導員として理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員などを配置している施設に対して加算されます。
施設選びの基準のひとつとして、こうした加算があるか見てみるといいでしょう。
医療機関連携加算
看護職員が健康状況をチェック、記録、協力医療機関などに月に1回以上の情報提供をしているところでは「医療機関連携加算」としての加算処置があります。
健康状態をしっかりと把握してもらいたい方にとっては魅力的な体制ですし、月あたりの介護保険自己負担分もそれほど高額ではありません。
夜間看護体制加算
介護度が高くなるにつれて、医療・看護ケアの必要性も高まります。
「夜間看護体制加算」は、常勤看護師が1人以上配置され、24時間看護職員や病院と連絡体制がとられている施設が加算対象となります。
また、重度化対応の指針を作成し、利用者にきちんと説明することも求められます。
医療サポートの充実している施設では夜間看護体制加算があると考えておきましょう。
看取り介護加算
一般的に看取りケアを行う特定施設では、「看取り介護加算」というものがあります。
加算内容は、死亡日、死亡日の2~3日前、死亡日以前4日以上30日以下、死亡日以前31日以上45日以下の期間に分かれています。
以下の表では、主な加算項目とそれぞれの自己負担額をまとめました。
加算項目 | 自己負担額(30日) | 自己負担額(1日) | 単位数 | (1日)
---|---|---|---|
夜間看護体制加算 | 300円 | 10円 | 10 |
看取り介護加算Ⅰ(死亡日以前31日以上45日以下) | - | 72円 | 72 |
看取り介護加算Ⅰ(死亡日以前4日以上30日以下) | 144円 | 144 | |
看取り介護加算Ⅰ(死亡日以前2日または3日) | 680円 | 680 | |
看取り介護加算Ⅰ(死亡日) | 1,280円 | 1,280 |
介護保険サービス費の自己負担額
上記で紹介した介護保険サービスについて、ここでは「要介護度に応じた自己負担額」も交えながら、解説していきます。
ケアハウスでは、自立した人と介護が必要な人で月々の利用料が大きく変わってきます。
自立の場合、そもそも介護費用はかかりませんが、仮に要支援・要介護状態になって介護サービスが必要になったら、外部の介護サービスを利用することになります。
これに対して、介護を必要とすることが前提の特定施設型(介護型)の場合、特定施設入居者生活介護サービス費に加えて施設の設備や職員体制などによって金額が大きく異なります。
以下は、特定施設入居者生活介護の自己負担額を要介護度別にまとめた表です。
限度額 | (単位)自己負担額 | (30日)|
---|---|---|
要支援1 | 5,490 | 5,490円 |
要支援2 | 9,390 | 9,390円 |
要介護1 | 1万6,260 | 1万6,260円 |
要介護2 | 1万8,270 | 1万8,270円 |
要介護3 | 2万370 | 2万370円 |
要介護4 | 2万2,320 | 2万2,320円 |
要介護5 | 2万4,390 | 2万4,390円 |
介護保険の負担割合の詳細は下記の記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。
ケアハウスの費用が安い理由
自治体から助成を受けている
有料老人ホームは医療法人や民間企業が携わる施設ですが、ケアハウスの場合は地方自治体や社会福祉法人のような公的組織が携わっているので、費用が安めに設定されています。
所得に応じた費用の減額がある
ケアハウスの費用形態における大きな特徴として、低所得者の費用負担が優遇されているという点を挙げることができます。本人または扶養義務がある家族の世帯年収などによって、減免措置が適用されるのです。
例えば、入居する本人の年収が150万円以下の場合、施設によっては月額利用料を7万円程度に抑えることもできます。どのような収入状況であっても、入居を前向きに検討しやすいでしょう。
高額サービス費による補助が受けられる
ケアハウスだけではありませんが、入居にあたり高額介護サービス費による補助を受けることができます。
高額サービス費とは、介護サービス費の自己負担額が所定の上限額を超えた場合に、超過分の払い戻しを受けられる制度です。
上限額は世帯ごと、個人ごとに以下のように定められています(令和3年8月以降)。
課税所得(区分) | 上限額 |
---|---|
生活保護受給者など | 1万5,000円 (世帯) |
世帯全員が市区町村民税非課税、 前年合計所得金額+公的年金収入額 80万円以下 |
2万4,600円 (世帯) |
1万5,000円 (個人) | |
世帯全員が市区町村民税非課税 | 2万4,600円 (世帯) |
市町村民税課税~課税所得380万円 | (年収約770万円)未満4万4,400円 (世帯) |
課税所得380万~690万円 | (年収約770万~1,160万円)未満9万3,000円 (世帯) |
課税所得690万円 | (年収約1,160万円)以上14万100円 (世帯) |
自治体が運営する都市型軽費老人ホーム
都市型軽費老人ホームは、都市部に住んでいる低所得の高齢者を入居対象とした施設です。
都市部は地価が高いことが多いため、高齢者向け施設の利用料金(賃料など)が郊外地域に比べて高額化する傾向があります。
そうなると低所得の高齢者にとっては敷居が高くなり、「本当は施設に入居したいけど、経済的に入居が難しい…」といったことも起こってくるわけです。
なお設置基準は、月額利用料(居住費・食費・サービス費など)が東京都の生活保護受給額に収まることを想定して緩和されたので、生活保護を受けている人でも問題なく入居できるようになっています。
この東京都の取り組みにけん引される形で、全国各地の大都市圏で都市型軽費老人ホームの設置が進んでいます。
ケアハウスを検討している方におすすめの老人ホーム
費用を抑えたい方はケアハウスがおすすめ
ケアハウスの最大の特徴は費用が安いこと。月額利用料は数万円~十数万円ほどで、低所得の方でも入居しやすいです。
しかも費用が安いのに、入居者の居室はすべて個室。多床室とは異なりプライバシーを守りやすく、共同生活に不安を感じている方でも安心して生活できるでしょう。
ケアハウスを探す自由度の高い暮らしをしたい方はサ高住がおすすめ
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認と生活相談のサービスを受けられる高齢者向けの賃貸住宅です。
サ高住の特徴としては、制度上の位置づけが住宅ということもあり、入居者が自由に生活できるという点を挙げることができます。
有料老人ホームなどでは、入居者の一日のスケジュールが細かく決められていることが多く、自由に行動できる時間が限られるケースも少なくありません。
サービス付き高齢者向け住宅を探す必要なサービスだけを利用したい方は住宅型がおすすめ
住宅型有料老人ホームは種類が豊富で、低予算の施設もあれば、高級志向のホテルのような施設もあります。予算や入居後にやりたいことなどを踏まえ、自分のライフスタイルに合ったサービスを提供する施設を選ぶことが可能です。
介護サービスについては、介護付きのように施設が提供する決まったサービスを定額で利用するのではなく、外部事業者のサービスを自由に選んで利用できます。
住宅型有料老人ホームを探す- ケアハウスにかかる初期費用一般型が30万円前後、介護型は数十万円~数百万円
- 施設タイプによって、月額利用料は異なる
- ケアハウスは自治体の補助金などによって、費用を安く抑えられる
- 入居希望者が殺到しており、待機期間が必要となる可能性が高い