全国でも最も低額!?9万円前後で利用可能な介護施設が多数
沖縄県における老人ホームの数は、65歳以上人口10万人あたり48.1カ所。
指標値の48.6ヵ所に満たず、早急な施設の整備が求められているのが現状2035年には、高齢化率が27.7%まで上昇すると推測されていますから、今後の整備が待たれるところです。
老人ホームの数が少ないために、現在では入居待ちの高齢者が数多く、これから老人ホームへの入居を考えている人は、多少の待機は覚悟しなければならないかもしれません。
入居希望時期から逆算して、早めに資料請求や現地見学などを行いましょう。
費用面に目を向けると、他府県よりは圧倒的に低額で利用できる施設が多くあります。
これは、沖縄県の高齢者所得が相対的に低くなっているため。
入居一時金は約30万円、月額利用料9万円前後というところが多く、入居にあたっての金銭面でのハードルは、全国的に見れば低いと言えるでしょう。
退職後のセカンドライフとして東南アジアなどでの生活を選ぶ高齢者も多いですが、わざわざ海外に行かずとも、日本には沖縄という一大リゾート地があります。
東京や大阪などの大都市と違ってヒートアイランド現象の影響を受けることがないため、夏場でも35℃以上の猛暑日になることはほとんどなく、もちろん冬は暖かく、年間平均気温は22℃ほど。
高齢者にとっての過ごしやすさは全国一と言っても過言ではなく、他府県からの移住を考えるのも良いでしょう。
ちなみに、沖縄本島の他に西表島や石垣島、宮古島、久米島など多くの離島がありますが、人員不足や経済的な面から病院がなく診療所だけという地域も多くあります。
離島で治療ができない場合は空輸が必要になるなど不便な面もあるので、沖縄本島以外への移住を考えている人は、ご自分の健康面とよく相談するようにしてくださいね。
沖縄県では2040年に高齢化率が30%になる見込み
2013年度末の沖縄県の総人口は約142万人で、そのうち65歳以上の高齢者は26万人、高齢化率は18.5%でしたが、2023年には総人口148万5,526人、高齢者人口34万4,063人、高齢化率23.2%となっています。
総人口も増加していますが、高齢者数も増加しているため、高齢化率も高くなってきています。
2040年には高齢者人口は44万人を超え、高齢化率は30%を超えるという見通しです。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2020年の世帯数を見てみると、総世帯数61万4,708世帯、高齢者のみの世帯11万9,179世帯でした。
つまり全世帯の約20%が高齢者のみの世帯になります。
1世帯に何人の人員数がいるかをみていくと、沖縄県の世帯人員数は全国平均の人員数よりも高いことがわかります。
また高齢者を含む世帯の割合が、高齢者単独世帯、高齢者夫婦世帯よりも多いのが沖縄県の特徴で、高齢者と同居する世帯が多いことがわかります。
沖縄県では要介護4の認定者数が多い
2013年度の沖縄県内の要介護認定者数は5万2,124人となっており、認定者数は徐々に増えている状況です。2023年には6万2,590人まで増加しています。
認定者の年代別内訳は、第1号被保険者では6万1,031人、第2号被保険者で1,559人になっています。
第1号被保険者の中でも、65歳~75歳未満の方は8,843人、75歳以上の方は5万2,188人になっています。
要介護認定者のおよそ83%以上が75歳以上であることがわかります。
それに伴い介護保険給付費の費用も増加傾向にあります。
その認定者の介護度別内訳は、要支援1が5,693人で約9.1%、要支援2が約8,977人で約14.3%、要介護1が1万105人で約16.1%となっており、要支援1~2、要介護1の軽度者の合計は2万4,775人で認定者全体の割合としては、約40.0%となります。
要介護2は1万90人で約16.1%、要介護3は1万642人で約17.0%であり、この要介護2・3の中度者は2万732人で約33.1%となっています。
要介護4は1万1,545人でその割合は約18.4%、要介護5が5,538人で約8.8%で、この要介護4・5の重度者の合計は1万7,083人で認定者全体の約27.3%となっています。
認定者数の中で、重度である要介護4の認定者数が多いのが特徴的です。
沖縄県内全域でみると、要支援者が利用する予防給付、また要介護者が利用する介護給付でもデイサービスの利用の伸びが突出しています。
またどちらの給付においても訪問介護の利用も増えています。
沖縄県の介護サービスの提供については、北部や南部、宮古、八重山圏域の離島では、全ての介護サービスがいきわたっていないエリアもあるというのが特徴になっています。
沖縄県では介護予防として市内123か所で「地域ふれあいデイサービス」を実施
これまで介護保険制度の介護サービスを利用できる人は、要介護認定を受ける必要がありました。
つまり介護保険制度は、少なくとも誰かの見守りや支援が必要な人だけが利用できる制度でした。
しかし2014年の介護保険法の改正により、65歳以上の全ての高齢者が利用できる「介護予防・日常生活支援総合事業」が新設され、地域の実情に応じたきめ細かいサービスを自治体が提供することになったのです。
沖縄県内の保険者は、8市と1つの広域連合がこの介護予防・日常生活支援事業を運営しています。
特に、広域連合は沖縄県全域の28市町村にまたがっているため、この事業を行う自治体により、その内容が変わってきます。
しかし、小さな市町村では、特に一般介護事業に取り組むことが難しく、これまでの予防給付を引き継ぐ形で、介護予防・生活支援サービス事業を行っている自治体が多くなっています。
那覇市における一般介護予防事業では、独自性のある事業が目にとまります。
社会福祉協議会が主催する「地域ふれあいデイサービス」は、市内123か所で介護予防につながる身体を動かす機会を提供しています。
同様に地域包括支援センターでも介護予防・認知症予防のための講座を開催しています。
さらに自治体が主催する「男性のための運動教室」や「筋力アップ教室」「介護予防リーダー養成講座」「ちゃーがんじゅうポイント制度」などを行っており、それぞれの役割をうまく分担して事業に取り組まれています。
農作業を生き甲斐、介護予防につなげていく取り組みも
高齢化率が全国で一番低い沖縄県ですが、高齢者の比率は緩やかに上昇しています。
また地域的な差異が大きく、どこで暮らしても同じサービスが受けられるとは限らないのが現状となっています。
そんな中、地域包括ケアシステムを構築していくためには、地域の特長を最大限に活かさなければなりません。
沖縄県には、地域包括ケアシステムの中心的役割を果たす地域包括支援センターが60ヵ所あります。
那覇市は全て委託で12ヵ所、宜野湾市も委託運営で4ヵ所、宮古島市も委託で2ヵ所、浦添市も委託で4ヵ所、その他の市町村では直営で1ヵ所運営されています。
具体的な地域の取組事例をみていきましょう。
まず、八重山圏域の石垣市です。
生きがいと健康増進のための事業として、市有地を市民農園として活用しています。
参加者は、農作業を行うことで、運動機能を向上させ、介護予防につなげます。
また農園での交流が生きがいにつながるよう取組まれています。
北中城市では、子育て中のママさんの参加による高齢者への生活支援サービスを行っています。
サポーターには研修を開催し、有償で見守りや家事援助、買物支援などの生活支援ボランティアを行います。
地域の中の潜在的な活力を上手に利用している取組です。
さらにうるま市では、介護予防に取り組むボランティアを養成する事業を行っています。
うるま市独自の「どぅ~がっさん体操」も習得し、地域で介護予防の活動をしていく方をサポートしています。
沖縄県福祉サービス運営適正化委員会とは?
日本における福祉サービスは、母子や児童、障害、高齢者分野と広くさまざまなものがあります。
これは社会福祉法第2条に規定されている社会福祉事業にあるサービスを指すことが多いのですが、それ以外の福祉サービスも含まれます。
例えば、無認可保育所や共同作業所やNPO法人が掲げるサービス等です。
これらのサービスは、自分で利用したいと意思表示し、自分でサービス利用をするための契約を行うことになります。
しかし、実際にサービスを利用してみると、説明された内容と違っていたり、不当な扱いを受けるなどがあり、ここを改善して欲しいといった気持ちになることもありますよね。
そんなときは、どこに相談をすると良いのでしょうか。
基本的には、まずサービスを提供している事業所に相談します。
事業所内の苦情受付担当者に相談することになりますが、どうしても話しづらいというときには、事業所に配置されている第三者委員へ相談してみましょう。
それでもその対応に納得できなかったり、まだ解決できない場合は、福祉サービス運営適正化委員会が相談を受け付けてくれます。
沖縄県では、那覇市にある沖縄県社会福祉協議会に設置されています。
地理的に那覇市まで行くことができない場合には、電話やメール、FAXなどでも相談を受付けてもらえます。
サービスを利用する本人以外の方からの相談にも対応してくれるので、身の回りの誰にでもいいので、自分の言葉で相談してみてください。
そして、それを運営適正化委員会に伝えてもらいましょう。