老人ホームで入居者同士のトラブルが起きたときの対応方法
職場や学校など、人が集まるところでは人間関係のトラブルが起きてしまうこともありますが、それは老人ホームでも同様です。
人間関係のトラブルを完全に防ぐことは難しく、なかには本人の意思とは関係なく巻き込まれてしまうこともあります。
今回は老人ホームで入居者同士のトラブルが起きたときの対応方法について解説していきます。
すぐに職員に相談する
入居後に実際に入居者同士でのトラブルが起きたら、すぐに施設の相談員や介護リーダー、あるいは施設長など信頼できる人に相談してください。
また、家族が状況を把握していれば家族から施設のスタッフに相談してみても良いでしょう。
相談は問題が大きくなる前にすることが大切です。生活していくなかで気になる点があれば、すぐに施設のスタッフに伝えましょう。
トラブルがあった人同士を離してもらう
老人ホームで入居者同士のトラブルがあった場合は、トラブルがあった人同士がなるべく顔を合わせないように調整をしてもらえます。
施設によっては居室を変更してもらえる場合もあります。
入居者同士のいざこざが続くと状況がさらに悪くなる可能性もあるほか、ほかの入居者にも悪い影響を与えてしまいます。
そのため入居者から要望があれば、迅速に対応してもらえます。
トラブルが起きないよう対策してもらう
入居者同士で発生したトラブルの内容を踏まえて、施設では今後同じようなトラブルが起きないように対応してくれます。
対応例として、入浴の際には時間帯を前後に遅らせたり、共有スペースでできるだけ顔を合わせないように調整してもらえます。
施設側の対応に不満がある際の対応方法
老人ホームに入居をすると、入居者同士のトラブルだけでなく、ときには施設のスタッフとの間で介護やコミュニケーションに関するトラブルや行き違いが起きる可能性もあることを知っておきましょう。
以下で施設に不満がある際にはどう対応していけば良いのかを解説します。
苦情相談窓口に相談する
スタッフや施設の運営方針に不満があり、施設側に伝えても改善が見られないときは所在地の自治体の苦情相談窓口に相談しましょう。
市区町村によっては介護や福祉サービスの利用者のために相談窓口を設置している自治体があります。
相談を受け付けると、中立で公正な仲介や調査を実施してもらえます。
国民健康保険団体連合会に苦情を伝える
施設に対する苦情や不満は苦情相談窓口のほかに、国民健康保険団体連合会にも相談できます。
国民保険団体連合会とは、全国47都道府県に設置されている公的団体で、国民皆保険制度を支える国民健康保険の健全な運営を目的としている団体です。
国民健康保険や後期高齢者医療などの診療報酬の審査・支払を行っているので、保険サービスに関する苦情を伝えることができます。
ほかの施設への住み替えも検討する
「どうしてもトラブル相手がいる共同生活は無理だ」という場合は、ほかの施設への住み替えも一つの手です。
もし入居後90日以内に契約解除をした場合、クーリングオフ制度によって入居一時金の全額が返還されます。
また、入居一時金を支払う施設では「償却期間」が設けられており、この期間に退去した場合には入居一時金の一部が返金されます。
この費用は施設や施設との契約方法によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
注意点として、住み替えは時間や費用がかかるため、住み替えのリスクと施設の対応力を考慮して検討しましょう。
施設探しの際には、以下のボタンから「みんなの介護」をご利用ください。
希望の条件から施設を探す入居者同士のトラブルの種類と原因
老人ホームでは個室タイプの施設であっても食事や入浴、レクリエーションなどでほかの入居者と接することになるため、人間関係のトラブルが起きてしまうこともあります。
ここでは、老人ホームで起こり得るトラブルの種類と原因を解説していきます。
入居者同士のトラブルの種類
騒音トラブル
老人ホームでの騒音トラブルは意外と多いです。
年齢とともに耳が遠くなり、悪気はなくとも「テレビがうるさい」「ドアを閉める音がうるさい」などの生活音が原因のトラブルが起きてしまうことがあります。
また、耳が遠くなると気づかないうちに自分の話し声も大きくなるため、周囲の人にとってはうるさく感じてしまうこともあります。
仲間外れや陰口
さまざまな人と共同生活を送るため、相性が合わない人が出てくる可能性があります。
「あいさつをしない」「気が合わない」といった理由で仲間外れをしたり、陰口を言ったり、直接喧嘩をするといったトラブルに発展するのです。
入居者同士の性格に関する問題は解決が難しいため、気になる点があればすぐにスタッフに相談することが大切です。
金銭のやり取り
認知症の症状がある方のなかには、悪気なくほかの入居者の財布を盗んだり、被害妄想でお金を取られたと思い込んだりすることがあります。
本人は悪気がないため本人に伝えるのではなく、施設のスタッフに金銭管理の方法や対応方法を相談しましょう。
また、特養のように施設によっては危険防止のため居室にカギがついていないこともありますので注意しましょう。
恋愛感情のもつれ
老人ホーム内でも恋愛関係が生じることがあります。
そのため、恋人同士で喧嘩をする、三角関係でトラブルが起きる、片思いの相手に執拗に付きまとうといった問題が起こることもあります。
恋愛自体は、高齢者にとっても生きがいになって心身状態が向上するといったメリットもあります。
そのため、老人ホーム内の恋愛が発覚したからといって施設側から止められることはありません。
認知症の症状による暴力や暴言
認知症の症状のなかには、暴言や暴力などが現れることがあります。
そのため認知症の方が入居されている場合には、突然叩かれたり暴言を吐かれるといったことが起こることもあります。
一方、症状が進んでいる人は入居を断られたり、入居後も症状が悪化した場合には退去を求められたりします。
入居者同士のトラブルの原因
施設での対人関係トラブルの原因は、入居者の寂しさや嫉妬心にあるといわれています。
慣れ親しんだ自宅を離れ、家族との別れや社会的立場を失うことへの孤独感や喪失感から、入居者同士のトラブルに繋がっていくことが多いです。
また家族と疎遠になっていたり、配偶者と死別していたりする場合、頻繁に家族が面会に来るほかの入居者や、夫婦で入居している方に対して嫉妬心を持つ方もいます。
ほかの入居者との状況の違いがストレスとなり、暴言や迷惑行為などのトラブルを誘発する行動を引き起こします。
入居者同士のトラブルの予防方法
家族ができるトラブルの予防方法
対人関係のトラブルを未然に防ぐには、家族が果たす役割も大きくなります。老人ホームへの入居前後に家族が実践できる、トラブル回避策をチェックしておきましょう。
家族が入居者本人と話す機会を増やす
家族が老人ホームに入居したときには、できるだけ面会の時間をつくり話を聞いてあげましょう。
ほかの入居者には家族が頻繁に会いにくるのに、自分だけ来ないとなると妬みや羨みの感情から意地悪な行動を取ってしまうということが懸念されます。
もし何か異変を感じたらすぐに家族から施設に、本人から聞いた話をできるだけ客観的に伝えましょう。
まずは調査からお願いし、報告を受けつつ施設側と一緒に問題解決を図っていくことが大切です。
入居者本人の性格や好き嫌いを共有しておく
入居者本人が性格上好き嫌いが激しい傾向があるなど、ほかの入居者とのトラブルが懸念される場合は事前に家族から施設側にその旨を伝えておくことも必要です。
事前にトラブルが起こりそうな要因を伝えておくことで、施設側が部屋の配置や食事の席の場所などを配慮してくれます。
このように、入居者本人の性格に関する情報を施設側と共有しておくことで、事前にトラブルが起こらないように対策してもらえます。
入居者本人ができるトラブルの予防方法
老人ホームでの人間関係トラブルを防ぐために、日頃から心がけるべき「やってはいけない行動」を確認してみましょう。
イライラした精神状態で相手と接しない
老人ホームで生活する人のなかには、家族との関係など個人的な問題を抱え、悩んでいる方もいるでしょう。しかし、そうした悩みを重ねるあまりにイライラした気持ちをほかの入居者や職員にぶつけることは避けなければなりません。
常にイライラしていると、周りの入居者も不快な気持ちになりトラブルが起こりやすくなります。
特定の人に対する愚痴を言わない
老人ホームでの人間関係を良好に保つうえでは、特定の人物の悪口や愚痴を言わないようにしましょう。
入居者のなかには、集団生活が苦手な方や、コミュニケーションが苦手な方もいます。そんな場合、「〇〇さんとは付き合いにくい」などとほかの入居者や職員に話したくなるかもしれません。
しかし、いろんな方が入居していて、みんなで共同生活を送るのが老人ホームという場所です。お互いに相手を尊重する気持ちを持つことが、人間関係を良好に保つことにつながります。
噂話や悪口を言っている集まりに参加しない
自分が言わなくても、ほかの入居者が他人の悪口や噂話をしていることもあります。こうしたことは人が多く集まる場所ではつきものとも言えますが、「自分は参加しない」という態度をとるのが賢明です。
たとえほかの人が話している悪口や噂話であっても、その場にいて話を聞いていれば話している本人と同類とみなされます。
そのような集まりにいることで、後々深刻化する人間関係のトラブルに巻き込まれかねません。
希望条件から施設を探すトラブルを回避する施設選びのポイント
最後に入居者同士のトラブルを回避するために、施設選びの際にチェックしておきたいポイントを解説していきます。
過去にトラブルがなかったか質問する
老人ホームの入居者同士のトラブルの対応は、施設によって差があります。
ちょっとした言い合いや争いごとを見逃さず、それぞれの心理状況をきちんと読み取り、職員同士で情報共有ができている施設であれば、家族や本人からの訴えがある前に対応してもらえます。
身体状態に問題がないかだけを確認し、入居者同士の関係性に目を配る余裕がない施設だと、トラブルが表面化するまで対応できず、家族を巻き込む大きな問題に発展しやすくなるでしょう。
トラブル回避力が高い施設を選ぶには、見学時に入居者同士で問題が起こっていないか、直接質問することが大事です。
具体的な事例を紹介し、どのように対処したのか詳細に説明してくれる施設であれば安心です。
ユニットケアは入居者同士の触れ合いが多いことを理解する
最近は、少人数のグループ(ユニット)単位で介護や生活支援を行うユニットケア方式を採用している施設が増えています。
ユニットケアは、きめ細やかなサービスを受けられるというメリットがある反面、入居者同士が接する頻度が高く良い意味でも悪い意味でも関係性が濃くなります。
ふとしたことがきっかけで仲が悪くなったとしても、毎日顔をあわすことになるので「距離を置く」などの対処がそう簡単にはできません。
ユニットケアの施設に入居する場合は、人間関係のトラブル回避力がどれだけあるのかを特にチェックする必要があるでしょう。
利用者と職員の関係性が良い施設を選ぶ
利用者と介護職員に良い関係性がつくれていれば、トラブルも少なくなります。
そのため、施設を訪問した際に、利用者と介護・看護職員のコミュニケーションがどのように行われているかを確認しましょう。
スタッフが利用者の話をきちんと聞いているかというところ以外でも、入居者の表情が生き生きしているか確認することも大切です。
「みんなの介護」では、実際に施設見学に行った方の口コミを掲載していますのでぜひご覧ください。
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