【フローチャート】老人ホームに入居するまでの流れを図で確認
老人ホームに入居するまでの流れは大きく分けて「施設検索」「見学・体験入居」「契約」の3つの行程に分かれています。
自分に見合った施設を検索するところから始まり、気になった施設が見つかったら見学・体験入居を行います。
見学では事前に抱いていた印象と相違ないかを確かめて、入居するかしないかを確定させます。その後は契約に向けて必要書類の準備、引越しを行います。
それぞれの流れについてはページ内で詳しく解説しているので、順を追って見ていきましょう。
1. 施設検索
老人ホームを検索するにあたって、まずは希望条件を確定させる必要があります。
条件としては資金や立地条件、サービス内容などがあります。また入居する方の生活状況や心身状態、嗜好なども考慮して施設を探しましょう。
いくつかの施設に目星を付けたら、より詳しく施設の情報を確認するために老人ホームのパンフレットを請求します。
パンフレットには「サービス内容」や「料金体系」などが細かく掲載されており、施設を比較する際に役立ちます。
1.1 希望条件整理、優先度決定
老人ホームを探す際は「本人の健康状態」や「認知症発症の有無」「要介護認定の段階」をあらかじめ確認しましょう。なお健康状態は、持病の種類と病院への通院の必要性の有無が重要なポイントです。
【図で流れがわかる】要介護認定の申請(方法・場所・申請できる人・タイミング)
また、老人ホームに入居するための資金、サービス内容なども重要です。
特に有料老人ホームは入居費用が大きく異なるので、無理なく入居を継続できる施設を選びましょう。
食事やレクリエーションなどのサービスは、本人の嗜好に合っているかどうかも重要です。
スムーズな施設選びを行うためにも、これら条件のうちどれを最も優先するのか、妥協できるのはどれかを家族も交えて話し合うことが大事です。
1.2 条件に合った施設を検索
優先度の高い条件をキーワードとして、老人ホームを調べましょう。
老人ホームを探すときの相談先としては以下のような機関があります。
- オンラインで完結できる紹介サービス
- 対面で相談できる紹介センター
- 地域包括支援センター
- 高齢者総合相談センター(福祉事務所)
- 担当のケアマネージャー
自分に合った施設を探すため、また入居後のトラブルを避けるためにも、老人ホーム探しは専門家に相談しながら行いましょう。
『みんなの介護』なら4万9,000件以上の施設の中から、希望条件に合った施設を瞬時に探し出すことができます。
みんなの介護で施設を探すまたパソコンに不慣れな方や、相談しながら施設を探したい方は電話・チャットよりお問い合わせください。
プロの入居相談員があなたの希望条件をヒアリングしながら、おすすめの施設をご提案します。資料請求や見学予約も行なっていますので、お気軽にご相談ください。
1.3 資料請求
気になる施設を見つけたら、より詳しい情報を確認するためにパンフレットを請求しましょう。
以下は、一般的にパンフレットに記載されている内容をまとめた表です。
概要 | 内容 |
---|---|
施設概要 | 住所、形態、居室数、定員数、開設時期、運営会社 |
建物概要 | 建物の構造、敷地面積、土地と建物の権利形態 |
料金プラン | 初期費用、月額費用、支払方式 |
設備 | 居室・食堂などの共有スペース、外観 |
サービス | ケア方法、レクリエーション、リハビリ |
食事 | 食事の内容、調理方法、行事食、介護食 |
医療体制 | 協力医療機関、夜間の対応 |
職員体制 | 人員配置、看護師やリハビリ専門職の数 |
周辺環境 | 交通アクセス、最寄り駅、周辺の商業施設や公園、観光名所 |
会社概要 | 会社名、運営会社、事業内容、所在地 |
上記内容のほかに、写真も多く掲載されているため、施設の雰囲気を感じ取ることもできます。
施設を比較する際には、以下の点を検討しましょう。
- 自分の要介護状態に対応できる施設か
- 入居一時金、月額利用料は予算内に収まるか
- 必要なサービスが提供されているか
- 立地条件に問題はないか
- 施設の運用方針に賛同できるか
ただしパンフレットだけでは施設で実際に生活している様子や、雰囲気を感じるには限界があります。気になった施設を見つけたらパンフレットだけで完結させずに、施設見学も行いましょう。
なお「みんなの介護」では、複数の施設パンフレットも一括請求できます。
2. 見学
施設見学は自分に合った最適な施設を選ぶうえで、重要な行程の一つです。
一つの施設に絞るのではなく、複数の施設を見学することで比較検討もしやすくなります。
また体験入居をすることで、施設見学だけでは確認できなかったこともチェックできるほか、入居後の生活をより具体的にイメージできます。
2.1 見学予約
見学の申し込みをするときは「何時に見学ができるか」「食事の試食はできるか」なども確認しておくようにしましょう。
施設の担当者がいる日に合わせる必要もあるため、見学予定日の直前になってから連絡しても予約は取りにくいです。しっかりと日程調整し、早めに予約を取るようにしましょう。
「みんなの介護」では施設見学のスケジュール調整も代行しています。1日で複数の施設を見学する場合も、無理のないスケジュールでご案内します。お気軽に相談ください。
2.2 施設見学
施設見学の際はメモ帳を持参するようにしましょう。あらかじめ質問事項などをメモ帳にまとめておくと、聞き逃す心配もありません。
また、携帯電話やカメラで写真を撮るのも、後からゆっくり施設の様子を見返せるのでおすすめです。撮影する場合は、必ず施設職員に許可をもらうようにしましょう。
2.3 体験入居
体験入居とは、お試しとして3日~1週間ほど老人ホームに入居できることです。
実施の有無は施設により異なりますが、主に有料老人ホームで行われていて、1泊につき5,000~1万円程度で体験入居できます。
体験入居が可能な老人ホームを探す
体験入居の注意点
体験入居はリアルな情報が得られる一方で、受け取る情報量も多いもの。
判断材料が多くなってしまい、結果、本入居する施設を決めきれなくなってしまうこともあるでしょう。
そのため、見学する施設は複数でも、体験入居は本入居を見据えた施設だけに絞って行うようにしましょう。
2.4 仮申込み
施設見学と体験入居が一通り終わったら、施設入居の申し込みです。
この時に注意したいのが「申し込みをしても、すぐに入居できるわけではない」ということです。
申し込みを終えた状態はいわば「仮押さえ」の状態。仮押さえの間に入居に必要な書類の用意や、面談日時を施設側と決めます。
仮押さえ期間はたいてい1ヵ月ほどとされていますが、施設ごとに異なります。具代的な手続きは次の項目で解説しています。
3. 契約~入居
入居先となる老人ホームを決めたら、施設側と契約を締結します。
契約の際は「必要な書類の準備」「スタッフとの面談」「入居審査」など以下の行程で進んでいます。審査の結果、問題なければ契約を締結します。
以下で詳しく見ていきましょう。
3.1 必要書類の準備
仮押さえの期間に準備する必要がある書類としては診療情報提供書や健康診断書があります。
以下で各種書類の概要をまとめています。
- 診療情報提供書
- 主治医がほかの医師に患者を紹介する際に発行する書類のこと。
日常生活上の注意点など、施設スタッフに把握して欲しいことなどが記載されています。 - 健康診断書
- 病院で健康診断を受ければ発行される書類のこと。
健康診断書取得まではおおよそ2~3週間かかることが一般的です。
なお、健康診断書は取得しなくても良い場合もあります。時間とお金がかかる診断書は必要か否かがわからない場合は、施設に問い合わせましょう。
3.2 施設職員と面談
面談では、施設側が利用者の健康状態や希望条件などをチェックします。
要介護者であれば、ケアマネージャーが同席して施設長など管理者クラスの人と面談を行います。
もし、入居予定者が入院しているなどの理由により、施設に行くことができない場合は、入院先に出向いてもらえることがほとんどです。遠慮なく希望・状況を伝えるようにしましょう。
3.3 入居審査
面談の内容を受けて、施設内で審査が行われます。
ここで検討される内容は主に、要介護度や健康状態、経済状況の3つです。
特に経済状況は、身元保証人の有無に重点が置かれます。
昨今では、身元保証人がいなくても入居が可能な施設も増えてきています。
後見人制度や民間の保証会社を利用することが可能なので、身元保証人がいない方は前もって、どのように身元保証をするか考えておくと良いでしょう。
3.4 契約・入居
施設側と入居契約を締結したら、実際に入居する日を決定します。引越しの準備などを考慮して、無理のないスケジュールを組みましょう。
入居日が決まったら、転居に向けた準備を進めます。施設によって持ち込める物は異なるので、あらかじめ施設側に問い合わせましょう。
【契約時に確認すべき10項目】老人ホームの重要事項説明書とは?
以下に契約時と入居時に必要となるものをまとめています。
契約時に必要なもの
- 印鑑
- 印鑑証明(施設による)
- 連帯保証人・身元引受人の印鑑
- 連帯保証人・身元引受人の印鑑証明(施設による)
- 戸籍謄本
- 住民票
入居時に必要なもの
- カーテン
- ベッド(レンタルも可)
- テレビ
- タンス
- 冷蔵庫
- 洗濯機(共有の場合もあり)
- 食器
- 衣類(服・下着・パジャマ・紙おむつなど)
- タオル類
- 靴(外履き、内履き、リハビリシューズなど)
上記はあくまで一例です。
施設によってはあらかじめ用意されており、購入する必要のないものもあります。余計な出費にならないよう事前に確認しましょう。
ここまでは老人ホームに入居するまでの流れを解説してきました。次の項目では、入居者の身体状況や目的別におすすめの老人ホームを紹介します。
入居者の身体状況と目的に合ったおすすめの施設
実際に施設を検索した際、老人ホームの種類が多く「どの施設が自分に合っているのか、わからない」といった思いをした方も多いのではないでしょうか。
そこで、この項目では施設種別ごとにどのような方におすすめなのかを紹介しています。施設を探す際の参考にしてみてください。
将来に備えて早めの施設入居を考えている方は「サ高住」がおすすめ
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、居室が全室個室でキッチンも完備されています。
外出時の許可も必要ないので、自宅にいた頃と変わらない生活を送ることができるでしょう。
また、共有スペースに温泉施設やシアタールームなどを整備している高級老人ホームも多く存在します。
経済的にある程度余裕があり、入居後に悠々自適の生活を送りたい方には高級老人ホームもおすすめです。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や食事・認知症対応を解説(有料老人ホームとの違いも)
サービス付き高齢者向け住宅を探すイベントやレクを楽しみたい方は「住宅型」がおすすめ
住宅型有料老人ホーム(住宅型)は、食事の調理や居室の掃除など家事全般に関する生活支援サービスを受けられる施設です。サ高住に比べて、生活上のサポート体制が整っています。
また、住宅型はイベントやレクリエーションが充実しているのも大きな特徴です。入居後は入居者同士で楽しく交流できるでしょう。
施設によっては食事のイベントも行われています。日々どのような行事・レクが行われているのか、事前に確かめておくと良いでしょう。
なお介護サービスは必要なサービスを自分で選択し、利用します。この点はサ高住と同じで、自立~軽度の方におすすめの施設です。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説
住宅型有料老人ホームを探す常に介護を必要している方は「介護付き」がおすすめ
介護付き有料老人ホーム(介護付き)は、毎月定額で介護サービスを24時間体制で受けられる施設です。追加費用の心配が少なく、事前に月々の費用もシミュレーションしやすい環境です。
サ高住や住宅型では、利用する介護サービスごとに外部の事業者と契約しなければなりませんが、介護付きではそのような手間は発生しません。
どれだけ介護サービスを受けても費用は一定なので、常時介護を必要とする方に適した施設といえます。
医療機関との連携が義務付けられているため、医療依存度の高い方も手厚いケアを受けることができます。また、認知症への対応力も高いため、グループホームから転居を考えている方にもおすすめです。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護付き有料老人ホームを探す施設入居前の確認事項
この項目では、冒頭の流れでは紹介しきれなかった「費用」や「契約時の注意点」「施設退去」などを紹介します。
いずれも入居生活を送るうえで重要なポイントなので、最後まで一つひとつ確認していきましょう。
上乗せ介護費、横出しサービス費
上乗せ介護費とは、介護保険など国が定めている介護体制以上の手厚い介護サービスを受ける場合にかかる費用のことです。
また上乗せ介護のほかに、「横出しサービス費」があります。
横出しサービス費とは、病院の付き添いや買い物代行など介護保険適用外のサービスを利用する際に生じる費用のことです。
これら費目をあらかじめ把握しておくことで、入居後にかかる費用を正確にシミュレーションすることができます。
入居一時金の初期償却
「初期償却」とは、入居一時金の中から老人ホームに支払うお金のことです。入居一時金の30%を初期償却にあてる施設が、有料老人ホームを中心に比較的多いと言われています。
入居後に返還されることはないので、初期償却の比率が低いほど、途中退去時に戻ってくる返還金は多くなります。
入居一時金から初期償却を差し引いた金額は、老人ホームが定めた期間で償却されます。
以下は入居一時金の返還金に関する一例です。
初期償却は、入居当初の償却額は大きく、次第に償却額が小さくなる仕組みです。
施設によって償却期間は異なるので、契約時に必ず確認するようにしましょう。
短期解約特例(クーリングオフ)
一時金を支払う老人ホームには、法律により3ヵ月以内で契約が終了した場合の返還規定が義務づけられています。
例えば、3ヵ月以内に契約を解除したり、利用者が死亡したことにより契約終了に至ったりした場合が該当します。
返還される金額は入居一時金から、入居日数分の家賃や、サービス提供費用などを差し引いた分が返還されます。
契約の際の書類に「短期解約特例」の記載があるか確認しましょう。
入居をキャンセルした場合の「申込金」の返還の有無
入居の際、入居一時金とは別に「申込金」などの費用を支払う必要がある施設があります。
入居をキャンセルすると、それら費用がどのように返還されるかは施設によって違います。全額償却されるのか一部償却なのか、または全額返金なのかは、入居契約前に確認しましょう。
事業者からの契約解除
利用者に重大な契約違反があるときなどは、施設側から契約を解除することができます。
通常は契約の維持が困難な場合などに適用されますが、そうでないケースも。「入院期間が○ヵ月にわたる場合」など、契約書に明記されている場合もあります。
何事もなく生活しているなかで「突然契約解除を求められた」といった事態に陥らないように、契約解除に該当する事由を確認しましょう。
原状回復費用
原状回復費用とは、自然劣化以外の居室の損傷を修復する際に発生する費用のことです。
例えば、車椅子で壁を傷つけてしまったり、床に水をこぼして変色させてしまったりした場合が該当します。
具体的な負担内容は契約書類に記載されているので、合わせて確認するようにしましょう。
入居後、ほかの施設に転居したくなったら?
ほかの施設への転居を考える場合、その手順は初めての施設入居時とほぼ同じです。
Q.老人ホームを退去して別の施設に移るにはどうすれば良いですか?
入居中の施設には退去申込みをしなければなりませんが、「退去する1ヵ月前まで」など、退去申込時期を定めている施設もあるので確認が必要です。
もし退去申込みが完了する前に、新たな入居先と契約が完了した場合は月額利用料を二重で支払わなければならない、といった事態も考えられます。
契約内容の確認は慎重に行う
老人ホームは長期にわたって生活の場となる施設です。
事業者によっては、少しでも入居者を多く集めたいので、契約を急かすこともあるかもしれません。しかし、それに合わせて急いで契約する必要はありません。
不安に感じる点や疑問点などを解消してから契約を結ぶようにしましょう。
また自分ひとりで判断せずに、家族や専門家などの意見にもしっかりと耳を傾けることで、重要事項の確認漏れなどを未然に防ぐことができます。
入居後のトラブルを避けるためにも、契約書類のチェックは慎重に行いましょう。
- 申込みから入居までは仮押さえ期間となり、おおよそ1ヵ月が必要となる
- 必要な健康診断書を取得できるまでは2~3週間くらいかかる
- 身元保証人が必要な施設が多い
- 90日以内に契約が終了した場合、クーリングオフが使える
- トラブルを防ぐため、契約を解除される事項や原状回復費用の負担などは事前に確認しておく
他の人はこちらも質問
高齢者住宅は何歳から入居可能ですか?
介護付き有料老人ホームは65歳以上、住宅型有料老人ホームと健康型有料老人ホームは60歳以上と定めた施設が多いです。サービス付き高齢者向け住宅は入居条件に一定の決まりがありません。そのため、年齢の条件はマンションごとで異なります。
老人ホームに入るのにはいくらかかるのか?
収入で費用が変わる公的施設の特養は10万〜14.4万円、老健は8.8万〜15.1万円、ケアハウスは9.2〜13.1万円、介護医療院は8.6〜15.5万円です。立地や医療体制などで費用が異なる民間施設の介護付きは15.7〜28.6万円、住宅型は9.6万〜16.3万円、サ高住は11.8万〜19.5万円、グループホームは10〜14.3万円の月額料がかかります。
公的施設 | 民間施設 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
特別養護 老人ホーム |
介護老人 保健施設 |
ケアハウス | 介護医療院 | 介護付き 有料老人ホーム |
住宅型 有料老人ホーム |
サービス付き 高齢者向け住宅 |
グループホーム |
10~14.4 万円 |
8.8~15.1 万円 |
9.2~13.1 万円 |
8.6~15.5 万円 |
15.7~28.6 万円 |
9.6~16.3 万円 |
11.8~19.5 万円 |
10~14.3 万円 |
施設入居はどのくらい?
老人ホームに入居するまでの期間は平均1ヵ月です。施設を見学して入居申請〜入居審査までは、仮押さえとなります。仮押さえ期間が1ヵ月で、この期間内に必要書類の提出や面談などを行います。
介護施設の入居はいつから?
介護付き有料老人ホーム・特養・グループホームの入居対象は原則65歳以上です。住宅型・健康型有料老人ホームの入居条件は、60歳以上と定める施設が多いです。