天然温泉をひく介護施設も多く、高いQOLを実現できそう
鹿児島市や霧島市、南九州市など一部の地域では充実しており空き室も見られますが、それ以外の地域はまだまだ充分ではありません。
入居を考える際には、早めに資料請求や施設見学をした方が良いでしょう。
現在のところ、介護老人福祉施設は充実していると言って良いでしょう。
65歳以上人口100人あたり1.91人という定員数は、全国で5番目に多く、それほど介護を必要としない高齢者にとっては選択の幅も広くなっています。
その半面、介護療養型医療施設や介護老人保健施設は少ないため、医療や介護が絶対的に必要な高齢者にとっては選択の余地が少なく厳しいというのが現状です。
行政としては、介護・医療と連携して高齢者を支援する「サービス付き高齢者向け住宅」の整備を進めており、今後の増設に期待がかかっています。
鹿児島県を語る上で外せない特徴が温泉です。
活火山で有名な桜島もあり、鹿児島県は温泉の数が多く、泉源数は約2730で、大分県に次ぐ全国2位。
老人ホームにも温泉を利用しているところが多く、利用者の人気を博しています。
そうした施設では入居一時金や月額利用料も平均的に高額になっているところが多いですが、それでも、入居一時金は高くても数十万円、月額利用料も10~15万円ほどのところがほとんど。
毎日のことを考えれば、決して高すぎるということはないのではないでしょうか。
もちろん、老人ホームに温泉がないからといっても、県内の入浴施設のほとんどが温泉なので、外出して入浴することも可能です。
外に出れば桜島をはじめ霧島山や開聞岳など雄大な山々を望むことができるなど、大自然の恵みを存分に受けることができます。
老人ホームの数に若干の難はあるかもしれませんが、入居できる施設が見つかりさえすれば、そこには充実した生活が待っているはずです。
鹿児島県は後期高齢者(75歳以上)人口の伸び率が高い
鹿児島県の総人口は1955年にピークとなる204万4,112人を記録して以降減少し続け、1995年では179万4,224人、2000年では178万6,194人、2010年では170万6,242人、2023年では159万1,699人となっています。
減少傾向は今後も続くとみられ、2035年には総人口が150万人を切るとの予測も出されています。
一方、高齢者人口は年々増加し、1995年では35万3,857人でしたが、2000年では40万3,239人、2010年に44万9,962人、2023年に52万4,261人となり、今後は2025年に52万9,201人になると予想されています。
ただ2025年を境に減少に転じると見られ、2035年には50万2,799人になると見込まれています。
特に後期高齢者(75歳以上)人口の伸び率が著しく、1995年当時の後期高齢者人口は14万4,606人、高齢者人口(65歳以上人口)に占める割合は40.9%でした。
それが2005年には約8万人増となる22万33人となって高齢者人口に占める割合が過半数を超え、2023年時点では26万8,944人で、高齢者人口に占める割合は52.5%となっています。
後期高齢者人口は今後も増え続けるとみられ、2030年には31万6,807人(高齢者人口の61.3%)、2035年には32万3,101人(同64.3%)となると予測されています。
高齢化率の推移をみると、現行の介護保険制度が始まった2000年時点で22.6%、2005年では24.8%、2010年で26.5%、2023年では32.9%となっています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
今後も年々上昇していくとみられ、2025年では36.3%、2035年には36.3%になると予想されています。
なお総人口に占める後期高齢者人口の割合は、2000年は9.9%でしたが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には21.8%になると見込まれています。
鹿児島県では施設サービスの利用が緩やかに増加中
鹿児島県の介護保険サービスの利用者数は、年々増加しています。
2010年時点の介護サービス利用者数は7万3,477人でしたが、2024年には9万2,292人にまで増加。
居宅サービス、地域密着型サービスの利用者数は年々増加、施設サービスは横ばいしつつも緩やかに増加しているという状況です。
2024年時点の介護サービスの利用状況を確認すると、居宅サービスの利用者が62.2%、地域密着型サービスが19.5%、施設サービスが18.2%と続きます、
鹿児島県の介護予防は、行政だけでなく住民がサービス提供の担い手
鹿児島県は全国平均よりも10年早く高齢化が進んでいる状況で、それだけに介護予防・生活支援に対する意識は高く、県内の各市町村はさまざまな独自の介護予防事業を展開しています。
2017年4月までは、高齢者の日常生活機能の状況に応じて一次予防事業、二次予防事業、介護予防給付サービスが展開されていましたが、介護保険制度が改正されたことに伴い、2017年4月からは介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)の導入が進められています。
総合事業では自治体が独自の介護予防事業を展開しやすくなっており、地域色豊かな介護予防が各地で行われています。
市町村レベルの介護予防において重視されているのは「地域の力」。
住民がサービス提供の担い手となって参加する活動、ボランティア団体、NPOなど、行政だけではない重層的なサービス提供体制の構築に力が入れられています。
特に高齢者が徒歩圏内で参加できる場所で介護予防活動に取り組める「通い場」を作ることが重視され、心身機能向上面だけでなく「活動」しやすく実際に「参加」できる介護予防の実現に向けて、取り組みが進められています。
その一例が日置市、いちき串木野市で行われている住民主体の活動。
両市は県が2014年度から展開している「地域づくりによる介護予防推進支援モデル事業」に参加し、住民が中心となる介護予防活動(体操教室)・通いの場の立ち上げ及び運営支援を行っています。
鹿児島県では自助・互助活動で高齢者同士が支え合う地域を目指す
鹿児島県では現在、高齢者が住み慣れた地域で少しでも長く自立した生活を送れるよう支援するための体制、「地域包括ケアシステム」の構築を目指し取り組みが進められています。
2025年までに団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)を迎えることから、それまでにシステムの実現が出来るように急ピッチで体制作りが行われています。
鹿児島県の地域包括ケアシステムでは、①共助・公助サービスと②自助・互助活動の2つの側面に力を入れて取り組みが進められています。
①共助・公助サービスの点では、まずポイントになるのは医療と介護の連携。
医療面においては在宅療養支援診療所、かかりつけ薬局、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、訪問看護ステーションの確保が急務。
増設・人材の確保に県を挙げて取り組みが進められています。
介護面では通所介護事業所、通所リハビリテーション、訪問介護事業所、グループホーム等の役割が重要視されており、こちらも整備・拡充が進められています。
そして各医療機関、介護事業者を調整する役として地域包括支援センター、居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)の役割がより重要になりつつあり、その機能強化、拡充化に力が注がれています。
②の自助・互助の点では、ポイントになるのが高齢者を取り巻く地域社会の役割。
商店、町内会、民生委員、老人クラブ、ボランティアなどが一体的に高齢者の暮らしを支え、生活支援・見守り活動、あるいは介護予防活動を行っていくことが重視されています。
県、市町村側も、それら活動を制度面、人材面でサポートし、地域の活動を活発化させるべく取り組みを進めています。
鹿児島県福祉サービス運営適正化委員会とは?
福祉サービスを利用していて、「サービス内容が契約時に聞いていた内容と違う」、「施設職員の態度や言動がよくない」といった不満を感じた場合、通常はまずサービスを提供している事業者に苦情を訴えます。
各事業者は苦情を受け付ける相談窓口を用意しているので、そちらで話を聞いてもらって、問題の解決に乗り出してもらうことができます。
ただし、事業者との話し合いで無事に苦情が聞き入れられるとは限りません。
事業者側も自分たちの言い分・主張を展開し、問題が解決されないままになるということは往々にして起こり得ることです。
もし事業者との話し合いで問題が解決しなかった場合、あるいは事業者に対して直接苦情を言いにくいという場合、鹿児島県福祉サービス運営適正化委員会に相談することで問題の解決を改めて図れます。
同委員会では苦情解決委員会を設置し、医師、弁護士、社会福祉士などの専門家が助言や相談を行い、解決に向けた方策を考えてくれます。
委員会自体には行政的な勧告、指導、監査などの権限はありませんが、もし事業者による虐待行為や法に反する行為がみられる場合は、速やかに鹿児島県知事に通知され、必要な行政措置が執られることになります。
運営適正化委員会の事務局は、鹿児島県社会福祉協議会の長寿社会推進部内にあります。
相談は月曜日から金曜日までの午前9時から午後4時まで受け付けています。
相談方法は電話、ファックス、手紙、電子メールのほか、直接事務局を訪問することでも行えます(訪問の場合は事前に連絡するとよいでしょう)