10万人あたりの老人ホーム数は全国4位!選択肢に余裕があるのが嬉しい
島根県は、若い人口がどんどん減少し、高齢化がかなり進んでいます。
人口の少なさに伴い、老人ホームの数自体は少ないのですが、人口10万人あたりの老人ホーム数は67件と、指標値を大きく上回り、全国で4番目に大きい数字となっています。
県民にとっては安心できる数字であると同時に、お隣の鳥取県は逆に老人ホームの数が少ないため、鳥取県で入居待ちをしている人が島根県に移住してくるというケースもあるようです。
施設の種類では、介護が必要な高齢者のための介護老人福祉施設が充実しています。
定員の4,465人は、65歳以上人口100人あたり2.14人で全国第1位。
リハビリや看護は必要ないという高齢者の方にとっては、選択の幅も広いと言えるでしょう。
また、老人ホームが県全域にまんべんなく分布しているというのも大きな特徴です。
県庁所在地の松江市だけに限らず、出雲市、浜田市、益田市、大田市などさまざまな地域に老人ホームがあります。
公共交通機関がそれほど発達していない県なので、地域ごとに施設があるのは利用者にとっては便利で嬉しいですね。
ただし、気候的には高齢者に優しいとは言えないので注意が必要です。
典型的な日本海側気候で夏と冬での寒暖の差が激しく、特に冬は季節風が強いために、山間部を中心に、比較的温暖な沿岸部でも猛烈な吹雪となる日もあるほど。
健康面に不安のある高齢者の方が入居を考える際には、気候面も考慮に入れて、入居後には夏の暑さ・冬の寒さ対策には特に注意するようにしてください。
島根県といってピンとくる人も多くないかもしれませんが、世界遺産に認定された石見銀山や出雲大社といった観光名所をはじめ、宍道湖や国賀海岸、 三瓶山、匹見峡、千丈渓といった風光明媚な自然にあちこちで触れることができます。
そののどかな土地柄は、高齢者が余生をのんびりと過ごすのに最適と言えるでしょう。
2023年の島根県の高齢化率は34.6%
2023年の国勢調査では、島根県の総人口は65万8,809人でした。
その中で、65歳以上の高齢者数は22万7,983人おり、高齢化率は34.6%となっています。
全国の高齢化率は29.1%であり、この島根県の高齢化率は、全国で7位という高い結果です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
市町村別の高齢化率をみていくと、高い順から津和野町50.0%、西ノ島町48.1%、美郷町47.3%となっています。
また高齢化率の低い順は、出雲市30.1%、松江市30.3%、安来市37.5%です。
高齢化率の高い「町村」では、限界集落となっている村もあり、全ての町村で高齢化率が40%を超えています。
島根県全体で65歳以上の高齢者が多いことがわかります。
今後も高齢化率は上昇し続け、団塊の世代が75歳に到達する2025年には、高齢化率が35.8%に達すると予測されています。
2020年の島根県の総世帯数は、26万9,892世帯で、高齢夫婦と高齢単身世帯を合わせた高齢者世帯数は7万1,671世帯、全体の26.5%が高齢者世帯となっています。
さらに2035年には高齢者世帯が約3割になると見込まれています。
介護保険認定率は全国の認定率よりも高い
2024年の島根県の65歳以上の高齢者人口、つまり介護保険の第1号被保険者は22万6,374人。
そのうち、要介護認定を受けている高齢者は4万7,578人となっており、認定率は約21.0%です。
全国の認定率は18.9%ですので、島根県の介護保険認定率は全国の認定率よりも高いことがわかります。
その内訳をみていくと、要支援1が6,346人、要支援2が6,962人、要介護1が1万439人、要介護2は7,994人、要介護3は5,858人、要介護4は5,804人、要介護5が4,175人になっています。
島根県の圏域別の認定率をみていくと、浜田圏域が23.5%と最も高く、雲南圏域が19.5%と低いです。
高齢者人口は今後も増えることが予想されており、それに伴い、認定者数も上昇すると見込まれています。
介護予防による「地域づくり」を実施してる
2015年の介護保険法の改正に伴い、介護予防・日常生活支援総合事業が各自治体によって実施されることになりました。
これまでは、元気な高齢者向けの一次予防事業と基本チェックリスト該当者のための二次予防事業があり、自治体が実施していました。
介護予防という考え方がまだ浸透していなかったためか、二次予防事業対象者(基本チェックリスト該当者)を把握すること自体が難しかったり、そのやり方によっては把握しきれていない場合もありました。
島根県においても同様で、今後はチェックリストに該当する虚弱高齢者を積極的に把握ための介護予防の普及啓発を行い、適切なマネージメントにつなげることとしています。
これまでの介護予防のように、高齢者だけでの取り組み、高齢者だけへのアプローチではなく、介護予防が「地域づくり」となることを目標にしています。
具体的には、介護予防に取り組むことで高齢者本人が元気になる。
そしてその高齢者が地域の支え手になったり、地域の構成員として居場所を確保できるなどがあります。
または生活支援サービスにおける住民ボランティア等の活用などの取り組み自体が地域の社会資源となっていくなどを想定しています。
さらに一般介護予防事業においては、65歳以上の高齢者全てが利用できるようになるため、自治体全域で「住民主体」の通いの場を提供するとしています。
これも介護予防の推進はもとより、地域づくりにつながる活動となります。
地域包括支援センターへの相談件数は2006年から1.7倍増加
日本全国において、人口は減少していくのに、高齢者は増えていくという社会構造の変化に対応するため、それぞれの地域の実情に合わせて「地域包括ケアシステム」を推進しています。
特に団塊の世代が後期高齢者である75歳に到達する2025年に向けて、取り組みが急がれている状況にあります。
特に島根県では、「介護予防の推進」「生活支援の充実」「介護サービスの充実」「医療との連携」「住まいの確保」「認知症施策の推進」という6項目を目標に掲げています。
島根県では、「地域包括支援センター」を地域包括ケアシステムの中心的機関として位置づけています。
地域包括支援センターは、開設以来、高齢者の相談窓口として業務に当たっていますが、その相談件数は増加するばかりです。
高齢者の増加に伴い、ますます相談件数が増えることが予想されていますが、相談対応だけでなく、人員体制や業務内容、その運営方法などについて、地域づくりの中核としての機能を強化する方向性を打ち出しています。
島根県では、都市部と山間地や離島での地域差が大きいことが課題となっています。
都市部では介護サービスを適切に提供できる体制にありますが、地域のつながりは薄くなっている場合が多くなっています。
一方、山間部や離島では地域のつながりが強く、共助できる関係ができていますが、介護サービスが行き届かないという一面もあります。
それぞれの実情に合わせた地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
島根県福祉サービス運営適正化委員会とは?
社会福祉法第2条にあげられている福祉サービスには、さまざまな法律に基づいている施設や事業があります。
一例をあげると、生活保護法からは3施設1事業。
児童福祉法では6施設、老人福祉法では6施設6事業、障害者総合支援法では3施設4事業、売春防止法からは1施設、生活困窮者自立支援法からは1事業、児童福祉法では4施設14事業、母子・父子・寡婦福祉法からは1施設3事業、他11の事業による福祉サービスがあります。
これらのサービスを利用されている方で、サービスに対する不満等がある場合は、どこに相談すればいいのでしょうか。
まずは、利用しているサービス事業者の苦情受付担当者に相談します。
しかし、大きな事業所でなければ、その苦情受付担当者も日頃から顔を合わせている職員である場合もあり、なかなか苦情を言いにくいという場合も少なからずありますよね。
そのような時には、事業所の第三者委員に相談する方が話しやすいかもしれません。
第三者委員は、事業所の職員ではなく、秘密も守ってくれますので、安心して相談ができます。
しかし、事業所に第三者委員が設置されていない、相談したけれども納得がいかない等の場合には、島根県運営適正化委員会に相談しましょう。
島根県の運営適正化委員会は、島根県社会福祉協議会に設置されており、相談は無料で受付けています。
相談は、直接来所することも可能ですし、電話やFAX、メールや郵便でも受付けています。
対応する職員には秘密を守らなければいけないという義務がありますので、相談内容が漏れることはありませんので、安心して相談することができます。