熱海・伊東地区には天然温泉付きの介護施設も多数!

静岡県の老人ホームは徐々に増えつつありますが、さらに他の地域にはあまり見られない大きな特徴があります。
それが、温泉です。
熱海・伊東地区を擁する静岡県は、全国でも有数の温泉地。
そのため、温泉をウリにしている老人ホームも多く、「源泉かけ流し」「露天風呂完備」といったキャッチフレーズもちらほら見かけます。
温泉はもちろん、心と体をリラックスさせてくれるものですが、関節痛やリウマチに効果があるような湯質のところもあり、高齢者の健康の一助となる場合もあります。
こうして温泉を有する施設はやはり費用も高くなり、入居一時金が数千万円となるところもあります。
かと思えば、温泉施設がなく一般的な設備の老人ホームでは、入居一時金70万円台、月額利用料14万円前後というところも少なくなく、その選択肢は幅広いと言えます。
施設の数で見ると、多いのは熱海・伊東の県東部、静岡市を中心とした市街地、浜名湖周辺などの浜松地区あたりに多くなっているようです。
特に浜松地区では、総合病院などと提携し、充実した医療体制を敷いている施設が多いという傾向が見られます。
逆に、その他の地域では24時間看護といったサービスを提供している施設が少ないため、健康面での安心を得たい人は、浜松地区の施設を中心に入居を考えると良いでしょう。
また、隣接する神奈川県や愛知県といった都市圏に比べて、公共交通機関があまり発達していないという面があります。
高齢者を連れての移動はもちろん、面会に行く際などには車の利用が多くなるということも、入居を考える際のポイントとして頭に入れておいてください。
老人ホームが数多く在る太平洋沿岸部は、非常に過ごしやすい気候です。
冬の平野部では日中10℃を下回ることはほとんどなく、雪もめったに降りません。
また、夏場も天竜地域など西部内陸を除いては比較的涼しく、高齢者が快適に、そして健康に過ごすのに最適な地域と言えるでしょう。
静岡県の高齢化率は2023年に30.4%にまで上昇
静岡県の総人口は、2007年時点において約387万1,971人、2015年では約370万人、2023年には約363万人と年々減少しつつあります。
一方で増加傾向が続いているのが高齢者人口。
2007年には約81万人、2015年には約102万人、2023年には110万人と着実に増加。
総人口の推移とは逆の傾向を示しています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
特に増加が著しいのは後期高齢者(75歳以上)人口。
2013年では約46万人、2021年では約56万人、2023年には59万8,526人となっています。
後期高齢者人口に焦点を当てて、75~79歳、80~89歳、90~99歳、100歳以上と分けて人口数を見ていくと、最も人口数が多いのは80~89歳の世代で、続いて多いのが75~79歳の世代です。
また近年人口数が増えているのが100歳以上の方です。
高齢化率の推移を見ると、2010年時点の静岡県の高齢化率は23.8%で、その後2015年に27.8%、2023年に30.4%となっています。
今後も県の総人口が減少する一方、高齢者人口はさらに増加し続けていくと見られているため、高齢化率さらに上昇していくと考えられます。
2023年時点における各市町村の高齢化率を見ると、最も高齢化率が高いのは西伊豆町の52.6%。
続いて高いのが川根本町の51.3%です。
全国よりも介護サービス利用者の増加が顕著
静岡県の介護保険サービス利用者数(1ヵ月あたり平均)の推移をみると、まず居宅サービス(訪問介護、通所介護、特定施設入居者生活介護等)については、介護保険制度が始まった2000年には3万1,024人でしたが、2005年にかけて利用者数が急増し、2006年には6万7,899人となります。
2010年には8万1,485人、2015年に10万6,244人、2024年に12万3,087人となっています。
地域密着型サービス(グループホーム、認知症対応型通所介護等)は2006年度から導入されたサービスで、居宅サービスや施設サービスに比べると利用者数は少なめ。
2024年度の1ヵ月当たり平均利用者数は2万4,991人となり、2010年よりも約1.5万人増加しています。

施設サービスでは、まず介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)については、2000年当時は6,183人でしたが、2005年に1万845人、2010年に1万3,563人、2014年に1万5,661人と年々増加。
他県では特養の増設が思うように進まないために、利用者数が横ばいになっていることも多いですが、静岡県においては毎年順調に利用者数が伸びています。
2000年から2014年にかけて、利用者数は約2.5倍増となっています。
介護老人保健施設については、2000年当時は4,345人、2005年では7,747人、2010年では9,612人、2014年には1万1,481人と右肩上がりの増加を見せています。
2000年から2014年にかけては約2.6倍の利用者数増となっています。
既に廃止が決まっている介護療養型医療施設については、2000年から2014年にかけて2,000人~4,000人の間を推移。
2014年の利用者数は2,129人となっています。
公的施設である介護老人福祉施設と介護老人保健施設の利用者数が右肩上がりで増加しているというのは、静岡県の介護保険サービスの利用状況における大きな特徴です。
ボランティアポイント制度を導入した介護予防プログラム

静岡県内の市町村では、介護予防・日常生活支援総合事業の実施に伴い、地域の実情に合ったさまざまな介護予防事業を展開。
介護予防に資する教室、講座などが各地で開催され、多くの高齢者の方が参加しています。
介護予防事業の名称や取り組み内容は市町村ごとに異なりますが、高齢者の介護予防のために必要な訓練、プログラムはある程度共通しており、そのポイントは主に6つにまとめられます。
- 運動機能向上のための取り組み……リハビリ専門職などの指導のもと、筋力向上運動、身体バランスを向上させる運動、有酸素運動、体操・ストレッチなどを行っています。
- 口腔機能を向上させるための取り組み……誤嚥性肺炎を防ぎ、嚥下機能を低下させないための訓練、嚥下体操等を行っています。
- 認知症予防と認知症高齢者への支援……認知症を防ぐための機能訓練教室や、認知症に関する知識を普及・啓発するための講座を開催しています。
- 栄養指導……管理栄養士の協力のもと、高齢者に多い低栄養状態に陥るのを予防すべく、料理教室等を実施しています。
- 閉じこもりの予防及び支援……通所型サービスの充実化、介護予防事業における「通いの場」の提供、ボランティア活動への参加の促進(ボランティアポイント制度)などを行っています。
- うつ病の予防及び支援……精神面に関する健康相談を実施しています。
「地域包括ケアシステム」づくりの一環として高齢者向け住宅の整備が進行している
静岡県では、高齢者に対して地域の医療サービス、介護サービス、生活支援・介護予防サービスが連携しながら一体的なサービス提供を目指す「地域包括ケアシステム」づくりに力を入れています。

医療サービス面では、地域内におけるかかりつけ医・有床診療所、歯科医院、薬局等の充実化、介護サービス面では訪問介護、訪問看護、通所介護など在宅系サービスの事業所の充実化、生活支援・介護予防サービス面では、老人クラブ、自治会、ボランティア、NPOなど地域内の住民組織の役割の強化、等が行われ、多職種連携・組織間ネットワークの構築が進められています。
また自宅での生活が困難になった場合、自宅と同じ自治体内にある施設への住み替えができるようにサービス付き高齢者向け住宅等の整備も進めています。
地域包括ケアでは地域内のさまざまな行為主体が高齢者を支えるわけですが、ともすると高齢者にとっては複雑に感じ、どうサービスを利用すればよいのか戸惑うこともあるかもしれません。
そんな場合の相談先として設置されているのが地域包括支援センターです。
高齢者福祉に関するあらゆる相談ごとに無料で応じてくれるので、高齢者の方の心強い味方となります。
また多職種の専門家が集まって地域内連携のあり方について話し合う地域ケア会議も、地域包括支援センターが主導しています。
さらに医療面と介護面の連携という点では、ケアマネージャーの役割も重視されています。
介護保険サービスと在宅診療・訪問看護サービスの間をうまく取り持ち、高齢者の在宅介護生活を支える役割を担います。
静岡県福祉サービス運営適正化委員会とは?
福祉サービスを利用してサービス内容に疑問、不満を感じた場合、まずはサービスを提供する事業者に苦情を訴え出るのが一般的。
事業者は、公正な立場から問題の解決に当たる第三者を選任し、利用者、事業者、選任された第三者が話し合って苦情内容の確認及びその解決を行います。

しかしその話し合いによって解決に至らない場合は、県レベルの苦情対応の機関である「静岡県福祉サービス運営適正化委員会」に相談します。
社会福祉、医療、法律の専門家等が委員となり、苦情の解決のための調査、助言、あっせんを行います。
もし事業者に直接相談することに気が進まないという場合は、最初から運営適正化委員会に相談するという形でも問題ありません。
また介護保険サービスに対する苦情の場合は、静岡県国民健康保険団体連合会でも苦情の相談を行っています。
苦情内容はさまざまで、サービスの内容について疑問に感じることがあるのでそれに答えてほしいという軽めの内容から、サービス内容が契約時に聞いていたものとは明らかに違う、サービスを提供するスタッフが虐待を行っているといった早急の解決が必要な内容までさまざま。
軽めの内容のものであれば事業者段階で解決することが多いようですが、深刻な内容のものになると、利用者と事業者(第三者含む)の話し合いだけでは解決しない場合も出てきます。
運営適正化委員会の調査の結果、虐待など重大な事態が明らかになった場合は、県知事に報告され然るべき対応が行われます。