【比較表】住宅型有料老人ホームとサ高住の違いの特徴
住宅型有料老人ホームとサ高住の違いは、契約方式や費用、提供しているサービスなどさまざまです。
以下の比較表にそれぞれの特徴をまとめました。
サ高住 | 住宅型 | 有料老人ホーム|
---|---|---|
契約方式 | 賃貸借契約 | 利用権方式 |
入居前の費用 | 0~27万円 | 0~380万円 |
月額費用 | 11.1~20万円 | 8.8~19.1万円 |
サービス内容 | 安否確認、生活相談、生活支援サービス | 生活支援サービス、食事提供、レクリエーション |
体験入居 | あり |
サービス付き高齢者向け住宅とは
サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者のためにバリアフリーが完備された賃貸住宅です。
入居対象は、自立から要介護度の低い方で、高齢者が過ごしやすいような、設備やサービスが充実しています。
一人暮らしに対して不安のある方に、おすすめの施設です。
バリアフリーが完備されており、一人暮らしでも安心
サ高住は館内バリアフリーが完備され、手すりやスロープが設置しており転倒・転落のリスクを軽減します。
さらに、施設職員スタッフの安否確認、日常で困ったことがあれば専門員に相談できる生活相談サービスが充実しています。
また、自立した方を対象としているため、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームのような手厚い介護サービスはありません。介護が必要になった場合は、外部のサービスを利用します。
介護型では施設で介護・医療サービスを受けることができる
サ高住は「特定施設」に認定されている「介護型」もあります。介護型では、自立から要介護5を対象とし、常駐する施設職員から安否確認や生活支援と併せて、介護・看護サービスも受けられます。
また、協力する医療機関との連携により、看取り対応ができ、終身まで入居可能な施設もあります。そのため、今は介護が不要でも将来に備えて介護ケアを整えたいという方、要介護認定を受けた方に介護型はおすすめです。
なお介護型の数は、サ高住全体の約8.5%ほどです。
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームは有料老人ホームの中の1つで、自立して生活できる方や要介護度の低い方向けの施設です。
大きな特徴は、イベントやレクリエーションが盛んなことです。住宅型で行われるイベントなどは施設ごとで異なりますが、麻雀や囲碁、将棋、カラオケなど、さまざまな催しが実施され、充実した日々を過ごせます。
住宅型で提供されるサービスは、食事の提供や掃除などの家事全般で、介護サービスは外部のサービスを利用します。
そのため、入居者が必要とする生活援助、介護サービスを自由に組み合わせて生活します。
サービスの充実度が高い
住宅型は生活支援サービスの内容が他の施設よりも充実しています。食事の提供や掃除、洗濯、買い物代行から見守りサービス、健康・日常生活の相談など日々の暮らしを支えるサービスが受けられます。
さらに、イベントやレクリエーションなども定期的に行われ、日々の生活を楽しく過ごすことができます。施設によっては、カラオケ・温泉・図書館などを完備する施設もあります。
住宅型有料老人ホームとサ高住の入居条件
続いて、住宅型有料老人ホームとサ高住の入居条件を解説していきます。
サ高住の入居条件
サ高住の入居条件は、原則として60歳以上です。
ただし、60歳未満であっても、特定疾病により40歳以上で「要支援」または「要介護」の認定を受けている場合は、入居対象です。
なお、特定疾患には、末期のがんや脳血管疾患など、10種類以上の疾患が指定されており、指定されている疾患に該当して要支援・要介護の認定を受けていれば、40~59歳でも入居できます。
【介護保険】特定疾病とは?16種類一覧と診断基準、覚え方(第2号被保険者も対象に)
ただしサ高住では、入居対象者として「自分の力で身の回りの世話ができること」を想定しています。
そのため、重度の要介護状態の方、認知症を発症している方は、入居が難しくなることも多いです。
住宅型有料老人ホームの入居条件
住宅型有料老人ホームの多くが60歳以上といった入居条件を設けています。
しかし実際には、入居を希望する人の状態によっては60歳以下でも入居できることがあるので、若い方で入居を希望する場合は施設側に相談してみると良いでしょう。
また、住宅型有料老人ホームでは自立の方から要介護状態の方まで制限を設けずに受け入れていることが多く、受け入れ要件が全国的に一律で規定されているわけではありません。
施設によって医療ケアへの対応は違う
医療面における対応力は施設ごとに差があります。
外部の病院などと連携し、気管切開や胃ろうなどの医療ケアを行える施設がある一方で、医療ケアへの対応が全くない施設もあります。
住宅型有料老人ホームとサ高住の設備
続いて、サ高住と住宅型の設備の違いについて解説します。
サービス付き高齢者向け住宅
サ高住の設備状況は施設ごとに大きく異なりますが、居室の面積については原則として25㎡以上と規定され、もしキッチンやリビングなど共有スペースが整備されている場合は18㎡以上で良いとされています。
なお、これは1人用の居室における規定で、サ高住によっては夫婦で利用できる2人用の居室が用意されており、その場合の面積はもっと広いのが一般的です。
多くの施設では居宅介護支援事業所や訪問介護事業所を館内もしくは敷地内に併設しているため、ケアマネージャーやホームヘルパーを活用できる体制が作られています。
施設内は全てバリアフリー構造
施設内は バリアフリー構造が基本であり、高齢者でも安心して過ごせます。
転倒防止のために手すりは、階段・便所・浴室・玄関・脱衣所での設置が決められています。また、転落防止にバルコニーや2階以上の窓にも設置しています。
部屋にある浴室や寝室には緊急通報装置、館内に見守りセンサーを設置し、万が一のトラブルにもすぐに対応してもらえるので安心です。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、高齢者の生活を支え、快適にするための多様な設備が用意されています。
完全個室の居室や浴室などの基本的な設備が完備されているのはもちろんのこと、食堂兼リビングの共同生活室、ほかにも売店や健康管理室、さらには理美容室などを備えている施設もあります。
また、 共用部分と居室内の水道代の分け方はどうなっているのかといった水道料の計算方法なども事前に確認しておきましょう。
設備の充実度は費用に比例する
住宅型の設備は施設ごとで異なりますが、高級な住宅型だと入居者が楽しめるような豪華な設備が完備されています。
プールやテラス、カフェ、カラオケ、麻雀室・アトリエなど、入居者が充実した毎日を過ごすための施設も多くあります。
その分、料金も高くなるので、予算と費用を比べて相談をして複数の施設を見学し、設備も予算も自分に合った施設を探しましょう。
住宅型有料老人ホームとサ高住のサービス
サ高住と住宅型の設備がわかったところで、続いてサービスについて解説します。
サービス付き高齢者向け住宅
サ高住では法令により、施設の職員が利用者の部屋を定期的に見回る「安否確認サービス」と、ケアの専門家が日常生活における相談に乗ってくれる「生活相談サービス」の提供が義務付けられています。
ただ、ほとんどのサ高住はこの2つ以外にもさまざまなサービスを提供しています。
介護型以外では、外部のサービスを利用する
介護サービスについては、特定施設入居者生活介護の指定を受けた一部の施設を除き、施設職員が直接介護を行うことははありません。
そのため、介護が必要になった場合は、個人で外部のサービスと契約し、利用します。
基本的に施設外部の介護サービス提供事業者を利用していて、約8割のサ高住は介護サービスを併設しています。
また、医療ケアを受けたいときは、医療機関が施設に併設しているときはそこを利用し、併設していないときは提携関係にある病院や訪問診療所、訪問看護サービスを利用するのが一般的です。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームもサ高住と同様、入居者が必要とする生活援助、介護サービスを自由に組み合わせて生活します。
介護サービスについては施設側から直接提供されるわけではないため、担当のケアマネージャーと相談しながら、自分が日常生活の中で必要とする介護サービスのみを選択し、外部の事業者と契約して利用していきます。
なお、住宅型有料老人ホームではケアマネージャーのいる居宅介護支援事業所を併設していることが多く、その場合、介護サービスの契約から相談までをスムーズに進められるので便利です。
サ高住と異なり、生活支援のサービスについては施設側から受けることができ、食事の提供や掃除、洗濯などの家事全般を施設が行います。
さらに見守りや生活相談などのサービスも行われます。
必要に応じて外部のサービスを利用する
医療サービスについては、 サ高住と同じく、看護職員の配置基準などは制度上規定されていないので、施設によって差が大きいのが現状です。
ただ、看護職員がいない施設でも、訪問看護を利用することで看護職によるケアを受けることができますし、医療機関との連携の中で、医師や歯科の往診、検診を実施している施設も多いです。
住宅型有料老人ホームとサ高住の費用
続いて、サ高住と住宅型の費用の違いを解説します。
サービス付き高齢者向け住宅
運営する事業者によっても異なりますが、サ高住の入居時にかかる費用には、「敷金」「入居一時金」「保証金」などがあります。
また、それらの初期費用に応じて毎月一定額の「月額利用料」を支払います。
サ高住の費用相場は以下の通りです。
初期費用 | 月額利用料 |
---|---|
10.7万円 | 15.1万円 |
初期費用
サ高住は、賃貸住宅と同じく賃貸借契約を結び、月々の費用を支払っていく「月払い方式」が一般的で、その場合は入居時に敷金を負担します。
前払い方式は、終身利用を前提とする際に行われる支払い方法で、入居時に「入居一時金」を負担し、入居後は家賃や管理費、水道光熱費などの「月額利用料」を負担します。
また「保証金」はいわば預り金で、もし月額利用料の負担ができなくなったときに充てられるお金です。
こちらも入居時に必要ですが、月額利用料を滞納することがなければ、退去時に全額返ってきます。
月額利用料
サ高住の月額利用料は、15.1万円程となっています。
月額利用料の内訳は以下の通りです。
- 賃料
- 管理費・共益費
- 水道光熱費
- 安否確認・生活相談サービス利用料
- おむつ代(使用する場合)
サ高住はあくまでも賃貸住宅なので、賃料や管理費・共益費は一般的な賃貸住宅と同じぐらいです。また、安否確認と生活相談サービスの提供は義務付けられているため、必ず毎月費用がかかります。
このほかに、食事サービスや介護サービスを利用すると、追加で費用がかかります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型は、入居時に支払う「入居一時金」と毎月支払う「月額利用料」が必要です。
それぞれの費用の目安は以下の通りです。
初期費用 | 月額利用料 |
---|---|
5.6万円 | 12.3万円 |
初期費用
住宅型有料老人ホームに入居するときに必要とされることが多いのが、「入居一時金」です。
入居一時金は家賃の前払い金としての性格を持ち、支払った後は毎月の家賃へと償却され、償却期間が終わる前に退去した場合は、残った入居一時金は返還されます。
入居一時金は施設によって差があり、高い施設では数千万円になることもあります。
月額利用料
月額利用料として必要になるのは、家賃や食費をはじめ、管理運営費、水道光熱費を含めた諸費用などが基本です。
もし要介護認定を受けて、介護サービスを利用している場合は、別途1~3割の自己負担分を支払わなければなりません。
介護サービスの区分支給限度基準額を超えないように注意する
介護サービスを利用するときは、要介護度の区分ごとに定められている、区分支給限度基準額を超えないようにしましょう。
区分 | 限度額 | 自己負担額 |
---|---|---|
要支援1 | 5万320円 | 5,032円 |
要支援2 | 10万5,310円 | 1万531円 |
要介護1 | 16万7,650円 | 1万6,765円 |
要介護2 | 19万7,050円 | 1万9,705円 |
要介護3 | 27万480円 | 2万7,048円 |
要介護4 | 30万9380円 | 3万938円 |
要介護5 | 36万2,170円 | 3万6,217円 |
住宅型有料老人ホームとサ高住の契約形態
住宅型有料老人ホームとサ高住の契約方式について解説します。
契約形態の種類は以下の表でまとめています。
利用権方式 | 賃貸借方式 | 終身建物賃貸借方式 | |
---|---|---|---|
概要 | 入居時に入居一時金を支払い、 | 終身利用権を得る契約方式。一般の賃貸住宅同様に月々の家賃・管理費を支払う | |
サービス | 介護・生活支援等のサービス | もあり- | - |
特徴 | 入居時にまとまったお金が 終身利用が可能。 |
必要な場合が多い。入居時に必要なのは敷金・保証金等のみ初期費用が抑えられる | なので賃貸借契約の内容であることに加え、契約者の死亡により契約が終了する |
根拠法 | なし | 借地借家法 | 借地借家法 高齢者の住居の安定確保に関する法律 |
サ高住と有料老人ホームの契約形態の違いは以下の通りです。
住宅型有料老人ホームとサ高住との間の最も大きな違いが、契約形態です。
サ高住では入居の際、建物賃貸借契約もしくは終身賃貸借契約を結びますが、住宅型有料老人ホームの場合「利用権方式」という契約を結ぶのが一般的です。
サービス付き高齢者向け住宅
サ高住に入居する際に結ぶのは、基本的に通常の賃貸物件と同じ「賃貸借契約」です。
ただ、高齢者向け施設であるサ高住の場合、賃貸借契約には大きく分けて「建物賃貸借方式」と「終身建物賃貸借方式」の2つのタイプがあります。
建物賃貸借方式では、契約した内容が入居者本人に限って適用されることはありません。
そのため、もし入居者が亡くなったとしても、契約を相続という形式で遺族が引き継ぐことができるのです。
もう一つの終身建物賃貸借方式は、契約を結んだ本人が亡くなると、契約は自動的に終了するという契約です。
契約内容を引き継ぐことはできませんので、注意してください。
住宅型有料老人ホーム
住宅型は、一般的に契約の際には、利用権方式を結びます。
利用権方式とは、入居する際に家賃の前払い金となる「入居一時金」を支払うことで、その施設の居室や共用設備を利用する権利、介護サービスや生活支援サービスの提供を受ける権利を保障するという契約です。
サ高住では、居住の権利に関わる賃貸借契約をまず締結し、そのうえで「食事の提供」など各種サービスを選択的に契約するという形をとります。
一方、住宅型有料老人ホームでは、住居もサービスも一体的に提供されるので、利用権方式という契約形態がとられているのです。
住宅型とサ高住のどちらを選ぶべきか
ここまで住宅型とサ高住の違いを解説してきましたが、理解は深まったでしょうか。
最後に2つの施設それぞれのメリットとデメリットを解説しながら、どちらの施設が合っているか検討してみてくださいね。
サービス付き高齢者向け住宅を選ぶメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
メリット:生活の自由度が高い
一般的な賃貸住宅と同じ契約方式のサービス付き高齢者向け住宅は、入居のハードルが低めにもかかわらず高齢者が安心して自由に暮らせる設備が整っています。
2011年に「高齢者住まい法」という法律によって整備されているので、バリアフリー完備で快適に過ごせるだけでなく、安否確認や生活相談のサービスを受けられることが大きなメリットです。
デメリット:コミュニケーションをとる機会は少ない
サ高住は有料老人ホームではなく賃貸住宅になるため、イベントやレクリエーションはほとんど行われていません。そのため、ほかの入居者とコミュニケーションをとる機会は少ないです。
また、一般型では自立した方を対象としているので介護サービスの提供はなく、要介護が悪化した場合、住み替えが必要になる可能性があります。
住宅型有料老人ホームを選ぶメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
メリット:レクリエーションやイベントが充実している
盛んにレクリエーションやイベントを楽しみたい方は住宅型がおすすめです。ほかの入居者とコミュニケーションも取りやすく、充実した生活を楽しめます。
さらに、食事や掃除、洗濯などの日常生活のサポートをする生活支援サービスも受けられて、家事をスタッフにお願いして趣味活動に専念できます。
デメリット:希望する設備やサービスによって費用が高くなる
住宅型の中には高級な施設もあり、そのような施設だと費用は高くなる傾向にあります。
また、必要に応じて利用できる介護サービスは、要介護が重くなり利用頻度が多くなると、介護サービス費が高くなります。要介護度が低ければ費用は抑えられますが、要介護が重くなると月々の費用の負担が重くなっていきます。
さらに、施設によっては転居や退去を勧められる場合もあるので、注意が必要です。
まとめ
住宅型有料老人ホームとサ高住は、介護サービスを利用するには外部の事業者と契約しなければならないど、共通する部分が多くあります。
しかし、大きく異なる点のひとつが契約形態。
サ高住が賃貸借契約であるのに対して、住宅型有料老人ホームは利用権方式が採用されるのが一般的です。
賃貸借契約であれば、入居時に大きな金額を必要としないので、入居のハードルは低めだと言えます。
ただ、住宅型有料老人ホームは施設としてのバリエーションに幅があり、費用は高めになるものの、介護・医療・看護体制が整い、入居者をサポートする体制が十分に整っている施設も多いです。
イベントやレクリエーションが盛んな施設も多く、趣味に打ち込むなど活動的に老後生活を送りたい方には、住宅型有料老人ホームは魅力的だといえるでしょう。
住宅型とサ高住に関するQ&A
有料老人ホームと何が違う?
有料老人ホームは、ニーズに合わせて介護付き、住宅型、健康型の3タイプから選びます。
住宅型はレクリエーションが充実しています。希望する日常生活や介護サービスを受けられます。住宅型と似たサービス付き高齢者向け住宅は、自由度が高く、専門員に相談できる生活相談サービスを受けられます。
住宅型有料老人ホームって何ですか?
住宅型有料老人ホームは、自立している方や介護度が低い方に向けた施設です。60歳以上が対象ですが、場合によっては60歳以下でも入居が可能となっています。施設内のバリアフリーも充実しており、生活の自由度は高めです。また、必要とする外部の介護サービスを自由に選択して受けられます。
有料老人ホームは何のサービス?
有料老人ホームとは、高齢者が安心して生活できるように、さまざまなサービスを提供する住まいです。
掃除・洗濯などの日常生活支援、食事・入浴などの介護支援、健康管理といった、サービスを受けられます。心身の状態や求めるサービスによって介護付き、住宅型、健康型の3種類から選べます。
有料老人ホームは何種類?
有料老人ホームは3種類あります。
要介護認定を受けた方も入居できる、介護・医療体制の充実した介護付き、レクリエーションやイベントが豊富な住宅型、介護不要で一人暮らしに不安のある方、アクティブに過ごしたい方向けの健康型から、希望する施設を選択できます。