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【認知症予防】コグニサイズとは?具体例とやり方・意味を解説!

認知症予防に効果的な運動・コグニサイズとは?

「コグニサイズ」は、国立長寿医療研究センターによって開発された、運動と認知トレーニングを同時に行う、デュアルタスク(2つの作業を同時に行うこと)の取り組みのこと。

頭を使いながらするエクササイズ、というイメージを持つといいかもしれません。

運動量は、息が軽く弾み、脈拍数が上昇するくらいのことを行います。

コグニサイズの目的は、運動で身体の健康を促し、認知課題(頭の体操のこと)で脳の活性化を促すことで、認知症の防止を期待させることだと言われます。

コグニサイズは、国立長寿医療研究センターの研究結果により、認知機能低下の抑制になることも明らかになっています。

認知症予防に効果的なコグニサイズについて、これから説明をしていきたいと思います。

コグニサイズは脳トレとどう違う?

体を動かしながら脳を活性化させる…といえば、既存の「脳トレ」があげられます。

例えば、自分の両手を使い、右手でジャンケンのグー・チョキ・パーを作りながら、それに勝つものを左手で出し続けるというものをはじめとする「考えながら体を動かす」手法は、介護現場においてメジャーな取り組みでした。

一方のコグニサイズは、そうした体の一部を使いじっくりと考えながら行う「脳トレ」とは異なります。

コグニサイズは、全身を動かす運動と、頭を動かす問題を、同時に行うというもの。

このときの課題は、すぐに解答できる簡単なものではなく、問題に集中して解かないとクリアできない難易度のものであることが望ましいとされています。

そうしたレベルの課題を体の運動と同時に行うことに、意義があるのです。

なぜ脳と体を同時に動かすと良いのか?

アルツハイマー病と密接に関連しているのは?

出典:「認知症予防へ向けた運動 コグニサイズ」(国立長寿医療研究センター)

コグニサイズのメリットは、たくさんあります。

ここでは大きく2つに分けてメリットを説明していきましょう。

メリット1:生活習慣病、認知症の予防ができる

まずは運動を行うことで、高血圧症や糖尿病、脂質異常症をはじめとする生活習慣病、そして虚血性心疾患や脳梗塞などの予防を促します。

これは、脳血管性の認知症を予防することにもつながります。

さらに運動には、脳の神経成長因子や、神経細胞の炎症を抑え、アルツハイマー病につながるアミロイドの蓄積ペースを落とす効力も期待できるといいます。

運動によって体の健康維持だけではなく、脳の健康にも作用するといえるのです。

メリット2:記憶力の維持ができる

またコグニサイズには、体と同時に脳を働かせることで、脳内の学習機能を司る海馬の萎縮を抑制する効果が期待できるといいます。

つまり、脳内の記憶力の維持を促すことができるわけです。

実際に、愛知県大府市が行なったこんな研究結果があります。

軽度認知障害(MCI)と判定された高齢者のうち、コグニサイズをしたグループと、実施していない高齢者グループとでは、前者のほうが記憶力テストの成績がよく、脳の萎縮の進行が抑制されたことがわかりました。

さらに、実施グループの参加者からは、「肩こりが治った」「物忘れが改善したと感じる」「集中力が以前に比べて持続するようになった」などの感想も出たといいます。

適切な強度設定がポイントに

ハードな運動がないといわれるゴクニサイズですが、楽をしてできるようなら、決して効果のあるトレーニングとは言えません。

もちろん高齢ですし、いきなり無理してしまうのは良くないので、徐々に行いましょう。

理想は、運動していて体の部位が少しつらいなと感じるくらいの負荷がかかっている状態です。

運動するときは、目標心拍数をもとに、適切な運動強度かを自分で脈を取りながら適正かどうかを確認しましょう。

目標とする心拍数の求め方はこちらになります。

  1. あなたの安静時の心拍数(10分間以上安静状態にした後の、1分間の脈拍数)
  2. あなたの最大心拍数(心拍数の上限値)=207-(年齢✕0.7)
  3. あなたの予備心拍数(最大心拍数から安静時心拍数を引いた値)=②-①

目標心拍数=0.5(目標運動強度が50%の場合)✕③+①

運動強度50%の場合
年齢 安静時心拍数(拍/分)
60 70 80
65歳 111 116 121
70歳 109 114 119
75歳 107 112 117
80歳 106 111 116
85歳 104 109 114
90歳 102 107 112
運動強度60%の場合
年齢 安静時心拍数(拍/分)
60 70 80
65歳 121 125 129
70歳 119 123 127
75歳 117 121 125
80歳 115 119 123
85歳 113 117 121
90歳 110 114 118
運動強度70%の場合
年齢 安静時心拍数(拍/分)
60 70 80
65歳 131 134 137
70歳 129 132 135
75歳 126 129 132
80歳 124 127 130
85歳 121 124 127
90歳 119 122 125

表の見方としては、あなたが65歳で安静時心拍数が60の場合、運動強度50%のトレーニングをしたときに、運動時脈拍数が111前後だと、目標通りの運動内容だということになります。

運動時心拍数が表に記載された値以上だと、負荷がかかりすぎた運動をした可能性があるということです。
この表を参考にして、正しく、効果が高い運動ができるよう心がけてくださいね。

また、運動中の水分補給も忘れないようにしましょう。

トレーニングを行う際の注意点

コグニサイズに取り組む際は、以下の10点を意識しましょう。

  1. まずは、無理をせず、徐々に行うこと
  2. 開始前に、怪我防止のためストレッチを行うこと
  3. 実施の合間に休憩を挟み、水分を補給すること
  4. 体が痛み出したら、休憩すること
  5. 体を動かしている最中、転倒に注意すること
  6. 短時間でも、毎日行うこと
  7. 容易にできてしまうよりも、「少しきつい」と感じるレベルの運動を実施すること
  8. 慣れたらほかの課題を行うこと
  9. 運動の内容はいくつか取り入れること
  10. そして最も大切なのが、継続することです

コグニサイズを実践してみましょう

ジャージ姿でランニングする老夫婦

コグニサイズはどのような運動や、認知課題でも良いとされています。

とはいえ、どうすればいいの?と思われることでしょう。

ここでは、コグニサイズの運動例を紹介していきますね。

コグニウォーク

まずは、「コグニウォーク」です。

やり方は、上半身を起こし、腹筋をしめながら手足をしっかり動かすように心がけ、通常よりも大股で歩きながら、しりとりや計算などの課題を解いていきます。

実施人数は3〜5人の複数人グループが最適とされています。

コグニステップ

「コグニステップ」は、まず、両足で立ちます。そして数字を数えていきます。

「1」で右足を右横に出し、「2」で右足を元の位置に戻します。

そして、「3」で左足を左横に出し、「4」で、左足を元に戻す…という行程を1セットとします。

さらに、3の倍数のときには、ステップと同時に拍手をします。

コグニラダー

「ラダー」とは、はしごの意味。

等間隔のマス目をはしごのように作ったヒモを用意します。ヒモがなければ、ビニールテープなどで、床にマス目(1マスは横40cm、縦65cmほど)を作っても可能です。

1マス内で4歩、足を動かします。

まず1歩目は、右足を1マス目に入れる。

2歩目に左足を、右足の隣に。

3歩目は右足を一足前に。4歩目は、左足をその隣に。

そして、5歩目で次のマス目に進み、同じように足を動かしていきます。

みんなでコグニサイズ(グループコグニサイズ)

まず、5人のグループを作ります。

そして1人ずつ順番に、「1」「2」「3」「4」「5」と声を出し、数えていきます。

その際、声を出しながら、ステップ運動や、歩行、段差昇降などの運動も一緒に行います。

また、4の倍数のときは、数字を声に出さず、その代わりに「パチン」と拍手をします。

3人バージョンもあり、この場合はしりとりを応用します。

やはり運動をしながらしりとりを行うのですが、自分の発した単語だけでなく、前の人が発した単語もくっつけて言うところがポイントです。

コグニバイク

インターリハと国立長寿研究センターの共同開発で誕生したコグニバイクは、認知症のケアを目的としたスポーツ器具です。

コグニサイズの理念を元に、モニターに記憶力や処理能力などの課題が表示され、負荷や回転数が変更するペダルを漕ぎながら回答します。

コグニサイズはどこでできるの?

両腕を上にあげて笑顔のスーツ姿の若い女性と、スマホを見つめて笑顔の高齢女性

実施場所は、各自治体でコグニサイズ教室の開催予定をチェックしてみましょう。地域の住民なら誰でも参加できるはずです。

また自治体によっては、コグニサイズを教える「コグニサイズリーダー」による養成講座が開催されることもあります。

コグニバイクは、各保健センターに設置されている自治体もあるようなので、お住まいの地域の市役所の担当課などに聞いてみましょう。

ご自宅でできるものも効果はありますが、地域に出向き複数で行うことで、他者とのコミュケーションを図れるのがコグニサイズの良いところです。

健康維持だけではなく、他者とのかかわりも作れる機会としてぜひ取り組んでみてくださいね。

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