老老介護とは

老老介護の意味・定義
「老老介護」とは、介護者と被介護者がどちらも65歳以上の高齢者となっている状態のことです。夫婦や親子、兄弟など、その構成はさまざま。
75歳を超えている方同士の場合は「超老老介護」と言われています。
日本では老年人口である65歳以上の高齢者が全人口の25%を超え、4人に1人が高齢者という状況です。それに伴い、老老介護・超老老介護も増加しています。
老老介護の割合
2017年の厚生労働省による国民生活基礎調査によると、老老介護は在宅介護を行う全世帯の約5割、超老老介護は在宅介護を行う世帯全体の約3割にのぼっており、今後もこの割合は増え続けることが予想されています。
また、同年に厚労省が発表した介護保険事業状況報告によると、全国の要介護・要支援者は約636万人で、10年前の2007年と比べると約200万人増加。こちらも老老介護を加速させる要因のひとつになっています。
老老介護や超老老介護は介護する側が「介護うつ」に陥ったり、自殺や要介護者への虐待などにつながったりする可能性があります。
認認介護とは
認認介護の意味・定義
「認認介護」とは、認知症高齢者が認知症高齢者の介護を行う状態のことです。
近年では、認認介護も老老介護と同様に増えつつあります。
年々増加する認知症高齢者の割合
高齢化に伴い、日本では認知症患者数も増えており、要介護1~3で介護が必要になった主な原因として、認知症が第1位となっています。
要介護度 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | |||
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全体 | 認知症 | 17.6% | 脳血管疾患(脳卒中) | 16.1% | 高齢による衰弱 | 12.8% |
要支援1 | 関節疾患 | 20.3% | 高齢による衰弱 | 17.9% | 骨折・転倒 | 13.5% |
要支援2 | 関節疾患 | 17.5% | 骨折・転倒 | 14.9% | 高齢による衰弱 | 14.4% |
要介護1 | 認知症 | 29.8% | 脳血管疾患(脳卒中) | 14.5% | 高齢による衰弱 | 13.7% |
要介護2 | 認知症 | 18.7% | 脳血管疾患(脳卒中) | 17.8% | 骨折・転倒 | 13.5% |
要介護3 | 認知症 | 27.0% | 脳血管疾患(脳卒中) | 24.1% | 骨折・転倒 | 12.1% |
要介護4 | 脳血管疾患(脳卒中) | 23.6% | 認知症 | 20.2% | 骨折・転倒 | 15.1% |
要介護5 | 脳血管疾患(脳卒中) | 24.7% | 認知症 | 24.0% | 高齢による衰弱 | 8.9% |
また、厚生労働省の資料によると、要介護申請を行っている認知症患者は、2010年には65歳以上高齢者のうち約9.5%を占める280万人とみられ、2025年には470万人になると予想されています。
以下のグラフでは、グレーの数字が要介護申請者数、オレンジの数字が65歳以上の認知症患者数の割合について、それぞれの変遷と予測を表しています。

高齢者数全体の10%が、要介護認定を申請している認知症患者。
その実態は、在宅介護を行う介護者も認知症であることが珍しくないことを示しています。
MCI(軽度認知障害)に注意
軽度認知障害(以下、MCI)とは、認知症有症者と健常者の中間にあたるいわばグレーゾーンの段階のことです。
具体的には、「記憶」「理由付け」「実行」「決定」などの認知機能のうち、1つにおいて問題が起こっているものの、日常生活を送るうえでは問題のない状態のことを言います。
一般的に考えられているMCIの5つの定義としては、1996年にアメリカの医学者、Petersenらによって提唱されたものが有名です。
- 記憶障害が出ているとの訴えが、本人あるいは家族から認められる
- 教育レベルや年齢の影響だけでは説明のつかない記憶障害がみられる
- 全般的に認知機能は正常である
- 日常生活動作は問題なく行える
- 認知症を発症していない
MCIになっている人は65歳以上の14%、約400万人に上るとのデータもあり、高齢者にとって決して他人事とは言えません。
MCIから本格的な認知症へ移行する人の割合は年平均10%ほどで、5年間では40%ほどの人が認知症に移行しています。
MCIと診断を受けたからといって、必ず認知症を発症するわけではありません。
認知症予防に取り組むことで発症を回避しやすくなり、あるいはその発症を遅らせることができます。
老老介護・認認介護の問題点とリスク

さらに、自分から地域社会に助けを求めることが難しくなってくるので、危険が見過ごされやすくなる危険性も高まるのです。
老老介護や認認介護に直面しそうなときは、このような事態に陥る前にしっかりと対処することが大事です。
では、どんなリスクがあるのか、さらに詳しく見ていきましょう。
介護に必要な時間が増える
- 介護者の体力の消耗が大きくなり、また体の動き自体が遅いので介護に時間がかかってしまう
- 介護に時間がかかることで、介護される側の負担も大きくなる
- 介護度が重くなればなるほど、お互いの負担が重くなってしまう
精神的・身体的に疲労する
- 自分一人で介護をしなければならないというプレッシャーや、要介護者の言動に我慢ができなくなる
- ケアマネージャーなど介護スタッフと相性が合わない
- 要介護者が深夜に起きてしまったりする影響で睡眠不足に陥りやすい
- 体を持ち上げたりすることで腰・膝・腕などに負担がかかる
介護者が家の中に閉じこもりがちになる
- 介護に追われる生活になるので、社会との接点が少なくなる
- 家の中で過ごす時間が増え、筋力や体力が低下してしまい、身体機能が低下する
- 趣味などに取り組む余裕がなくなる
- 心身への負担の大きさや社会からの刺激がなくなることから、うつ状態になりやすくなる
介護者も倒れる「共倒れ」が起こる
- 介護者の年齢も高いので、心身への負担に耐えきれずに倒れてしまう危険性が高くなる
- 介護する人がいなくなると、要介護者が生活できなくなる
認認介護は事件を引き起こす可能性も

認認介護は、認知症の度合いにもよりますが、お互いがお互いを介護するどころか、自分のことさえも認知できない状況になっている可能性が高くなります。
例えば双方で「食事をする」という記憶ができていなければ、低栄養状態になり命を維持することが難しくなってしまいます。
また、火の不始末や介護放棄、虐待なども起こりやすいと言われており、実際に認知症の夫の介護をする認知症の妻が、排泄介助を嫌がる夫を殺害してしまった事件も報告されています。この事件では、妻は自分が行ったことや夫の死なども認知できない状態だったそうです。
このように、「認認介護は大変だ!」では済まされない深刻な事態となってきているのです。
老老介護の解決策
老老介護で大切なのは、共倒れにならないように負担軽減策を選択していくことです。
家族のためだからといって無理をしてしまうと、相手の介護ができなくなるばかりか、自分自身の状態も悪化してしまいます。
そこで、これから老老介護で必要な負担軽減の方法を具体的に説明します。
治療が必要なときは病院へ行く
高齢者は体調が悪くても我慢して、悪化してしまうケースが少なくありません。
本人はたいしたことはないと感じていても、実際には治療や介護が必要な状態になっている場合がしばしばあります。
日常的に体調管理を行うためには、かかりつけ医を持って、医師による健康管理や指導を受けるようにしましょう。
身近で信頼できる医師の存在は、老老介護で負担が大きくなった高齢者の健康維持に役立ちます。
プロ・専門家に相談する

介護について悩みごとや困りごとがある場合は、気軽に介護の相談窓口を利用しましょう。
地域には介護支援サービスを提供する拠点が複数あります。
医療、介護、生活のことなどの些細な問題でも、相談を通して適切なサービスや機関につないでもらえることがあるため、積極的に利用してみてください。
ケアマネージャー・居宅介護支援事業所
老老介護を続けるとき、ケアマネージャー(ケアマネ)は強い味方になってくれる頼もしい存在です。
ケアマネは介護の専門職で、在宅介護を続ける際、訪問介護や通所介護をはじめ本人の状況や家族の希望にマッチする適切なサービスを提案してケアプランを作成します。
居宅介護支援事業所では、ケアプランの作成をはじめ、利用したい介護サービス事業者との連絡調整を行います。
このほか、さまざまな手続きの代行など、老老介護で必要な介護や生活支援を支えてくれる施設です。
医療機関の相談室
病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)など、医療や介護、福祉などの専門家が常駐しています。
かかりつけの病院などの地域連携室が窓口となって、適切な介護サービスの紹介や生活全般の相談に乗っています。
「介護保険を利用していない、担当ケアマネージャーがいない」などで介護の相談先がわからない場合は問い合わせてみましょう。
老人ホームに入居する
自宅での介護を続けられなくなってきたら、老人ホームに入居することもおすすめの選択肢です。
訪問系や通所系の介護サービスよりも費用はかかりますが、介護負担を大幅に減らせるのは間違いありません。
有料老人ホームだと、夫婦二人で入居できる施設も多いです。
入居費用は施設によって差があり、介護度によっても変わってくるので、必要に応じて質問や相談をすると良いでしょう。
老老介護に悩んでいる方におすすめの老人ホーム

介護付き有料老人ホーム
要介護度が高い方や認知症の方でも定額で介護サービスを利用できるのが大きなメリットです。
本格的な介護をはじめ、食事や掃除などの生活全般で支援を受けながら安心して暮らせます。
施設では介護保険サービスのほかに医療行為も受けられるため、持病のある方にも対応しています。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護付き有料老人ホームを探す住宅型有料老人ホーム
民間が運営する介護施設で、自立の方や要介護1〜2の方を中心に幅広い介護状態の方が入居しています。
自分のニーズにあった介護サービスを選択して利用できる点が特徴です。
また、イベントやレクリエーションが充実していて、施設内の入居者間のコミュニケーションも活発なので、一般的な老人ホームのイメージに近い介護施設といえます。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説
住宅型有料老人ホームを探すサービス付き高齢者向け住宅
一般的に「サ高住」と呼ばれている施設です。
サ高住は一般の賃貸物件のように最初に敷金を支払って、その後は家賃を納めながら生活していきます。
サ高住の多くは、必要な介護サービスを外部の介護事業者と契約して利用する「一般型」と呼ばれるタイプです。
食事の提供や安否確認を提供しているため、一人暮らしでは不安な方が安心して生活できるサービスを提供しています。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や食事・認知症対応を解説(有料老人ホームとの違いも)
サービス付き高齢者向け住宅を探す認知症の場合はグループホームを検討する
認知症の方を専門に受け入れている介護施設です。
1ユニットあたり5名~9名程度の少人数で共同生活をしながら、入居者の能力に合わせて家事を分担して暮らします。
認知症のケアに精通している専門スタッフのもと、生活リハビリを通して認知症の進行を緩やかにしていくことを目指します。
なお、入居にあたっては施設がある所在地の自治体に住民票をある方が対象です。
住み慣れた地域で長く暮らし続けられるため、環境の変化に伴うストレスを抑えられるメリットがあります。
【図解】グループホームとは?入居条件や認知症ケアの特徴・居室の種類を解説
グループホームを探す
老老介護を楽にする便利な介護サービス

将来的にも増加が続くとみられる老老介護ですが、介護者が1人ですべての介護を担おうとするのは、年齢のことを考えても無理があると言えます。
疲労が溜まっていき、心身ともに限界に達してしまうと、介護虐待や共倒れといった最悪の事態を招きかねません。
さらに老老介護だと、介護者の側も何らかの持病を抱えていることが多いもの。
心身への負担が過度に蓄積しないように、そして介護者自身の持病を悪化させることがないように、介護サービスをうまく活用する必要があります。
訪問介護・訪問看護
ホームヘルパーやケアワーカーが自宅に訪問してくれるのが訪問介護や訪問看護のサービスです。
このサービスを利用することで、要介護の方は自宅にいながら介護や看護のプロからさまざまなサポートを受けることができ、介護者の介護負担を減らすことができます。
訪問介護は、食事と排泄さらに入浴支援などの「身体介助」、調理や掃除などの家事支援を行う「生活援助」、そして通院時の支援などが主なサービスです。
訪問看護では、訪問介護と同じく身体介護を受けられるほか、病状や健康状態のチェックといった医療サービスを受けられます。
また、老老介護を行っているうちに介護者が体調を崩すということも起こり得ます。「毎週火曜日と水曜日に来てもらう」など定期的な利用を計画しておけば、共倒れに陥るリスクを回避できるでしょう。
費用は、要介護状態、受けるサービス内容、自己負担割合、訪問頻度によって変わります。
ショートステイ
介護者の介護負担を一時的に軽減するために活用できるのがショートステイ(短期入所生活介護)です。
要介護者が施設や事業所に短期間入所できるサービスで、入所中は食事や排泄の介助といった身体介護を受けることができ、連続で最長30日まで滞在できます。
ショートステイは、介護者の介護疲労を和らげるために使われるほか、体調不良や急な用事などで介護が難しくなったときなどに利用されることも多いです。
また、介護を受けている人が常時医療ケアを必要とするときは、「医療型ショートステイ(短期入所療養介護)」を利用しましょう。
なお、ショートステイも医療型ショートステイも利用希望者は常に多いため、すぐには利用できない可能性があります。
「遠方に住む親戚の結婚式があるので、数日家を空けなければならない」など事前にスケジュールがわかっているときは、早めにケアマネージャーに相談し、利用計画を立てておくことをおすすめします。
デイサービス・デイケア
在宅介護を行う際に頼りになるのが、施設に通うことで介護サービスを受ける「デイサービス(通所介護)」や「デイケア(通所リハビリテーション)」です。
これらのサービスを利用することで、日中は通い先に要介護者のサポートを任せることができるので、介護者はその間に休息をとることができ、自身の持病を治療するために病院に行くこともできます。
健康面のチェックもしっかり行ってくれるので、健康維持という点でも頼りにできるサービスです。
デイサービスでは食事や排泄の介助をはじめ、入浴のサポートや機能訓練などのサービスを受けられます。
自宅への送迎を行ってくれるのが一般的なので、老老介護世帯にとっては利用しやすいと言えるでしょう。
一方、デイケアはあくまでリハビリを受けるために通所するサービスですが、送迎サービスもお願いできるほか、食事や排泄の介助なども受けることができます。
利用料金は、要介護認定の段階や利用するサービス、利用する時間の長さなどによって変わり、デイサービスは1日あたり数百円~2,000円ほどで、デイケアはデイサービスより数百円ほど高いという価格設定です。
老老介護が増加する原因
なぜ、老老介護は近年増加しているのでしょうか。
その原因について見ていきます。
平均寿命と健康寿命の差

「平均寿命」とは、発表される年の0歳もしくは出生時の平均余命と定義されます。
2019年に厚生労働省が発表した2018年のデータでは、男性の平均寿命が81.25歳、女性が87.32歳で過去最高の数字となっています。
厚⽣労働省が毎年発表する「⾼齢社会⽩書(2014年版)」では、2050年には⼥性の平均寿命が90.29歳と90歳を超えると予想。
健康寿命の伸びが見られる一方で、日常生活で介護を受けずに生活できる「健康寿命」は、2016年で男性72.14歳、女性74.79歳となっています。
つまり、平均寿命の差が男性で約9年、女性においては約13年もあるのです。
平均寿命と健康寿命との差はそのまま介護が必要な期間を指します。高齢化に伴い介護を必要とする人が今後ますます増加することは、以下のデータからも明らかです。

歳の差婚で、夫婦の年齢がもともと15歳以上も離れていると、老老介護にならないこともあります。しかし、夫婦の年齢が近い場合、お互いが65歳以上になり、介護される側も介護する側も65歳を超えているという世帯が出てくるのは想定できます。
時代の変化に伴い、2世代同居や3世代同居が少なくなり、親と同居しない夫婦とその子どもで構成される「核家族化」が進んでいますので、老老介護の世帯が増えていくのは当然なのです。
経済的な余裕がない
老老介護の大きな原因のひとつに、経済的な問題があります。
家族の介護負担を軽減するため、本来であれば在宅介護ではなく施設介護が望ましいケースも多く見られます。
しかし、施設への入居や介護サービスを利用するためにはある程度の費用が必要です。
経済的な余裕がない場合、介護を家族でカバーしていかなければなりません。
生活費や医療費で家計が苦しくて、介護にまでお金を回せないといった家庭では、高齢の夫婦や家族同士の介護となってしまうのです。
【貯蓄や年金以外から】老人ホームの費用捻出(リバースモーゲージ・リースバック・ローン)
相談できる人がいない・相談しづらい
家族の困りごとを友人や知人に話すのは勇気がいることです。
特に入浴や排泄などのプライバシーにかかわる悩みごとは「第三者に頼りづらい、介護の経験がなければ話を理解してもらえない」と諦める方も多いようです。
また、核家族化が進んでいる現代では、親子で離れて暮らしているケースが増えています。
子どもに頼ったり、相談したりしづらい家庭が増加していることも、孤立して老老介護せざるを得なくなる原因のひとつとなっています。
長寿大国ゆえに起こる問題
近年、成人しても未婚のまま中高年になる人が増えてきています。
こうした場合起こりうるのが、親と未婚の子どもが同居している世帯の増加です。
老老介護は高齢の夫婦のみで構成される世帯だけでなく、2世代同居をしている世帯でも起こりうる問題です。
例えば、現在96歳の女性が子どもを20歳のときに出産していたとしたら、その子どもは現在、76歳ということになります。
長寿国日本だけに、その子どもも既に介護が必要になるケースも出てきているのです。
老老介護を未然に防ぐための対策

老老介護を未然に防ぐためには、どうしたら良いでしょうか?
続いては、今日から始められる老老介護予防のための具体的な対策についてご紹介します。
心身の健康に気を遣う
日頃から、生活のなかに頭や体を使った活動を取り入れるようにしましょう。
散歩やウォーキング、体操など軽い運動は身体機能を維持してフレイルを予防するのに役立ちます。
また、「文章を書く、歌を歌う、家庭菜園やボランティア活動をする、ゲームや手芸で手先を使う」など自分に合った趣味を続けるのも効果的です。
こうした運動や趣味は、できるかぎり家族や友人と一緒に行うようにしましょう。
コミュニケーションを図りながら楽しい時間を過ごすと、メンタル面での安心感が増すほか、一緒に参加した人も相手の体調の変化や困りごとに気づきやすくなります。
介護について家族で共通認識を持つ
病気や怪我によって突然介護が必要になる場合は少なくありません。
親の立場からは「できるだけ在宅介護で生活したい」「介護が必要になった場合は、遠くに暮らす子どもと同居したい」といった希望があるでしょう。
一方で、子どもの立場からも「介護のため同居して在宅介護をしたい」「遠距離で生活をしているため、介護が必要になったら施設への入居を考えて欲しい」など、それぞれの希望があるはずです。
いざとなったとき、家族の気持ちがすれ違いになって、介護が宙に浮いてしまう事態に陥らないためにも、元気なうちから介護に関する話し合いをしておきましょう。
介護に関する知識をつける
家族が同居して在宅介護をする場合でも、遠距離介護や施設介護を選択する場合でも、基本的な介護の知識を身につけておくことが大切です。
ある程度の知識を持っていなければ、いざ介護が始まったときにどのようにケアすれば良いかわからないからです。
また、介護サービスを利用する場合でも、介護保険のしくみや介護サービスの種類を知っておけば、ケアプラン作成や本人の希望に合ったサービスを見直す際に大いに役立ちます。
自治体や地域の社会福祉協議会などが主催する介護セミナーに参加したり、介護関連の書籍をチェックしたり、日頃から介護の知識やスキルを吸収する意識を持っておきましょう。
行政によるサポートや対策

行政が行っている老老介護、認認介護へのサポートや対策はどうなっているのでしょうか。
続いては、困ったときに役立つ行政の地域のサポートサービスについて見ていきましょう。
まずは地域包括支援センターに相談
厚生労働省が中心となり、高齢化が急速に進んでいることへの対応策として「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。
これは住まい、医療、介護、予防、生活支援を一体的に地域が提供する体制のこと。
そして、そのための中核的な存在のひとつとして全国の自治体に設置されているのが「地域包括支援センター」です。
地域包括支援センターは一言で言えば「介護のよろず相談所」。
老老介護や認認介護に直面して不安を感じたら電話やメール、あるいは訪問によって最寄りの地域包括支援センターに相談しましょう。
【相談事例あり】地域包括支援センターとは?4つの役割と利用対象者などをわかりやすく解説
近所付き合いが早期発見につながる
核家族化が進んでいる現在、子どもがいても同居が難しいケースも多く、子どもが実家を離れて都市部など遠くに住んでいるということも多いです。
もし遠距離で生活している両親の老老介護や認認介護の生活状況が心配なら、安否確認を日頃からしっかりと行わなければなりません。
「このまま2人で生活し続けるのは心配」と思った場合には、地域包括支援センターに相談しましょう。
要介護認定を受けているならばケアマネージャーに相談します。
また、近年ではボランティアやシルバー人材センターによる高齢者の見守り活動を行っている自治体も多いです。
両親が住んでいる自治体ではどのようなサービスを受けることができるのか、内容を把握しておくと良いでしょう。
そしてできれば頼りにしたいのが、近所に住む方などの協力です。近所の方に日頃から両親に声をかけてもらい、コミュニケーションをとってもらえば、それが安否確認となります。
帰省したときは近所の方を訪ねて、良好な関係を築いておくことも大切だと言えるでしょう。