入居一時金が0円の老人ホームが多数!
江戸時代から宿場町として栄えていた太田市は、群馬県内では、高崎市や前橋市に次いで第三の都市とされています。
20世紀に入ると、富士重工業が拠点を置いたため、企業城下町へと変貌を遂げ、今でも北関東では指折りの工業都市として、多数の製品を世界に送り出しています。
しかし、農業地帯も多く残っており、温泉を利用した観光地としても機能。「おおた芝桜まつり」のような、自然の美しさを楽しめるイベントもあり、定年退職後に余生を長く楽しむ場所として選んでも決して後悔はしない場所です。
自動車産業が発達した都市であるにもかかわらず、長い間市内には高速道路が建てられなかったという珍しいエリアでしたが、2008年と2011年に北関東自動車道が延伸され、遠方への移動が一気に便利になりました。
工業都市として多数の勤労者とその家族を集めてきた太田市では、その全員がいつまでも幸せに暮らせるように、市の行政も高齢者福祉にさまざまな政策を打ち出しています。
例えば、介護者に対しては介護慰労金の給付・介護教室の開催・介護者交流会の開催などを行っていますが、広報担当者の努力が実を結んで、毎年何十~何百という市民がこれらの制度の恩恵を受けています。
また、認知症高齢者への支援も熱心に行っており、発見のためのスクリーニングや、予防のためのプログラムを、一般市民を対象に提供しています。
太田市で老人ホームや高齢者向け住宅を探すと、入居一時金が発生しない施設もあり、毎月の使用料についても低額で賄える施設が少なくないという傾向があります。
駅から近い施設があまり多くはなく、以前と比べてバスの路線や本数が減ってしまってはいますが、工業都市でありながら美しい自然環境が残されており、健康的な老後を楽しめる条件がそろっている土地のひとつです。
高齢者人口は約5万8,000人、高齢化率は26.3%
太田市は、自動車メーカー・SUBARUの企業城下町で、北関東屈指の工業都市。「特急りょうもう」が止まる交通アクセスの中心となる東武鉄道の太田駅からは4方向へと路線が伸びており、群馬県東部の交通の要衝になっています。
東京都心まで行く際は、熊谷駅や籠原駅から高崎線に乗り換える人が多く、熊谷駅から上野駅まで約60分、新宿駅までは約75分。SUBARUの企業城下町ということもあり、自動車で移動する人が多いのも特徴です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
人口は約22万人で、群馬県では高崎市、前橋市に続いて3番目に人口の多い街ですが、65歳以上の高齢者が増えており、0歳から64歳までの人口は減っています。
2000年から2010年までに高齢者人口は3万1,301人から4万3,797人まで増加し、高齢化率は14.9%から20.3%まで上昇しました。
2023年には高齢者人口が5万8,556人、高齢化率は26.3%となっていますが、今後も高齢者は増え続け、高齢者だけの世帯や認知症高齢者が増えると懸念されています。
要支援・要介護認定者は年々増加中
全国的に老老介護による共倒れや、一人暮らしの高齢者の孤独死などが問題となっている今、太田市では介護保険サービスを中心とした高齢者の生活支援を実施しています。
要支援1から要介護5まですべての階級で増加しており、将来推計では今後も増え続けると予測されています。
団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年以降には、要支援・要介護認定者が大台に乗り、1万1,000人を超える予測です。
介護保険サービスは訪問介護やショートステイなどの「居宅サービス」、認知症対応型デイサービスなどの「地域密着型サービス」、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などの「施設サービス」の3つに分類されますが、太田市ではそれぞれで利用者が増えています。
自宅で生活する高齢者や、在宅介護を行っている家庭が多いため、特に居宅サービスを利用する人が多いのが現状です。
介護と同時に看護や医療サポートが必要な人も多いことを考慮し、太田市は介護と医療の連携を行い、介護や医療サービスを提供する事業所の増設や、介護や看護に携わるスタッフの増員などを推進。訪問看護や訪問・通所リハビリテーション、居宅療養管理指導などのサービス量を増やそうとしています。
その他にも、太田市ではバリアフリー化工事の費用を助成する「住宅改修」や、介護ベッドなどが借りられる「福祉用具貸与」など、いろいろな介護保険サービスを実施しています。
「ふれあい相談員人」を養成し一人暮らしの高齢者を支援
太田市では、高齢者が健やかな生活が送れるように、医療や介護、介護予防、住まいの確保など、多方面からサポートできるよう「地域包括ケアシステム」を構築中です。
サポート内容は種類が豊富で、高齢者の生活を支える実用的なサービスも数多く用意されています。
「寝具丸洗い乾燥」では、65歳以上の一人暮らしの高齢者や、寝たきりの人を対象に、布団を丸洗い・乾燥してもらえます。
利用できる回数は決まっていますが「自分ではなかなか布団の乾燥などができない」という高齢者に好評のサービスです。
また、火災報知器や電磁調理器などの「日常生活用具の給付」も実施。利用者はあまりいませんが、生活困窮者や、認知症なので火災を起こす危険性があると判断された高齢者などに無料で給付しています。
さらに、高齢者地域福祉自立支援事業では、「ふれあい相談員人」を養成しており、一人暮らしの高齢者などの自宅を訪問し、安否確認や相談を行っています。
一人暮らしの高齢者は増加の一途を辿っていることがわかっており、窓口となっている「元気おとしより課」では、「ふれあい相談員人」の増員を目指しています。
そして、「通院支援サービス」では、通院が困難な高齢者を病院まで送迎。月ごとに利用回数の限度がありますが、交通アクセスの発達していない場所に住む高齢者などが活用しているサービスです。
「訪問指導」「機能訓練」などのリハビリテーションも積極的に実施
太田市は、介護状態にならないこと、要介護状態が悪化しないことを目標として、介護予防活動やリハビリテーションを推進しています。
これは「介護状態となった原因は病気」という人が多いことを受け、インフルエンザの予防接種や、健康診査、胃がんなどのがん検診などを推進するもの。高齢者の増加と、普及活動により、受診率が増えています。
足腰の筋力維持のため、歯科医師や理学療法士などによる「訪問指導」や「機能訓練」などのリハビリテーションも積極的に実施中です。
また、仲間づくりや社会への参加意欲の増進なども認知症予防や介護予防につながるため、介護予防活動や趣味活動などを行う「老人クラブ」や、高齢者の集いの場となっている「老人福祉センター」、高齢者の学習意欲を満たす「生涯学習」などの活動を支援・推進しています。
老人クラブではゲートボールなどのスポーツを通じた健康づくり、清掃活動などの社会奉仕活動、小中学生とともに行う「昔の遊び」の再現など、多様な活動を行っており、高齢者の活躍の場にもなっています。
「老人福祉センターかたくりの里」や「藪塚いこいの湯」などの老人福祉センターは、65歳以上の高齢者に配布された「げんき手帳」を提示すれば無料で利用可能。健康体操やカラオケ大会、ダンスサークルの活動、芸能発表などを開催し、高齢者の居場所づくりにも貢献しています。
太田市の高齢者相談
太田市では、高齢者が気持ちよく福祉サービスを利用できるよう、相談窓口を設置。介護福祉課の苦情処理相談窓口では、介護保険サービスや高齢者向けの支援サービスを利用した際の苦情を受け付けています。
これは第三者として市のスタッフなどが相談者とサービスを提供する事業所の間に入り、状況に応じた解決を促すシステムで、「訪問介護を頼んでいるが、ヘルパーさんが怒鳴ってばかりで怖い」といった相談ができます。
また、「介護相談員派遣事業」により、介護相談員が高齢者宅に訪問。介護サービスの提供事業所に対する不満などを、高齢者から直接相談員が聞き、問題解決のための橋渡しをします。
介護相談員は、福祉や医療の資格保有者ではないので、高度に専門的な話はできませんが、「高齢者の優しい話し相手」として訪問するため、一人暮らしの高齢者なども話しやすいと評判。アドバイザーというよりは同じサービス利用者として話を聞いてくれるので、「わかってもらえる」と好評のようです。
その他にも、シルバー人材センターでは高齢者の就労相談を実施していますし、太田市が健康相談や法律相談、行政相談など、さまざまな相談を行っています。どの相談もほぼ無料なので利用しやすいのが魅力でしょう。