認知症の方でも入れる老人ホーム
認知症の方が入れる老人ホームとして、グループホームや介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどがあります。
施設には認知症に詳しいスタッフも多くおり、適切なケアを受けることができます。
それぞれの施設の特徴や入居条件について以下で詳しく解説していきます。
グループホームは認知症専門老人ホーム
グループホームは認知症の方のみを対象とした地域密着型サービスの1つです。
入居条件は、認知症であることのほかに、65歳以上であること、要支援2以上であることです。
そのほかにも、施設と同じ地域に居住している(住所を有している)ことが条件として設けられており、住み慣れた地域で介護を受けながら生活を送ることができます。
ほかの介護施設との大きな違いは、入居者が専門職員の援助を受けつつ5人から9人の「ユニット」で共同生活をするところです。
認知症の進行を遅らせたり、症状を安定させたりする目的で職員のサポートを受けながら、家事などの身の回りの生活を入居者主体で行います。
グループホームの費用
グループホームは、入居の際に入居一時金や保証金などの費用がかかります。グループホームの初期費用と月額利用料の目安は以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
8.1万円 | 11.9万円 |
月額利用料は、都市部ほど高くなる傾向にあり、地方や郊外で10~15万円、都市部では15~30万ほどかかります。
そのほかの費用としては、医療費、おむつなどの消耗品代、散髪代などが別途かかるので事前に確認しておきましょう。
【図解】グループホームとは?入居条件や認知症ケアの特徴・居室の種類を解説
グループホームを探す介護付き有料老人ホームは手厚いケアを受けられる
有料老人ホームのなかで最も数が多い介護付き有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護(特定施設)に指定されています。
特定施設とは、入居定員が30名以上で、設備やサービス内容が一定基準を満たす施設のことです。
特定施設での介護費用は月額利用料に含まれているため、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅にくらべると比較的安価だと言えます。
介護付き有料老人ホームは、身体状況が比較的重度の方でも対応しており、サービス面も充実しています。
なかには、看取りまで行ってくれる施設もあり、症状が悪化しても住み替えの心配がなく安心です。
有料老人ホームは民間の企業が運営しているケースが多く、差別化の一貫として食事やイベント、レクリエーションなどが充実しており、有意義な毎日を送ることができます。
介護付き有料老人ホームの費用
介護付き有料老人ホームは、初期費用として必要な入居一時金の金額に幅があることが特徴です。
施設によって0円から数百万円まで相場が異なりますが、主な費用相場は以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
30万円 | 20.1万円 |
一方で、月額利用料は要介護度に応じた介護サービス費が含まれており、支払いは毎月一定額です。
月額利用料の相場は15万円から30万円となっています。
介護付き有料老人ホームは民間施設のため、施設の規模や設備の充実度、サービスの内容などが幅広いです。
そのため、入居一時金や月額利用料は施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護付き有料老人ホームを探す特別養護老人ホームは費用を抑えたい方向け
公的施設である特養は、24時間の介護サービスの提供を目的とした施設です。
特養の入居要件に当てはまるのは要介護3以上の65歳以上の高齢者ですが、条件を満たせば特例で要介護2以下で入居できるケースがあります。
なお、64歳以下の方でも特定疾病の場合は入居できる場合があり、初老期の認知症も入居対象になるケースもあります。
特養では常駐の看護師が配置されているので、一部の医療ケアも受けられます。
食事や排泄、入浴介助をはじめ食事の用意や清掃といった生活支援も提供しているほか、医療的ケアもあるので持病がある方、「終の棲家」として老人ホームを探している方にもおすすめです。
特別養護老人ホームの費用
特養の入居一時金は0円ですが、月額利用料は居室タイプによって決まっています。
居室タイプ別の月額利用料の目安は以下の通りです。
賃料 | 食費 | |||
---|---|---|---|---|
ユニット型 個室 |
ユニット型 個室的 多床室 |
従来型個室 | 多床室 | |
6万1,980円 | 5万1,840円 | 3万6,930円 | 2万7,450円 | 4万3,350円 |
このなかでも「新型特養」とも呼ばれている新しい「ユニット型」は、完全個室で少人数ケアを特色としています。
共有のリビングスペースの周囲に個室タイプの居室があって、プライバシーの確保もできます。
このように、ユニット型は一人ひとりに合わせた手厚いケアを提供しているため、多床室が中心である従来型よりも割高のケースが多いです。
【わかりやすく解説】特養(特別養護老人ホーム)とは?入所条件・費用・申し込み方法
認知症の方が施設で受けられるケア
実際に、老人ホームでどのような対応がとられるのか、具体的な事案をもとに施設で行われる対策について見ていきましょう(あくまでも一例です)。
認知症の進行を遅らせるためのリハビリ
認知症の受け入れに対応している施設では、認知症の進行を遅らせるためのリハビリも提供しています。
認知症の症状は、リハビリやレクリエーションなどで症状の進行を緩和することができます。
介護職員のサポートを受けながら家事や身の回りのことに取り組む生活リハビリテーションもその一例です。
イベントやレクリエーションの内容として、運動療法や音楽療法、園芸療法をはじめ脳トレやパズルといった頭を使う作業を通して脳に刺激を与えるケアが行われています。
認知症の諸症状の抑制
入居当初は特に、認知症による症状の一種である「帰宅願望」が出ることも多く、新しい環境に慣れない方もなかにはいます。
帰宅願望がある方に対しては、気持ちを押さえつけるのではなく、まず介護職員が「帰りたい」という気持ちを受け止めながら話を傾聴するところから始めます。
そして、「ご家族がお部屋を取ってくれましたから泊まっても大丈夫ですよ」など、丁寧に説明を繰りかえし、安心感を得てもらいます。
ほかにも徘徊やせん妄など、認知症によるさまざまな症状にも対応してもらえます。
認知症の対応可能な施設では、認知症の症状の対応に詳しいスタッフが多く、症状の悪化を防ぎながら、適切に対応してもらえるので安心です。
入居者同士のトラブルの抑制
それぞれに個室がある施設でも、リビングルームや食堂は共用となることが多いため、ほかの入居者と顔を合わせる機会は多かれ少なかれあります。
共用スペースでは入居者同士が交流する一方、認知症の方が予想もしないトラブルを起こすこともあります。
そんなトラブルを未然に防ぐために、共用施設には必ず1人以上の職員が目を配る必要があります。
また食事の際、人によっては他人の食事を食べてしまったり、落ち着いて食事ができなくなったりすることもあります。
これに対しては、食事のときは職員がテーブル1つあたり1人以上つき、食事の見守りや介助を行っています。
施設で認知症ケアを受けるメリット
老人ホームでは、トラブルを防ぐための対策を行っているだけではなりません。
老人ホームという環境自体が、認知症の方に良い影響を与えるのです。以下、例を見ていきましょう。
人とのかかわりが生まれる
人と関わることは、日々の生活において脳への刺激となります。
ほかの入居者や介護職員がいる場での生活は、人とのかかわりが生まれるもの。
食事やレクリエーションでのかかわりが脳への刺激となり、認知症の進行を防ぐことが期待されます。
総合的ケアを受けられる
介護施設の献立は基本的に栄養士が考案しているので、どの施設でも栄養バランスの取れた食事が提供されます。
健康的な食生活を送ることが、症状改善のきっかけに繋がることも少なくありません。
専門的ケアに加え、基本的な生活習慣で体の状態を改善できる総合的なケアが受けられるのが、施設で認知症ケアを受けるメリットといえます。
24時間ケアを受けられる
施設によって異なりますが、特養や介護付き有料老人ホームでは24時間介護サービスが提供されています。
在宅で24時間ケアを行うのは大変ですが、施設ではスタッフが何人もいるので、深夜に何かトラブルが起きたときでも安心です。
なお、施設のスタッフは介護のプロのため、より一人ひとりに合ったケアを提供してくれ、入居者からしても安心です。
24時間介護士常駐の施設を探す意欲を引き出すイベントやレクがある
認知症になり、何事へも興味がなくなったり、ふさぎ込むようになって無気力状態になることも珍しいことではありません。
ただ、その状態が長く続いてしまうと認知症の症状がさらに進行する原因になります。
老人ホームでは、日々レクリエーションや各種イベントが行われており、これらのイベントを通して意欲を引き出すことができます。
認知症の方が施設に入居するタイミング
施設探しはできるだけ早めにスタートさせましょう。
在宅介護を続けると、介護者自身が体調を崩したり、ストレスを溜め込んで精神的にまいってしまう可能性もあります。
家族の負担が限界に達してからでは、心の余裕を持って施設選びをすることがかなり難しくなります。
また、認知症が進行すれば入居する本人の意思を施設選びに活かせません。
早めから施設をいくつかピックアップしておき、いつでも入居できるように備えておくことが大切です。
希望条件に合う施設を探す要介護度が上がったら検討する
施設入居を検討するタイミングの目安は、要介護度が上がった時点です。
現代の医療では、認知症の症状進行を遅らせることはできても完治は困難です。
したがって、薬物療法やリハビリで進行を緩和させながら、将来的には施設への入居をイメージしておく必要があります。
さらに、徘徊や被害妄想、暴言・暴力など重度の症状が現れると、家族による介護だけでは肉体的にも精神的にも限界が訪れるでしょう。
そのため、介護状態の目安となる要介護度が上がった段階で、プロの介護サービスを利用すべきかどうか、施設介護を検討することをおすすめします。
介護者の体調に影響が出る前に検討する
認知症の介護は家族にも負担が大きいです。
症状の進行に合わせて、仕事やプライベートの時間もなくなり、人生設計にも大きく影響します。
認知症の方は、認知機能の低下といった症状以外は元気なパターンが多く、それだけに介護の負担が大きいです。
常時介護が何年も続いている、肉体的・精神的に追い詰められている、家族の介護を続けていて自分も高齢者に近づいてきた、といった場合は早急に施設介護を検討しましょう。
認知症対応可能な施設を探す入居する本人と検討することが大切
施設探しで大切なことは、実際に入居する本人と一緒にどのような施設に入居するか検討することです。
もし本人が入居を嫌がり、無理矢理入居させてしまうと、そのストレスで症状が悪化してしまう場合もあります。
本人と家族、両方の精神状態を良好に保つことが介護生活には必須です。入居する本人と家族で一緒に考え、最良の施設を選びましょう。
認知症ケアを提供している施設の選び方
認知症ケアを受けるための良い介護施設を見極めるのに必要なのは、入居を決める前に必ずその施設を見学することです。
認知症ケアが適切に行われているどうかを判断するには、以下の10のポイントを重点的にチェックしておきましょう。
1.入居者同士の交流があるか
老人ホームでは、多くの高齢者と同じ場所で生活を送ります。
ほかの人との交流が、認知症の進行を遅らせたり症状を和らげるために重要です。
ところが、介護職員と入居者間の交流しかない、入居者同士でただ同じ場所で生活をしているだけという施設もあります。
認知症ケアが適切に行われている施設を見極めるには、入居者同士で交流を行っているか、そして職員が入居者同士の交流を促しているかどうかをチェックしてみましょう。
2.職員の表情がどうか
認知症の人に対しては、ゆったりと余裕をもった対応をすることが基本です。
見学時は、入居者に対して職員が丁寧に対応できているかどうかをチェックしましょう。
また、対応の際の職員の表情もポイントです。
笑顔で対応し、かつ話し相手である入居者と目線の高さをあわせていれば、認知症ケアへの期待が持てる施設と考えても良いでしょう。
3.いざというときの対応はどうか
徘徊や入居者同士のトラブルは、いつでも起こり得ます。
入居当初は徘徊などの症状が出ていなくても、認知症が進むにつれて徘徊をするようになる可能性もあるため、いざという時の対応がどうかは重要です。
トラブルが発生したとき、誰がどのように対応するかどうかは入居前に必ず確認しておきましょう。
4.清掃が行き届き臭いは問題ないか
施設見学時には、施設内に異臭が漂っていないか・掃除がきちんとされているかを確認しましょう。
特に、食事や排泄物の処理ができているかどうかが異臭に大きく関わります。
ゴミやほこりの除去など、定期的に掃除が行われ、施設が綺麗に保たれているかどうかのチェックが必要です。
5.施設の評判がどうか
施設の評判をケアマネージャーに確認すれば、客観的な立場から嘘偽りない情報を得られることがあります。
また、チャンスがあれば近所の人などにも聞くことをおすすめします。
施設の普段の雰囲気やスタッフの日頃の対応などの面で、かなり精度の高い情報を得られるかもしれません。
6.過去にどんな退去事例があるか
見学時に、これまでどのような退去ケースがあったのかを確認しましょう。
退去勧告を受けてしまった場合、新たな施設を探すことは入居者にも家族にも負担がかかります。
暴言や暴力で退去する方が多いのか、最期まで入居して亡くなる方が多いのかなど、可能な限り聞きましょう。
プライバシーに配慮して個人情報までは教えてくれませんが、ちゃんと納得してから入居してもらえるような説明をしてくれるはずです。
7.徘徊対策はされているか
徘徊への対策が十分に取られているかどうかも重要なポイントです。
徘徊により老人ホームの外に出てしまわないように、夜間における玄関の施錠を行っている施設かどうか確かめましょう。
施設によっては、認知症の方のみが居住している専用のフロアを設けている場合もあります。
そのような施設だと、徘徊対策も抜かりなく行っていることが多いです。
8.認知症のケア方針はどうか
近年、介護業界では認知症を発症している方を1人の人間として尊重し、その方の視点や立場を理解したうえでケアを行う「パーソン・センタード・ケア」という考え方が主流となってきました。
この理念を積極的に取り入れている老人ホームでは、認知症の方に寄り添い、本人の気持ちを第一に考えたケアを実践しています。
こうした施設であれば、入居者の家族も安心して介護を任せることができるでしょう。
また、同じ程度の要介護度や認知症の進行度の入居者同士で少人数のグループをつくり、共同生活をしてもらいながら介護を提供する「グループケア」という手法もあります。
認知症ケアの方針は施設ごとに違っているので、各施設がどのような考え方で介護を行っているのか、入居前に確認しておきましょう。
9.介護スタッフをどう育成しているか
認知症ケアを行うには、専門的なスキル・知識が欠かせません。
認知症への対応力が高い施設では、介護スタッフに対する教育・育成の仕組みがきちんと整っていることが多いです。
老人ホームに見学に行ったとき、所属する介護スタッフに対して日頃からどのような研修を実施しているのかを確かめましょう。
もし育成カリキュラムを設定しておらず、本人の努力に任せているという施設は要注意です。
介護スタッフごとに認知症ケアの水準にばらつきがあり、入居後に満足のいく介護を受けられない恐れがあります。
10.有資格者の人数はどうか
さらに認知症ケアの専門資格である「認知症ケア指導管理士」が介護スタッフの中にいるかどうかも重要です。
専門資格を持つ介護スタッフがいる場合、資格の取得を重視・奨励し、認知症ケアの水準を向上させようとする施設側の姿勢も読み取れます。
有資格者の有無を確かめることは、介護スタッフの質もさることながら、施設側の認知症に対する取り組み方を確認することにもつながるのです。
施設を探すときの注意点
施設を選ぶときのポイントがわかったところで、続いて施設を探すときの注意点を解説していきます。
「認知症受け入れ可」の記載があっても入居できないことがある
在宅介護はもう限界で、老人ホームを利用したいけれど認知症高齢者は受け入れてもらえるのか、という心配をしている方も多いのではないでしょうか。
老人ホームを探してみると、「認知症受け入れ可」と明記している施設が数多くあります。
そのような施設では、基本的に認知症の方でも利用できますが、症状が重く、徘徊や暴言・暴力など、介護職員やほかの入居者に大きな影響を与える行為がみられる場合には、入居を断られることもあるので注意が必要です。
また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などでは、認知症受け入れ可であっても要介護度による制限を設けていることがあります。
認知症の受け入れ可否のほか、受け入れ可能な要介護度も併せてチェックしておくのがおすすめです。
認知症対応可能な施設を探す徘徊の症状がある方は「認知症専門フロア」があるか確認する
認知症受け入れ可の施設には、公的施設である特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、民間の有料老人ホームなどがあります。
特養や老健、有料老人ホームの一部では、より専門的なケアを受けられる認知症専門フロアを設置しているところも。
認知症の方だけを同じフロアでケアすることで、認知症特有の症状である徘徊対策がしやすく、プライバシーを守りながら見守りがしやすいなどのメリットがあります。
フロアを限定することにより、専門的かつ継続的な認知症ケアを提供できるので、認知症専門フロアや認知症専門棟があるかどうかを施設探しのチェックポイントにしても良いかもしれません。
「老人ホームに入居すると症状が進む」は誤解
「老人ホームへ入居すると認知症の症状が進む」という噂を聞いたことはありませんか。
老人ホームへの入居をきっかけに認知症の症状が悪化すると誤解している方がたまにいますが、施設に入ったからといって認知症が進行するわけではありません。
仮に認知症が進んだように見えるケースでも、実際には進行していないケースが多くあります。
焦らずに済むように、どんな誤解があるのかを知っておくことが大切です。
そうすることで、無駄に不安を感じることがなくなりますよ。
なぜプロの介護が受けられる施設介護で症状が進行してしまう、といった誤解があるのでしょうか。
以下で、理由を2つ紹介します。
自宅での方が自分で生活できていたように見える
入居してから、自宅でできていたことができなくなり、認知症が進行したと思ってしまうケースがあります。
誰しも、新しい環境、対人関係になると、これまでできていたことができなくなることがあるのは当然です。
これは、認知症が進行したのではなく、新しい環境や対人関係にまだ慣れていないだけのため、時間が経つと以前のように生活できるようになるでしょう。
ぼーっとしているように見える
入居後に、在宅介護のときに服用していた薬を変更するのはよくあることで、薬の副作用によってぼーっとしている時間が増えるケースが考えられます。
例えば、睡眠薬を服用するようになった場合、効きすぎて日中もぼーっとしてしまい、周囲からみると認知症が進行したと勘違いされがちです。
ただ、確かに薬の変更は認知症の進行リスクになり得るので、薬の種類や量を変更するときは注意しましょう。
希望条件に合う老人ホームを探す老人ホーム入居のお金がないときの対応方法
自宅での介護は限界を迎えているものの経済的に施設介護に踏み切れない、といった方は少なくありません。
そこで、ここからは、介護費用をなるべく押さえて老人ホーム入居を進めるために役立つ費用を軽減する方法を4つ解説します。
医療費控除
医療費控除とは、その年の1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が一定以上だった場合、所得控除が受けられるしくみです。
通常、世帯単位で計算できるため、本人はもちろん家族の医療費も含みます。
介護施設のうち、特養や介護老人保健施設といった介護保険施設は医療費控除の対象となります。
具体的に控除対象となる費用は次の通りです。
- 介護保険サービス費
- 食費
- 居住費
ただし、日用品代や理美容代など控除対象外の費用もあるので、気をつけましょう。
高額介護サービス費支給制度
高額介護サービス費支給制度とは、介護保険サービスの1ヵ月の費用が負担上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻しされるしくみです。
月々の負担上限額は、所得などによって6つの区分に分けられています。
支給対象となる費用には、在宅介護の場合の居宅サービスや施設入居で支払う介護費用サービスなどがあります。
ただし、福祉用具の購入や住宅改修の自己負担額、施設を利用する際の居住費および食費、理美容代などは支給対象になりません。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費などが月々の上限負担額を超えたとき、超えた分の金額を支給するしくみです。
支給が受けられる基準となる上限額は、年齢(70歳未満、70歳以上)や所得によって変わります。
病気やケガで長期にわたって入院・通院が必要な場合、高額療養費制度を利用すれば医療費の負担が大幅に軽減される場合があるので覚えておきましょう。
そのほかに利用できる制度
市町村の介護保険や高齢福祉が担当窓口となっている「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けると、介護施設に入居中の食費と居住費の減額されます。
非課税世帯や生活保護者など所得や預貯金が所定の基準を下回る方が対象です。
なお、所定の基準を満たさない世帯でも「特別減額措置」を受けられる場合があります。
2人以上世帯のうち1人が施設に入居をして、入居中の住居費や食費の負担が困難と判断された場合です。
希望の費用から施設を探す親が老人ホーム入居を拒否した場合の対応方法
老人ホームに入居する時に「入居を拒否される」というケースは少なくありません。そのようなときにどのように対応すれば良いか解説します。
嫌な理由を聞いて説得する
老人ホームに入りたくない理由には、「住み慣れた家で暮らし続けたい」「介護は必要ない」などいくつかのパターンがあります。
説得をする際は、まず本人がなぜ入居をしたくないのか、理由をしっかり聴いてあげましょう。
そのうえで、医師やケアマネージャーなどのアドバイスを参考に説得を続けると、スムーズに入居が進められる場合があります。
見学や体験入居から始める
老人ホームに入りたくない理由として「施設に対して良くないイメージを持っている」場合があります。
自宅を離れて生活する場所がどういったところかわからなければ、本人も不安のままの状態が続くだけで話が進みません。
そこで、丁寧に説得を続けるのと合わせて、施設の見学や体験入居をはじめてみましょう。
実際の雰囲気がわかると、イメージが変わって前向きに話が進む場合があります。
希望条件などから施設を探したい方は「みんなの介護入居相談センター」にご相談ください。