月額利用料が20万円前後…やや高めの費用が必要に
豊島区は、池袋駅を中心に超高層ビルなどが建ち並ぶ特別区のひとつ。
面積約13kmの中に29万人以上の人が暮らす、日本でもトップクラスの人口密集区です。
そんな豊島区では特別養護老人ホームの増設が進められていますが、認知症対応型共同生活介護、つまりグループホームの増設にも力を入れています。
豊島区の有料老人ホームは、価格帯が高めの施設が多いのが特徴です。
というのも、豊島区内の住宅地といえば目白に代表される高級住宅街が多く、閑静な雰囲気や地価が施設の価格にも反映されているため。
入居一時金は1,000万円以内と、都内ということを考えるとそれほど高くないかもしれませんが、月額利用料が最低でも17万円、高くなると30万円以上というのが一般的のようです。
豊島区といえば、副都心の池袋を真っ先に思い浮かべる人が多いかもしれませんが、高齢者にとって魅力的なのは、「おばあちゃんの原宿」とも呼ばれる「巣鴨」ということになるでしょう。
また、とげぬき地蔵で有名な「高岩寺」や、ソメイヨシノ発祥の地である「染井霊園」は、桜の名所として親しまれており、お散歩コースとしておすすめです。
霧島ツツジが多くつくられているJR駒込駅の土手は、春になるとお花でいっぱいに。
少し足を伸ばせば四季折々の自然を感じることができるのは、豊島区の老人ホームに入居する大きなメリットといえるでしょう。
2023年の豊島区の高齢化率は19.6%
豊島区は、「サンシャインシティ」や「豊島区役所」などの超高層ビルが林立する街ですが、高齢者で賑わう「巣鴨」、「学習院大学」や「立教大学」などの教育機関、「染井霊園」や「雑司ヶ谷霊園」などがあり、さまざまな顔を持ちます。
交通の要衝である池袋駅がアクセスの中心で、JR線や地下鉄、西武鉄道などが発着。
2006年の調査では、池袋駅の一日乗降客数は約264万人で、新宿駅に次ぐ世界第2位の数です。
人口も多く、2010年には人口密度日本一の自治体になりました。
その後も豊島区では総人口が増え続けており、2023年には総人口28万8,704人に。
この先、2025年には31万1,468人、2040年には31万9,096人まで増加すると予想されています。
2023年の高齢者人口は5万6,657人で、高齢化率は19.6%。人口の増加とともに高齢者数も増えていますが、64歳以下の人口も増えているため、高齢化率はそう上昇していません。
2030年あたりまでは、概ね高齢化率20%前後で推移すると予想されていますが、それ以降は高齢者人口・高齢化率ともに増加し続けるといわれています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
また、平均寿命が長くなってきており、20年間に4歳以上延伸。2020年の調査によると、全国の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳でしたが、豊島区の平均寿命も全国平均と概ね同じです。
このような現状では、健康寿命の延伸や高齢者の生活支援などが重要とされ、豊島区は介護予防活動や高齢者の生活サポートに力を入れています。
今後は区内の第1号被保険者数は少しずつ減少していく
豊島区の要介護認定者数は、2010年時点で8,955人でしたが、2015年に11,221人、2020年に11,904人、2023年に12,033人と推移しています。
さらに、介護度が上がるにつれて認知症高齢者の割合が高くなっており、介護とともに認知症ケアが必要な高齢者が増加中です。
そのため、豊島区では訪問介護や訪問看護、認知症対応デイサービス、グループホームなどを充実させ、ニーズに対応しています。
豊島区では、高齢者だけの世帯が増えており、2015年の時点で「一人暮らしの高齢者世帯」が33.8%となっています。
この数字は、全国平均の17.7%や東京都平均24.6%を大きく上回っており、区内の「一人暮らしの高齢者世帯」の多さが浮き彫りになっています。
夫婦ともに65歳以上の「高齢夫婦世帯」も28.4%と多く、高齢者の孤立化や老老介護が問題となっているようです。
豊島区は在宅介護や生活支援として、訪問介護やデイサービス、ショートステイ、通所リハビリテーションなどの支援サービスを充実させ、高齢者だけの世帯をサポートしています。
また、自宅生活が難しくなった人のために、特別養護老人ホームなどの介護施設の増設に努めています。
「食彩いきいきサロン」では栄養改善を実践
豊島区の健康寿命は女性82.25歳、男性80.43歳となっていますが、区ではさらに健康寿命を伸ばすため、介護予防活動や健康づくりの普及活動に努めています。
区は2017年に豊島区立高田介護予防センターを開設。介護予防活動を行う自主グループの支援や、介護予防講座などを実施しています。
施設内には口腔機能や握力、歩行速度などを自分でチェックできるコーナーや、認s知症予防のトレーニング用バイクを設置。
気軽に介護予防活動ができる施設として、介護予防の中心的な役割を果たしており、そのほかにも、豊島区ではさまざまな介護予防活動が行われています。
介護予防運動プログラムとして、「筋力アップ教室」「高齢者マシントレーニング」「高齢者水中トレーニング」などを実施。器具を使った運動やプールでのトレーニングで、運動機能の低下を防ぎます。
豊島区の健康体操である「としまる体操」の普及活動の一環として、としまる体操を行う自主グループを支援。認知症予防としては「読み聞かせ」も行っています。
「シニアウォーキング教室」では、高齢者が楽しくウォーキングができるように配慮。栄養改善のための勉強会などを行う「食彩いきいきサロン」、介護予防サロンなども今後増やしていくことも検討しています。
健康維持のための講座やイベントも実施しており、「口腔・栄養講座」では口腔機能の維持方法や低栄養防止のための献立などを指導。「お化粧による介護予防」などの講座を通じ、高齢者の社交性や自立心なども培っています。
豊島区では高齢者への住宅支援が充実
豊島区では、区内で暮らす高齢者が健康に安心して暮らしていける環境づくりのために、高齢者福祉の充実や地域ぐるみの支援を推進中です。
商業エリアが目立つ豊島区ですが、一戸建ての自宅を所有する高齢者が、高齢者全体の58.6%にものぼります。
半数以上が一戸建てに住んでおり、家族の介護やヘルパーなどによる介護を受けながら、自宅で暮らしている高齢者が多いのが現状です。
そのため、自宅の段差をなくしたり、手すりをつけたりする住宅改修費用の助成サービスは利用者も多く、介護ベッドなどが借りられる福祉用具貸与サービスも需要が高まっています。
また、「自宅での生活に必要な支援は?」というアンケートに、「安否確認の声かけ」、「食事作りや掃除・洗濯の手伝いなど」「電気交換や簡単な大工仕事」「通院や外出の手助け」と答えた高齢者が多く、安否確認や、家事の補助、通院介助などの支援サービスの重要性が浮き彫りになっています。
豊島区では「見守りと支えあいネットワーク事業」を通して見守りを強化し、高齢者配食サービスで食事の配達とともに安否確認も実施。困りごと援助サービスや在宅福祉サービスで自宅での困りごとなどに対応しています。
ハンディキャブ運行事業では、車椅子や寝たきりの方が車に乗って外出できるようにサポート。豊島区はさまざまな高齢者福祉サービスを実施し、多方面から高齢者の暮らしを支えています。
豊島区の福祉サービス運営適正化委員会とは?
豊島区では、高齢者の多種多様な悩みに対応するべく、各種相談窓口を設置しています。
豊島区民社会福祉協議会の「サポートとしま」では、訪問介護やデイサービスなどの福祉サービスを利用している人の支援に加え、苦情などを聞き、問題解決に向けて動きます。
弁護士などによる専門相談も定期的に開催しており、法律などに関わる難しい相談も可能。緊急時には臨時相談も行っています。相談は無料なので気軽に話せるのが魅力です。
地域包括支援センター「高齢者総合相談センター」でも、高齢者の相談に応じています。
介護保険サービスや高齢者向けサービスの申請支援、質問、相談などに対応しており、高齢者だけでなく、その家族からも相談可能です。
必要な場合は専門的な相談機関を紹介するシステムとなっており、複雑な悩みでも具体的に対応してもらえ、病気などで外出できない人には電話相談や訪問相談を実施しています。
豊島区では高齢者のうつ傾向が高くなっており、身近で相談できるサポート体制を強化しています。
保健所などで「こころの相談」などを行い、高齢者の日頃の悩みなどに対応。精神科医によるこころの専門相談を実施し、医学的なアドバイスをしています。
精神保健福祉士による家族の相談では、介護側の家族の悩み相談にも対応し、高齢者だけでなく、その家族も含めて健康的に過ごせるよう配慮しています。