交通アクセス、自然環境ともに文句なしの理想的なエリア
目黒区は、柿の木坂・碑文谷・八雲など、古くから住宅地として開発が進められた地域。面積はそれほど広くないものの、人口が多いのが特徴です。
そんな区内の有料老人ホームは、ほとんどが介護付有料老人ホームとなっています。
介護や医療ケアが充実しているところが多く、高級住宅街が多いという土地柄から、費用の相場は比較的高額な施設が多いようです。
目黒区は、江戸時代に目黒不動を中心として庶民の信仰を集めた土地でした。その名残りからか現在でも由緒ある寺院が数多く、大きな屋敷がそこかしこに見受けられます。
一方で、東京メトロ南北線の目黒駅が開業したことで、六本木や四ツ谷などの都心部を経て埼玉県まで乗り入れ可能になるなど、電車の利便性は秀逸です。
昔ながらの情緒と近代の利便性がうまくミックスされたのが目黒の特徴。そんな街の老人ホームに入居することは、高齢者にとってはもちろん、その家族にとっても多くのメリットがあるはずです。
目黒区の高齢化率は19.7%と低い
目黒区は東京都23区のひとつで、品川区・渋谷区・世田谷区・大田区に隣接しています。
渋谷駅や五反田駅などの主要駅に加え、代官山などオシャレな場所も近く、少し足を伸ばせばあらゆるお店やグルメが楽しめるでしょう。
目黒区の総人口や年少人口は今のところ増加傾向にあり、高齢化は比較的緩やかです。
人口の推移を見てみると、2005年の総人口は24万8,105人。65歳以上の高齢者人口は4万4,308人、高齢化率は17.9%でした。
2010年時点では総人口は26万8,330人で、そのうち高齢者人口は5万1,608人、高齢化率は19.6%と微増。
2023年時点では総人口は27万8,635人で、そのうち高齢者人口は5万5,021人、高齢化率は19.7%と横ばい状態です。
さらに2025年には総人口27万4,565人、年少人口は3万3,267人、高齢者数は5万6,985人、高齢化率は20.8%になるとされ、年少人口と高齢者数の増加は続きますが、総人口は減少傾向に転ずると推測されています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
なお、地区別に高齢者人口を見てみると、西部地区の1万4,220人が最多。最も高齢者が少ないのは北部地区の7,573人で、西部と北部の差が6,647 人となっています。
高齢化率は西部地区が一番高く、20.53%。一番低いのは北部地区の16.28%となっています。
北部地区は高齢者数が少なく高齢化率も低い地域。渋谷区に近い立地から、若者が多いエリアとなっています。
要介護・要支援認定者ともに右肩上がりで増加傾向
目黒区では、要介護認定者・要支援認定者ともに右肩上がりの増加傾向にあります。
2010年の要支援・要介護認定者数は8,718人でしたが、2024年時点では1万2,647人と、緩やかではありますが増えています。
なお、目黒区が実施した「要介護者調査」では、「介護してくれる家族がいる」と回答した高齢者のうち、その介護者が65歳を超えている割合が約44%、80歳を超えている割合が約14%となっています。
目黒区の「予防・日常生活圏域ニーズ調査」では、高齢者の約42%が「人生の最期を自宅で迎えたい」と回答しており、65歳以上の要介護認定者を対象とした「要介護者調査」でも、約43%が同じように答えています。
介護が必要な状態でも自宅で過ごしたい人は多く、介護保険サービスのなかでも訪問介護や訪問看護は需要が高まっています。
また、目黒区で介護や介助が必要になった原因の1位は「認知症」で、自宅で認知症高齢者を介護している世帯が増加。
そのため、目黒区は介護側の家族の負担を減らすべく、認知症の人でも通える認知症対応通所介護(グループホーム)や、介護者の急病時などに預かってもらえる短期入所(ショートステイ)などの充実を急いでいます。
「めぐろシニアいきいきポイント事業」では高齢者の見守りに注力
目黒区では、さまざまな介護予防事業を実施して高齢者の介護予防や健康維持、重度化防止のサポートをしています。
健康危機管理対策の充実を目指し、食品の安全の確保や災害時の対応、感染症に対応する知識講座を開催。
病気や怪我が要介護のきっかけとなる高齢者が多いため、65歳以上の高齢者を対象に、肺炎球菌予防接種やインフルエンザ予防接種の自己負担額を一部助成し、感染症を予防。
また、心身の健康維持のための「めぐろシニアいきいきポイント事業」では、高齢者が「いきいきサポーター」として登録し、高齢者センターや見守りカフェなどで活動しています。
目黒区では介護支援などの社会貢献活動を実施すると、ポイントが貯まる制度を実施。ポイントは区内共通商品券と交換できるため、高齢者のやりがいや生きがいにもつながっています。
さらに、健康体操「めぐろ手ぬぐい体操」を実施する介護予防リーダー「シニア健康応援隊」の育成や、活動支援も実施。地域ぐるみの介護予防を目指しています。
そして、生きがいづくりや健康づくりの拠点となっている「老人いこいの家」を、高齢者の交流の場として提供。介護予防教室などの各種講座や、ふれあい交流会などの地域交流会を実施し、高齢者の居場所づくりに貢献しています。
介護者が交流できる「介護者の会」の活動を支援
目黒区では団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、介護、医療、介護予防、住まい、生活支援の5つの視点から、包括的にサービス提供できる地域包括ケアシステムを構築しています。
在宅介護者が多いなか、目黒区は介護側の負担軽減にも目を向けており、介護者が交流できる「介護者の会」の活動支援や、介護のノウハウが学べる「家族介護教室」を実施して介護者をフォローしています。
認知症対策としては、みんなで支える認知症安心ガイドブック「認知症ケアパス」を配布し、認知症への理解を深めています。
また、認知症高齢者の介護者が孤立しないよう、「認知症カフェ」や「コミュニティカフェ」の開催を支援。保健予防課や保健センターでは認知症相談も行っています。
さらに、地域交流や地域への貢献が認知症予防になることがわかっており、目黒区では地域の各種行事や公共施設でのお祭りなどを通して、高齢者の交流を促進。
退職した高齢者の地域デビュー支援のため「地域デビュー講座」も開催していますし、シルバー人材センターへの支援を行い、就労活動をフォローしています。
そして、足腰の弱い人や車椅子の高齢者が快適に暮らせるよう、目黒区全体のバリアフリー化を推進。公衆トイレをユニバーサルデザイントイレ(障がい者用多機能トイレ)に変更し、公園もバリアフリー化整備を進めています。
目黒区は「福祉都市宣言」を発表し、「人間性尊重の精神に立ち、共に手をたずさえて、豊かな福祉都市を築いていくこと」を決意。その信念のもとに、高齢者が安心して暮らせる街づくりに励んでいます。
目黒区の福祉サービス運営適正化委員会とは?
目黒区では、あらゆる高齢者の苦情や悩みに対応しています。
高齢者からの苦情で多いのは、「訪問介護で来てくれたヘルパーさんの料理が不味すぎる」など、福祉サービスへの苦情です。
そのため、目黒区社会福祉協議会の権利擁護センター「めぐろ」の苦情調整事業担当が、保健福祉サービス苦情調整委員事務局の窓口となり、保健福祉サービス苦情調整委員への苦情申し立てを受け付けています。
目黒区が実施している福祉サービスに関する悩みや苦情を相談すると、保健福祉サービス苦情調整委員が事業者と高齢者本人の間に立ち、第三者として問題解決のための調整やアドバイスをしてくれます。
内容としては、障害者福祉手当や介護施設への入所、施設での処遇についてなど、福祉サービスに関わることなら概ね相談可能です。
また、直接相談に出向かなくても、保健福祉サービス苦情申立書を提出しておけば、相談員から連絡が入り問題調整に向けて動いてくれます。
介護保険サービスのことだけでなく、生活や人間関係の悩み、介護予防についての質問、金銭的な悩みなど、何でも相談できるようにしています。
相談相手がわからない場合は、地域包括支援センターに連絡すれば適切な窓口や相談員を紹介してくれるでしょう。
さらに、在宅療養中の40歳以上の区民とその介護者を対象に、保健師や看護師が自宅訪問し、生活相談や保健相談、介護相談、リハビリなどを行っています。
そのほか住宅介護支援センターでの住宅介護相談、高齢者センターでの高齢者健康相談など、目黒区ではさまざまな相談窓口が設置されており、気軽に利用することができます。