介護福祉サービスが数多く、活用する老人ホームでは手厚い介護ケアが
墨田区は、東京都23区内の東部ある街で、東京スカイツリーや隅田川花火大会などが観光スポットとして有名です。
水上バス「東京水辺ライン」を運行して訪れた客を楽しませており、観光都市として発展しています。
交通アクセスは豊富で、特に伊勢崎線は別名「東武スカイツリーライン」と呼ばれ、新しくできた「とうきょうスカイツリー駅」で下車すれば、スカイツリーエリアの中まで乗り入れることができます。
そんな墨田区もご多分に漏れず、高齢化が進行しています。そんな状況を鑑み、区は高齢者福祉サービスを数多く実施。
訪問介護やデイサービスなど在宅介護を支える事業のサポートや、マッサージ券や紙おむつの配布、介護者への慰労金の支給などを行っています。
また、高齢者の住まいの確保も行っており、特別養護老人ホームなどの公的介護施設だけでなく、グループホームなどの介護事業所のフォローにも目を向けています。
グループホームは基本的に低料金なところが魅力ですが、墨田区のグループホームも例外でなく、食費や光熱費を含めても23万円ほど。
これに介護保険料やおむつなどの日用品代が加算されますが、比較的費用が安く抑えられます。
グループホームのほかにも、介護付き有料老人ホームなどさまざまな介護施設がありますので、料金やサービス内容などをまとめ、みんなの介護にご相談くださいね。
隅田区の高齢化率は21.5%と全国平均を下回っている
墨田区は、東京スカイツリーや両国国技館などさまざまな観光資源を擁し、国内外から観光客が訪れる街。「世界一の観光都市墨田区」をキャッチフレーズに都市開発を進めています。
全国的に高齢者の数が増えている市区町村が多いなか、墨田区の高齢者数は概ね横ばい状態ですが、今後は墨田区でも高齢者が増え、高齢化率が上昇すると推測されています。
墨田区の総人口は2012年に25万1,715人、2017年に26万8,153人、2023年には27万9,985人と微増傾向にあります。
一方、高齢者数は2012年に5万4,928人でしたが、2017年には6万719人、2023年には6万252人となっており現在はほぼ横ばいの状況です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
一方の高齢化率ですが、全国平均は29%を超えているのに対し、2023年の墨田区は21.5%と平均を下回っています。
高齢者人口の年齢を見てみると、2012年には65~74歳の前期高齢者数は2万8,945人、75歳以上の後期高齢者数は2万5,983人でしたが、2017年には前期高齢者数は3万498人、後期高齢者数は3万221人、2023年には前期高齢者数2万6,337人、後期高齢者数3万3,604人と前期高齢者数は減少、後期高齢者数は増加傾向にあります。
高齢者人口に占める後期高齢者人口の割合も2012年は47.3%でしたが、2017年は49.8%、2023年は56.1%となっておりほぼ半数以上が74歳以上という状況です。
墨田区の要支援・要介護認定者は増加傾向に
墨田区の要支援・要介護認定者は増加傾向にあり、2012年には9,791人だった要支援・要介護認定者数は、2014年には1万人を超え1万734人、2017年には1万1,388人、2024年には1万2,659人となっています。
なかでも要介護1の認定者数が多く、2,852人となっています。
また、介護サービスの利用者数は、2024年に1万1,563人。内訳を見てみると、居宅サービス利用者数は8,253人で、全体の71.4%、地域密着型サービス利用者数は1,718人で14.9%、施設サービス利用者数は1,592人で13.8%となっています。
要支援・要介護認定者がいる家庭を対象としたアンケートで「介護側として不安に感じること」について聞いたところ、「掃除や洗濯といった家事」が1位、次いで「食事(調理や食事介助)」「金銭管理や生活に必要な手続き」が続きました。
やはり、食事の用意や掃除などの家事代行をしてもらえる「訪問介護」は需要が高く、利用者も多いようです。
介護だけでなく、看護などの医療サポートが必要な高齢者が増えているなか、墨田区は医療と介護の連携のため、訪問看護や訪問リハビリテーションなどの医療系介護サービスにも注力しています。
介護・看護に携わる人材の不足が問題となっており、墨田区では人材不足解消に向けて、介護士や看護士の確保のための対応策を打ち出しています。
60歳以上の人を対象に「長寿マッサージ」を実施
要介護認定者が増え続けている墨田区では、介護予防のための取り組みが数多く実施されています。
「介護予防の推進事業」では、体操教室や栄養指導などを行い、健康への意識を高め健康や筋力維持をサポート。介護の原因となる骨折・転倒や運動機能低下を防ぐ取り組みをしています。
また、通院ができない高齢者向けに在宅高齢者訪問歯科診療を行い、口腔内を含めた身体の健康維持に力を入れています。
健康維持のためには「生活習慣の改善」が重要として、生活習慣病教室などの教養講座を開催するとともに、区民健康体操「すみだ花体操」、運動・脳トレ・栄養などの各種教室、NPO団体による高齢者健康体操教室などを実施。高齢者の生活習慣病予防や運動の習慣化に一役買っています。
積極的に社会参加をしている人や社会的役割を担っている人の方が、健康で自立した精神を維持できているということが近年の調査でわかっています。
そのため墨田区では、高齢者が暮らす地域コミュニティの活性化にも目を向けています。
「いきいきプラザ」では、健康器具を使ったトレーニングや体操クラブ、各種教室を開催。コミュニケーションが楽しめる会食も実施しています。
立花・梅若ゆうゆう館などの「高齢者福祉センター」でも、概ね60歳以上の人を対象にさまざまな教養講座を開催。自己実現や社会参加をすることで、心身の健康を培っています。
さらに、60歳以上の人を対象に「長寿マッサージ」を実施。公衆浴場が無料で利用できる「にこにこ入浴デー」を設け、健康増進と地域交流を促進しています。
高齢者同士での「支え合い活動」への参加を促進
墨田区では、高齢者が快適に過ごせる環境づくりのために、地域包括ケアシステムを構築中。介護サービスの質を向上させるため、サービス提供側の人材確保や育成に力を入れています。
また、病気やケガで療養が必要な人のために、医療も受けられる介護施設「介護医療院」の創設や、訪問診療や訪問看護といった在宅療養体制の充実も急いでいます。
また、社会参加促進のため、高齢者のボランティア活動や自治会、老人クラブ、生涯学習・スポーツなどの活動支援を実施。
安否確認のための声かけや災害時の手助けなど、高齢者同士でも行う「支え合い活動」への参加を促し、地域とのつながりを深めています。
墨田区では、一人暮らしの高齢者世帯や、夫婦ともに65歳以上の高齢夫婦世帯といった「高齢者だけの世帯」が「高齢者のいる世帯」の約4割を占めており、今後ますます増えると推測されています。
そのため、一人暮らしの高齢者の生活サポートや、老老介護の支援などが墨田区の課題の一つで、高齢者だけの世帯の生活や介護支援などを行う「ひとり暮らし高齢者及び高齢者のみ世帯に対する支援事業」も推進中です。
段差解消や手すり付けなどのバリアフリー工事を通し、高齢者が自宅で生活しやすい環境づくりを支援。そのほかにもさまざまな高齢者サポートサービスを実施しています。
墨田区の福祉サービス運営適正化委員会とは?
墨田区では、高齢者のさまざまな苦情や相談に対応しています。
家事代行などの福祉サービスを利用して不満を感じても、直接ヘルパーさんには言い辛いものです。
そんなときは、第三者的存在である墨田区社会福祉協議会の「すみだ福祉サービス苦情調整委員会」に相談すると良いでしょう。
この委員会は、福祉サービス全般の苦情・相談を受け付けており、介護保険サービスに関する苦情にも対応しています。
また、すみだ福祉サービス権利擁護センターでは、福祉に関することなら何でも相談可能。専用電話番号があり、自宅からでも相談しやすいのが魅力です。
「友愛活動」では、一人暮らしや寝たきりの高齢者の家を訪問し、日常生活を援助したり、声かけなどの安否確認をしたりして高齢者をケア。
高齢者福祉課が窓口となって寝たきり高齢者の孤立化を防ぎ、相談に出向けない人の苦情に対応しています。
そして墨田区では、高齢者向けの「生きがい講座」開催や就労支援などを行っています。
ハローワーク墨田では、60歳以上の人を対象にした就労相談窓口「就職支援コーナーすみだ」を開設するなど、楽しく充実した「生涯現役」を目指しています。
また、各保健センターでは生活習慣病予防や健康維持のために「地域健康づくり相談」を実施。
体の健康だけでなく心の健康にも目を向け、統合失調症や鬱病などに関する相談に精神科専門医が応えています。