続々と増設中で、新しい介護施設が多いエリア
東京都内の市では、八王子市に次いで2番目に多い人口を抱えるのが町田市です。
1960年代以降に都心のベッドタウンとして発展してきた一方で、23区から移転してきた私立大学も多く、若者が多い街という特徴もあります。
そんな町田市ですが、実は、全国に先駆けて福祉計画に着手した自治体でもあります。
古くは1960年代に「福祉のまちづくり」の要綱・指針を制定しており、それを下敷きとして他の自治体が倣っていったのです。
そんな背景もあって、町田市には数多くの老人ホームがあります。
特に特別養護老人ホームは充実しており、それに向けた整備も着々と進められています。
現在は入居待機者もいるような状況ですが、これからの整備に期待して、早めに申し込みや見学などを行なっておくと良いでしょう。
一方、有料老人ホームは東京都内の他の市と同様、それほど多くはありません。
ただし、ここ1~2年で開設された施設が多く、増設の傾向を見るとこれからまた増えていくことも考えられます。
随時、情報をチェックして、希望の条件に合った施設を見つけてみてください。
費用面を見ると、東京23区内よりは比較的低額のところが多いようです。
入居一時金は0から数百万円、月額利用料も20万円程度が主流。
24時間看護など充実したサービスのある介護付有料老人ホームとしては、コストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
また、町田市は、とにかく交通アクセスの良さが特徴です。
東名高速の横浜町田インターチェンジが使えますし、市内には国道246号線や16号線、町田街道、鎌倉街道など主要な道路が走っており、家族が面会に行く際にも非常に便利です。
電車は、新宿駅から小田急線で30分ほど、横浜方面からはJRで20~30分ほどとなっています。
東京23区や三鷹市、横浜市といった近隣の都市よりも高いコストパフォーマンスを誇る施設が多いことを考えると、他都県からの移住を積極的に考えるだけのメリットは多いと言えるでしょう。
町田市の高齢化率は27.2%
町田市は東京都の都市。
多摩川の南に位置します。
一貫校である玉川学園や法政大学、国士舘大学などの学校が集まっており、学生の多い学園都市です。
1960年代からベッドタウンとして発達して来ましたが、農業も盛んで、さまざまな顔を持つ街です。
交通アクセスも発達しており、市の南部には東急田園都市線、中東部には小田急線、南西部と西部にはJR横浜線、北西部には京王相模原線が走行しており、新宿までも小田急小田原線の快速急行に乗れば約30分で行けるのが魅力です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
東京都内では東京23区や八王子に次いで人口が多い街で、人口は緩やかに増加中です。
2010年には約42万人だった人口も、2020年には約43万1,079人まで増加しています。
しかし、2022年以降はゆるやかな減少傾向をみせており、2023年には約43万831人に。
一方、高齢者人口は増加の一途を辿ると予測されています。
町田市は市内の65歳以上の高齢者が2015年には約10万人でしたが、2023年には11万7,217人に。高齢化率は27.2%を記録しています。
高齢化対策や介護予防活動などに力を入れています。
また、団塊の世代が全て75歳以上になる2025年には、町田市の75歳以上の後期高齢者も大きく増え、7万1,824人となるとされています。
2010年と比べると、約1.9倍にもなるようです。
後期高齢者が増えると介護保険の要支援・要介護認定者も増えるため、介護保険サービスの需要に対し、供給が追いつかないことが懸念されています。
そこで町田市は安定したサービスの提供や、切れ目のない高齢者サポートをするための体制を整えようとしています。
要支援・要介護認定者数が急増
町田市では、介護保険の要支援・要介護認定者数は増え続けており、2010年から2014年にかけて約1.3倍に増えています。
介護度別にみると、要介護1と2の認定者が特に増加しました。
2010年時点では1万3,787人だった要介護認定者数は、2015年には1万7,998人、2020年に2万1,878人と増加。2023年の調査では2万4,601人が要介護認定を受けていることが明らかになっています。
さらに、町田市では後期高齢者が増加することにともない、要支援・要介護認定者も増えると予測されています。
また、認知症高齢者も増えており、2020年の調査によると、町田市の認知症高齢者の推計数は約1万7,061人。
市内の高齢者人口の約14.2%を占めています。
全国的にも認知症高齢者の増加がみられ、2012年には462万人でしたが、2025年には約700万にのぼるようです。
そのため、町田市ではグループホーム(認知症対応型共同生活介護)や、認知症対応デイサービスなどを普及させ、認知症高齢者が適切な認知症ケアを受けられるように配慮。
訪問介護や24時間対応型訪問介護看護などにより、認知症高齢者を介護する家族の負担を減らしていますし、介護保険サービスにくわえ、認知症カフェの開催や、認知症サポーターの育成などを通して、認知症高齢者とその家族のサポートを行っています
高齢者世帯も増加しており、特に高齢者だけの世帯(一人暮らしの高齢者や老齢夫婦だけの世帯)が増加中です。
2010年には3万6,138世帯でしたが、2020年には4万8,119世帯にまで増加。
高齢者だけの世帯がふえるにつれ、訪問介護やデイサービス(通所介護)などの需要も高まっています。
「高齢者あんしんキーホルダー」の配布も行っている
町田市は、交通アクセスが良い街で、各所に路線バスが走っており、市民の足代わりになっています。
路線バスが通らない地域は、町田市金森地区コミュニティバス「かわせみ号」、玉川学園コミュニティバス「玉ちゃんバス」などのコミュニティバスがフォロー。
高齢者の外出も促進しています。
町田市は若者が多いため、町田駅周辺を中心に、ゲームや漫画などの若者向けの店が増加。
昔ながらの商店街と融合し、町田独自の商業圏を形成しています。
こういった町田市独特の環境や資源を活用して、より住みやすい街を目指しています。
高齢者が安心して生きていくためのサポート体制も構築中です。
町田市は市内を4つの生活圏域に区分し、4圏域全てに地域包括支援センター「高齢者支援センター」を設置。
高齢者が気軽に相談できる環境を整えています。
65歳から74歳までの前期高齢者の割合が高いのは小山桜台や山崎地区などで、75歳以上の後期高齢者の割合が高いのは小野路町、鶴川地区となっています。
高齢化に地域差が出ていますので、町田市はそれぞれの状況を把握し、圏域ごとに対応中です。
また、高齢者が安心して生活を続けて行けるよう、自宅のバリアフリー化工事を行い、その住宅改修費を一部助成。
転倒の原因となる段差の解消などを行っています。
介護度が上がり、自宅での暮らしが難しくなった人も、快適に過ごせる有料老人ホームなどの増設も検討中です。
さらに、「見守り支援ネットワーク」や「あんしん相談室」の拡充、高齢者の情報をまとめた「高齢者あんしんキーホルダー」の配布など、さまざまな高齢者サポートを行っています。
町田を元気にするトレーニング「町トレ」を実施している
町田市ではいつまでも健やかに暮らしていけるよう、介護予防活動や介護の重度化防止活動を行っています。
町田市では「町田を元気にするトレーニング“町トレ”」を実施。
地域ごとに継続的に介護予防活動に取り組むための町田市オリジナルトレーニングで、週1回ほどのペースで体を動かすことで、生活にリズムを付け、閉じこもりを予防します。
トレーニンググループの皆さまとの交流も、心の健康に良い影響を与えているようです。
ゆっくりとしたスロートレーニングなので、続けやすいのが魅力。
ストレッチなども行うため、「体が柔らかくなってきた」という参加者の声も聞かれます。
仲間で集まって「町トレ」に申し込めば、町トレオリジナルDVDなどがもらえるので、グループ単位で実施しやすいです。
また、高齢者福祉センター「ふれあい館」などで実施されている「音楽体操教室」では、懐かしい曲などに合わせて歌ったり踊ったりしながら、楽しく健康長寿が目指せます。
音楽健康指導士の指導のもと、音楽に合わせたリズム体操だけでなく、ストレッチや脳トレ体操も行うため、心身ともにリフレッシュできると好評のようです。
ふれあい館では音楽体操教室以外にも、趣味活動や教養講座などを行い、高齢者の憩いの場や通いの場となっています。
そして、「デイ銭湯」では介護予防にまつわる講座や、ボールを使った健康体操を実施。
申し込み不要で、参加費も安いので参加しやすいでしょう。
看護士による血圧測定や、健康相談なども受けられます。
町田市の高齢者相談窓口は?
町田市では高齢者が悩みを打ち明けられる相談窓口を設置しています。
地域包括支援センターである「高齢者支援センター」では、高齢者向けの総合相談窓口を設置。
保健師や社会福祉士といった専門のスタッフが、高齢者やその家族、地域住民の皆さまの相談に対応しています。
日常生活での心配ごとや困りごとなどが無料で相談できますし、「近所のおばあちゃんが最近顔を腫らして元気がない」といった匿名通報も可能。
虐待に関する匿名通報は町田市役所の高齢者福祉課の地域支援係でも受け付けています。
介護支援事業者が高齢者の虐待に気づいた場合は「高齢者虐待ヒヤリハットシート」に記入し、対象高齢者が住んでいる地域の高齢者支援センターに提出できます。
成年後見制度も実施しており、高齢者の権利を守るため、虐待や消費者被害などに関する相談に対応し、問題解決に向けて関連部署に働きかけます。
介護者家族向け交流会も開催していますので、「相談窓口に相談するほどではないけれど…愚痴を言いたいわ」という人は、参加者同士で話し合えます。
また、町田市が高齢者支援センターの出先機関として「あんしん相談室」を設置。
高齢者支援センターと同じように、介護保険や健康づくりについての質問や、高齢者虐待、近隣の高齢者についての相談などが可能です、「あんしん相談室」は市内12ヵ所ほどあるので出向きやすいのが魅力でしょう。