品川区は交通・買物などが便利な街
品川区は東京都23区南部にある特別区で、新幹線をはじめとしたJR各線や、羽田空港へ続く京急線が通っている交通要衝です。
区内には、「天王洲アイル」や「品川シーサイド」、「アトレ」や「西友」など、オフィス街や商業施設が目立ちます。
娯楽スポットとしては「大井競馬場が有名」ですが、学校や公園、図書館が多いのも特徴です。
大手企業が軒を連ねるオフィス街であることから、昼間人口と夜間人口が大きく違うエリアでもあります。
2020年の調査によると、昼の人口は夜の人口よりも16万人も多いことがわかりました。
品川区は、江戸時代から「東海道第一宿場」として賑わった街で、大森貝塚や伊藤博文の墓、板垣退助の墓、旧正田邸であるねむの木の庭など、史跡も多く存在しています。
品川神社や荏原神社、天祖・諏訪神社、行慶寺や安養院、養玉院、品川寺など神社仏閣も多い場所で、東海七福神をそれぞれ祀った神社仏閣もありますので、お参り好きの方にも楽しいエリアでしょう。
また、品川区は東京港に面しており、京浜運河や天王洲運河などが流れ、水上バスである「東京都観光汽船」も運行中。しながわ水族館や大井海浜公園などを巡れます。
介護施設は徐々に増えており、夫婦入居可能な介護付有料老人ホームがあるのが魅力。NTT東日本関東病院やいすゞ病院、昭和大学病院、第三北品川病院など、病院が多く安心なエリアです。
総人口は増加してるものの今後は減少すると予測されている
品川区は、交通の便の良さから住宅地としても人気がある街。全国的に人口が減少するなか、区内の総人口は2020年ごろまで増加傾向にありました。
しかし、現在品川区の人口は減少傾向に。2020年には42万2,488人だった人口は2023年には40万4,196人に転じています。
なお、高齢化率は横ばいであり、2010年に19.4%だった高齢化率は2023年には20.1%になりました。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
「1人の女性が一生の間に産む子どもの人数」である「合計特殊出生率」については、品川区は全国平均を下回っています。
一人っ子世帯が多い状況が続いており、今後の年少人口や生産人口にも影響が出る可能性が指摘されています。
このような状況のなか、品川区は少子高齢化対策や高齢者の生活を守る地域包括ケアシステムの構築を急いでいます。
「品川区長期基本計画」で掲げた、「みんなで築く健康・福祉都市」を実現するため「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」をスローガンに、高齢者だけでなく区民全体の健康や幸せのサポートを行っています。
要支援・要介護認定率は急増中
過去10年間のデータによると、品川区では男女ともに寿命が伸びており、女性の方が男性よりも平均寿命が長くなっています。
品川区では、高齢者の増加に伴って介護保険の要支援・要介護認定率も増加。
2010年の要支援・要介護認定者数は8,718人でしたが、2024年には1万2,647人にまで増加しています。
品川区は、65歳以上の人が要介護2以上の認定を受けるまでの状態を「健康」と定義する、「65歳健康寿命」に注目しています。
現在のところ、品川区は男女ともに、東京都の平均65歳健康寿命を上回っている状態です。
品川区の介護保険サービスをみると、身体介助や家事援助、通院の付き添いなどのサポートが受けられる「訪問介護」や、看護士による「訪問看護」などの居宅サービスの需要が高いです。
そのほか、歩行器や歩行用の杖、工事を伴わない手すりなどがレンタルできる「福祉用具貸与」、バリアフリー化工事を支援する「住宅改修費支給」も利用者が多く、介護保険サービスを利用しながら自宅生活を送っている高齢者の多さがうかがえます。
また、デイサービス(通所介護)やショートステイ(短期入所介護)といった居宅サービスと併用できる通所型サービスも人気です。
品川区では、自宅での生活が厳い要介護高齢者のための住まいである「特別養護老人ホーム」や「グループホーム」など介護施設の増設も期待されています。
介護と医療サポートを同時に必要とする高齢者が増えているため、どちらのサービスも受けられる「介護医療院」の増設にも着目しています。
介護予防のための「いきいき活動支援プログラム」を展開
品川区では、「しながわ健康プラン21」を策定し、区民の一人ひとりが積極的に健康づくりに取り組める環境を整えています。
「いきいき活動支援プログラム」では、高齢者のレクリエーションや趣味活動なども含めた「いきがい活動」を支援。定期的に活動に参加することで、外出が習慣になると好評です。
また、住民主体の「地域ミニデイ」の開催も支援。これは社会福祉協議会などが運営する簡単なデイサービスで、「地域ミニデイうんどう」で体を動かしたり、会食や会話を楽しみながら仲間と介護予防体操を行います。
品川区の高齢者の死亡要因をみると、男女を問わず「悪性新生物(がん)」が最も多く、「心疾患」や「肺炎」も多いことがわかっています。
「悪性新生物」「心疾患」「脳血管疾患」という、いわゆる生活習慣病による死亡率が全体の約半分を占めているため、品川区では食事管理や栄養改善など、健康維持のための活動にも目を向けています。
栄養士による栄養改善指導に加え、地域の市民グループなどに対して出張健康学習を実施。病気や食生活、こころの健康、歯の健康などのテーマ別の講座を受けることで、健康維持に必要な知識が身につきます。
「ふれあい健康塾」では、自宅にこもりがちな高齢者に対し運動機能訓練や生活指導を実施。区民集会所などで行っており、参加費は無料です。
さらに、40代~50代のうちから生活習慣病予防のための運動に取り組めるよう、健康センターで「40代からの健康塾」を開催。格安で気軽に運動ができる教室となっています。
相談窓口「サポしながわ」を設置し高齢者の就労も支援
品川区は、高齢者の心身の状態に合わせて「元気高齢者」「自立支援高齢者」「要介護高齢者」の3つの類型に分け、それぞれにふさわしいサービスの提供を目指しています。
この3つの類型をそれぞれ支えるため、「自立支援ネットワーク」「高齢者社会参加プログラム」「在宅介護支援システム」などの相互支援活動を充実させ、地域で支え合える地域包括ケアシステムを構築中です。
品川区独自の地域包括ケアシステムにより、見守りや声かけ、ボランティアによる支援活動などを区全体に浸透させようとしており、さらに公共エリアのバリアフリー化などによる「暮らしやすい街」の構築を目指しています。
品川区では、自宅で暮らす高齢者はもちろんのこと、認知症高齢者や看護が必要な高齢者、介護を行う家族へのケアを充実させています。
また、介護予防教室などを通した健康づくり活動の支援や、自宅で暮らす高齢者の生活支援を実施。
訪問介護などのサポートを受けながらでも、高齢者がいつまでも自宅で自立した生活が送れるよう配慮しています。
品川区には元気な高齢者が比較的多いため、高齢者の活動力が期待されています。
区は高齢者の外出・社会参加の促進のため、ボランティア活動や高齢者クラブの活動を支援。地域貢献活動を行うとポイントがもらえるポイント事業も行っています。
さらに、就労支援などを行う品川区社会福祉協議会の無料職業紹介・相談窓口「サポしながわ」や、シルバー人材センターの活動もサポート。高齢者の活動の場の拡大や、生きがいづくりに一役買っています。
品川区の福祉サービス運営適正化委員会とは?
品川区では、高齢者の悩みを解決するための相談窓口を設置しています。
「品川成年後見センター」では、病気などで適切な判断ができなくなった高齢者などを対象に各種手続きの代行や金銭管理代行などを行っており、「最近、通帳がすぐどこかにいってしまって困っている」などの相談が可能です。
また、「あんしんサービス契約」では定期的に自宅を訪問し、安否確認とともに高齢者の判断力の確認や、状況に合わせたサポートを実施。日常生活に不安がある人は、「品川成年後見センター」に相談してみると良いでしょう。
そのほか、品川区社会福祉協議会にはさまざまな相談窓口があり、福祉サービスへの苦情や意見なども対応しています。
必要な場合はサービスを提供している事業所に介入するなど、問題解決に向けて動いてもらえるのが魅力です。
「紙おむつ支給事業」などの介護用品を支給する事業も実施しており、「自宅介護をしているけれど、介護用品が高くて辛い」などの相談が可能。「ほっとサービス」では、生活を送るなかでのちょっとした悩みや、困りごとのに対応しています。
「冬になったのでストーブを出したいが、腰が痛くて…」など身近な相談ができるのが魅力です。
「さわやかサービス」では、「外出のために車椅子専用の車を利用したいが、どうしたらいいか」などの相談を受け付けています。
介護保険外の有償支援サービスですが、こまやかな日常生活の手伝いをしてもらえますし、相談は無料なので気軽に連絡することができます。