医療ケアが必要な高齢者のための介護施設もたくさん

三鷹市は、1970年代以降、東京近郊のベッドタウンとして発展してきました。
開発当初に移住してきた人口が高齢化してきており、全国のほかの都市と同様、超高齢社会へと歩みを進めています。
2023年時点で、三鷹市の総人口は約18万9,916人です。
そのうち65歳以上人口は約4万1,709人で、高齢化率は22.0%でした。
数年のうちには超高齢社会となり、高齢者の中でも特に75歳以上の後期高齢者が半数以上を占めていることを考えると、高齢者にとって安心できる生活が送れるような環境整備や支援策が求められています。
三鷹市では、特別養護老人ホームが少なく、随時、500人前後の入居待機者がいるともいわれています。
三鷹市で特別養護老人ホームへの入居を考えている高齢者の方は、ケアマネージャーや市の担当窓口に相談に行くと良いでしょう。
特別養護老人ホームへの入居待ちの間に、有料老人ホームやグループホーム、ケアハウスの利用を考える方も多いと思いますが、その数も決して多くはありません。
有料老人ホームでは介護付有料老人ホームが多く、24時間看護サービスや医療施設と密接な提携を結んでいるところもあり、医療ケアが必要な高齢者が入居できる施設が多いので安心して入居することができます。
ただし、充実した設備や地価の関係上、23区と同じくらいの利用料が必要だということは頭に入れておいた方が良いでしょう。
新宿から電車で30分ほどと抜群の立地条件ながら、井の頭恩賜公園や野川公園、国立天文台三鷹キャンパスといった自然豊かな公園のある公園都市であり、少し散歩に出るだけでも心地良さは満点です。
また、三鷹の森ジブリ美術館や山本有三記念館、太宰治文学サロンなどさまざまな文化施設もあり、大都会でありながら、ゆったりとした時間が流れている三鷹市には、老後を過ごすのに最適な環境が整っています。
三鷹市の高齢化率は2023年には22.0%
近年、官民共同プロジェクト「あすのまち三鷹」「みたか市民プラン21会議」を実施し、先進的な街づくりを推進した結果、2005年度の『インテリジェント・コミュニティ・オブ・ザ・イヤー」で世界1位を獲得しました。
都市の便利さと豊かな自然が調和する街でもあり、公園や緑が多く、国立天文台三鷹キャンパス、国際基督教大学などの教育機関もあるのが魅力です。
各地に植樹された桜並木も美しいです。
JR中央線と京王井の頭線のおかげで東京都心に出やすく、三鷹駅からJR中央線青梅特快に乗れば、乗り換えなしで新宿まで12分で到着できます。
また、市内には三鷹駅を中心に、小田急バスや「みたかシティバス」、三鷹市のコミュニティバス「ムーバス」が走っています。
このように、魅力溢れる三鷹市は、総人口が増えています。
2010年には17万9,811人だった総人口も2023年には18万9,916人まで増加しました。
子育て世代の転入による人口増加がみられる都市です。
しかし、人口の増加にともない65歳以上の高齢者も増えており、2023年の高齢化率は22.0%です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
今後も64歳以下の人口増加により、高齢化率は横ばい状態で推移すると予測されていますが、徐々に後期高齢者が増えているため、三鷹市は高齢者向けの福祉サービスなどを充実させ、高齢者の生活支援を推進しています。
施設サービスの利用希望も増えている
三鷹市では高齢者の増加にともなって要支援・要介護認定者も増えています。
2010年には6,056人でしたが、2024年は8,539人に増加しました。

認定率は18%台で推移していますが、今後も認定者数は増え続けると予測されています。
介護保険サービス別の受給者数をみると、居宅介護サービス受給者は年々増加中で、2023年には5,389人となりました。
アンケート調査によると、要介護認定者の介護をしている家族の年齢は、「60歳代」が3割、「70歳代」が2割、「80歳以上」が2割弱でとなっており、老老介護が多いことがわかりました。
約7割の世帯が60歳以上の人が介護する老老介護で、その中でも「毎日かかりきりで介護している人」が25.3%となっており、4人に1人は毎日在宅介護に従事している状況です。
そのため、家事代行や身体介助サービスを受けられる「訪問介護」や、送迎付きで事業所に行き、食事や入浴が楽しめる「通所介護(デイサービス)」などの『居宅サービス』の需要が高く、利用者・利用回数ともに増加しています。
2016年から小規模なデイサービスが『地域密着型サービス』に分類されるようになったため、地域密着型サービスも利用が急増しています。
特別養護老人ホームなどの『施設サービス』の利用希望も増えており、三鷹市は増設を急いでいます。
三鷹市は介護する家族の介護疲れや共倒れを防ぐべく、介護保険サービスの普及や生活に関する高齢者相談を推進してます。
地域包括支援センターが中心となり、高齢者世帯に寄り添うようなサポートができるよう、提供体制づくりを行っています。
高齢者就労支援事業「わくわくサポート三鷹」も推進
三鷹市は、武者小路実篤や太宰治などの作家たちが暮らした街として有名です。
観光名所として「三鷹の森ジブリ美術館」といった文化施設や、森鴎外などの文豪の墓があります。
市はもともとの資源を生かしつつ、魅力的な街づくりを推進中で、高齢者にとっても暮らしやすい街を作ろうとしています。

そのためにも、「みたか高齢者憲章」に基づき、「健康福祉総合計画 2022」を策定しており、計画の実現には医療や介護、住まいといったさまざまな観点から高齢者を支援する地域包括ケアシステムの構築が重要として、地域包括支援センターを各地に配置しています。
地域包括支援センターを中心に、高齢者とその家族をサポートしています。
一般高齢者調査によると、『特に力を入れてほしい高齢者に関する政策や支援』は、「往診などの在宅医療支援」「老人ホームなどの施設介護支援」「ヘルパーなどの在宅介護支援」と答えた人が約半数に上っています。
三鷹市ではそうしたニーズに応えるべく、医師や歯科医師による往診などサービスの拡充や介護施設の増設、介護保険サービスにおける訪問介護の充実や、同様のサービスの実施を検討しています。
また、高齢者がいきいきと暮らせるよう、高齢者就労支援事業「わくわくサポート三鷹」では、高齢者の就労支援も実施しています。
シルバー人材センターに運営費補助金を支給するなど、活動を支援しています。
その他にも、三鷹市は紙おむつ代の支給や、緊急連絡装置の貸与など、高齢者の生活を支えるサービスを多数実施中です。
「みたか健康づくりセミナー」を開講している
三鷹市では、介護予防活動や介護度の重度化防止活動を推進中です。
特に75歳以上の後期高齢者は、病気にかかりやすく、要介護状態になるリスクが高いといった特徴があります。
そのため、インフルエンザの予防接種や各種健康診査を実施しています。
病気予防や病気の早期発見・早期治療を目指しています。

加えて、元気なうちに健康づくりや生活習慣病などの病気予防活動を行うことが重要として、三鷹市は「はつらつ体操・はつらつ教室」などの介護予防体操を普及させています。
主な介護予防活動として、「介護予防体操体験教室」「介護予防教室」を実施しています。
各地の自主グループが希望すれば、公民館で出前講座も行います。
嚥下力や口腔機能の維持に関する体操や栄養指導を行う「はつらつ体操・はつらつ教室」や、「みたか健康づくりセミナー」「いきいき健康講座」など、健康に関する教室も開催しています。
気軽に参加できるよう、無料のものが多いのも特徴です。
さらに、高齢者が支えられるだけでなく、支える側として社会参加できるよう、介護予防や認知症予防活動のリーダーも養成しています。
住民主体の自主的・継続的な介護予防活動を推進しています。
また、高齢者の居場所づくりや通い場づくりもサポートしています。
現在、市内約180ヵ所に高齢者の通い場があり、高齢者の自主的な活動の支援を行っています。
他者との交流や会話も認知症予防に良いということがわかっており、学校や高齢者施設などの福祉施設では、地域交流・多世代交流を促進し、イベントなどを通じ、世代を超えた交流を楽しんでいます。
三鷹市の高齢者相談
三鷹市では高齢者向けの相談を実施し、多様化する悩みを解決するためのサポートを行っています。

相談窓口は主に3つあります。
市内に約7ヵ所設置されている「地域包括支援センター」と「三鷹市社会福祉協議会」「三鷹市役所高齢者支援課」です。
地域包括支援センターは、介護予防や介護のケアマネジメントをはじめ、高齢者福祉などの全般的なサービス利用の調整や支援を実施しています。
そのため、広範囲の相談が可能です。
三鷹市社会福祉協議会は三鷹市や地域住民、住民団体、福祉サービス事業所と連携し、地域密着型のサポートを実施しています。
高齢者やその家族だけでなく、地域住民からの高齢者に関する相談も受け付けています。
三鷹市役所高齢者支援課には高齢者支援係と高齢者相談係、介護保険係があり、高齢者への在宅サービスや高齢者への給付に関すること、助成金のことなど、介護保険関係のことが相談できる窓口を設けています。
さらに、市内の井の頭コミュニティ・センターには高齢者のための相談窓口「井の頭地域福祉支援センター」が誕生しました。
介護保険や各種福祉サービスの利用に関する疑問や相談に、専門スタッフが対応します。
地域福祉支援センターは東京都の「東京都シルバー交番設置事業」に基づいて設置された高齢者見守り相談窓口で、高齢者の安心や安全を守るため、高齢者からの相談を受け付けています。
寝たきりの高齢者には、電話相談や高齢者宅への訪問を行い、直接話を聞くシステムです。
また、権利擁護センターでは権利侵害などの相談も可能ですので、気軽に相談すると良いでしょう。