東京都下にあって豊かな自然を満喫できるエリア

東京都のほぼ真ん中に位置する府中市は、八王子市、町田市に次ぐ都下第3位の人口を誇る大都市です。
2023年時点で総人口は、約25万9,924人でした。
そのうち 65歳以上の高齢者人口は約5万8,012人で、高齢化率は22.4%となっていました。
全国的な流れと同様に、高齢化が進んでいます。
さらに、高齢者人口を65~74 歳の前期高齢者と75 歳以上の後期高齢者に区分すると、2021年度以降は前期高齢者が7.9%増加し、後期高齢者は11.0%増加しています。
後期高齢者の増加が特徴的になっており、いわゆる“老老介護”の問題も顕在化しています。
市の調べによると、医療や介護が必要な高齢者ほど子どもや孫と同居している割合が高くなっており、そのために老人ホームを利用しないという高齢者が多いからかもしれません。
とはいえ、前述のように老老介護の問題や、家族の負担を考えると、老人ホームの利用が有効であることは間違いありません。
実際に、入居待ちをしている高齢者も随時500人以上はいるといわれており、早急な整備が望まれるところです。
一方で、有料老人ホームに目を向けると、こちらもそれほど多くはないというのが現状です。
隣接する国立市や小金井市、国分寺市よりは多いものの、東京都下第3の人口を誇る都市ということを考えると、選択肢が少ないのは利用者にとって厳しい状況といえるでしょう。
とはいえ、そんな中でも24時間体制で看護を行なっていたり、また季節感のある食事が提供されていたりと、充実したサービスを受けられる施設もちらほらとあります。
費用面でも、東京23区や三鷹市の相場よりは低いようなので、東京都内での老人ホームへの入居を考える際には、一考してみてください。
高齢者にかぎらず、府中市は生活充実度の高い都市として有名です。
特に医療面では、市独自に夜間・休日診療環境が用意されており、高齢者やその家族にとっては、“もしも”のときの安心があります。
市によるアンケートでもほぼ全市民が「将来も住み続けたい街」と答えており、生活満足度の高い街です。
東京都内でゆったりと老後を過ごしたいなら、府中市はとてもおすすめです。
2023年には高齢化率が22.4%となり高齢社会に突入
府中市は歴史が長く、遺跡が多い街で、江戸時代には甲州街道の宿場町として栄えた場所です。
工場などの大きな施設も多いですが、公園や緑地なども多く、緑が豊かなところが魅力でしょう。
交通アクセスとしては、京王電鉄の京王線と競馬場線、JR南武線と武蔵野線、西武鉄道の多摩川線が走行。
主要駅を中心に、山梨県などへ向かう長距離バスや羽田空港へ向かう中距離バスも発着しています。
そしてコミュニティバスが「ちゅうバス」が市内を巡っています。
府中市は、交通アクセスや働く場所、そして自然の豊かさのバランスが取れているため、市民の満足度も高く、府中市の人口は2020年ごろまで微増し続けていました。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
その後、人口は緩やかに減少。2023年時点では25万9,924人となっています。
なお、高齢化率は年々増加しており、2023年には22.4%となりました。
2023年の高齢化率の全国平均である29.1%は大きく下回っていますが、39歳以下の人口が年々減少しており、緩やかに少子高齢化が進行しています。
そのため府中市では高齢化対策とともに、介護予防活動や高齢者福祉サービスに力を入れ、高齢者の生活を支えています。
要介護1の認定者の増加率が高い
府中市の高齢者の増加にともない、介護保険サービスにおける要支援・要介護認定者は増えており、2024年度には1万1,766人となりました。
要介護度別にみると、要支援1~要介護1までの軽度の方が多く、全体の51.3%を占めています。

介護保険サービスの利用者数の月平均をみると、介護保険サービスの中でも、居宅サービス利用者の割合が72.9%と最も多いです。
次いで施設サービスの利用者が15.8%、地域密着型サービスが11.2%となっています。
介護保険サービスの利用者が増えているため、介護給付費も増大しており、「訪問介護」を筆頭に「特定施設入居者生活介護居宅介護支援」「デイサービス」「グループホーム」などの給付費が特に増加しています。
府中市では介護保険サービスの充実とともに、これ以上要支援・要介護認定者が増えないように介護予防活動に力を入れています。
府中市では「在宅福祉たすけあい」も支援
府中市では、高齢者の生活を多角的にフォローするため、「地域包括ケアシステム」を構築中です。
増え続ける高齢者をすべてサポートするには、介護保険サービスの行政支援だけでは難しいと判断した府中市は、地域住民やボランティア団体、NPO団体と協力し、地域全体での見守りを実現しようとしています。
また、高齢者が介護されるだけの存在ではなく、高齢者も社会の一員として活躍し、時には介護側に回るような体制も整備しています。
ボランティア活動の支援や、シルバー人材センターなどの就労支援も行っています。

地域の中で役割を持ち、積極的に社会参加をすることは、介護予防にもつながるため、高齢者の活躍の場を広げるサポートも行なっています。
さらに、地域の支え合い活動として、地域住民による見守りや高齢者向けのサロンの開催、老人クラブの会員による高齢者訪問相談などの友愛活動をサポートしています。
府中市は社会福祉協議会が行なっている「在宅福祉たすけあい(有償福祉サービス)」も支援しています。
有料ではありますが、高齢者宅を訪問し家事代行を行うサービスなので、一人暮らしの高齢者に好評のようです。
さらに、外出支援として「ハンディキャブ貸出」も行っていますし、市の公共部分のバリアフリー化や、車イスでも利用できる多目的トイレの設置を行い、高齢者が外出しやすい環境を整えています。
介護予防推進センター「いきいきプラザ」を設置
府中市では、健康寿命の向上を目指して介護予防活動を実施中です。
もともとの地域の資源を活かしつつ、地域住民が自主的に健康づくりや介護予防を行う取り組みも進めています。
「元気に活動して行くには、健康寿命の延伸が鍵」として、「自分の健康は自分で守り、築き上げる」という意識をもってもらうための活動も推進中です。

「スポーツ健康増進活動」では、高齢者が生涯にわたってスポーツを楽しめるよう、高齢者向けのスポーツ教室やスポーツイベントを開催し、高齢者の健康づくりを支援しています。
地域の自主運動グループにスポーツ指導員を派遣し、各地の体操会もサポートしています。
同時に、体操会のリーダーとなる「元気いっぱいサポーター」を養成し、元気いっぱいサポーターを中心とした体操の普及を促進しています。
「健康応援事業」では、健康づくり活動の輪を地域に広げるため、健康づくり活動の普及にも努めています。
「介護予防推進事業」では、65歳以上の高齢者なら誰でも参加できる健康教室「ふちゅう元気アップ体操」や、「地域交流体操」を開催しています。
みんなで体を動かすことで、交流の場にもなっています。
府中市は、市内に介護予防推進センター「いきいきプラザ」を設置しています。
介護予防に関する相談や、介護予防サポーターの養成、世代を超えた交流イベントも行っています。
地域デイサービス事業「ほっとサロン」では、介護予防活動や高齢者の生きがいづくりを支援しています。
定期的な介護予防活動が、高齢者の通い場づくりにもつながっているようです。
府中市の高齢者相談
府中市では高齢者のいろいろな悩みを解決するため、各種相談窓口を設置しています。

府中市社会福祉協議会が実施している「ふれあい福祉相談」では、高齢者や身体障害者について、社会福祉士などの専門スタッフが相談に乗っています。
高齢者に関する悩みごとなら何でも相談できるのが魅力です。
また、社会福祉協議会の「ふれあい会館」には「権利擁護センターふちゅう」も入っており、認知症や病気で手助けが必要な人や、日常生活に支障が出ている方を対象に、福祉サービスの利用支援や、専門相談、苦情受付を実施中です。
「福祉サービスへの手続きが難しい」「お金の管理がわからなくなってきた」という人は、気軽に相談すると良いでしょう。
成年後見制度により、金銭管理や手続きなどの代行をしてもらえます。
ふれあい会館での「福祉法律相談」では、権利侵害や相続などの法律に関わる難しい相談も可能です。
府中市では、高齢者の健康づくりに力を入れているため、健康に関する相談も開催しています。
「健康相談」では、生活習慣病などの病気予防に繋がる指導や助言を実施しています。
「健康教室」では医師や歯科医師、栄養士による講話や指導を行い、直接専門家に体力や口腔、栄養に関する質問や相談を受け付けています。
「歯科医療連携推進事業」では、歯科医師会がかかりつけ歯科医を紹介し、気軽に歯や口腔の健康について相談できる体制を整えています。