東京都内よりも格段に負担の少ない月額料金で利用できるのが魅力
千葉県北西部に位置する松戸市は東京都と隣接していることから、通勤通学者も多く駅前は賑わいを見せています。
千葉県内ではトップクラスの人口を誇り、東京のベッドタウン化が着々と進んでいる状況です。
その一方で、市街地から少々離れると閑静な住宅街が。昔からの住民も多く、伝統や文化がしっかりと受け継がれている珍しい地域です。
大きな都市であるものの、日常的な買いものがしやすいのも魅力。いわゆる百貨店系ではなく、お手頃価格のスーパーが駅前にあり、高齢者にとってはうれしい環境です。
スポーツも盛んで、特に柏レイソルと親交のある地域。柏市は隣の市ですが、松戸市も活動エリアに入っており、市民招待デーを開催。サッカー好きのお孫さんをお持ちの高齢者にとっては一緒に応援できるとあって毎回好評です。
そんな松戸市ですが、高齢者対策として、高齢者向け福祉事業も多数展開。なかでも特徴的なのが、市民が中心となっている「松戸市あんしん一声運動」です。
これは日常生活の中で高齢者を見かけたときに「何かお手伝いしましょうか?」と声をかける運動で、高齢者に元気に生活を送ってもらうのと同時に、住民との交流も増えています。
他にも、「軽度生活援助」では洗濯や掃除、草取りなど日常生活の「ちょっと手を貸して欲しい」といったことに利用できる援助券を配布。高齢者にとって大変頼もしい制度として人気を博しています。
松戸市の有料老人ホーム数は比較的充実した状況。近隣にある柏市と比べても遜色なく、それぞれの希望に合わせて選ぶことができ、都内より負担の少ない月額料金で利用できるのも大きな魅力的です。
また、全体的に中規模の施設が多く、手厚い看護ケアが期待できるので、高齢者にとって住みやすい環境となっています。
特に、「落ち着いた雰囲気のホームを希望しているけど、買いものに不便な立地や家族が気軽に来づらい場所はちょっと…」といった方におすすめの地域です。
松戸市の高齢化率は2023年には25.9%
松戸市は千葉県の北西部の都市。かつて、水戸街道の宿場町として栄えてきた都市で、現在は東京都の葛飾区と江戸川区に接しています。
アクセスの良さから東京のベッドタウンとして発達してきた街でもあり、東京都23区への通勤率は37.3%。3人に1人以上は東京都へ出勤しているのです。
そのため居住者も多く、千葉県では千葉市、船橋市に次いで3番目に人口の多い街。2023年の松戸市の総人口は49万7,120人となっています。
65歳以上の高齢者人口は12万8,930人、高齢化率は25.9%と全国平均と比較すると低い数値です。
特に75歳以上である後期高齢者の増加が著しく、2023年には7万4,761人と7万人を突破しています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
また、高齢者のみの世帯も増加しており、2020年には5万2,178世帯と全世帯に対し約23%となっています。松戸市は介護予防活動や介護の重度化防止対策に力を入れています。
認知症予防教室などを開催し、認知症対策に尽力
2017年時点で1万9,868人だった松戸市の介護保険の要支援・要介護認定者は、2024年には2万4,963人まで増加。2030年には3万人、2035年には3万2,000人にまで増加する見込みです。
65歳以上の高齢者人口に対する要支援・要介護認定率は2023年には19.3%となっており、2030年には22.9%、2035年には23.4%と年々上昇する予測も出ています。
また、認知症高齢者も増えており、認知症認定者数は2021年は1万9,801人でしたが、2023年には2万1,528人とまで増加しています。2030年には2万6,000人、2035年には2万8,000人にまで増加する見込みです。
このため、松戸市は認知症予防教室などを開催し、認知症対策に尽力。グループホームや認知症対応デイサービス、認知症でも入居できる介護施設などを増やし、認知症高齢者とその家族をケアするサポート体制を整備中です。
また、松戸市の介護保険運営協議会による推計によると、2035年にかけて、在宅医療などを必要とする人は1日あたり8,060人まで増加。これは2013年と比較して108%も増加する予測です。
そのため、松戸市は訪問看護や夜間訪問介護看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの在宅医療サポートを充実させ、高齢者のニーズに答えようとしています。
その他にも、福祉用具貸与や住宅改修など、松戸市で利用できる介護保険サービスは豊富。地域包括支援センターが基本的な窓口になっており、ケアマネージャーが一人ひとりにふさわしいケアプランを作成してくれます。
健康コンテスト「松戸市ご長寿ハッピーコンテスト」を開催
松戸市では介護予防活動として、生涯学習活動の支援や、高齢者が経験や知識を生かして社会に参加できる環境づくりを行っています。
千葉県生涯大学校では、「まつど生涯学習大学講座」や「市民大学講座」などを開校。高齢者が新しい知識を身につけたり、仲間をつくったりできるようにしています。
松戸市の老人クラブである「はつらつクラブ」の活動支援や「シニア交流センター」を生きがい対策拠点として設置し、高齢者の就労支援などを実施。
就労支援はシルバー人材センターや高齢者無料職業紹介所、松戸地域職業訓練センターで行っています。
また、心身の健康維持・増進も介護予防において重要であることを鑑み、健康増進計画「健康松戸 21Ⅲ」を施行。健康教室や栄養指導などを通し、高齢者自身が自分の健康を守れる状態を作ろうとしています。
また、「健康増進普及運動」を通して健康コンテスト「松戸市ご長寿ハッピーコンテスト」を開催。これは、みんなで長寿を祝い、健康寿命を伸ばす取り組みで、60歳以上の人であれば誰でも参加可能です。
さらに、保健福祉センターで実施されている「家庭栄養改善教室」では、健康寿命をのばす食生活を学ぶことができ、こちらも60歳以上の市民であれば誰でも参加できます。
その他にも、はり・灸・あん摩などの施術費の助成や、リハビリ教室の実施、健康教室を運営するヘルスボランティアの育成、市民健康相談室の開催、生活習慣病予防の実践指導など、いろいろな介護予防活動を行っています。
松戸市の地域包括ケアシステム
松戸市では、高齢者が最期まで自分らしく生きていけるように、地域全体でサポートする体制を構築中です。
高齢者がいる世帯、高齢夫婦のみの世帯が増えるなか、特に一人暮らしの高齢者が増えており、2015年から2025年の10年間に約35%も増加すると予測されています。
加えて、松戸市では「要介護状態になったとしても、自宅で生活し続けたい」と考える高齢者が多いため、在宅介護をしている家庭も増加中です。
そのため、訪問介護や家事代行などの在宅支援サービスを、より多くの人に提供できるよう、松戸市は介護スタッフの確保や事業所の増設などに目を向けています。
医療ケアと介護を同時に必要としている高齢者も多いという状況を鑑み、在宅医療・介護連携支援センターを設置。24時間体制でのサポートや介護と看護を同時提供できる環境を構築中です。
また、都市型介護予防モデル「松戸プロジェクト」を実施し、専門的な知識を持つボランティアを増やすことで住民主体の介護予防活動を広げています。
さらに、地域のつながりをもっと強固なものにするため、社会福祉協議会では、「いきいきサロン」や「ふれあい会食会」といった交流の場を提供。高齢者も含めた地域住民とボランティアスタッフが協力し合い、交流を図る機会を増やしています。
そして、地域で声かけをおこなう「オレンジ声かけ隊」の活動を推進し、地域ぐるみで認知症高齢者と家族のケアを実施。健康教室などを開催し、介護予防の輪を広げています。
松戸市の高齢者相談窓口は?
松戸市ではいろいろな相談窓口を設置し、高齢者の悩みに対応しています。
地域包括支援センターである「高齢者いきいき安心センター」では、保健師や社会福祉士などの専門スタッフが高齢者やその家族、近隣住民の皆さまの相談に対応。介護だけでなく、福祉や医療、健康や生活に関することなど、何でも相談できるのが魅力です。
センターでは高齢者の権利擁護活動も行っていますので、虐待に関する通報や、振り込め詐欺などの消費者被害に関する相談なども受け付けています。
「手続きや支払いがわからなくなってきた」「ハンコがなくなったら怖いので預かってくれないか?」といった相談も可能で、金銭も含めた貴重品管理や、サービスの手続きや支払いを代行します。
また、「高齢者いきいき安心センター」の基幹部門である「基幹型地域包括支援センター」では、「福祉まるごと相談窓口」を開催。
ここでは「介護のことなど、どこに相談したら良いかわからない」といった悩みを聞き、必要なサービスや解決に必要な情報などを紹介します。
松戸市社会福祉協議会の福祉相談室では「福祉なんでも相談室」を開設し、民生委員などが各種相談に対応。市民センターなど、市内5ヵ所で実施されるので利用しやすいでしょう。
その他にも、「ゆうまつどこころの相談」では、家族や近所の人などとの人間関係、夫婦などの異性関係について専門のカウンセラーが対応。相談は無料で、電話相談もできるのがポイントです。