「自然を感じながら老後を過ごしたい」という高齢者に向いている土地

深谷市は、埼玉県北端にある都市。利根川・荒川・小山川と大きな河川に囲まれているほか、広大な大地や山林が広がる市内の地形はダイナミックで自然の恵みが豊かなため、近郊農業が繁盛している都市でもあります。
実際に市内の約半分を農地が占め、夏や冬の温度差が激しいという欠点はあるものの、「自然を身近に感じながら老後を過ごしたい」という高齢者には、向いている土地でしょう。
JR高崎線や八高線、秩父鉄道といった鉄道が走るほか、国道140号や関越自動車道などの主要な道路も通っており、交通の便は良く、実際に市外に勤務地を持つ人が多く住んでいます。
そんな深谷市では、介護施設のある地域に多少の偏りがあるようですが、種類や数に関してはバランスが取れており、各種老人ホームや高齢者専用住宅、グループホームや特別養護老人ホームが、常にいくつも募集を出しています。
入居一時金や月額使用料があまりかからない施設もあり、しっかりと施設選びを行っていけば、合計しても20万円以内に収まるチャンスも出てくるでしょう。
現在も新しい施設の建設も随時進められており、充実した施設に入れる機会はこれからも十分にあります。
2035年までには3人に1人が高齢者に
深谷市は埼玉県北部の街。利根川と荒川に挟まれたエリアで、農業が盛んです。
ネギやユリなどの花卉(かき)の出荷が多く、農業出荷額は埼玉県1位を誇り、特に「深谷ねぎ」が有名で、日本一の出荷量です。
交通アクセスとしては、JRの高崎線、秩父鉄道の秩父本線が走行。武蔵観光バス、市内循環バスなどのバスも市内を走っています。
国道17号や国道140号バイパスなどが整備されており、国道140号バイパスには関越自動車道に入る花園インターチェンジが設置されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
そんな深谷市ですが、総人口は減少傾向にあり、2013年には14万6,189人だった総人口が、2017年には14万4,425人、2023年には14万1,681人まで減少しました。
0~14歳までの年少人口や、15~64歳までの生産年齢人口は減少する一方で、65歳以上の高齢者は増加しています。
高齢者を年齢別にみても、65歳から74歳までの前期高齢者、75歳以上の後期高齢者ともに増加中です。
2013年には前期高齢者数が1万8,333人、後期高齢者数が1万5,215人でしたが、2017年には前期高齢者数は2万1,419人、後期高齢者数は1万7,341人、2020年には前期高齢者数2万1,578人、後期高齢者数1万9,303人となりました。
また、2013年には22.9%だった高齢化率も、2015年には25%となり、2023年には30.0%と30%を超えました。4人に1人が高齢者という状況です。2040年までには35%を超える予想で、今後もますます高齢化率は高くなると予測されています。
2023年の高齢化率の全国平均は29%と深谷市の高齢化率は全国平均を上回っています。増え続ける高齢者のために、深谷市は高齢者福祉サービスなどを充実させています。
2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者になる
深谷市の高齢化率を年齢別にみると、2020年の時点で前期高齢者数が市内総人口の15.3%、後期高齢者は13.7%。前期高齢者の方が多くなっていますが、2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者となり、それに伴い要支援・要介護認定者も増えることが危惧されています。
実際、深谷市の要支援・要介護認定者は年々増加しており、2017年には5,557人だった認定者も、2024年には1万518人と増加、深谷市の要支援・要介護認定者は今後も膨れ上がる見込みです。

他市に比べると緩やかな上昇ですが、介護保険サービスの利用者も年々増えていますので、介護保険サービスに関わる介護職員の増員なども求められています。
認知症高齢者の年々増加しており、介護保険サービスなどの普及・充実による高齢者とその家族の生活支援も深谷市の課題です。
深谷市が実施した高齢者向けのアンケートによると、『介護が必要になっても、家族からの介護や、介護保険サービスなどを利用しながら自宅で暮らしたい』と答えた人が約6割。
この結果から、高齢者の半数以上が介護を受けながらでも自宅にいたいと考えていることがわかりました。
実際、深谷市では在宅介護を行っている家庭も多いため、在宅介護の負担を減らすべく、訪問介護や訪問看護、夜間対応型訪問介護看護などの訪問型のサービスに加え、認知症対応型デイサービスなどの通所型のサービスのサービス量も増やそうと努力しています。
認知症サポーターの育成にも力を注いでいる
深谷市は『元気と笑顔の生産地 ふかや』をスローガンとして掲げ、健康で生き生きと暮らせる街を目指しています。
『健康で こころ豊かな たすけあいのまち ふかや』を深谷市の高齢社会の将来像として設定。高齢者も笑顔で暮らせしていけるよう、高齢者福祉の推進を掲げ、住まいの確保や介護・医療・介護予防・生活支援などを一体的に提供する地域包括ケアシステムを構築中です。

高齢者の自立した生活を維持する手伝いも行っており、高齢者配食サービスでは、食事を届ける際に安否確認も実施。怪我などの早期発見につながっています。
さらに、ボランティアグループなどの協力を仰ぎ、地域全体での見守りなどを強化し、高齢者が安心して暮らせる生活環境を整備中です。
また、交通安全杖の支給や福祉タクシー利用料金助成などで高齢者の外出を促進したり、高齢者の居場所づくりや活躍の場づくりとして、老人クラブなどでのボランティア活動や趣味活動を支援したりしています。
近年、深谷市では認知症高齢者も増えており、介護側の家族の負担なども問題となってきたため、認知症を理解し、認知症の人やその家族を支える認知症サポーターの育成にも力を注いでいます。
最近は認知症サポーター登録者も増え、2016年には1,000人を超え、1,122人となりました。今後も認知症対策を推進し、認知症高齢者とその介護者が孤立しないよう、フォローしていく予定です。
介護予防のための「認知症簡易チェックシステム」を導入
深谷市は『健康で こころ豊かな たすけあいのまち ふかや』を実現するため、介護予防活動も積極的に実施しています。
市内各地で運動教室や栄養教室に加え、噛む力や嚥下力を培う口腔教室を定期的に開催。教室でコンスタントに運動などをすることで、外出の習慣化を促し、運動習慣を身につけることが狙いです。

また、社会での通い場がある人の方が生き生きとしていることがわかっているため、介護予防体操にくわえ、生涯学習やスポーツ活動、趣味活動、レクリエーションなど、高齢者の色々な活動をサポート。
高齢者が通いやすい自治会館や集会所を支援することで、住民主体の介護予防活動を推進しています。
おしゃべりや交流も認知症予防につながるため、高齢者同士が気軽に集える「ふれあい・いきいきサロン」に助成金を交付。ボランティアセンターではボランティア活動の相談や紹介を行い、高齢者の社会奉仕活動を支援し、高齢者の活躍の場を広げています。
深谷市は実施グループを増やすべく、周知活動や普及活動を実施。リーダーとなる介護予防サポーターの養成講座なども開催しています。
さらに「認知症簡易チェックシステム」を導入。スマートフォンやパソコンから気軽に「自分が認知症かどうか?」のチェックができるので便利です。
深谷市の高齢者相談
深谷市の「深谷市成年後見サポートセンター」では、認知症などで判断能力が落ちている人を対象に、契約や財産管理を代行する「成年後見制度」を実施。制度に基づき、契約などに関する相談に応じています。

契約や財産管理の補助・代行をしていますので、「入院の契約が不安」「不動産の管理ができなくなってきた」「介護施設に入りたいけれど、その間の財産管理とかどうしよう…」といった相談が可能です。
本人だけでなく配偶者や家族、4親等以内の親族からも相談も受け付けているため、家族の方から「本人はぼけてないつもりのようですが、早く財産管理の代行をしてあげて欲しい」といった希望も出せるのがポイントです。
基本的に、地域包括支援センターや社会福祉協議会が福祉相談を行っています。特に地域包括支援センターは介護保険や介護予防活動もしているため、福祉サービスに関することなら何でも相談可能です。
「在宅介護にお金がかかる、おむつ代の支給などはしてもらえないの?」といった相談も受け付けています。
その他にも、深谷市は健康相談や交通事故相談、法律相談や消費生活相談、不動産無料相談、空き家に関する相談など、さまざまな相談を実施しています。