要介護だけでなく自立・要支援向けの介護施設も充実
川崎市高津区は、再開発により川崎市の中心的な商業地となりつつある街です。
高津区の高齢者数の推移を見ますと、2010年の高津区の高齢者人口は約3.2万人でしたが、それが2023年には約4.3万人となり、13年間で約1.1万人増加しているのがわかります。
高齢化が進む中、高齢者の生活向上のため高津区は高齢者福祉サービスを充実させています。
「小学校ふれあいデイサービス事業」という、市内に住んでいる65歳以上の方で、支援が必要な人が参加できるデイサービスを小学校で実施しています。昼食会や健康体操を行い、高齢者の外出の機会や交流を支えています。
また、高齢者特別乗車証明書を発行し、バスなどの運賃の助成も行っています。
地域の公衆浴場を利用し、地域のボランティア団体によるミニデイサービスや入浴サービスの実施も行っています。その他にもさまざまな福祉サービスを展開しており、その内容は多彩です。
特別養護老人ホームなどの公的介護施設は高津区にもあります。しかし、どの特養も満床の状態ですので、介護付有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅、グループホームなどを上手く利用しましょう。自宅介護をする場合でも、区の在宅介護サービスを活用しつつ、有料老人ホームのデイサービスを利用して、お風呂はホームで入れてもらうなど、無理なく介護をしていきましょう。
有料老人ホームは介護付きと住宅型とあり、介護付きは入居時に必要な一時金が数百万から数千万という高額な施設があります。稀に一時金が0円の施設があるのですが、そういった施設はその分、月額利用料が高額だったりしますので、入居を検討する際は料金を予め聞いておくとよいでしょう。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅は比較的料金が安いです。ただ、ある程度動ける方限定という施設もありますので、事前の確認をおすすめします。
グループホームは、認知症に特化している分、認知症ケアも充実していますが、有料老人ホームに比べると料金も安いことと、少人数制なので定員が少ないことが重なり、空きがないホームも多いようです。しかし、入居を希望したいグループホームには気軽に申し込んでおきましょう。空きができれば優先的に入れてもらえます。
2023年の川崎市高津区の高齢化率は19.0%まで上昇
高津区は、川崎市の7行政区1つです。
区内にはJR南武線、東急田園都市線や東急大井町線が走行し、川崎市交通局や東急バスの路線バスも区内外を繋いでいます。
川崎市が東急田園都市線・溝の口駅やJR南武線・武蔵溝ノ口駅を中心に再開発を進めたため、川崎市中部のメイン商業エリアとして賑わっている街です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
そのため、高津区の総人口は増加し続けており、2010年には21万7,360人だった人口も、2017年には23万507人となり、川崎市7行政区の中で2番目に人口が多い区となっています。
年齢別にみても、0歳から14歳までの年少人口の割合や15歳から64歳までの生産年齢人口の割合が、川崎市の平均よりも高いです。
65歳以上の高齢者人口の割合は川崎市全体よりも低くなっていますが、2010年には15.0%だった高齢化率が2015年には17.4%となり、2023年には19.0%まで上昇しました。
ほかの市区町村に比べると、少子高齢化は進んでいませんが、高齢者の数は年々増加し、高齢化率は上昇しているのが現状です。
団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年には、生産年齢人口が減少に転じ、2030年頃から年少人口も減少し始めるという予測も出ています。
高津区は高齢者が快適に暮らせるよう、高齢者向けの福祉サービスの充実などを急いでいます。
「一人暮らし等高齢者見守り事業」では孤独死防止対策を展開
高津区ではまだまだ高齢化率は低いものの、高齢者人口は増え続けており、一人暮らしの高齢者の孤立や孤独死が問題となっています。
区は誰でも安心して暮らせる町を目指し、介護や医療、福祉、生活支援など、さまざまな角度からサポートする「地域包括ケアシステム」を構築中です。
高津区地域福祉計画では、多様なサポートの実現のために、地域住民やボランティア団体、行政、サービス事業者と連携を強化しています。
区民が支え合い、地域一体となって地域の福祉課題の解決を目指す体制を整えています。
子どもから高齢者まで元気に過ごせるよう、高津公園体操や介護予防活動の実施し、がん検診や特殊検診にも取り組んでいます。
健康に関する出前講座の開催、うつ・閉じこもりなどに関する学習機会の提供、こころのバリアフリー事業も推進しています。
以上のような健康維持や交流の場の拡大を進めています。
近年、高齢者の増加にともない、介護問題も増えてきました。
そのため、地域包括支援センターでの相談や老人精神保険相談を実施し、介護家族の孤立も防いでいます。
高齢者だけでなく介護側の家族のケアにも力を入れるべく、認知症カフェやコミュニティサロン、老人クラブや友愛チームによる地域活動の支援も推進中です。
認知症高齢者の徘徊高齢者の増加にも対応しており、見守りのネットワークや徘徊高齢者SOSネットワーク事業を推進しており、「一人暮らし等高齢者見守り事業」では、孤独死を防いでいます。
高津公園体操を行い高齢者の介護予防を促進
高津区では健康づくりや介護予防活動を推進しています。
高津区は要介護状態や閉じこもり予防を目的とした高津公園体操を開発しました。
体操に行くことが外出の機会となるように、定期的に体操を開催しています。
高津公園体操には筋トレや柔軟体操の要素も入っており、継続することでメタボや転倒の防止につながります。
地域の公園や団地の広場で行えるため、高津公園体操を行うグループが徐々に増加しています。
「公園だから飛び入り参加もできるので気楽」と好評のようです。
2007年から始まった高津公園体操は、現在20ヵ所以上に広がっています。
高津区役所5階会議室でも準備運動や高津公園体操を行い、体力測定も実施。
「みんなで頑張るので続けられそう」といった感想も聞かれます。
また、口腔や嚥下の機能維持について学べるお口の講座や、低栄養を防ぐ栄養講座も開催しています。
地域のグループが希望すれば、出前講座も行います。
こういった介護予防活動は、高津区役所保健福祉センターの地域支援担当が窓口となっているので、「ちょっと介護予防をやってみたい!」という場合は相談してみると良いでしょう。
さらに、介護状態の引き金となる病気を予防するため、インフルエンザの予防接種や、がん検診も実施しています。
生活習慣病を予防するための各種講座も開催しています。
高津区では高齢者の社会参加を支援するため、高齢者向けのイベントや趣味講座も実施しています。
介護予防に関しては地域包括支援センターや社会福祉協議会も協力していますので、気軽にご相談下さい。
高津区の高齢者相談
高津区では、高齢者の福祉に関する相談窓口を設置しています。
厚生労働大臣から委嘱を受けたボランティアである「民生委員児童委員」が、高齢者や障がい者の相談に乗っています。
相談は無料で、運営主体は社会福祉協議会で、区役所保健福祉センターや地区健康福祉ステーションが窓口です。
2021年の時点で民生委員児童委員は219人です。
委員一人当たりの受け持ち世帯が市の平均より多くなっているのが現状で、高津区は民生委員の負担を減らすべく、民生委員児童委員の増加も検討中です。
また、75歳以上の一人暮らし高齢者世帯の生活状況の把握のため、民生委員児童委員が高齢者宅に定期的な訪問も行っています。
介護の悩みや生活に関する相談に応じています。
定期訪問が安否確認にも繋がっており、高齢者の病気や怪我の早期発見にも貢献しているようです。
さらに、高齢・障がい課では、成年後見制度を実施しています。
認知症などで金銭管理などができない人を対象に管理の代行を行い、高齢者の財産や権利を守るシステムです。
認知症高齢者を狙った詐欺が横行する中で、成年後見制度による権利保護や民生委員による見守りは、大きな役割を果たしています。
近年、全国的に高齢者の虐待が増えており、高津区でも高齢者虐待防止対策事業を推進。
地域包括支援センターなどで虐待についての相談や通報を受け付けています。