新規オープンの老人ホームが多いエリア

鎌倉市は、東海道線を使って都内や横浜・川崎方面へ通勤する住民が多く住む、重要なベッドタウンの1つです。
観光地や保養地としても依然として高い人気を保っています。
鎌倉市の人口は、1980年代にいったんピークに達しました。
その後、緩やかな減少傾向を見せ、高齢化も確実に進んでいます。
市内の高齢化率は、2010年の時点で27.2%を記録しています。
この結果は、全国平均値を約4ポイントも上回っています。
少子化も顕著で、2010年の段階で12.1%。
しかし2030年には高齢化率は30%を超え、少子化率は10%を下回るものと見積もられています。
こうした「待ったなし」の事情に対応するため、鎌倉市役所では健康福祉部に「高齢者いきいき課」を設けて数々の政策を実施してきました。
また、特定非営利活動法人の「かまくら地域介護支援機構」も有名で、介護保険の利用をはじめ、在宅介護や通所介護、さらに施設への入居に関してさまざまなアドバイスを受けられるようになっています。
鎌倉市には老人ホームや高齢者専用住宅はすでにたくさんありますが、この10数年くらいの間にオープンしたばかりの施設が多く、新しい建物や設備を利用しながら暮らせるチャンスがあります。
入居時の費用が数十万円から400万円以上と、高めになる施設が目立ちます。
月額の利用料を見ても、25万円台や30万円前後の施設が目につきます。
それでもよく探せば、月に20万円以下の出費で済む施設も出てきます。
コスト面で希望がある場合は、時間をかけて探すことが肝心でしょう。
鎌倉市は、高齢化に備えて着々と準備を進めている地域です。
近い将来はもっと高齢者にとって住みやすい街として発展していくでしょう。
よく施設を探して、納得のいく選択をすることが大切です。
75歳以上の後期高齢者が今後は増加
鎌倉市は「鎌倉の大仏」などがある観光地です。
歴史的な建築物も多く、「古都鎌倉」として国内外に人気があります。
沿岸部には材木座海水浴場や腰越海水浴場などの海水浴場があり、夏期は海水浴客でも賑わう街です。
交通アクセスとしては、JR東日本の横須賀線、東海道本線、根岸線などが走行しており、JR大船駅から東京駅方面へ直通し、湘南新宿ライン経由で新宿駅や宇都宮駅方面にも接続しています。
成田空港駅への直通特急列車もあります。
さらに、湘南モノレール江の島線や、江ノ島電鉄線も市内を走っており、コミュニティバスや京浜急行バス・湘南京急バスなどのバスも利用可能です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
鎌倉市の高齢化率は増加しています。
2010年時点では鎌倉市総人口17万4,314人に対し、高齢化率は27.6%。これが5年後の2015年の鎌倉市総人口17万3,019人に対し、高齢化率は30.6%です。2020年になると総人口は17万2,710人と微減しているものの、高齢化率は31.1%に上昇します。
なお、将来推計では2030年の高齢化率が32.2%、2040年は37.4%、2050年で38.9%です。
その後、75歳以上の後期高齢者は増加し続けるようです。
もともと64歳から74歳までの前期高齢者よりも、75歳以上の後期高齢者の方が多かったのですが、2030年度には差がますます大きくなると予測されており、前期高齢者が2万709人、後期高齢者が3万3,294人となるようです。
後期高齢者が増えると、介護保険サービスの要支援・要介護認定者も増えるため、鎌倉市は介護予防活動に力を入れています。
要支援・要介護認定者数には地域差がある
鎌倉市では要支援・要介護認定者は緩やかに増加しています。
2010年度は7,550人でしたが、2015年度は9,979人、2020年度は1万957人、2024年度は1万1,749人と推移。

2024年の調査によると、高齢化率は腰越地域が34.0%、鎌倉地域が32.2%、深沢地域が31.3%。
腰越地域は3人に1人以上が高齢者という状況です。
高齢化率に地域差が出るとともに、要支援・要介護認定者数の差も出ています。
鎌倉市は地域に合わせた介護保険サービスの提供を行うため、各地に介護サポートの中心となる地域包括支援センターを配置し、支援センターを通じて介護保険サービスなどを実施しています。
在宅介護中の世帯や一人暮らしの高齢者、高齢夫婦世帯が多いため、「訪問介護」や「訪問看護」「居宅療養管理指導」といった、介護・看護職員が自宅まで来てくれる居宅サービスは需要が高いです。
さらに、「通所リハビリテーション」「通所介護(デイサービス)」「短期入所生活介護(ショートステイ)」といった通所系のサービスを居宅サービスと同時に利用している人も多数います。
施設サービスとしては、特別養護老人ホームなどの介護施設に加え、介護と医療サポートが同時に受けられる介護療養型医療施設、介護医療院の増設も期待されています。
鎌倉市はこのような需要に応えるべく、介護保険サービスを充実させるための取り組みを行っています。
地域ケア会議では住民たちが地域の課題を解決
鎌倉市では、「いつまでも安心して元気で暮らせる地域づくり」を目標として掲げ、医療・介護・住まい・介護予防を、包括的にサポートするための地域包括ケアシステムを構築し、高齢者が快適に暮らせる街を作ろうとしています。
災害時には、要援護者に登録している高齢者の避難補助を行うサポート体制の強化も推進しており、介護保険サービスだけでなく、いろいろな高齢者向けのサービスを実施し、相談窓口も設置しています。

鎌倉市では自宅で暮らす高齢者が多く、自宅での転倒による骨折などが要支援・要介護認定に繋がっているケースが頻発しています。
そのため、自宅内の段差解消を行うバリアフリー化工事も推奨しています。
介護保険サービスの1つである「住宅改修」では、バリアフリー化工事の費用を一部助成しています。
また、車イスや介護ベッドなどを借りられる「福祉用具貸与」も利用者が多いようです。
地域ケア会議という住民主体の会議では、地域の実質的な問題を話し合い、直接鎌倉市に問題などを提示しています。
市はその会議内容を、ムダのない高齢者サポート実現に向けて活用しています。
また、高齢者とその家族が孤立しないように、介護教室や介護家族の会を開催し、高齢者生活支援サポーターが高齢者の話し相手や趣味活動の支援を行っています。
生活支援サービスでは、地域のボランティア団体が、高齢者の生活の見守りを実施し、鎌倉市は地域全体での見守りや支えあいを目指しています。
生涯学習のための「かまくらシニア健康大学」を開催
鎌倉市では市民がいつまでも健康的に過ごせるよう、「鎌倉市健康づくり計画」や「鎌倉食育推進計画」と連携し、介護予防活動に力を入れています。
生活習慣病予防や健康・体力の増進を推進するため、健康に関する講座や健康相談の実施や、地域での健康体操、食育の推進などを行っています。

特に生活習慣病は脳血管障害を引き起こし、認知症を誘発する危険性もあるため、鎌倉市は生活習慣病予防にも着目し、75歳以上の人を対象に、メタボ度合いなどをチェックする鎌倉市の国保特定健康診査・特定保健指導を実施しています。
また、病気が介護の引き金になる人も多いため、かん検診やインフルエンザ・肺炎予防接種、歯周病検診や健康診査も実施しており、病気の早期発見・早期治療に努めています。
介護予防運動としては、運動機能や口腔機能の維持のため、健康体操教室やウォーキング会などを開催しています。
口腔機能に関する講座も開講しています。
低栄養の予防に繋がる栄養指導や食事の教室も開催中です。
さらに、市内各地の施設では、「かまくらシニア健康大学」を開催しています。
講座だけでなく、体操教室もあり、内容が豊富なのが魅力です。
例えば鎌倉市福祉センターでは「ゆがみ改善!自宅でできる簡単ピラティス」、鎌倉生涯学習センターでは「知って得する!がんばらない健康長寿法」が実施されています。
65歳以上の人を対象に、体力測定会も行っており、自分の体の状況を把握することができます。
鎌倉市の高齢者相談

鎌倉市では、高齢者の悩みを解決するため、相談窓口を設けています。
地域包括支援センターでは、健康や介護に関する相談や、介護保険サービスについての質問、もの忘れや権利に関する相談が可能です。
高齢者本人だけでなく、家族や親族、地域住民からの相談にも対応しています。
「近所のおばあちゃんがいつも顔を怪我している」といった高齢者の虐待に関する匿名通報も可能です。
成年後見制度も推進しているので、各種手続きや金銭管理の代行サービスもおこなっています。
そのため、「最近、鎌倉に住んでいるおばあちゃんのもの忘れが酷いみたいで…通帳などを預かっていて欲しい」といった相談に乗ってもらえるのが魅力です。
また、鎌倉市では認知症高齢者とその家族が気軽に相談できるよう、認知症相談も実施しています。
認知症サポーターなど、認知症の理解者も増えていますので、「認知症かも?」と思ったら気軽に相談すると良いでしょう。
そして、住宅のことで悩む高齢者の増加に応え、住宅関連の相談窓口も増設しました。
住まい探し相談会では、高齢者や障がい者などを対象に、住まいを探す相談会を開催しています。
「マンション管理相談」ではマンション管理士が相談に乗ってくれますし、「あんしん賃貸支援事業」による相談会では、「年齢的に保証人がいないので次の賃貸物件が決まらない」といった相談もできます。