価格帯としての利用のしやすさは関東随一

茨城県の県庁所在地である水戸市は老人ホームの約半数を特別養護老人ホームが占めるなど、比較的充実しています。
その半面、介護老人保健施設や介護療養型医療施設など医療設備が充実している施設はあまり多くなく、老人ホームへの入居を考えている人は、なるべく早く資料請求や体験入居などの行動に移すと良いでしょう。
費用面を見てみると、水戸市の老人ホームは、同じ関東圏である東京都や神奈川県、埼玉県より比較的低額。入居一時金が120万円台、月額利用料が12万円前後のところも多く、費用面での利用のしやすさは、関東随一と言えるでしょう。
一方、水戸市は首都圏からの交通アクセスが良いという特徴もあります。高速道路を使えば、都内から車で1時間半ほどで、常磐自動車道の水戸インターチェンジに到着でき、費用面と併せて検討して水戸市の老人ホームへの入居を決めたという首都圏在住者も少なくありません。
比較的少なめの老人ホーム数を費用・アクセス面などで補うメリットがある水戸市の老人ホーム。首都圏に住んでいる人も、水戸市の老人ホームに入居することを考えてみてはいかがでしょうか。
2023年には高齢化率が27%に
水戸市は、他の地域同様に少子高齢化が進む都市の一つで、2015年には団塊の世代がすべて65歳以上となり、高齢者の数は大きく増加しました。
2017年の調査では、65歳~74歳までの前期高齢者の方が、75歳以上の後期高齢者よりも多いですが、2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、後期高齢者の割合が一気に増加しました。
水戸市は超高齢化社会の到来に向け、介護予防や高齢者向け福祉サービスの充実に力を入れています。水戸市の総人口は、2013年27万839人、2017年27万775人、2023年には27万10人とほぼ横ばい状態ですが、0歳~14歳までの年少人口は2013年が3万7,013人、2017年は3万5,481人、2023年には3万3,472人となり、3,541人減少しています。
それに対し、高齢者人口は2013年が6万3,434人、2017年は7万791人、2023年には7万2,886人と、10年間で9,452人も増加。水戸市でも少子高齢化が進んでいるのがわかります。
高齢化率は年々上昇しており、2013年に23.4%だったものが2017年には26.1%まで上昇。2023年には27.0%となり、4人に1人が高齢者という状況です。。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2023年のデータでは、高齢化率は全国平均が29.0%、茨城県全体の平均が29.9%となっているので、全国や茨城県の平均は下回っているものの、高齢者が増え続ける現状のなか早急な対策が待たれます。
また、高齢者のいる世帯、特に一人暮らしの高齢者世帯が急激に増えており、2000年に5,542世帯だったその数は、2015年には1万1,735世帯、2020年には1万4,351世帯まで増加。老齢夫婦だけの高齢者世帯も増えており、訪問介護・看護などのニーズが高まっています。
居宅サービスを利用している高齢者は9万人以上
水戸市では高齢化率の上昇にともない、要支援・要介護認定者数も増加。特に要介護1・2の認定者が増えており、2024年の調査によると要介護1は3,102人、要介護2は3,114人となっています。
要支援1・2の認定者も増加しており、2024年には3,235人と重度化防止対策や介護予防の重要性が浮き彫りになっています。
介護サービス利用者も増加傾向にあり、2010年には居宅サービス利用者6,022人、施設サービス利用者1,756人、地域密着型サービス利用者629人だったものが、2024年には居宅サービス利用者6,022人、施設サービス利用者2,311人、地域密着型サービス利用者1,803人と緩やかに増加しています。。

居宅サービス受給率は、2022年には全国平均が59.8%、茨城県の平均が55.7%であるのに対し、水戸市は58.4%となっており、全国平均は下回るものの茨城県平均を上回っています。
2015年~2016年にかけて、認知症対応型のグループホームやデイサービス、夜間対応型訪問介護などの地域密着型サービスが増えました。
そのため介護保険サービス給付費は、地域密着型サービスが上がり居宅サービスが下がっていますが、どちらも大変需要が高く、水戸市はサービスに携わるスタッフの確保や育成も重要視しています。
2022年の調査によると、施設サービスの受給率は全国平均が13.7%、茨城県の平均が18.6%、それに対して水戸市は16.4%なので、全国平均は上回り、県平均は下回っています。居宅サービスや地域密着型サービスを利用しながら、在宅介護で生活する人が増えているということがわかります。
「シルバーリハビリ体操」を実施して介護予防を行っている

水戸市では、増加する高齢者が健康に生きていけるよう、介護予防に尽力。自宅での生活を希望する高齢者が多いなかで在宅生活のための住宅改修などを行い、なるべく自宅で自立した生活を続けられるようにサポートしています。
同市は高齢者の病気の罹患率も高く、高齢者向けのアンケートによると持病がある人は76.1%。そのため健康手帳の交付や健康相談・健康診断などを行い、高齢者の健康維持・促進をサポートして健康維持に力を入れています。
また、水戸市福祉ボランティア会館や高齢者福祉施設などでは「シルバーリハビリ体操」を実施。これはボランティアグループによる健康体操で、体操出前講座なども行っています。
転倒防止・筋力維持のために、ウォーキングに適したヘルスロード(散歩道)のマップに加え、ウォーキングアプリを作成。このアプリで歩数を測り、ウォーキングを習慣化させる「みとちゃん健康ウオーキング」事業は、高齢者の生活習慣病や運動器症候群の防止につながっています。
そして、生きがいづくりを重視し、高齢者の交流場の確保やボランティア活動の推進、再就職活動の支援などを実施。引きこもり防止対策として、買物や通院などを促進し、外出を促しています。
水戸市は「みと魁プラン」で高齢者の生活をサポート

国の老人福祉法や介護保険法、茨城県の「いばらき高齢者プラン」や「健康いばらきプラン」など、高齢者をサポートするシステムと連携しながら、水戸市は「みと魁プラン」や「高齢者保険福祉プラン」などを実施。高齢者の安定した生活をサポートするため、包括的にケアするシステムを作っています。
水戸市では、さまざまな高齢者サポート事業を実施。「介護予防の推進事業」では、健康体操の普及や食生活指導によって、高齢者の健康維持をサポートしています。
「生活支援配食サービス事業」ではお弁当などの配食サービスによる食生活改善と、配達時の安否確認、「社会参加と生きがいづくりの促進事業」では高齢者の就労支援やレクリエーション活動の支援、そして「長寿をたたえる事業」では敬老会などを開催して社会福祉を推進しています。
そのほか、シルバー人材センターを主とした高齢者の就労支援や、地域住民による見守りサービスである「安心・安全見守り隊」の活動支援、一人暮らしの高齢者宅へ乳製品を届け安否確認を行う「愛の定期便事業」などもあり、ケア内容は実に多彩です。
NPOやボランティア団体による、買物や洗濯代行サービスなど生活支援も充実しつつあり、水戸市では高齢者のためのケアシステムが徐々に構築されているようです。
水戸市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
水戸市の「高齢者支援センター」では、高齢者やそのご家族、地域住民が気軽に相談できる窓口を設置。社会福祉士や保健師などの専門スタッフが対応するため、具体的なアドバイスがもらえます。

相談内容は多岐に渡っており、介護や福祉サービス、施設などの利用方法について聞いたり、心身の健康や金銭的な悩みを打ち明けたりすることができます。
ご家族からも、介護や認知症のことなど高齢者に関することなら何でも相談可能。地域住民からも「最近、高齢の●●さんの顔を見ていない」といった相談が寄せられています。
また、相談支援課の「権利擁護サポートセンター」では、高齢者の権利を侵害する問題について相談が可能。高齢者への虐待や、認知症で金銭管理が難しくなった場合の代理管理などについての問題を聞いてもらうことができます。
そのほかにも、市民相談室内相談ブースでは「暮らしの行政相談」や「税理士会の無料税務相談」、みと文化交流プラザでは「特設無料人権相談」を、水戸市消費生活センターでは「消費生活相談」を行い、あらゆる心配ごとが相談できるようになってます。
そして市役所三の丸臨時庁舎では、相続についても相談できる「行政書士相談」を開催し、水戸市では複雑な悩みにも対応。適切な窓口がわからない場合は、区役所に相談してみると良いでしょう。