夫婦入居可能な老人ホームが多数

八千代市は、京成本線東葉高速鉄道を中心とした住宅開発が盛んなベッドタウンですが、その大きな比率を占める団塊の世代が後期高齢者となることなどを見据え、八千代市は「長寿支援課」を設置。細やかな高齢者福祉サービスを行っています。
65歳以上で杖がないと歩けない方には無料で杖を配布する傍ら、寝たきりの方には、おむつ代などを支給する「寝たきり老人福祉手当」を実施しています。
また、「ミニデイサービス」という名前で高齢者が気軽に参加できるサロンを開催するほかにも、宅食サービス(有料)やボランティアによる食事サービスなど、「孤独化」を防ぐためのサービスを行っています。
そんな八千代市ですが、地域包括支援センターだけでなく、先述の長寿支援課など、相談窓口が数多くあるのも特徴。介護をしている人を対象にした講義などもあり、“介護がしやすい都市”を目指していることがわかります。
介護施設の状況を見てみると、介護付有料老人ホームも住宅型有料老人ホームも、料金はホームによってさまざまではありますが、月額利用料は15万~20万円程度です。
有料老人ホームは月額利用料が安い分、入居一時金が高額の場合もあるので、入居前に料金の確認をすることは忘れないでくださいね。
八千代市にはグループホームもいくつかあります。利用料が有料老人ホームより安いため、認知症の人はグループホームを選ぶのも1つの手でしょう。
さらに「夫婦で施設に入りたい」という方は、サービス付高齢者住宅など、夫婦で入居可能な施設もありますので、ご希望をみんなの介護でお伝えください。
八千代市の高齢化率は2040年には30%を超える見込み
八千代市は東京都のベッドタウンとして発展してきた都市で、以前の調査によると東京都23区への通勤率は26.6%に上り、4人に1人以上が東京都に通勤しています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
住宅団地発祥の地ともいわれており、現在も東葉高速線の沿線を中心に宅地開発が行われています。
全国的に人口の減少問題が起きている市町村が多いなか、宅地造成や東葉高速鉄道などの交通機関の整備により、八千代市では総人口が増加中です。
2017年の総人口は19万7,302人、2023年には20万4,717人と6年で約1万人の増加となっています。
総人口の増加にともない65歳以上の高齢者人口も増加。そこまで大幅な増加ではありませんが、2017年には24.6%だった高齢化率が2023年には24.8%とやや増加しています。
2023年の高齢化率の全国平均は29%台なので、全国平均は下回っていますが、2012年の時点で超高齢社会に突入しており、もうすぐ4人に1人は高齢者という時代が訪れようとしています。
今後も要支援・要介護認定者は増加し続ける
八千代市では介護保険サービスの要支援・要介護認定者が増加。2017年から2023年のデータをみると、要支援1から要介護5まで、すべての階級の認定者が右肩上がりとなっています。

今後も要支援・要介護認定者は増加し続けると予測されており、八千代市は介護予防活動や介護保険サービスの提供体制の強化を推進中です。
八千代市では自宅で暮らす高齢者や、在宅介護中の世帯が多いため、居宅サービスの需要が高くなっています。
特に掃除や炊事といった家事の代行などの訪問介護は利用者が多く、居宅介護サービス利用者数は2010年には3,206人、2024年には5,864人と年々増加しています。
また、「訪問看護」や「訪問リハビリテーション」とともに、看護師や介護職員が移動入浴車で訪問し、入浴介護を行う「入浴介護」も利用者が増えていますし、医師や薬剤師が居宅訪問して療養の管理や指導を行う「居宅療養管理指導」も利用が急増しています。
その他にも「デイサービス(通所介護)」「認知症対応型デイサービス」「通所リハビリテーション」などの通所型のサービスも利用者が多く、「ショートステイ」「特別養護老人ホーム」の宿泊や、長期入居も需要が高いです。
介護ベッドが借りられる「福祉用具貸与」などのサービスもあり、八千代市は認定者一人ひとりに合わせたサポートができるよう、各種サービスの充実を目指しています。
調理困難な高齢者を対象に、栄養改善のためのお弁当を配達
八千代市では地域全体で高齢者を支えるための「地域包括ケアシステム」を構築中です。
警察や医療機関、保健所、消費生活センターなどの専門機関や民生員、社会福祉協議会、自治会がスムーズに連携できるよう、ネットワークづくりも推進しています。
「八千代市地域包括支援センター運営協議会」を通じて意思疎通や意見交換などを行い、高齢者に関する情報共有を行っています。

基本的に地域包括支援センターが介護や介護予防の中心となっており、市は地域包括支援センターが行うサポート内容の周知と、介護支援専門員(ケアマネージャー)による総合相談、サービス利用支援の業務内容の充実を推進しています。
自宅で暮らす高齢者とその介護家族が孤立したり、介護疲れを起こしたりしないよう、介護家族向けの相談窓口や、座談会を実施し、オムツの支給や、介護のための福祉用具のレンタルを行い、在宅介護の負担を減らしています。
八千代市では一人暮らしの高齢者や、高齢夫婦のみの世帯が増えており、生活支援が重要となっているため、調理困難な高齢者を対象に、栄養バランスのとれたお弁当を配達。有料サービスですが、安否確認も行うため、高齢者の病気や怪我の早期発見に繋がっています。
その他にも、24時間365日、いつでも助けが求められる緊急通報システムの貸与や、位置情報システムを活用し、徘徊高齢者の居場所発見や保護を行う「はいかい高齢者家族支援サービス」など、八千代市はさまざまな福祉サービスを実施しています。
介護予防活動の中心的機関である「介護予防サロン」を設置
八千代市のデータによると、要介護状態になる原因としては「骨折・転倒」「認知症」「脳卒中」が多いことがわかっています。

そのため、骨折などの介護の原因を取り除くための体操教室や歯と口腔の健康づくり講座、認知症などの介護予防に関する講座を定期的に開催。運動や食生活などを含め、生活改善に繋がる知識や情報を提供しています。
さらに、各種健康診査やがんの検診、インフルエンザの予防接種を実施し、病気の早期発見・早期治療に努めています。
各地の域包括支援センターが主体となり、「いきいき教室」を開催しており、認知症予防に繋がる運動の習慣化や栄養改善指導を行っています。
介護予防体操である「やちよ元気体操」の普及にも努めており、気軽に参加できるよう、各地域で定期開催中で、「みんなで毎週体操するから、継続ができてる」といった感想も聞かれ、体操を各地域で指導する「やちよ元気体操応援隊」の活動も支援中です。
また、介護予防活動の中心的機関である「介護予防サロン」では、高齢者の転倒防止や栄養状態の改善など、高齢者が気軽に参加できる介護予防活動を多数開催し、高齢者の健康づくりへの意欲向上を計っています。
八千代市の高齢者相談
高齢者虐待が全国的に問題となっており、高齢者の権利を脅かす事件も多発するなか、八千代市では高齢者のための相談支援体制を強化。地域包括支援センターが中心となって、高齢者虐待に関する相談を行っています。

ここでは高齢者本人だけでなく、家族や親族、地域住民からの相談や匿名通報に随時応じているので「おばあちゃんが介護施設で虐められてるみたい」といった相談も可能です。
また、振り込め詐欺など、悪質な消費者被害に遭う高齢者も増えているため、消費生活センターや警察が情報交換を行い、被害の予防を行っています。
「もしかして詐欺かも?」といった不安を感じた人は、すぐに消費生活センターに連絡すると良いでしょう。
認知症高齢者の増加に伴って認知症に関する相談件数が増えていることを受け、八千代市は認知症地域支援推進員による相談や、介護サービス事業所などでの相談や支援を促進しています。
全国的に拡がりをみせている「認知症カフェ」も開催し、認知症高齢者とその介護家族が気軽に地域住民や専門家と話し合えるようにしています。
さらに、認知症について理解し、認知症高齢者の支援を行う認知症サポーターの養成にも力を入れており、各地域で認知症サポーターが増えています。
その他にも、弁護士や司法書士による法律相談も実施しており、相続などの法律に関する難しい相談も可能です。