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認知症の全知識

認知症とは

認知症はもはや国民病?65歳以上高齢者の10%が認知症とも

認知症の中でも一番多いのがアルツハイマー型認知症で、全体の約半分がアルツハイマー型認知症となっています。脳血管性認知症などは、治療や予防法によって有症率が減少傾向にあるのに対し、アルツハイマー病は有症率が増加傾向にあります。

アルツハイマー型認知症は70歳を境に急激に増加していきますが、男女比を見てみると女性の方の有症率が高いというのが特徴。理由は、はっきりとはしていませんが、女性ホルモンが関係しているという説もあるようです。

日本では今、65歳以上の約10%が認知症と言われています。さらに詳しくご説明すると、70歳までの認知症有症率はわずか1.5パーセントなのですが、それから歳をとるごとにどんどんパーセンテージが増え、85歳ぐらいになると27パーセントもの高齢者の方々が認知症患者だと言われています。

現在、日本国内に250万人以上もの認知症患者がおり、その数は今後も増え続けていきます。2020年を迎えるころには、さらに50万人弱増えると想定されています。

そんな、もはや「国民病」とも言える認知症について、以下のページで詳しく解説していきます。

認知症の基礎知識・インデックス

認知症の種類
「認知症=アルツハイマー」と思われがちですが、実は認知症は、発症の原因によって数十種類もあると言われています。例えば低血糖が原因の場合もありますし、頭部に外傷を負ってなることもあります。
そこで、認知症別の傾向と症状についてまとめてみました。早期発見のために是非、お役立てください。
認知症の症状
認知症=物忘れ、というように思いつく人も少なくないでしょう。それはあながち間違いではありませんが、もちろんそれ以外にも様々な症状があります。
具体的な症状についてご説明する前に、認知症の症状の現れ方がどのような構造になっているかについてご説明します。
認知症の診断・治療
認知症の治療…の前に、当然ですが医師による診断が必要です。認知症を診断してくれるのは、主に精神科や神経内科といった精神疾患を扱う科目。受診時には、長谷川式簡易知能評価スケールというテストを受け、さらには頭部CT、MRI、脳血流検査といった検査を受けることになります。
では、認知症と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
認知症で使われる薬とは?
認知症の方の介護を家族が在宅でおこなっている場合、認知症の周辺症状が緩和されることで介護者の負担が軽減されることを期待して服用をしているケースも多く見られます。
しかしながら、認知症薬には副作用が見られるものもあり、安易に服用せずしっかりと専門医の指示のもと服用することが大切です。認知症高齢者の方と介護者のより良い介護生活を実現するためのサポート的な役割として、活用が検討される薬について、ここでは効果や副作用をまとめてみました。
認知症ケアの新常識・ユマニチュードとは?
認知症ケアの新たな手法として俄然、注目を集めている「ユマニチュード」。これは、フランスの介護専門家、イヴ・ジネストさんやロゼット・マレスコッティさんらが共同で開発した新しいメソッドです。
“手法”と聞くと、なんだか難しい気がしてしまいますが、そんなことはありません。人として普通に生活している中で、皆さんも無意識的にしている(またはできるようになる)ことばかり。その内容について詳しくご説明します。
認知症ケアは在宅と施設のどっちがいい?
多様な介護施設や高齢者向け住宅があり、介護施設での暮らしを選ぶこともできますし、介護サービスを自宅で利用することで住み慣れた家で住み続けることも可能です。
多くの認知症高齢者が在宅での生活をしている今、認知症高齢者やその家族が在宅介護生活をより良いものにしていくにはどうしたらいいのか、施設介護と在宅介護の違いなどを知り、在宅で認知症介護をする方法について考えていきます。
認知症高齢者の受け入れはグループホームが中心
施設入所を希望する人にとって、介護は切実な問題のひとつでしょう。自宅での介護が難しくなれば、介護施設への入居を検討することになると思いますが、そもそも認知症高齢者の受け入れを行っているかが、第一の関門になってきます。
昨今では、認知症高齢者の増加が社会問題になっていることもあり、受け入れを行う介護施設も増えています。その中でもここでは、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、そしてグループホームにおける認知症高齢者の受け入れ体制についてご説明します。
認知症に関する相談はどこにする?
認知症は誰でもかかる可能性のある病気ですが、それでも、いざ自分や家族が認知症にかかったと分かったら、不安になったり、今後への生活に迷うこともあるでしょう。
昨今では、そうした人をサポートするための施設や機関が充実しはじめているので、活用しない手はありません。そこでここでは、認知症に関する相談をどこで、どのように受け付けてくれるのかをご説明します。
認知症の原因・予防
認知症は、一度発症したら治らない病気。かかりたいと思っている人など皆無でしょう。でも、だからこそ予防が大切なのであって、実際に医学の世界では認知症の予防医学の研究が進んでいます。
そこでここでは、認知症の予防について、食生活やライフスタイルの面から見ていきたいと思います。

認知症の種類は主に3つ

「アルツハイマー型」「脳血管性」「レビー小体型」が3大認知症

「認知症=アルツハイマー」と思われがちですが、実は認知症は、発症の原因によって数十種類もあると言われています。例えば低血糖が原因の場合もありますし、頭部に外傷を負ってなることもあります。

そんな数多い認知症の種類の中でも、「3大認知症」として広く知られている、またかかる人も多いと言われているのがアルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症です。

認知症の種類の割合について
アルツハイマー型認知症(55%)
レビー小体型認知症(18%)
脳血管性認知症(19%)
その他の認知症(8%)
8%19%18%55%

アルツハイマー型認知症の患者数が一番多い

認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症という異なるタイプのものがあります。

<タイプ別に見た認知症の症状>

認知症の種類 症状の特徴
アルツハイマー型
認知症
【軽度】
日時がわからなくなる
不必要な買い物をするようになる
【中度】
場所の認識ができなくなる
大声をあげたり暴言を吐いたりする
暴力や徘徊などの問題行動が起きる
【重度】
被害妄想や幻覚が頻繁に出る
家族など身近な人のことがわからなくなる
身体機能が低下する
脳血管性
認知症
半身に麻痺症状が起きる
自発的な意欲が低下する
頻尿、尿失禁を起こす
歩くことが困難になる
嚥下障害を起こす
レビー小体型
認知症
幻覚や幻視、幻聴を起こす
人間関係や環境に対して無反応になる
睡眠障害を起こす
便秘や血圧の変動など自律神経障害を起こす
1日の中で感情の起伏が激しくなる
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認知症の症状とは

症状の出方は萎縮する脳の部分で異なる!?

認知症の症状としての中核症状と周辺症状について、中核症状には判断力の低下・記憶障害・話している言葉が理解できない・時間や場所がわからないといった症状が出る、周辺症状としては、怒りっぽくなる・妄想・意欲がなくなる・不安・幻覚・うつ状態・1人で歩きまわる・暴力行為・興奮などが見られる

認知症=物忘れ、というように思いつく人も少なくないでしょう。それはあながち間違いではありませんが、もちろんそれ以外にも様々な症状があります。

例えば徘徊、暴力・暴言、幻覚・幻聴などがありますが、症状の現れ方は患者次第。というのも、脳のどの部位の神経細胞が変性しているか、また萎縮しているかによって症状が異なるためです。

具体的な症状についてご説明する前に、認知症の症状の現れ方がどのような構造になっているかについてご説明しましょう。

認知症の症状における「中核症状」と「周辺症状」とは?

認知症状の進行の仕方の説明、中核症状(記憶障害・見当識障害・実行機能障害・理解判断力障害・計算能力障害)にはじまり性格や資質・ライフスタイルや生活環境などの要因が加わることで周辺症状(感情障害・うつ・暴力・暴言・幻視・幻聴)があらわれるようになる

まずは、脳内の細胞の変性や受けるダメージによって、記憶力が低下したり、簡単な計算ができなくなったりする中核症状(=欠落症状)として現れます。同時に、自分が今どこにいるのか、何をしているのかがわからなくなったり。日常生活の中でそれまでできていたことができなくなることで、認知症に気づくというケースも少なくありません。

その症状が進行していくと、次は周辺症状(=行動・心理症状)になって現れます。そこには、患者本人のライフスタイルや生活環境、人間関係など、それまでの生き方が複雑に絡み合うため、症状の現れ方は本当に様々。介護者としても、ケアの仕方はそれぞれ、ということになります。

さらに進行して重度の状態になると、身体に障がいが現れることも。特に、レビー小体型認知症ではパーキンソン病に似た症状が出ることがあり、筋肉がこわばったり、それによって歩行困難に陥ったり。終末期になると寝たきりになることも珍しくありません。

初期に見られる中核症状とは?

認知症によって引き起こされる中核症状とは、脳が受けたダメージを反映した直接的な症状とも言えます。そのため、ダメージを受けた部位によって症状の現れ方が異なり、またその強さによって症状の強さも異なってきます。

それでは、中核症状としてどのような障がいが出るのか、ひとつひとつ見ていきましょう。

<中核症状と具体例>

症状 具体例
記憶障害 物事を記憶する力が低下。特に、直近の出来事について覚えていられなくなる。
見当識障害 見当識(いつ・どこ)が低下。日時がわからなくなったり、迷子になったりする。
実行機能障害 実行機能が低下。計画を立てたり、手順を考えたりすることができなくなる。
理解・判断能力障害 理解・判断能力が低下。物事を順序立てて考えられなくなり、料理や洗濯といった家事ができなくなる。
計算能力障害 計算能力が低下。簡単な計算ができなくなり、買い物ができなくなったりする。
記憶障がい
脳内で記憶を司る部位と言われる「海馬」が萎縮することで起こる症状です。海馬とは、言わば記憶を貯めこんでおくところですが、そこが萎縮することで新しい情報を詰め込むことができなくなる、と考えれば良いでしょう。
それまで貯めていた記憶はそのままで、新しい情報を貯められなくなる。つまり、直近の出来事を覚えておくことができなくなるのです。また、進行すれば古い記憶も失われていきます。
見当識障がい
見当識とは、「いつ」「どこ」のこと。そこに障がいが出るということは、今現在の時代や日時、また居場所について理解できなくなる、ということになります。
最初にわからなくなるのが時間の感覚。予定していたことができなくなったり、待ち合わせの時間を覚えていられなくなったりと、近々の時間の感覚が薄れていきます。
次いで日時、季節についての感覚が低下していき、今日が何日なのかがわからなくなったり、また季節に応じた話題に対応できなくなったり、はたまた冬場に半袖を着るなど服装もわからなくなったりします。
また、「どこ」がわからなくなると、外出したまま迷子になって、自宅に帰ってこれなくなるケースも珍しくありません。また、自宅や施設の中での生活でも、トイレに行ったまま自室に戻れなくなるなど、距離感や広さに関係なく、自分の居場所について理解できなくなります。
実行機能障がい
私たちは普段、様々な物事を組み合わせて、それらについて計画性を持って実行に移しています。また、予定外の事態が発生しても、それに合わせて適宜、計画を実行することができるのですが、認知症の人ではそうもいきません。
例えば食事。スーパーでハムを見つけて、自宅にある卵を使ってハムエッグを作ろうと考えたとします。健康な人では、ハムだけを買って帰りますが、認知症の人では自宅に卵があることすら忘れているため、卵もよけいに買ってしまいます。また、帰宅して袋を開けると、なぜハムを買ってきたのか忘れてしまうことも。そうして計画に沿った行動をとれなくなるのが実行機能障がいです。
理解・判断能力障がい
実行機能と同様に、理解・判断能力も低下します。どういうことかと言うと、端的に「考えるスピードが遅くなる」「同時に2つ以上の物事を考えられなくなる」「些細な変化に対応できなくなる」ということです。
実行機能で料理を例に挙げましたが、そもそも物事を上手に考える回路に障がいが起きているので、上手くいくはずがありません。しかし、完全にできないわけではなく、そのスピードが遅くなったり、複雑な考え方ができなくなるだけで、ゆっくりと、ひとつひとつをじっくり進めることは可能です。
計算能力障がい
認知症かどうかを診断する「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれるテストに、「100から順に7を引いていってください」というものがあります。健康な人なら、93、86、79…と答えられますが、認知症ではそれができなくなります。
すると、例えば外出先で買い物ができなくなったり、金融機関のATM操作に戸惑ったり。また、理解・判断能力障がいともあわさって適切な判断ができず、セールスマンの口車に乗って高価な買い物をしてしまったりと、日常生活で様々な弊害が出るようになります。

進行すると見られる周辺症状とは?

軽度認知症から進行すると、中核症状に本人のそれまでのライフスタイルや生活環境、人間関係、人格などの要素が絡まって、その周辺に様々な症状が現れるようになります。これが、その言葉通りの「周辺症状」です。

それでは、周辺症状としてどのような障がいが出るのか、代表的な例を見ていきましょう。

<周辺症状と具体例>

症状 具体例
感情障害 周囲の空気を読むことができなくなり、その場に合わせた対応ができなくなる。
うつ 認知症への不安や戸惑いから、ふさぎ込むなどのうつ病のような症状が出る。
暴力・暴言 不安や戸惑い、また記憶力の低下によってイライラして暴言を発したり、暴力を振るってしまったりする。
幻視・幻聴 現実にない人や物が見えたり、また会話が聞こえたりする。
感情障がい
認知症の中核症状として見当識障がいや理解力・判断力の低下が見られると、それが高じて現状を理解することが難しくなります。いわゆる「空気が読めない」という状態のため、その場に相応しくない態度をとる感情障がいにつながってしまうこともあるのです。
例えばですが、話の流れで「馬鹿げた話があるもんだね」と言ったとしましょう。すると認知症を患っている人は、周囲の状況や話の前後関係を理解できずに、自分が「馬鹿」と言われたように感じてしまい、怒ったりすることがあります。このように、周囲が思いもかけないような反応を示すのも、周辺症状における感情障がいの特徴です。
うつ
認知症となり、それまでできていなかったことができなくなると、誰でも落ち込むものです。そのことに悲観してばかりいると、やがてうつ状態になってしまいます。
典型的な事例としては、ふさぎ込み、閉じこもりがちになるというもの。認知症に対する不安や戸惑いといった感情が増大することによる、顕著な事例と言えるでしょう。
暴力・暴言
認知症の人にひどいことを言われたり、暴力を振るわれたりするというのはよく聞く話です。その原因は大きくわけて2つ。ひとつは、記憶力の低下からつながるものです。
記憶力が低下すると、例えば日常生活上で注意されることが多くなると、「毎日毎日うるさい!」となってしまうもの。認知症の人は以前に言われたことは忘れていることが多いのですが、「うるさく言われる」ということだけは記憶に残っています。そのイライラが臨界点に達すると「うるさい!」という暴言に、ひいては暴力にまで発展してしまうのです。
もうひとつは、うつと同じく不安や戸惑いによるものです。これは、自立心やプライドが強い人にみられがちな症状で、その思いが強ければ強いほど、「できなくなってしまった自分」に腹が立ち、自分の中でその気持ちを処理できずに周囲にあたってしまうのです。また、そうした自分を世話してくれる周囲の人に迷惑をかけているという猜疑心が、暴力・暴言につながることもあります。
幻視・幻聴
レビー小体型認知症で特に多く見られる症状が幻視・幻聴。これは、心理的な症状というよりは、むしろ身体的な症状です。例えば幻視では、脳の後ろ側にある視覚を司る後頭葉がダメージを受けることで起きるもの。そのため、介護者が介護の仕方で改善を促すというよりも、薬物療法によって症状を抑制するのがベターな対策となります。
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認知症の診断・治療について

「長谷川式簡易知能評価スケール」での診断が最も主流

認知症の治療…の前に、当然ですが医師による診断が必要です。認知症を診断してくれるのは、主に精神科や神経内科といった精神疾患を扱う科目。受診時には、長谷川式簡易知能評価スケールというテストを受け、さらには頭部CT、MRI、脳血流検査といった検査を受けることになります。

長谷川式スケールの具体的な内容、お歳はいくつですか(2年までの誤差は正解)、今日は何年の何月何日ですか、私たちが今いるところはどこですか、これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとの設問でまた聞きますのでよく覚えておいてください、100から7を順番に引いてください、これから言う数字を逆から言ってください、先ほど覚えてもらった言葉(問4の3つの言葉)をもう一度言ってみてください、これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください、知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください

と同時に、認知症だけを疑うのではなく、他の病気が潜んでいないか、症状から判断して他の科目を受診するケースもあります。例えば大病院で受診する際に他の科目でも診てもらって、「たらい回しにされた」といった声が上がることもありますが、決してそうではなく、誤診を防ぐための入念な検査だと考えて良いでしょう。

では、認知症と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

治療は薬の服薬とリハビリテーションが中心

薬とリハビリを中心とした認知症の治療についての説明

認知症の治療は、基本的に薬物治療とリハビリテーションの2つが主流です。

薬物治療では、脳機能の低下や萎縮を抑える薬が処方されることがほとんど。同時に、例えば暴言や暴力といった症状がある場合には抗精神薬が、深夜の徘徊を防止するためには眠剤が処方される場合もあり、それらは症状に応じて医師の判断によって処方されることになります。

リハビリテーションでは、脳の機能低下を抑えるために、読み書きや計算、音読など、頭を使うリハビリを行います。これらもまた、症状に合わせて機能が低下していると思われる部位を刺激してやるようなリハビリですが、一方で、他の部位を刺激することで脳を活性化させるような音楽療法や芸術療法、回想法といったリハビリもあります。

リハビリは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門家の指導のもとで行うことになりますが、自宅で簡易的に行ってもOK。もちろん、そうした専門家の判断を仰いで、ということになりますが、簡単にできる方法なら、自宅でもぜひチャレンジしてみてください。

治療開始後はあわてず騒がず、専門医の意見を聞いて

認知症の治療は専門医の指示に従うことを注意喚起

認知症と診断された後は、定期的に医師の診察を受けることになるでしょう。たとえそうなったとしても、“あわてず、騒がず”が基本です。

認知症患者になったとしても、症状が出ている時間以外、本人はいたって普通の日常生活を送るでしょうし、何よりも望ましいのは、本人が心穏やかに過ごすこと。周囲がことさらに騒ぎたてたり、特別扱いする必要はありません。

医師の診察を受ける際にも、問診時には「暴言」「妄想」「徘徊」といった専門的な用語は極力使わず、あくまで日常生活の延長線上という心持ちでいることが大切です。その様子を聞いて、医師が的確な判断を下してくれるはずですから、真摯に、そして謙虚に聞いて、二人三脚で治療にあたってくださいね。

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認知症で使われる薬とは?

認知症の治療において薬がどんな意味を持つのか?

認知症の治療において薬が持つ役割についての説明

認知症の治療方法に対する研究は世界各国で行われているものの、依然として完治する方法が発見されていないため、認知症を治すことのできる薬はありません。しかしながら、認知症症状の進行を遅らせたり、症状を緩和したりする目的で様々な薬が登場し、日々のケアに加えて薬物療法を選択している方も少なくありません。

認知症治療において使われている薬としては、代表的なもので「抗認知症薬」「抗精神病薬」「抗不安薬」「抗パーキンソン薬」などがあり、他にも周辺症状を改善するとして漢方薬なども治療現場に取り入れられつつあります。

認知症の方の介護を家族が在宅でおこなっている場合、認知症の周辺症状が緩和されることで介護者の負担が軽減されることを期待して服用をしているケースも多く見られます。しかしながら、認知症薬には副作用が見られるものもあり、安易に服用せずしっかりと専門医の指示のもと服用することが大切です。認知症高齢者の方と介護者のより良い介護生活を実現するためのサポート的な役割として、活用が検討される薬について、ここでは効果や副作用をまとめてみました。

認知症で使われる主な薬

商品名 薬品名 期待される作用
アリセプト 塩酸ドネぺジル アルツハイマー病の進行を遅らせる
記憶障害に効果
レビー小体型認知症の幻視・妄想解消
リスパダール、ジプレキサ リスペリドン、オランザピン 興奮・幻覚・妄想を抑制
パーロデル ブロモクリプチンメシル酸塩 抗精神病薬の副作用としてみられるパーキンソン症状を緩和
リーゼ クロチアゼパム 不安、不眠、緊張などを抑制し精神を安定
サアミオン ニセルゴリン 脳循環・代謝を改善し脳の活動を活発化させたり神経伝達物質を調整
意欲低下を緩和
抑肝散 (よくかんさん) 漢方薬 興奮・幻覚・攻撃性を緩和、抑制
徘徊、うつ、不眠を緩和

早期に認知症を発見し、早期に薬物治療を開始すれば症状の進行を遅らせることが期待される薬もありますので、認知症と診断された場合は、信頼できる医師に相談し、適切な服薬を心がけましょう。

近年、世界各国で認知症の新薬開発のための研究が活発に行われていますので、今後ここにない新薬も登場してくる可能性があります。こうした新薬の動向にも注意しながら、認知症高齢者にとって最適なお薬を選んでいきたいところです。

それぞれの薬の特徴と注意したい副作用

認知症治療に使われる薬の副作用についての説明

認知症高齢者に見られる症状に合わせて、それぞれの作用、副作用について一つ一つ見ていきましょう。認知症薬は、誤って使えば副作用などにより症状が悪化、もしくは新たな症状が出てしまうことも報告されていますので、しっかりとそれぞれの薬の特徴を理解し、服用していきましょう。

アリセプト(塩酸ドネペジル)
アルツハイマー病の初期から中期にかけての仕様により、アルツハイマー病の進行を遅らせることもできると言われているアリセプトは、認知症症状のひとつ、記憶障害を緩和する効果に期待されています。
作用としては、アルツハイマー病で見られるアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質の減少を防ぐ作用があるお薬です。
副作用として主に見られるのが「吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・興奮」などの症状として挙げられます。また、脳内にあるドーパミン量を減少させる作用もあ るため、せん妄などが引き起こされる可能性もあります。レビー小型認知症では、薬物に対する過敏症状が見られる場合がありますので、服用の際は少量から開 始することが必要とされています。
また、心臓疾患などを持病として持つ方は服用できません。
リスパダール、ジプレキサ(リスペリドン、オランザピン)
認知症患者の周辺症状としてみられる幻覚、興奮、妄想などへの抑制効果があると言われるリスパダールやオランザピンは、向精神薬と呼ばれ、認知症高齢者の脳内で興奮作用のあるドーパミンという神経伝達物質の働きを抑える作用があります。
副作用として報告されているのが、ふらつき、筋肉のこわばりというようなパーキンソン症状。さらに、本人が意識していないにもかかわらず口や眼球が動いてしまうという症状も出る場合があります。
ジプレキサは血糖値の変動などをもたらす可能性もありますので、糖尿病患者の方は使用にあたって注意が必要です。また、脳に作用する薬ですから、適量も人それぞれであるため、慎重な処方が求められている薬のひとつです。
パーロデル(ブロモクリプリンメシル酸塩)
抗精神病薬の副作用としてみられることのあるパーキンソン症状を緩和する効果があるとされるパーロデルは、脳内でドーパミンと同じようにD2受容体と呼ばれる器官を刺激する作用があります。
効果の強い薬であるため、服用量を間違えたり処方量が多くなってしまうと胃もたれ、嘔吐、吐き気、食欲不振などの副作用が起こる人もいます。心臓弁膜症の方などは服用を避けた方がいいと言われています。
リーゼ(クロチアゼパム)
認知症高齢者によく見られる、不安や不眠などの症状を緩和するため気分をリラックスさせる抗不安剤のなかでも、穏やかに効くとされている薬です。
一般的に副作用は少ないとされていますが、長期的な服用には注意が必要です。また、認知症症状で見られる抑うつ症状は、うつ病と似ていることから抗不安剤を処方されることがあるのですが、うつ病と認知症による抑うつ不安症状はその原因が違うことも知っておく必要があります。
神経伝達物質セロトニンの減少からうつ症状を引き起こされるうつ病に対して、初期症状に抑うつ症状が見られるレビー小体型認知症はセロトニンの過剰分泌や 神経伝達物質の分泌バランスが乱れていることが原因とされます。そのため、こうした抗不安剤は安易に乱用をすると症状の悪化に繋がる恐れがあるので注意が 必要です。
サアミオン(ニセルゴリン)
脳の血流を改善し、脳を活性化させたり神経伝達物質の分泌バランスを調整したりする作用があると言われるサアミオンは、副作用の比較的少ない薬として知られており、意欲の低下にも効果があるとされています。
ゆっくり効果が出てくる薬であることから、過剰摂取に陥りやすいのですが、大量に服用することで却って興奮してしまうなどの症状も見られますので、しっかりと服用量を守ることが大切です。また、脳卒中後に脳内の止血がまだ完了していない可能性のある方は服用できません。
抑肝散(漢方薬)
認知症の薬に副作用が多数報告され、問題になっていることから注目を浴びているのが副作用の少ないとされる漢方薬です。中でも抑肝散(よくさんかん)は、徘徊や暴言などの周辺症状を抑制する効果があるとされています。
脳内にある興奮を引き起こす神経伝達物質グルタミン酸などの分泌を抑制する作用があるとされますが、副作用として発疹や食欲不振、下痢などが報告されており、低カリウム血症による不整脈、脱力感などが起こる可能性もありますので、慎重に服用量を調整していきましょう。
認知症の治療において薬の作用・副作用をしっかり理解することを注意

認知症を完治する薬や治療法はまだ登場しておらず、症状を抑制するための薬も脳に作用するものが多いことから、服用にはしっかりとした薬に対する知識が必要です。安易に効果を高めるために服用量を増やしてしまっても、逆効果になるばかりか重大な症状を引き起こしかねません。しっかりとした医師の指示のもと、適切な利用を心がけていきましょう。

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認知症ケアの新常識・ユマニチュードとは?

誰でもできる簡単な認知症ケア

認知症ケアの新たな手法として俄然、注目を集めている「ユマニチュード」。これは、フランスの介護専門家、イヴ・ジネストさんやロゼット・マレスコッティさんらが共同で開発した新しいメソッドです。

“手法”と聞くと、なんだか難しい気がしてしまいますが、そんなことはありません。人として普通に生活している中で、皆さんも無意識的にしている(またはできるようになる)ことばかり。その内容について詳しくご説明しましょう。

ユマニチュードの概念は「人とは何か?」

見る、話しかける、触れる、立つという4ステップで行われる認知症ケア・ユマニチュードについての説明

認知症だからといって、健常者と同じ人間です。そこを突き詰めたのがユマニチュードであり、ケアを受ける人に「優しく接してくれている」と感じてもらうためのもの。

すると、認知症患者本人が「仲間だ」と認識し、他者から認められたような感覚を持つように。“人として生きている”ということを本人が実感すると、ひいては「誰かの役に立ちたい」「価値のある存在で続けたい」と思うようになり、徐々に心を和らげていくのです。

「見つめる」ことで向き合っていることを理解してもらう

認知症患者と目を合わせることで向き合っていることを理解してもらうユマニチュードの手法

介護者は、認知症患者と目線を合わせることが基本的な動作。何をするときにでも、目線の高さを合わせることが大切です。

例えばですが、患者が介護者に対して敵意を持っていたりする場合には、目線を下げたり、目線を合わせる時間を短くしたりします。また、なるべく遠ざかろうとしたり、ときには軽蔑するような目で見ることがあるかもしれません。

ウソをつくと目が泳ぐ人がいるように、目線というのは気持ちを如実に表すもの。認知症によって攻撃的になっていたりする場合には、患者本人の目を、目線を見れば理解しやすくなり、ひいてはそれが認知症ケアのしやすさにもつながるのです。

と同時に、こちらから目線を合わせることで敵意がないことをわかってもらうという目的も。相互理解に努めることは、認知症ケアの基本とも言えるでしょう。

「触る」ことでそばにいることを理解してもらう

認知症患者の身体に触れることで理解を高めるユマニチュードの手法

他人の心を開くためには、スキンシップはとても有効な手段。カナダでの研究では「赤ちゃんはなでられるように頭にインプットされている」と言われているほどで、これは認知症の人でも同様の考え方。

認知症ケアにおいては、本人の体の広い範囲をなでるように優しく、ゆっくりと。点ではなく、面で触ることが大事です。当然ですが、腕を強引につかんだり、邪険にしたりするのは問題外。何より本人に安心してもらうために、優しく背中をさすったり、髪をなでたりすると良いでしょう。

「話す」ことで相手を尊重していることを理解してもらう

話すことで相手を尊重していることを理解してもらうユマニチュードの手法

話しかける言葉は何でも良いのですが、前向きな含みのある言葉だとよりベター。例えばご飯を食べさせるときに「今日のメニューは◯◯ですよ」「美味しいですよ」といったように声がけすれば、その言葉に、気持ちに応えてくれるようになります。

気をつけたいのが、丁寧な言葉づかいを心がけること。そして、赤ちゃん言葉にならないこと。あくまで本人を尊重しているということ、バカにしているのではないということを理解してもらわなければなりません。

「立位の援助」で“人として”生きていることを実感してもらう

自立を援助することで心身ともに健康的な生活を送ってもらうユマニチュードの手法

認知症ケアに限らずですが、本人らしく、自立した生活を営むことは介護における根本的な考え方となります。ユマニチュードにおいてもその考え方は同様で、本人の足で立ってもらうように立位の援助を行うことで「“人として”生きている」と実感してもらうのです。

たとえ認知症でも、車いすで生活していても、できる限り立って生活することで筋力を維持できるようになり、心身ともに健康的になると考えられます。

ユマニチュードがもたらす効果について

こうしてユマニチュードを実践することで、認知症患者本人の心は和らぎ、心を開いてくれるようになるでしょう。と同時に、この手法は介護者のためのものでもあるのです。

優しく声がけをすることで、介護者の心も穏やかになるでしょう。また、優しく触れることで、力ずくで動かしたりする負担も少なくなるでしょう。そう考えれば、ユマニチュードが認知症ケアをされる人だけでなく、する人のためのものでもあるということがわかりますよね。

認知症ケアに心を悩ませている介護職員や家族の方は多いことでしょう。余計な負担やストレスを感じる前に、一度、ユマニチュードを試してみてはいかがでしょうか。

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認知症ケアは在宅と施設のどっちがいい?

老後をどこで過ごすか

認知症高齢者の住まいについて在宅か施設かを選択する

高齢化が進む日本において、老後の生活をどこで過ごすかは、かつてと比べてそれぞれの価値観やおかれている状況に応じて選択できる幅が広がってきています。多様な介護施設や高齢者向け住宅があり、介護施設での暮らしを選ぶこともできますし、介護サービスを自宅で利用することで住み慣れた家で住み続けることも可能です。

しかしながら、認知症になってしまった場合は徐々に1人で生活することが難しくなってきます。在宅での生活を望んだとしても家族と同居している場合、別居している場合でその難しさも変わってきます。

高齢者の老後の暮らし方としては、介護施設に入所することなく自宅で最期まで住み続けるという選択肢もあります。しかし、自宅での暮らしは、認知症高齢者本人だけでなく家族にも大きな負担をかけてしまいます。

家族に負担がかかり、在宅介護生活が難しくなったら、介護施設に住み替えようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。そうした場合は本人や家族にかかる負担が少なくなるよう、タイミングを見極めることが必要です。認知症の場合、環境変化が症状悪化に繋がることもありますので、家族としても施設入所のタイミングを慎重に考える必要があります。

厚生労働省が発表している資料によると、2010年の時点で介護保険制度を利用している認知症高齢者は約280万人。そのうち自宅で暮らす人は約半数の140万人いると報告されています。

認知症高齢者の生活の場
居宅(50%)
特別養護老人ホーム(15%)
医療機関(14%)
介護老人保健施設等(14%)
グループホーム(5%)
特定施設(3%)
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多くの認知症高齢者が在宅での生活をしている今、認知症高齢者やその家族が在宅介護生活をより良いものにしていくにはどうしたらいいのか、施設介護と在宅介護の違いなどを知り、在宅で認知症介護をする方法について考えてみましょう。

認知症患者を在宅介護するメリット・デメリット

メリット デメリット
・本人が安心できる環境で暮らせる
・介護費用が在宅介護サービスで済む
・家族によるケアだから安心
・家族への負担が大きい
・専門的なケアでないため、症状の悪化を招くケースもある
・日常に刺激が少ない

認知症高齢者を在宅で介護することは、介護を受ける側にとっては「安心できる場所で暮らせる」というメリットがあります。認知症の方にとって環境変化は大きなストレス要因となり、症状が悪化・進行する可能性もあることから、できるだけ本人がリラックスできる環境で生活させてあげるという点では、在宅介護は大きな利点があると言えます。

また、お金の面においても自宅介護は訪問介護などの介護保険サービスの利用で済む範囲であれば施設入居よりも費用は安く抑えられることが少なくありません。

一方で、大きなデメリットとしてあげられるのが家族への負担です。認知症ともなれば、症状が進むにつれ徘徊などの行動が見られる可能性もあります。そうした場合は、家族は24時間ケアをする必要があり、身体的・肉体的負担も大きくなります。

認知症症状の現れ方は個人差がありますが、徘徊や暴力、攻撃的になるなどの症状が強くなれば家族が対応しきれなくなってしまうことも多々あります。いずれにせよ、在宅介護においては認知症高齢者のケアを担う家族の存在が不可欠です。本人の意向と、家族が在宅生活を支えられるかどうか、冷静に判断することが大切です。

施設介護のメリット・デメリット

メリット デメリット
・専門的なケアが受けられる
・人との交流が多く症状緩和に繋がる
・家族の介護負担が解消される
・費用がかかる
・重度対応できない施設の場合、将来住み替えを考える必要が出てくる
・本人が嫌がることがある

認知症に限らず、介護が必要になった場合の選択肢として在宅以外で考えられるのが、老人ホームなど介護施設に入所するケースです。施設介護は、家族への負担がなくなり、専門的知識を持つ職員による専門的ケアが受けられるというメリットがあります。また、1日のほとんどを家族との会話しかないという刺激のない環境で過ごすことは認知症の症状悪化にも繋がりかねませんので、多くの人と触れ合うことができる介護施設での暮らしには大きなメリットがあります。

その一方で、環境変化が認知症高齢者の方にストレスとなり、症状が進行してしまう可能性がある点も注意しておきたいところです。また、本人が施設への入所を拒むケースもありますので、家族としては悩ましい選択となります。認知症高齢者が入居できる施設としては、グループホームや特別養護老人ホーム、有料老人ホームがありますが、いずれにせよ入居費用がかかることから、在宅介護よりもお金がかかるというデメリットがあります。

認知症高齢者を在宅で介護する方法

認知症高齢者を在宅介護する上で気をつけたいポイント

認知症の方をケアする場合、できるだけ症状の進行を遅らせ、穏やかに日々を過ごせる環境を用意してあげることが大切です。在宅介護をするということは、認知症の方の日常生活のケアをすることとも言えますから、工夫しながら介護する側もされる側もよりよい生活ができるようにしていきましょう。

自分でできることは自分でできる環境を整えることは、認知症の方の自立支援のために大切なこと。例えば着替えの服を着る順番で並べておいてあげる、トイレがどこかわからなくなったときのために道順などを分かりやすく目印を付けておいてあげるなどの工夫があります。トイレの場所がわからなくなったり、トイレに行くタイミングが分からなくなったりしてしまうからといって、オムツを使うことは本人の尊厳を大きく損なう可能性もありますので、できるだけ自分でできるように配慮してあげましょう。

また、洗顔や入浴などに関しては、定期的にサポートしてあげることで身体に異常がないかなどを日常的にチェックし清潔にしてあげることも大切なケアのひとつ。自宅での転倒事故などを防止するために手すりをつける、浴室に滑り止めマットをおくなどのバリアフリーにしていくことも、忘れないようにしましょう。

症状別にみた対処方法例

徘徊や暴力など認知症の症状別に認知症の在宅介護のポイントを解説

認知症症状には妄想、幻覚、不眠、徘徊など様々な症状があります。個々のケースごとに、対処方法についてまとめておきましょう。

妄想(物盗られ妄想)
認知症高齢者の方にみられる症状としてよく知られている「物盗られ妄想」は、本人がどこかにしまい忘れた通帳や財布などを「誰かが盗んだ」と思い、そこか ら妄想が進み「盗んだに違いない」と思い込んでしまい、家族などを責め立てるなどといった行動が見られることから、介護する人を困らせます。
ちょっとした言動や仕草がきっかけにこうした被害妄想が進んでしまうと、本人の気持ちの中で全く訂正不可能な事実として認識してしまいますから、身近にいる家族としては、その訴えを理解し、まずは共感する態度で接してあげることが大切です。
「自分は盗っていない」と否定したり説得させることは却って本人を興奮させてしまいますので、否定せずに話を聞き、一緒に探してあげたり、関心を他に向けるなどの対処をしてみましょう。
幻覚
高齢になると、日中の活動量が低下することなどが原因で、眠りが浅くなることはよくあること。認知症の方は、それに加えて睡眠や体内時計の調節をしてくれる神経伝達物質の分泌バランスが崩れることで不眠などになりやすいと言われています。
夜に寝付けなくなれば介護する家族への負担も大きくなってしまいますから、日中日光を浴びて体内時計をリセットしたり、日中の活動量を増やすことで夜は程よい疲れの中で寝床につくことができるような流れを作ったりしてあげるといいでしょう。
徘徊
認知症の方が家の中や外を歩き回る徘徊は、端から見れば何の目的もなく歩き回っていると思われがちですが、実は本人にとっては何らかの目的がある場合が多いもの。
家の中ではなく外を徘徊してしまえば、行方不明や事故などのリスクも高まりますから家族にとっては心配の大きい症状となります。対処法としては、怒ったり 無理矢理徘徊をしないようにすることは逆効果になってしまいますから、外に出られないように鍵を手の届かない場所に付け替えたり。ドアが開いたらチャイム が鳴るようなセンサーをつけて徘徊を防ぎましょう。
万が一徘徊して迷子になってしまった時のために、衣服に迷子札を縫い付けておいたりGPS付きの発信機器を持たせたりすることも対処方法として考えられます。
火の不始末
タバコの消し忘れ、ガスコンロで料理をしようと思って火にかけたまま忘れてしまうなど、火の不始末は燃え広がって家事になってしまえば命をも脅かしてしま います。火の不始末を防ぐためには、マッチ・ライターなどは身の回りにおかないようにするとともに、炊事などをする際には必ず側にいるようにしましょう。
また、どうしてもガスコンロを外出中に使ってしまうことが心配な場合は、IHコンロなどに取り替えることも検討しましょう。

在宅で認知症介護をするためには、様々な配慮と周囲のサポートが大切です。無理して続けられなくなってしまえば、認知症となった本人にとっても介護をする家族にとってもよくありません。全て1人で背負い込まずに、介護サービスや家族に助けを求めることも在宅介護を選択する上で大切な心構えと言えるでしょう。

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認知症高齢者の受け入れはグループホームが中心

認知症高齢者の受け入れも行う介護療養型医療施設は廃止の方向へ

認知症高齢者が入居可能な施設として介護療養型医療施設の現状についての説明

「認知症でも受け入れてくれる施設には、どんなところがあるの?」

施設入所を希望する人にとって、介護は切実な問題のひとつでしょう。自宅での介護が難しくなれば、介護施設への入居を検討することになると思いますが、そもそも認知症高齢者の受け入れを行っているかが、第一の関門になってきます。

しかし、ご安心ください。昨今では、認知症高齢者の増加が社会問題になっていることもあり、受け入れを行う介護施設も増えています。その中でもここでは、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、そしてグループホームにおける認知症高齢者の受け入れ体制についてご説明します。

民間では介護付有料老人ホームやサ高住での認知症介護が手厚い

前述したように、認知症高齢者の受け入れを行う有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅は増えています。当サイトでご紹介している施設でも、入居条件に「認知症可」「認知症相談可」としているところもたくさんあります。

こうした施設では、認知症高齢者の介護に対する知識や経験をもったスタッフが常勤していることがほとんど。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、そのほとんどが民間企業による経営で、独自に勉強会や研修を開催していたり、また医療機関との提携によっても、入居者個々人の症状・状態に合わせた適切な医療ケアを提供していたりと、手厚いケアが用意されていると考えて良いでしょう。

ただし、有料老人ホームの中でも健康型有料老人ホームだけは、認知症高齢者の受け入れは行っていません。そもそも、健康で自立生活が可能な高齢者が入居できる施設と考えれば、それも納得ですね。

介護施設が行っている認知症高齢者へのケアとは?

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が具体的に行っている、認知症高齢者に対するケアについて、その具体的な例をご紹介しましょう。

  • 玄関や窓、共用玄関の施錠・入退館の管理を徹底する
  • 外出時にはスタッフが付き添う
  • 本人にGPS機能付きのツールを持たせ、外出先でも位置確認を行う
  • 看護師を常駐させ、服薬管理を徹底する
  • グループホームと提携し(または自社で運営し)、場合によっては転居など適切なケアを行う

これはもちろん一例であり、事業者によって対策の方法は様々です。入居の際には、認知症高齢者に対するケアについて、しっかりと確認しておきましょう。

認知症の症状によっては退去させられる可能性も!?

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居条件の中に、「自傷・他傷の恐れのない方」という項目がある場合があります。これは、もちろん認知症だけに限らず他に精神疾患がある場合も含めてですが、介護施設という共同生活の場において、それが困難になる場合は退居させられる可能性があることを意味しています。

例えばですが、スタッフや他の入居者に対する暴言や暴力が激しくなれば、それは“共同生活の困難”ということにもなり、退去の一因になってしまいます。

こうした状態は、周囲の人間だけでなく本人にとってもストレスにしかならないため、医師の診断を仰ぎ、グループホームへの転居や病院への入院を考える必要も出てくるでしょう。

グループホームで行われているユニットケアってなに?

グループホームで行われいるユニットケアについての説明

グループホームで行われているのが、5〜9人を1ユニットとした“ユニットケア”。グループホームの定員で「18人」と書かれている場合は、9人✕2ユニット、ということになります。

ユニットケアの原点は意外と最近のもので、そのスタートは1994年。とある特別養護老人ホームの施設長が、大勢の入居者が一緒になって食事をしている風景を見て疑問に思ったそうです。そこで、一般的な家庭のように少人数で食事や買物などを行うことを試したのが始まりです。

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認知症に関する相談はどこにする?

介護・治療・トラブルなど認知症をめぐる相談は多種多様

認知症にかかった家族の介護・治療・トラブルについて相談をする相談先について

判断能力の低下や記憶障害、徘徊や精神的に不安定になるなど様々な症状が現れる認知症は、本人にとっても家族にとっても、暮らしに大きな変化を及ぼす病気です。

認知症ケアにおいては、日常生活をできるだけこれまでと同様に営めるよう、自立サポートが必要ですが、症状が進行すれば家族だけで介護を担うことは介護者への負担も大きく、体調を崩してしまう介護者も少なくありません。また、認知症高齢者を狙った詐欺や犯罪も発生し、徘徊による行方不明や事故などの報告も後を絶たないのが現状です。

介護や治療方針、犯罪トラブルに巻き込まれてしまった時などに、本人もしくは家族だけで対処することは難しいもの。だからこそ、いつでも頼れる相談できる存在がいることは、介護者にとっても認知症となった高齢者の方本人にとっても大きな安心材料となります。

ここでは、認知症をめぐる相談にはどんなものがあるのか、いざ相談したい時に一体どこに行ったらいいのか、どんなサポート体制があるのかなどをまとめておきましょう。

契約トラブルをめぐる認知症の相談件数の推移

認知症高齢者をめぐる相談の例のひとつとしてあげられるのが、金銭をめぐるトラブルです。認知症となった高齢者の方を狙った詐欺事件や契約トラブルに関するニュースなどを目にすることも多くなった昨今。認知症高齢者の財産を守るためにも、こうした契約トラブルを避けるための対策がより一層求められてきています。

「国民生活センター」が2014年に発表した統計によると、判断能力の低下した高齢者が訪問販売で高額な契約を結んでしまったり、健康商品などの送りつけ商法の被害に遭ってしまったりするケースが多発しているのだとか。下記のグラフにもある通り、60歳以上の認知症高齢者が被害に遭った消費トラブルの相談件数は、年々増加傾向にあり2013年には過去最高の1万件を突破してしまっています。相談者の65パーセントにあたる7500件近くが80歳以上となっていることからも、認知症高齢者をめぐる消費トラブルは高齢化していることも推測されます。

国民生活センターが発表している60歳以上の認知症高齢者の相談件数の推移について

また、認知症高齢者の消費トラブルに関する相談を寄せられたもののうち、本人以外からの相談があったケースは全体の約8割いることからも分かる通り、認知症高齢者が被害に遭ったことを気付かずにいるケースも少なくないと予想されます。

国民生活センターに認知症高齢者の消費トラブルの相談をしてきた人の内訳のグラフ。内訳は本人からの相談が17%、本人以外からの相談が83%となっており家族や周囲の人などの本人以外からの相談が8割以上を占めている

家族や介護ヘルパーなど周囲の人が契約トラブルなどに巻き込まれていることに気付かない限り、被害が顕在化しない可能性があると同時に、周囲が気付いてもどう対応したらいいのか悩んでしまっているケースも少なくないかもしれません。

契約に関するトラブルや被害については、本人や家族だけでなくホームヘルパーの方などからも相談することができるようになっています。悪質な業者では認知症高齢者の弱みにつけこんだ商法をしていることもあることから、異変に気付いたらすぐに声かけをし、経緯を確認するとともに消費生活センターなどに相談することが大切です。

認知症介護に関する相談窓口

認知症高齢者を在宅で介護する家族にとって、介護ケアに関する悩みはつきません。なかには、これまでの仕事を辞め、収入源をゼロもしくは減らしながら介護にあたる方もいらっしゃいます。

「このまま在宅介護を続けられるのか」「介護をどう行っていけばいいのか」「介護サービスを利用したいがどんなサービスがあるのか」など介護に関する悩みを相談する窓口としては、身近にあるのが市町村窓口や、各地域にある保健所・保険センター、地域包括支援センターなどが挙げられます。また、介護サービスに関する相談であれば、居宅介護支援事業所にいるケアマネージャーに利用できるサービスなどを相談することもできます。

市町村窓口
各市町村で担当部署や地域の関係機関を紹介してくれる
地域包括支援センター
在宅生活をサポートするための様々な情報やサービスを紹介
居宅介護支援事業所
ケアマネージャーに介護サービスや地域の介護情報などを相談できる
保健所・保健センター
健康に関するあらゆる相談に対応してくれる
高齢者総合相談センター
専門家による無料相談が電話で受けられる
福祉事務所
高齢者福祉に関する相談窓口

みんなの介護サイト内で行ったアンケート調査では、介護生活での困ったことを最初に相談するのは誰か、という質問に対して約3割の方がケアマネージャーに、約2割が地域包括支援センターに相談しています。はじめて相談するのであれば、様々なサービスを紹介してくれる地域包括支援センターにまずは相談してみましょう。

認知症治療に関する相談窓口や医療機関

認知症治療は、早期に開始すれば認知症の進行を遅らせたり、症状を緩和することも期待できることから、認知症かな?と思ったら積極的に医療機関に相談してみることをお勧めします。

認知症は早期発見や早期の正しい診断が非常に大切になってきます。かかりつけ医に相談して専門医を紹介してもらい、物忘れ外来などに足を運んでみると良いでしょう。一般的に、認知症の専門家がいるのは脳神経内科や精神科、老年科などがあります。物忘れ外来も増えてきていますので、お近くの病院にあるかチェックしてみましょう。

また、精神科が入っている総合病院などでは、老人性痴ほう疾患センターを設置している病院もあります。こうした病院に足を運んでみてもいいでしょう。

物忘れ外来 認知症治療の専門医師が開いている外来
精神科・脳神経内科・老年科 認知症の専門医がいる診療科
老人性痴ほう疾患センター 精神科を設置している総合病院にあることが多い

同じ悩みを抱える家族の集まりも

認知症高齢者の介護に悩む家族の集まりについて

認知症介護に関しては、介護する家族にとって悩みの尽きないテーマですから、多くの方が同じような悩みを抱えています。「認知症介護に対する家族や周囲の理解が得られない」「介護生活が苦しくなってきた」「仕事との両立を図りたいが難しい」など精神的な悩みを相談できる場所も、認知症高齢者の増加に伴って増えてきています。

インターネット上で悩み相談をすることもできますし、地域によっては、認知症患者とその家族が集える認知症カフェなどの取り組みも始まっています。「認知症予防財団」では、無料で認知症に関する電話相談などを受け付けているところもありますから、一人で悩みを抱え込まず、相談しやすいと思ったところに遠慮せず想いを打ち明けてみましょう。

在宅介護であっても、施設介護であっても、家族や近しい方が認知症となれば介護だけでなくお金、精神的な悩みが出てくるのは当然のこと。悩んでいる方はあなた一人ではありませんから、「迷惑になるのでは…」などと遠慮せずに、相談することが大切です。

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認知症を巡る現状

日本の認知症患者数は200万人以上

認知症は、誰でもかかる可能性があるとはいえ、高齢者に特に多い病気ということは皆様もご存知でしょう。日本は今、紛れもなく超高齢社会。第一次ベビーブーム世代が60歳を迎え、今後さらに高齢化が加速していくことを考えると、認知症の患者数もますます増えていくでしょう。

厚生労働省が発表している1995年から2020年にかけての認知症高齢者の人工の推移

認知症患者でも多くの介護施設で受け入れ可能です

認知症高齢者の受け入れが可能な老人ホーム・介護施設について

85歳を過ぎると、4人に1人の割合で認知症を発症しています。これだけ高齢者にとって当たり前の存在である認知症なので、今では多くの介護施設で認知症患者の受け入れを行っています。

認知症対応に特化したグループホームがその代表例ですが、昨今では介護付・住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でも、多くのところで認知症患者の受け入れを行っています。

こうした施設では、認知症の方々がスタッフなどのサポートを受けながら、自分らしくいきいきと生活しています。当サイトでも介護施設の特徴について写真とともにご紹介していますが、実際に見学に行くと、より具体的に入居後のライフスタイルが実感できるでしょう。

認知症に関する理解力・基礎知識が求められる時代に

認知症高齢者に対する理解力を高めるための説明

単なる物忘れと認知症の違いについて、明確に答えられる人というのは、どれくらいいらっしゃるでしょうか?かつて、認知症を「痴呆」などと呼んでいた頃は、病気という認識が薄く、「物忘れがひどくなって…」などと言っていたものですが、認知症=病気という認知度が高まった今、その線引きは明確になっています。

そうした意識の違いも含めて、現代では認知症に対する知識や判断能力、対応力も求められる時代になってきました。

例えば銀行をはじめとした金融機関や小売業者などが認知症サポーターを積極的に養成したり。そうした民間の取り組みだけでなく、国としても「オレンジプラン」と称して、認知症患者が住み慣れた地域で長く安心して住み続けられるような社会整備を進めています。

社会全体で認知症への理解度を高めていこうという流れが出来上がっている今だからこそ、「言葉くらいは聞いたことがある」という人はもちろん、認知症患者の介護経験があるという方にも、上記のページから改めて認知症に関する基礎知識を再確認して欲しいと思います。

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