健康型有料老人ホームとは
健康型有料老人ホームとは、介護の必要がなく、自立した生活を送ることができる高齢者のための施設です。
一人暮らしに不安を感じ始めている方、他の入居者と楽しいシニアライフを送りたい方に適しており、充実したアクティビティや設備が充実しています。
また、食事や掃除などの生活支援サービスが提供され、家事をすることが億劫だと感じる方にも、健康型はおすすめです。
シニアライフを楽しむための施設
健康型は食事の提供、居室清掃や洗濯などの生活支援サービスが提供されています。
さらに、外部のサービスの利用も可能で、入居後は家事全般を任せられるため、趣味や娯楽に時間を費やせるのです。
健康型の設備は施設ごとで異なりますが、露天風呂やトレーニングルームなどの旅館のような設備を設置した施設があります。個人で楽しむことはもちろんですが、他の入居者とコミュニケーションを楽しめるイベントも盛んに実施されています。
施設数が少ない
健康型有料老人ホームに入所したいと望んでも、その施設数の割合は有料老人ホーム全体の約1%(20施設)しかありません(2020年10月現在)。
入居一時金が高額なこともあって、入所する際の競争率はそれほど高くありませんが、お近くの地域で施設が見つからない、ということもあると思います。
住宅型有料老人ホームやサ高住でも設備が充実している高級な施設もあるので、他の施設の検討もおすすめです。
健康型有料老人ホームの入居条件
健康型の入居条件の年齢は、概ね60歳以上としているところがほとんどです。
ただし、⾃⽴した⾼齢者のみが対象のため、入居中に認知症を発症したり要介護認定を受けたりすると、退去措置を取られることがあります。
一般的に看取りケアや認知症ケアは行われておらず、終身利用には対応していません。
また、入居の際には⽀払いが可能か、収⼊や資産のチェックもあります。
以上はあくまで基本的な基準であり、「感染症に罹患していないか」「⾝元保証⼈はいるか」など独⾃の⼊所基準を設けているかどうかも含めて、各施設に確認しておきましょう。
介護が必要になったら退去になる
健康型はアクティブな設備は充実していますが、介護設備を整えていない施設が多く、重度の要介護になれば退去となります。
また、看取りなどのケアも行われておらず、要介護状態が重くなったり日常的に医療ケアが必要になったりした場合も、住み続けることは困難です。
健康型有料老人ホームの設備
健康型有料老人ホームの主な設備は、以下の通りです。
食堂・リビング | |
---|---|
居室内のトイレ・キッチン | |
機能訓練室 | |
健康管理室・生活相談室 | |
理美容室 | |
居室の形態 | 個室 |
洗濯室 | 代行サービス可能 |
⾦額に応じて変わるので、⼊所後にどのような生活を送りたいか、利⽤者それぞれのこだわりや価値観で⼊居施設を探しましょう。
老後を楽しむための施設が充実している
施設によって設備はさまざまですが、どの施設も基本的には高齢者が楽しいシニアライフを過ごせるための娯楽設備が整えられています。
ジムやプール、図書館、カラオケ、麻雀などが設置され、他の入居者と一緒に楽しむことができる共有スペースも充実しています。
希望する施設にどのような設備が整っているのか、事前に見学をして雰囲気を確かめておきましょう。
健康型有料老人ホームの費用
続いて、健康型有料老人ホームの費用を解説していきます。
費用は他の施設と比べて高い
健康型の費用の目安は以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
0~1億円 | 12~40万円 |
なお、通常は 介護が必要になった時点で退去となるため、償却金や償却期間については入居前に確認しておく必要があります。
入居一時金の償却
健康有料老人ホームに入居する際、その施設を利用できる権利を得るための費用である入居一時金を支払うことになります。
入居一時金はいわば居住費用(家賃等)の「前払金」です。これは入居後に毎月償却されていきます。例としては以下の通りです。

入居一時金から返還される金額の計算方法
また多くの施設では、「初期償却」という形で⼊居時点において⼊居⼀時⾦の何割かを⼀気に償却する、ということが⾏われています。
この場合、例えば初期償却率が30%だと、もとの⼊居⼀時⾦から30%分を差し引いた残りの70%分が、毎⽉の償却対象とされる額となるのです。
さて、この入居一時金から返還される金額の計算方法は以下の通りです。
例えば、「入居一時金が300万円、初期償却率30%、償却期間60ヵ月」の施設を12ヵ月で退去した場合には、次の計算式となり、合計168万円が返金されます。
300万円×(1-0.3)÷60×(60ー12)=168万円
有料老人ホームの費用は以下の記事でさらに詳しく解説しています。
健康型有料老人ホームのサービス

健康型の費用を理解したところで、続いてサービスについて紹介していきます。
身の周りの家事を任せることができる
健康型有料⽼⼈ホームで提供されるのは、基本的に以下のサービスが代表的です。
- ⾷事
- ⽣活⽀援(安否確認、居室の清掃、洗濯など)
- 各種アクティビティ(さまざまなイベントの開催、サークル活動、趣味活動のサポート)
このような日常生活のサポートを受けられるだけでなく、健康型は外部サービスの利用もできます。
そのため、入居後は、掃除や洗濯などの家事全般を施設職員にお願いできるので、趣味や娯楽に時間を費やせるのです。
困ったときに相談できる「生活支援サービス」

原則として⽇中はコンシェルジュ(介護・福祉・医療の有資格者の場合もあり)が365⽇施設内に常駐し、⼊居者への安全、安⼼を確保する体制を整えています。
常駐が難しい場合であっても、1⽇当たり最低1回は有資格者が各居室を訪問し、各⼊居者に対する状況把握を⾏い、必要に応じて⽣活相談に応じてくれます。
また、緊急時センサーを設置することで、有資格者が常駐しない⽇であっても安否確認、緊急時対応を実施できる体制も確保されています。
楽しく生活するためのサービス
健康型は、健康で自立した生活が可能な高齢者が入居しているため、レクリエーションやイベントが日常的に行われ、充実しているところが多いです。
また、コンサートやアトラクションなどの行事を実施する施設もあります。
施設内のイベントの他に、カラオケや麻雀などの外出系のレクリエーションも積極的に取り入れ、活気ある暮らしを楽しめます。
悠々自適でのんびりした生活はもちろん、新しい仲間との出会いや趣味を始めるなど、アクティブな老後を過ごしたい方にとっては、健康型は理想的な施設でしょう。
介護・医療サービスは受けられない
健康型有料老人ホームでは、介護を必要とする利⽤者向けの、介護や医療サービスは⾏っていません。
しかし、 緊急時に備えて医療機関との連携を⾏っている施設も多くあります。
外部サービスも自由に利用できる
健康型有料老人ホームでの暮らしは自由度が高く、外部サービスも利用可能です。
施設によっては、自立状態から要支援状態、要支援状態から要介護状態になっても、軽度の段階であれば外部サービスを利用して生活を続けることができます。
要支援・要介護になったからといって、すぐに退去を求められることはありません。
健康型有料⽼⼈ホームのメリット・デメリット
健康型の特徴がわかったところで、ぶメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット
⼀⼈暮らしの不安を解消できる
加齢とともに⼼⾝の機能は低下していきます。
特に⼀⼈暮らしをしている場合、家の中のことをすべて⼀⼈でこなしていくことに不安を感じるようにもなるでしょう。
「まだ介護を受けるほどではなく、⾃分のことは⾃分でできる」という状態である⼀⽅で、「将来的にこのまま⾃宅⽣活を続けられるのか…」と⼼配になる⽅も多いのではないでしょうか。
健康型有料⽼⼈ホームで⽣活⽀援サービスを受けながら⽣活すると、そのような⽣活不安は解消できるでしょう。
家族も安⼼できる

家族(親族)の中に⼀⼈暮らしをしている⾼齢者がいる場合、⼼配になるのが「安否」です。
加齢が進むと転倒などの事故や急な体調不良なども起きやすくなるので、たとえ普段から連絡を頻繁にとっていても、家族は「いつ何が起こるかわからない」という不安のなかで⽇々を過ごすことになります。
健康有料⽼⼈ホームに⼊居すれば、施設のスタッフやほかの⼊居者との関係性の中で⾒守り・安否確認が⾏われることになるので、家族としても安⼼です。
アクティブなシニアライフを送れる

健康有料⽼⼈ホームの最⼤の特徴でありメリットなのが、⽇々の⽣活を充実させてくれるレクリエーション・娯楽設備・イベントが豊富であるということ。
趣味・サークル活動が施設側の⽀援のもと盛んに⾏われていて、スポーツジム、図書館、シアタールームから温泉、プールまで館内に設置されていることもあります。
さらに、食事や洗濯、居室の掃除を施設の生活支援サービスにお願いすることで、自由で融通が利く生活を送れます。
シニアライフを満喫しながら、健康寿命の延伸、介護予防にも取り組めます。
デメリット
⾝体機能が落ちてきたら不便が多い

健康な間は楽しく⽣活できる健康型有料⽼⼈ホームですが、⼊居中に病気や怪我で体調が悪化して要介護状態になった場合が問題です。
介護保険の要介護認定でまだ軽度の段階であれば外部の介護サービスを利⽤して対応できますが、さらに容態が悪化する前に、住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅などへの住み替え(転居)を検討する必要が出てきます。
【一覧表でわかる】老人ホーム8種類の違いと特徴(介護度別・認知症対応)
施設内は完全バリアフリー化されてはいるものの、基本的に自立した高齢者を想定しているため、トイレ、浴室なども要介護者には必ずしも適していません。
また、元気な⾼齢者が多く⼊居し、お互いに交流する機会が増えてくると、さまざまな⼈間関係が発⽣してきます。
場合によってはお互いの関係が悪化したり、付き合いに疲れたりしてしまうこともあるかもしれません。
有料老人ホームを探すサービス付き⾼齢者向け住宅との違い
健康型有料⽼⼈ホームと比較されやすい、サービス付き⾼齢者向け住宅都の違いを解説していきます。
健康型有料老人ホーム | サービス付き 高齢者向け住宅 |
|
---|---|---|
施設の目的 | 高齢者がアクティブに暮らすこと | 高齢者が安心して生活できること |
入居 | 基準自立状態の高齢者。要介護状態の方は入居対象外 | 自立状態の高齢者と要介護度が軽度の方 |
初期 | 費用0円~1億円 | 0~27万円 |
月額 | 費用12~40万円 | 11.1~20万円 |
提供されるサービス | 食事の用意、および掃除、買い物代行などの生活支援 | 生活相談、安否確認、掃除や買い物代行などの生活支援 |
管轄 | 厚生労働省 | 国土交通省と厚生労働省の共同管轄 |
サービス付き⾼齢者向け住宅の特徴
サ高住の⼊居対象となるのは、60歳以上の⾼齢者、もしくは要介護認定を受けている60歳未満の⽅で、契約は通常の賃貸物件と同じく「賃貸借契約」となるのが⼀般的です。
⾃⽴もしくは軽介護度の⼈向けの「⼀般型」のほか、特定施設の指定を受け、特養並みの⼿厚い介護サービスを受けられる「介護型」の施設があるのもサービス付き⾼齢者向け住宅の特徴です。
近年では、サ高住宅の数が増加傾向にあります。

サービス付き⾼齢者向け住宅の費⽤
サ高住の費用は以下の通りです。
入居一時金 | 月額利用料 |
---|---|
0~27万円 | 11.1~20万円 |
また、毎⽉かかる費⽤としては、家賃、管理費、⾷費、⽔道光熱費、⽣活サービス提供費などがあります。
要介護状態の場合、特定施設⼊居者⽣活介護の指定を受けていない「⼀般型」の施設では、外部事業者による介護サービスを受けることになり、その費⽤は別途負担することになります。
介護サービスの費⽤体系は、⾃宅で訪問介護、通所介護を利⽤するときと同様です。
サービス付き⾼齢者向け住宅のサービス
介護・医療
サ高住のなかには、居宅介護⽀援事業所(例:訪問介護、通所介護など)を併設している施設が多いので、⼊居後に介護を必要とする⼼⾝状態になっても、介護サービスを受ける体制をすぐに整えられます。
ただ、特定施設の指定を受けていない「⼀般型」の施設は、指定を受けている「介護型」の施設や介護付き有料⽼⼈ホームなどに⽐べると、介護度が低めの⽅向けの介護・医療体制となる傾向にあります。
施設内での活動内容
レクリエーション活動が⽇々⾏われているほか、⼊居者のお誕⽣⽇会、お花⾒・七⼣祭り・クリスマス会など季節ごとの年中⾏事、さらには⼊居者の中から希望者を募って、職員付き添いで⼩旅⾏や温泉に出かける施設もあります。
またカラオケ設備や⿇雀卓、囲碁・将棋盤などを⽤意し、⼊居者同⼠で交流できる場を設けている施設も多いです。
施設設備

サ高住の設備基準は主に以下のようなものが定められています。
- 居室⾯積
- 原則25㎡以上(⼗分な共有スペースがある場合は18㎡以上)を確保すること
- 廊下幅
- 78cm以上にすること
- 出⼊り⼝の幅
- 居室だと75cm以上、浴室だと60cm以上にすること
- 3階以上の建物
- エレベーターを設置すること
また、バリアフリーが完備されており、足腰が弱い高齢者でも安全に生活を送ることができます。
健康型有料⽼⼈ホームを検討される⽅は、同時にサービス付き⾼齢者向け住宅も選択肢に⼊れて⽼⼈ホーム探しを進めましょう。
【まとめ】健康型を検討している人におすすめの施設
ここまで健康型有料老人ホームについて解説をしてきました。
しかし実際には、健康型は施設数も少なく、費用も高いため入居難易度は高いといえます。
そのため、最後に健康型有料老人ホームを検討している方におすすめの施設を紹介していきます。
安心の見守りサービスが欲しい方はサ高住
サ高住は安心して過ごせる見守りサービス、ケアの専門家による生活相談サービスが受けられるバリアフリー完備の賃貸住宅です。
一般的な賃貸住宅の費用と、ほとんど変わらない費用で入居できて充実したサービスが提供されるため、一人暮らしに不安のある方におすすめです。
さらに、自由度の高い暮らしができ、外出や入居を好きなタイミングでできるのは他の施設にないサ高住の魅力といえます。
また、介護が必要になれば、外部の介護サービスを利用することができるので、健康面に対して不安のある方も安心できるでしょう。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や食事・認知症対応を解説(有料老人ホームとの違いも)
イベントやレクリエーションを楽しみたい方なら住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、レクリエーションやイベントが充実しており、他の入居者とコミュニケーションを取りながら楽しく過ごせます。
介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用でき、施設内にはケアマネージャーのいる居宅介護支援事業所を併設する施設がほとんどで、契約から利用までスムーズに進みます。
さらに、近くの医療機関と提携する施設もあり、医療ケアが必要になっても安心できます。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説

健康型有料老人ホームに関するQ&A
有料老人ホームは何種類?
有料老人ホームは全部で3種類あります。
介護ケアが充実した介護付き、生活援助や緊急時のサービスを受けられる住宅型、アクティブな生活を過ごしたい健康型です。3種類のなかでも、健康型の施設数は圧倒的に少ないです。
住宅型有料老人ホームって何ですか?
住宅型有料老人ホームは、バリアフリーの整った施設で必要な生活支援、外部の介護サービスを利用して生活する、要介護度が低い高齢者向けの施設です。また、入居者同士の交流が円滑にできる、レクリエーションやイベントが充実しています。
介護付き有料老人ホームはどんな人?
介護付き有料老人ホームは、食事や排泄、入浴などの介護サービスや介護に必要な設備が整った施設です。
さらに掃除や洗濯などの生活支援サービスも受けられます。要介護者を専門とする介護専用型、自立~要介護者までを受け入れる混合型があります。
老人ホームに入るのにはいくらかかるのか?
有料老人ホームの一時金は0円~数千万円と、施設ごとで異なります。
平均的な一時金は介護付きで33万円、住宅型で6万円となります。月額利用料の平均は介護付きで19.4万円、住宅型12万円ほどです。