都心へのアクセスの良さから、高額な老人ホームもちらほら

宮前区は、川崎市の7区のひとつです。
東急田園都市線、東名高速道路東名川崎インターチェンジの開通で交通アクセスが飛躍的に向上し、それに伴い人口が急速に増加。
東京都内への通勤および通学者が多く、東京のベッドタウンとしての需要が多い都市です。
宮前区の高齢者福祉サービスは、区が独自に行うのではなく、川崎市全体で行っています。
いきいきセンターという老人福祉施設が宮前区にもあり、高齢者のさまざまな相談に対応。
他にも介護予防運動やレクリエーションなどを実施し、高齢者の活動をサポートしています。
また、NPO法人と連携して、高齢者いこいの家を設立し、地域の高齢者を支える福祉活動の拠点を作りました。
そして、市内に住む60歳以上の方なら誰でも利用できるようにして、高齢者の交流を促進しています。
宮前区内の特別養護老人ホームは全部で7ヵ所あり、申し込みも可能ですが、入居待ちの希望者が空きを待っている状態です。
有料老人ホームもさまざまありますが「都心に近い」といった立地条件によって料金の高低差があります。
アクセスの良い場所ほど高額で、入居時に支払う一時金の金額が、数十~数百万払う施設から、数千万円という大きな金額の施設もあります。
高額の施設はさすがにサービスもよく、終身利用も可能です。
「病気になったら退去させられるかも…」というような不安もありませんから、医療看護が必要な方には有料老人ホームがおすすめです。
サービス付き高齢者住宅なら月額利用料が20万前後の施設もありますが、認知症や病気の方、寝たきりの方は入居できないといった条件があります。
また、デイサービスを利用したり、ヘルパーさんに世話をしてもらう生活になると、その分の利用料が加算されます。
結局は有料老人ホームとあまり利用料が変わらなくなる場合がありますので、入居を希望する場合は、介護度が上がった時の予想料金などをケアマネージャーに計算してもらっておくと安心です。
宮前区の高齢化率は2023年には21.3%に
宮前区は、川崎市を構成する7区のひとつで、多摩丘陵の上にある街です。
東急田園都市線の開通と東名高速道路東名川崎インターチェンジの開設以降、人口が急増しました。
区内には東急田園都市線だけでなくJR武蔵野線が走行。
路線バスは東急バスや小田急バスなどが走っていて、買いものも近隣の青葉区や東京都内ですませる人が多いようです。
また、東京のベッドタウンとして発達した街で、今でも東京都内へ通勤・通学をする人が多く、区内には定員割れの学校もありません。
そんな川崎市宮前区ですが、2012年以降、総人口と世帯数は増加傾向にあり、2023年の調査によると、宮前区の総人口は23万4,495人と、川崎市内で3番目に人口が多いです。
なお、2020年時点で総世帯数は10万2,317世帯であり、そのうち1万9,169世帯が高齢者のみの世帯となっています。
宮前区も含めた川崎市7区の高齢化率は年々上昇しており、2023年には20.2%となりました。
2023年の高齢化率の全国平均は29.1%ですので、川崎市はまだまだ若い街ではありますが、高齢者は確実に増えているため、川崎市は7区全体で高齢化対策や介護予防活動などを推進しています。
宮前区でも2023年時点で65歳以上の高齢者人口が20.8%を超えています。
なお、将来推計によると、2030年には高齢化率24.9%、2040年には30.3%、2050年には32.9%まで上昇すると予測されています。
その一方で出生率は2012年以降、市の平均を下回っており、少子高齢化が進んでいます。
川崎市宮前区の要支援・要介護認定者は1万人弱
川崎市では宮前区も含めた全区で介護保険サービスの提供を推進しています。
川崎市全体の要支援・要介護認定者は2024年には6万3,538人を超えました。
宮前区でも要支援・要介護認定者は増え続けており、2024年時点で9,908人が認定を受けている状況。
2010年時点では8,063人でしたので、約2,000人が増加した計算になります。

認知症高齢者も増えており、川崎市では推計によると2021年時点で認知症高齢者が5.8万人を超え、川崎市全体の高齢者の約6人に1人は認知症という推計が出ました。
2030年には約8万9,286人まで増えると予測されており、それに備えて認知症高齢者が利用できるサービスを増やし、認知症高齢者とその家族を支えています。
実際、在宅介護家庭では介護保険サービスである「認知症対応型デイサービス」や「訪問介護」などを活用しながら暮らしている方が多く、居宅サービスや通所サービスは需要が高いです。
さらに、介護度が上がり、自宅での生活が厳しくなった人のために、グループホームや特別養護老人ホームなどの施設も用意しています。
川崎市では、2021年度の調査によると「住んでいる住宅の種類は持ち家」という人が約49%となっており、賃貸などを抜いて最も多いです。
そのため、宮前区では暮らしやすい環境づくりのため、バリアフリー化工事費用を助成する「住宅改修」や、介護ベッドなどをレンタルできる「福祉用具貸与」などのサービスを普及させる活動を行っています。
介護予防教室「いこい元気広場」を実施中
川崎市宮前区では、心身の健康維持のため、介護予防活動を実施中です。
区内各地の公園などで「公園体操」を行っています。
高齢者だけでなく、誰でも無料で参加できる健康体操で、みんなで続けることで、運動習慣を身につけます。
ちなみに公園内にはぶら下がり棒などの健康器具を設置し、自分のペースでストレッチなどの運動ができるようにしています。
また、宮前スポーツセンターではスポーツ教室を開催。
スポーツを行うことで介護を予防し、スポーツ仲間と交流が楽しめるのが魅力です。
「宮前区ストレッチ体操~風の中で~」は、運動普及推進員である「ヘルスパートナーみやまえ」の会員が中心となって作ったオリジナルストレッチ体操で、短くて動きも簡単なので誰でも続けられます。

地域グループ単位で希望すれば、「オリジナルストレッチ体操~風の中で~」のCDあるいはカセットテープ、冊子が無料でもらえるため、実施しているグループも多いようです。
さらに、体力づくりや健康づくり、生活習慣病予防などの知識を分かりやすく解説した「みやまえ健康サポートブック『こつこつ』」を発行。
区役所で無料配布したり、ホームページに載せるなどして、誰でも読めるようにしています。
各地の「いこいの家」では、毎週1回、介護予防教室「いこい元気広場」を実施中です。
65歳以上の高齢者を対象にした無料の介護予防活動で、体操だけでなく健康に役立つミニ講座もあり、高齢者の通いの場となっています。
地域包括ケアのための「地域みまもり支援センター」を開設
川崎市では「住まいと住まい方」という土台に「介護予防・生活支援」を添えることで、「医療・看護」「保健・福祉」「介護・リハビリテーション」を充実させていけると考えており、その基本には「本人の選択と本人・家族の心構え」も必要であるとしています。
この市の考え方を元に、宮前区でも高齢者の暮らしをサポートする地域包括ケアシステムを構築中です。
川崎市のアンケート調査によると、地域において問題は「高齢者に関する問題」と考えている人が34.6%と最も多く、防犯や防災などの問題が続きます。
やはり、高齢者の増加にともない、介護などの高齢者問題で実際に悩んでいる人や、関心を持つ人が多いことがわかりました。

また、地域でできる手助けや、地域住民にして欲しいことは、どちらも「安否確認の見守り・声かけ」が最も多く、次いで「災害時の手助け」が続きます。
宮前区でも、一人暮らしの高齢者が増えており、高齢者の病気や怪我の早期発見のためにも安否確認や声かけを重要視しています。
さらに深い見守りを行うためにも、宮前区は区役所保健福祉センターの中に、地域包括ケアシステムのための新体制として「地域みまもり支援センター」を開設。
介護予防活動や健康づくり、生活習慣病予防など、さまざまな活動を支援しています。
「いきいきセンター」では高齢者の健康相談もできる
川崎市宮前区では、高齢者のための相談窓口を設置しています。
市民の権利を重視し、公正かつ中立な立場で、川崎市政に関する苦情に対応する第三者的機関「市民オンブズマン」を設置。

川崎市全体から苦情を受けつけており、宮前区からも苦情申し立てができます。
状況に合わせて市などに意見を述べ、問題解決のために動く機関です。
苦情申し立ては匿名ではできませんが、申請は無料です。
また、川崎市は介護保険の苦情対応マニュアルを作成し、さまざまな苦情に対応中です。
宮前区でも介護保険サービスに関する不満や悩みなどを受けており、解決のためにサービス事業者などを調査しています。
そして、「いきいきセンター」では健康相談などを実施。
体や心の悩みを打ち明けられます。
いきいきセンターは宮崎台駅の近くにありますので、利用しやすいでしょう。
基本的に区内数ヵ所に設置された地域包括支援センターが総合窓口となっており、福祉や介護、医療全般の悩みに対応します。
高齢者とその家族だけでなく、地域住民からの相談も受けており、「お隣のおばあちゃんが体調を崩しているみたい」といった相談も可能です。
「悩みという程ではないけれど、ちょっと聞いて欲しい」という場合は、コミュニティカフェや、老人いこいの家に行けば、地域の住民と交流しながら、お互いに話ができます。
区役所高齢・障害課では、徘徊高齢者SOSネットワークを構築中です。
万が一「おじいちゃんがいなくなった!」といったときはすぐに相談すると良いでしょう。