夫婦で入れる老人ホームを紹介
夫婦で老人ホームに入居することは可能ですが、施設の種類によっては受け入れをしていない場合があります。
基本的に二人部屋がない公的施設には夫婦での入居は難しいです。
民間施設の場合は、二人部屋を用意している施設も多く、夫婦で同じ部屋に入居できる施設も多くあります。
なお、夫婦であっても一人部屋に二人で入居することはできませんので覚えておきましょう。
老人ホームには複数のタイプがあり、要介護状態か自立の状態かで入居先が変わってきます。
夫婦で入居する場合には以下の3パターンが考えられます。夫婦の身体状態と照らし合わせて、適切な施設がどれなのかしっかり確認しましょう。
- 二人とも元気な場合
- どちらかが介護が必要な場合
- 二人とも介護が必要な場合
基本的には、夫婦の一方が要介護状態であるなら、そちらの方に合わせます。自立・要介護度の軽い方に合わせると、要介護状態の方が必要な介護を受けられないからです。
続いては、夫婦が身体状態によって、それぞれどのような施設が選択肢になるのかを解説していきます。
夫婦入居可能な施設を探す二人とも介護が必要ない場合
夫婦ともに元気なときは、入居条件として「自立」を提示している老人ホームのみ入居できます。
サービス付き高齢者向け住宅は、シニアのための賃貸物件として作られている施設です。
常駐するスタッフによる見守りサービスと生活相談サービスを提供しています。
そのため、入居者は日常的に安否確認や緊急時対応をはじめ、生活のさまざまな困りごとのアドバイスを受けられるので安心して生活できます。
また、老人ホームとちがって外出・外泊に許可がいらないため、生活の自由度が高いのもポイントです。
もし、介護サービスが必要になったときは、外部の介護事業者と契約して訪問介護やデイサービスなどを利用します。
施設内は廊下や談話室をはじめ居室もバリアフリー化されていて、自立の方が多く入居されているのもサービス付き高齢者向け住宅の特徴です。
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介護が必要ない方向けの施設を探すどちらかが介護が必要な場合
夫婦のどちらかが要介護状態で、もう片方が自立の場合、夫婦揃って入居できる施設は限定されます。
夫婦で介護度が違う場合におすすめする施設は、介護付き有料老人ホームです。
介護付き有料老人ホームは、次の3つのタイプに分かれています。
- 介護専用型
- 混合型
- 自立型
このうち夫婦のどちらかが介護が必要な場合は、混合型がおすすめです。
混合型は、要介護認定を受けていない自立の方も入居できるため「夫は自立だが、妻は要介護1」といった場合でも、二人揃って同じ居室に入居できます。
入居時は自立状態で介護の必要がなかったものの、入居後に病気やケガで要介護認定を受けたといったケースでも退去の心配もなく安心です。
【特徴がわかる】介護付き有料老人ホームとは?(入居条件やサービス内容など)
介護度が違う方向けの施設を探す二人とも介護が必要な場合
夫婦ともに介護が必要な場合は、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームがおすすめです。
介護付き有料老人ホームは、入居後に要介護度が高くなった場合でも退去の必要はなく、施設内で提供される介護サービスを受けながら暮らし続けられます。
施設によっては看取りまで対応しているため、「終の棲家」として入居するケースも少なくありません。
月額利用料は、要介護度に応じて毎月定額で支払うため、介護費用を把握しやすいのもメリットの一つです。
住宅型有料老人ホームの場合は、必要に応じて外部の介護事業者を利用します。
利用した介護サービスで月々の料金が決まるので、介護費用を抑えることが可能です。
【図解】住宅型有料老人ホームとは?入居条件や特徴・1日の流れを解説
介護が必要な方向けの施設を探す夫婦入居のメリット・デメリット
続いて、夫婦入居のメリットとデメリットを解説していきます。
メリット
費用を抑えることができる
二つの部屋を別々で契約して入居するよりも、二人部屋を契約することで家賃を安く済ませられる場合がほとんどです。
さらに、二人部屋はミニキッチンや浴室などの生活設備が充実していることも多く、夫婦水入らずの生活を楽しめます。
有料老人ホームの二人部屋は個室に比べると広いので、それだけ家賃と光熱費は高くなります。
しかし前述したように、二人が別々に個室に契約する場合の金額に比べるとはるかに安く、二人部屋の契約はとても経済的です。
ただし、入居一時金については、二人部屋だと割高になることがあるので注意しましょう。
入居一時金は家賃や光熱費など毎月支払う費用に比べると高額になるので、予算内に収まるかどうかを事前に確認する必要があります。
一方サービス付き高齢者向け住宅の場合、入居一時金は「敷金」という扱いになるため、基本的に入居人数によって金額が変わることはありません。
夫婦で入居できる老人ホームを探す子どもに負担がかからない
介護が必要になると、子どもにも負担がかかります。
とくに夫婦どちらも介護が必要になった場合、介護負担は大きなものになります。
施設への入居で介護をプロに任せることができれば、仕事を離職したり、家庭の時間を削って介護に充てることは少なくなるでしょう。
また、質の高いサービスが受けられるので、子どもにとっても入居者本人にとっても安心して暮らすことができます。
デメリット
二人部屋は生活設備が充実しているため、設備内容によっては費用が高くなることがあるので注意が必要です。
もし夫婦のどちらかが要介護状態の場合は、費用面を考えたうえで二つの部屋を契約することも検討しましょう。
住み替えのリスクがある
夫婦で二人部屋に入居した場合、どちらかが先に退去となると費用負担が重くなります。
予算によっては、住み替えが必要になることもあるでしょう。
住み替えは、新しい老人ホームを1から探さなければならなくなるため、本人も家族も負担が大きくなります。
夫婦で一緒に施設入居する場合、前もって先に旅立たれたときはどうするのか、あらかじめ家族で話し合っておくことが大切です。
同じ部屋でストレスが溜まることがある
施設によってはワンルームへの入居になるので、うまく距離感が取れない、生活リズムが合わないといった理由から不満やストレスが溜まることがあります。
これまで一軒家などで部屋数の多い環境で暮らしていた夫婦の場合は、慣れるまで時間がかかるかもしれません。
どちらかが要介護状態の場合、別の部屋で過ごすことでお互いの生活リズムを保つことができることもあります。
人の手が必要なときには夫婦だけで解決しようとするのではなく、施設職員の力を借りることで共倒れすることなく生活することができるでしょう。
夫婦で老人ホームに入るときの注意点
夫婦で老人ホームに入居するメリットとデメリットがわかったところで、続いて夫婦で老人ホームに入居するときの注意点を解説していきます。
介護度に差があると断られる場合がある
施設によっては、夫婦で要介護度に差がある場合、入居を断られることがあります。
老人ホームでは、要介護度を入居条件として設けている施設が多いです。
そのため、夫婦のどちらかが「自立」の場合は、もう片方が要介護状態であっても受け入れていないケースもあります。
もし夫婦で同じ居室に入居したいときは、夫婦で要介護度が違くても入居することができるか施設に確認しましょう。
施設探しに時間がかかる場合がある
特別養護老人ホームのような公的施設では、基本的に二人部屋の居室は用意されていません。
民間施設では二人部屋を設置している施設もありますが、人気が高いことや、そもそも数が少ないこともあって、入居まで時間がかかる場合があります。
二人部屋の空きが出るまで夫婦別々で一人部屋に入居することもできますが、一人部屋は費用がかさむため余分な介護費用がかかります。
夫婦で入居可能な施設を探すときには、早めの段階から動き出しましょう。
夫婦入居可能な施設を探す早めの入居をおすすめする3つの理由
老人ホームへの入居は、入りたいと思ったタイミングですぐに入居できるとは限りません。
「施設の情報を集めて見学する」、「入居一時金など金銭面の用意をする」など、見学から入居まで1~2ヵ月ほどの時間がかかります。
そのため、夫婦で老人ホームへの入居を考える場合は、必要に迫られてから動くのではなく、将来に備えて早めに情報を集めておくことが重要といえます。
1.子どもの介護負担を軽減できる
要介護状態となっている場合、子どもに対して少なからず介護負担をかけてしまいます。
離れて暮らしている場合でも、「問題なく自宅で暮らしているか」と精神的な不安を常に持たせることになるでしょう。
老人ホームに早めに入居すると、こうした子どもへの負担期間を減らすことにつながります。
2.近くに介護スタッフがいることで相談しやすい
自宅で生活していると、悩みがあっても「子ども・家族に迷惑をかけたくない」という思いから、誰にも相談できないという方がいらっしゃいます。
しかし、問題を抱え込んだままにしているとかえって介護の手間が増え、状況が悪化してしまうこともあります。
一方、老人ホームに入居すれば、介護の知識が豊富な職員の意見を気軽に聞くことができます。
必要なケア・対応もすぐにしてくれるので、介護に関わる懸念・不安を解消しやすいです。
3.配偶者が亡くなったときも入居者同士で支え合える
自宅で夫婦二人の老後生活を送る場合、将来的にどちらかが先立つと、残された方は大きな喪失感に直面します。
子ども世帯と同居していても、昼間は仕事・学校などがあるために一人で過ごす時間が増えてしまい、孤独を感じながら余生を送るということにもなりかねません。
老人ホームに夫婦揃って入居していれば、周りには同年代の仲間や施設スタッフがたくさんいるので、伴侶を亡くしたときの喪失感や孤独感を軽減できます。
ほかの入居者とのつながりの中で日常を取り戻しやすいですし、施設スタッフには自分の気持ちを打ち明け、相談することも可能です。
夫婦で入居できる老人ホームを探す夫婦入居に関するQ&A
Q.入居後に介護度が重くなるとどうなる?
夫婦で要介護度の差があまりにも大きくなると、手厚い介護が集中して必要になるためどちらかが別室への移動を求められることがあります。
もし、施設入居後に身体状況が変わったらどのように対応してもらえるのか、施設に確認しておきましょう。
Q.一方が先に亡くなったらどうなる?
夫婦のどちらかが先に亡くなると、施設から一人部屋への移動を求められる場合があります。
理由として、二人部屋を一人で利用することができないとルールで定められていたり、二人部屋の費用を一人で払い続けることが難しくなるという点が挙げられます。
夫婦のどちらかが先に旅立つことをイメージして、もし一人になってしまった場合はその後の居室をどうするか、検討しておきましょう。
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