60歳未満で特定疾病がある方の選択肢は?
どのタイプの老人ホームであっても、60歳未満の方が入居できる可能性は十分にあります。
ただ、介護老人保健施設については在宅復帰を目的とし、リハビリテーション(以下、リハビリ)を提供する施設であるため、長期間の入居を考えている場合には不向きかもしれません。
また、特別養護老人ホーム(以下、特養)に入居したい場合、特定疾病が認められていても要介護3以上でなければ入居条件を満たせないので注意しましょう。
特定疾病を患っている方で、要支援1~2もしくは要介護1~2の認定を受けている方は、要介護度が低い方でも入居できる介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が入居先として適しています。
介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サ高住を選択肢に
介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サ高住は、原則として60~65歳以上の方を対象とした施設(住宅)ですが、特定疾病があり、かつ「要介護」もしくは「要支援」の認定を受けている介護保険の第2号被保険者(40~64歳)であれば入居できる可能性があります。
ただ、寝たきりであったり、車椅子を使用しているなど、体の状態によっては入居を継続できない場合もあるので、事前に施設側と相談しておくようにしましょう。
介護療養型医療施設、介護医療院は医療機能が充実
介護療養型医療施設と介護医療院は主に医療法人が運営していて、医療機能が充実している施設です。
重度の要介護者が手厚い医療処置を必要とするケースでも対応できるので、ほかの老人ホームに入所医療体制を理由に断られた場合でも、有力な受け入れ先となる施設です。
特養は医療依存度が高い人には向かない
入所者の方によって必要な介護・医療が異なるので、一概には言えませんが、特養への入所は難しいとされています。
胃ろうや吸引などの処置であればスタッフが対応してくれますが、人工呼吸器を装着しているなど、高度な医療的処置が必要な場合は、医師や看護師の配置によっては対応できない施設もあるのです。
また、入所できたとしても、症状が進行して常時の医療的ケアが必要になると退所しなければならない可能性が非常に高いと考えられます。
医療措置が可能な有料老人ホームが増えつつある
有料老人ホームの中には、以下のように、医療体制の充実を売りのひとつにしている施設があります。
医療依存度が高い、入居中の老人ホームでは医療面で安心できないということであれば検討してみると良いでしょう。
- 常時、看護師が配置されている
- 医療的な機器がそろっている
- 病院と併設されている

介護保険上、40歳以上65歳未満は第2号被保険者になる
介護保険の加入者は、65歳以上の「第1号被保険者」と40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」に分類されます。
第2号被保険者でも、特定疾病によって要介護認定を受けている方は、介護保険サービスの利用が可能です。
1.末期がん | 2.関節リウマチ | 3.筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 4.後縦靱帯骨化症 |
5.骨折を伴う骨粗鬆症 | 6.初老期における認知症 | 7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病 | 8.脊髄小脳変性症 |
9.脊柱管狭窄症 | 10.早老症 | 11.多系統萎縮症 | 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 |
13.脳血管疾患 | 14.閉塞性動脈硬化症 | 15.慢性閉塞性肺疾患 | 16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
第2号被保険者の施設探しのコツ
40~64歳で介護が必要になった人の受け入れに対応している施設はまだまだ少ないのが現状です。しかし、ホームページなどでは60歳以上と記載されていても、相談してみると入居を了承してくれる場合もあります。
施設や役所、地域包括支援センターに直接問い合わせたり、紹介センターを利用してみると良いでしょう。
事前に準備すべきこと
入居前の準備として、要介護認定を受けた病気について、今後どのように病状が変化していくのか、そしてどのようなケアが必要になるのか、かかりつけ医にも入居を考えていることを告げたうえで確認しておきましょう。
また、継続して月額利用料の工面ができるように、そして後に負担が大きくなるかもしれない医療費を捻出できるように準備しておいてください。
チェックポイント
施設を探す場合のチェックポイントとしては、疾病に対してその施設がどのくらいの知識や理解、経験があるのかという点が挙げられます。
過去に同じ病気の方を受け入れた経験があれば安心できるのではないでしょうか。
また、その受け入れがいつだったのかは重要です。
もし何年も前だったのであれば、当時の職員がすでに離職し、スキルや経験が失われている可能性があります。
また、疾病によっては、将来的に常時医療ケアが必要となる場合もあるので、医師や看護師の配置体制を確かめ、どのような身体状態までその施設で対応してくれるのかを確認しておきましょう。
訪問診療などでかかりつけ医が施設に出向いてもらえるかも重要なポイント。急変時の対応もどのようになっているのか、しっかり確認しましょう。
最後にネックになるのが、ほかの入居者との年代差です。老人ホームは80代、90代の方が非常に多いので、第2号被保険者の方が入居した場合、ほかの入居者は年齢が離れた方ばかりです。入居者の年代や平均介護度なども確認してみると良いかもしれませんね。
日頃から話し相手になってくれる同じ年代のスタッフや入居者、ボランティアの方がいるかどうかもポイントです。