月額利用料が10万円前後の住宅型有料老人ホームが人気

久留米市は、福岡県南部にある筑紫平野最大の都市。
福岡県内では、福岡市・北九州市に次いで3番目に人口が多い街です。
佐賀県との県境に位置し、佐賀県鳥栖市などと隣接しています。
タイヤで有名なブリヂストンの創業地で、創始者のコレクションが並ぶ石橋美術館が有名。
そのほかゴム加工品会社の工場が市内に多く存在し、近年は自動車関連の工場も増えています。
福岡市のベッドタウン的役割も担っており、久留米市の人口維持に大きく影響しているようです。
交通アクセスとしては、JR九州の鹿児島本線や九州新幹線、西日本鉄道の天神大牟田線が通っています。
鉄道だけでなく、西鉄バスや堀川バスなどの路線バスも市内を運行中。
名産品は久留米絣で、昔から伝統工芸品として人々に愛されてきました。
近年のラーメンブームの影響もあり、久留米ラーメンもご当地ラーメンとして人気が高まっています。
久留米市は福岡県のなかでも人口が多い中核市ですが、他の都市同様に、高齢化は進行しています。
高齢者の人口を見てみると、2023年の総人口は約30万2,383人。
そのなかで65歳以上の高齢者数は、約8万4,121人で、高齢化率は27.8%でした。
5人中1人が高齢者という状況で、高齢者がより暮らしやすい街づくりに向けて取り組んでいます。
現在の久留米市は、高齢者の生活をサポートする高齢者福祉サービスが多数存在します。
「ものわすれ相談窓口」という相談会を、久留米市庁舎で定期的に開催。
これは、認知症の不安がある方や、その家族の悩みに専門家が対応するサービスです。
長寿支援課の介護予防チームが担当していますので、相談したい方は予約をすると良いでしょう。
さらに、久留米市は高齢者福祉サービスだけでなく、介護施設の確保にも前向きです。
特別養護老人ホームだけでなく、ケアハウスや軽費老人ホームなど、さまざまな施設があります。
しかし満床となってしまっている場合も多く、希望の施設に入居できない方は、住宅型や介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅に入居しておくのも手段の一つだと思います。
住宅型有料老人ホームでしたら、月額利用料が10万円程度でおさまるプランもあります。
デイサービス代や入浴補助などが別途加算の場合もあり、介護サービスを申し込むとその分合計料金は高くなりますが、毎月の基本料が食費を含めて10万円というのはやはり魅力的です。
まずは見学に行って、具体的なサービス内容を聞いてみるのも良いでしょう。
見学は予約をしておくと話がスムーズなのでおすすめです。
久留米市では4人に1人が高齢者
福岡県久留米市は佐賀県に隣接し、福岡市の商業集積地である天神地区などにも行きやすい立地から、人口が多い場所です。
高良大社などの観光資源がある住みやすい街ですが、高齢者の数は増えており、高齢化が進んでいます。
総人口の推移は、2015年には30万6,076人、2020年には30万3,316人、2023年には28万8,046人となっており、現在は減少している状態です。
一方、高齢者率の推移を見ると、2015年は25.7%、2020年には28.1%、2023年には27.8%と横ばい傾向に。
そして、2025年には30.7%まで上昇すると予想されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高齢者数を男女別に見てみると、2017年には男性高齢者が3万3,089人、女性高齢者が4万6,646人と、女性の方が多くなっています。
2025年には男性高齢者が3万6,123人、女性高齢者が4万9,352人となり、特に女性高齢者が大きく増えると予測されています。
高齢者を年齢別に見てみると、65歳~74歳までの前期高齢者も75歳以上の後期高齢者も両方増えており、今後も増え続けると予測されていますが、2020年以降、前期高齢者は減ると推測されています。
2025年には団塊の世代がすべて75歳以上になるため、後期高齢者は一気に増えます。
認知症高齢者についても、2025年には1万5,000人を超えると推測されています。
久留米市では、高齢者が健康的に自立した生活が続けられるよう、介護予防を含めたさまざまな高齢者福祉サービスを行っています。
久留米市の2024年の要介護認定者数は約1.7万人
久留米市では、65歳以上の第1号被保険者は増え続けていますが、介護保険サービスを支える世代ともいえる、40歳~64歳までの第2号被保険者の数が減っています。
その一方、要介護認定者数は増加傾向に。2010年には1万1,869人、2015年には1万4,603人、2020年には1万5,946人、2023年には1万7,077人と増加の一途をたどっています。

認定者が利用しているサービスの内訳を見ると、2024年のサービス利用者数1万5,689人に対し、居宅サービス利用者は1万554人と最も多く、次いで地域密着型サービスが3,667人、施設サービスが1,468人となっています。
久留米市では、訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問入浴、デイサービスなど、自宅で生活しながら利用できる居宅サービスが人気で、特に炊事や洗濯、掃除などをしてもらえる家事代行や、排泄や食事の介助などをしてもらえる訪問介護を利用している人が多いようです。
メタボ傾向のある高齢者には「特定保健指導」も実施

久留米市の要介護認定者を対象に、介護や介助が必要になった原因についてアンケートをとった結果、「老衰による衰弱」が18.3%で第1位、「心臓病」と「骨折・転倒」が14.8%で第2位でした。
しかし、要支援認定者に聞いてみると、「骨折・転倒」が24.7%と最も多く、次いで「高齢による衰弱」や「脳卒中」が続きます。
全体的に高齢による体力や筋力の低下、病気や骨折が原因になっている人が多いのが現状です。
久留米市では、生活習慣病予防や健康増進のための「健康教育・相談」を実施。
健康教育・相談を通じて、病気への理解を深め、体の悩みをなくしていく取り組みを行っています。
また、「うつ病対策講演会」では、うつ病の正しい情報や、精神の健康を維持できるようケアなどを提供しています。
「特定健康診査・保健指導事業」では、要介護状態や認知症の原因の一つとされている生活習慣病を予防するため、メタボリックシンドローム対策となる「特定健康診査」を実施。
メタボ傾向のある人には「特定保健指導」を行っています。
そして、市内の公園に健康遊具(健康づくりを目的とした器具)を設置し、散歩の途中に利用できるようにしています。
子どもから高齢者まで、柔軟性の向上や筋力のアップが気軽にできるのが魅力です。
さらに、「自分自身の状態把握が心身の健康維持につながる」として、健康福祉部長寿支援課の介護予防・生きがい支援チームが窓口となり、健康記録帳を配っています。
緊急時の連絡先や、今までの病気などが記録できる「私の記録」、介護予防のための状態チェック結果が記録できる「介護予防の記録」、定期的に行われる体力測定の結果を記録する「体力測定結果シート」など、記録シートを無料で配布。
「自分が思っているより運動能力が落ちている…予防体操を頑張ろう!」といった気づきのきっかけになっています。
60歳からの生涯学習教室「えーるピアシニアカレッジ」も展開

久留米市は高齢者の生活を守るため、包括的なケアシステムを構築しています。
高齢者にアンケートをとった結果、町内会や自治会、趣味のグループなどに毎週参加している人は「認知リスクがある」と診断されていない人が多く、家族や友人を訪ねたり、相談に乗ったりしている人も認知リスクが低いという結果が出ました。
逆に、町内会や趣味活動などに月に1回かそれ未満しか参加していない人は、認知リスクがあると診断された人が多いと分かりました。
社会的な役割や生きがいが認知症予防につながるとして、久留米市は高齢者のボランティア活動や老人クラブなどの活動を支援し、久留米市ジョブプラザやシルバー人材センターなどによる高齢者就労支援を促進。
老人憩いの家など高齢者が訪れやすい場所を確保しています。
外出支援の一環として、高齢者パソコン教室や60歳からの生涯学習「えーるピアシニアカレッジ」、小中学校でのコミュニティスクールなど、文化的な授業を開催。
そして生涯スポーツの推進のために、ゲートボールをはじめとする高齢者向けの各種スポーツを行っています。
また、一人暮らしの高齢者などへの在宅生活支援や、緊急時にすぐに助けが呼べる緊急通報システムの貸与、地域見守り活動の推進、生活支援ショートステイや介護用品給付による介護家族への支援、介護保険施設等への防火指導や災害時のため援護体制の整備など、久留米市の高齢者やその家族の生活を守るためのサービスは種類が豊富です。
久留米市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

久留米市では、基本的に地域包括支援センターが高齢者の総合相談窓口となっています。
まずは知ってもらうために、地域包括支援センターの認知度アップ、使いやすさの向上などに力を入れています。
介護する側の家族に、介護への不安についてアンケートをとった結果、被介護者の排泄や認知症行動への対応方法について不安に感じている人が多いため、地域包括支援センターでは、認知症に関する知識を深めるために認知症教室を開催。
高齢者本人だけでなく、家族の方の相談も受け付けています。
また、「心の健康相談」では、精神的な健康の保持や疾患の早期発見・治療促進を目的とし、高齢者やその家族の相談にも対応。
精神科医による本格的な相談会を行っており、うつ病などの相談もできるのが魅力です。
精神的な健康の保持や社会復帰を支援するために設けられた相談窓口「こころの相談カフェ」でも、不安を抱えている人の相談に対応しています。
臨床心理士などの専門家が相談に乗ってくるので、深刻な話も聞いてもらえるでしょう。
さらに久留米市社会福祉協議会では、「ふれあい福祉相談所」を常設し、地域の民生委員児童委員が「ふれあい福祉相談員」として対応。
専門の相談員がおり、高度な相談にも応えています。
対応する専門の機関や団体などを紹介してくれるのもポイントです。
また、「日常生活自立支援事業」では、福祉サービス利用手続きや金銭管理のお手伝いを実施。
福祉サービスや金銭に関する相談が可能です。
このように、久留米市は高齢者のさまざまな相談に対応しているので、気軽に相談できるでしょう。