一流の観光都市に最近、介護施設が続々と開設しています

山口県のほぼ中央部を、南北に縦断するように位置している山口市。
広島都市圏と関門都市圏の中間にある立地から、双方のエリアの橋渡しとして役目を果たしてきました。
山口市がずっと前から定評があった産業といえば、観光でしょう。
「瑠璃光寺」や「象頭山」をはじめ、史跡や自然を活かした名所が市内各地にみられます。
人の流入が絶え間なくある都市のため、交通インフラは比較的しっかりと整っています。
鉄道会社はJRのみですが、「山陽本線」「山口線」「宇部線」が停車するうえ、新山口駅から「山陽新幹線」が発着するという大きな利点があります。
自動車事情では、まず名前があがる道路は「中国自動車道」「山陽自動車道」「山口宇部道路」の3つでしょう。
市内にインターチェンジやパーキングエリアなどがたくさん作られており、車の移動がてら楽しむことができます。
そして山口市には国道が多く、5本以上が市内を走り抜けています。
バスに関しては、市内の路線・市外への高速の路線を合わせると5種類を超えており、民間・公営ともに市民に迅速なサービスを提供してくれます。
防長交通や中国JRバスがその中心となり、市民の足となっています。
さらに、タクシーとなると進出している業者は20近くになります。
移動の面においては、市内で困ることはなさそうです。
山口市内の人口は、2000年代半ばにピークを迎え、その後は下降の一途をたどっています。
市内の高齢化率は、2023年の時点で30.1%。
県庁所在地としては高い水準ですが、山口県自体の高齢化が以前から顕著なため、県内では比較的高齢化が遅いほうとなっています。
幸運なことに、山口市内の介護者サービスは適宜整備されています。
需要に応え切れるようになるにはまだ時間がかかるものの、公営・民間合わせて介護施設が多々つくられ、営業を開始しています。
住宅型有料老人ホームや介護付き有料老人ホームなどでは、現在も入居者募集中のところが多く、比較的入居しやすくなっています。
そして、費用・入居条件・施設の特徴に幅があり、多くの選択肢から自分にあったベストな施設を選ぶことができそうです。
山口市の高齢化率は2023年には30.1%に
山口市は、山口県の真ん中を南北に長く伸びるように縦断しており、市域の北端は島根県に、南端は瀬戸内海に面しています。
歴史の長い街で、国宝「瑠璃光寺五重塔」や、宣教師ザビエルゆかりの聖堂である「山口サビエル記念聖堂」、国史跡であり名勝に指定されている「常栄寺雪舟庭」など、歴史的な観光スポットが多数存在しています。
自然豊かな環境で、「湯田温泉」などの温泉を堪能することができます。
そんな山口市でも、ほかの地域同様に総人口が減少し、65歳以上の高齢者が増加しています。
2023年は、高齢化率30.1%でした。
その後、2025年には高齢化率31.7%となり、2037年には30%の大台に乗ると予測されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
山口市は、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年には、山口市民の3人に1人が高齢者になると予測。
高齢化の進行は止まらないようです。
年齢別に見てみると、65~74歳の前期高齢者よりも、75歳以上の後期高齢者の方が増加率が高めです。
2025年には、山口市の高齢者の約60%が後期高齢者になると予測されています。
一般的に、歳を重ねると身体機能や認知機能が低下し、要支援・要介護認定を受ける人も増えます。
実際、支援や介護が必要な高齢者も年々増えていることから、山口市は高齢者の生活支援の拡大や、高齢者サポートの中心となる地域包括支援センターの増設など、高齢者を支援する体制づくりを急いでいます。
特養やグループホームなどへの入居を希望する高齢者が多い
山口市の要支援・要介護認定者数は2015年ごろまでは急激に増加していましたが、その後は比較的緩やかに推移中です。とはいえ、2025年を境に急激に後期高齢者が増えるため、認定者の増加率や認定率も急上昇すると予測されています。

一人暮らしの高齢者や、夫婦ともに65歳以上という高齢夫婦世帯も増加しており、高齢者の孤立化や、高齢夫婦の老老介護なども問題となっています。
そのため山口市では、デイサービスや通所リハビリテーションなどの通所型サービスや、訪問介護や訪問看護といった訪問型サービスなど、さまざまなサービスを提供することで自立支援や生活支援を実施。
サービスを提供する体制の整備や、提供側のスタッフの確保がこれからの課題といえるでしょう。
山口市では、2025年には要支援・要介護認定者が1万3,000人程度まで増えると予測。
要支援・要介護認定者が増えるとともに、介護給付費も増大しています。
今後も介護給付費が増大し続けることが予測されているため、山口市は介護予防や重度化防止のためにも、「いきいき百歳体操」などの介護予防体操の普及や健康維持に必要な知識の浸透など、健康寿命の延伸のための活動を実施中です。
自宅で暮らす高齢者が多い山口市ですが、高齢者向けのアンケート調査によると、要介護になった場合に特別養護老人ホームやグループホームなどの介護施設に入居したいと思っている人は、全体の30%程。
施設入居を希望する人も多いため、山口市では介護施設の増設にも目を向けています。
高齢者の通いの場となる「元気いきいきひろば」を支援

山口市では、介助や介護が必要になった原因は「高齢による衰弱」が一番多く、次いで「リウマチなどの関節の病気」「脳卒中」「骨折・転倒」が多いです。
そのため、筋力の維持や口腔機能、嚥下脳力の維持などを含めた介護予防が注目されています。
しかしアンケート結果によると、週3回以上のペースで介護予防運動に取り組む高齢者は、全体の約40%。
特に中山間地域は、ほとんど外出せず閉じこもり状態の高齢者が多いのが現状です。
要支援・要介護認定者の約半数が外出を控えていることもわかっており、理由としては「足腰などの痛み」が最多。
運動不足による筋力低下などが原因のため、山口市では健康体操やリハビリなどの介護予防活動の普及に努めています。
山口市が推進している「いきいき百歳体操」の推進活動として、自主的に体操を実施するグループを支援。
毎週体操を行うことで、生活のリズムができると好評のようです。
さらに、認知症の予防効果のある体操も合わせて行い、認知症予防も行っています。
また、通いの場や居場所がある人の方が健康であることがわかっていますので、高齢者の通いの場となる「元気いきいきひろば」などを支援し、高齢者の外出を支援。
ウォーキング教室も開催しています。
病気が要支援・要介護状態のきっかけになる人が多いため、早期発見・早期治療ができるよう、健康診査を推進中です。
専門講師による認知症予防、転倒骨折予防、生活習慣病予防、口腔ケアなどの講座を開催し、高齢者に健康維持の知識を身につけてもらっています。
「大殿地区・上金古曽よってって」では高齢者の居場所づくりを促進

山口市では、高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らしていけるよう、包括的なサポートを行うための体制を整えています。
現在、介護が必要になっても自宅で暮らしたい人が48.4%となっており、半数近い人が在宅生活を希望しています。
そのため、日常生活や在宅療養の支援、在宅介護と在宅医療の連携などが求められています。
市は、介護などの事業所同士の連携や、バリアフリー工事を助成する「住宅改修」などに力を入れています。
山口市では、地域ぐるみのサポートを実現するべく、2015年から「介護予防・生活支援サポーター養成講座」を開催。
健康体操「いきいき百歳体操」の手伝いや高齢者の安否確認などを行うサポーターを育成しています。
また、地域住民や関連機関のスタッフなどが集まり、地域などの課題を検討する「地域ケア会議」を実施。
直接意見を伝え合うケア会議は、実際の問題の把握などに大いに役に立っています。
高齢者の居場所づくりにも貢献しており、「大殿地区・上金古曽よってって」ではおしゃべりや情報交換が可能。
小さな悩みなどをお互いに話せるのがポイントです。
高齢者の増加にともない、認知症高齢者も増えていますが、認知症の症状が出ている高齢者の約半分は自宅で暮らしています。
そのため山口市は、自宅での認知症ケア方法などが学べる講座を開催しています。
介護家族へのフォローが重要として、認知症サポーター育成講座も実施中です。
認知症高齢者の家族会議などを開催し、認知症高齢者やその家族が孤立しないように配慮しています。
山口市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

山口市では、高齢者の悩みを解決する相談窓口を設けています。
「ふれあい・いきいきサロン」では、高齢者も含めたさまざまな世代の相談を実施。
通いの場や仲間づくりの場にもなっており、孤独感の解消にも繋がっているようです。
利用を高齢者に限定したサロンやクラブも多く、開催場所が地域の公民館や公会堂なので利用しやすいのも魅力です。
サロンでは趣味活動なども行っていますので、「利用したいけれど、どこで何をやっているのがわからない」という人は、まずは山口市社会福祉協議会に相談してみると良いでしょう。
地域福祉権利擁護事業では、認知症などの病気や障がいで権利を自分で確保できない人を対象に、介護保険サービスなどの福祉サービスの利用援助や、日常的な金銭管理の代行サービスを実施中です。
「訪問介護をお願いしたいが、手続きの仕方がわからない」「印鑑の置き場所がどうしてもわからなくなる」といった相談や、「訪問販売などが断れなくて困っている」などの相談もできます。
実際の代行サービスは有料ですが、相談は無料です。
また、「お元気コール」サービスでは、自宅で一人暮らしをしている高齢者などを対象に、定期的に電話をかけています。
安否確認も兼ねた電話ですが、間隔は月1回から週1回まで選べ、電話の際には困っていることなどを相談できます。
利用は無料です。
山口市では、地域包括支援センターが高齢者の総合相談窓口にもなっていますので、心の悩みや人間関係の苦しさ、家族とのトラブルなど、何でも相談できるでしょう。