個室・相部屋の選択肢など選び方も豊富
下関市は、山口県の西部である本州最西端に位置する中核市で、山口県で最も人口の多い街です。
関門海峡によって、九州の玄関口である福岡県北九州市と繋がっています。
交通アクセスとしてはJR西日本の山陽本線、JR九州の山陽新幹線などが通り、バスは下関市生活バスやサンデン交通などが市内を走っています。
下関市は海に面しているため漁港があり、主にフグが名物です。
下関市は、中核市として国から指定を受けた重要な都市ですが、人口は減少の一途をたどり、全国で最も人口が少ない中核市となりました。
そのような背景のなか、高齢者の人口は増加しています。
1999年に高齢者人口は約5万2,000人で、高齢化率は20.3%。
全国平均は16.7%でした。
それが2023年には高齢者人口は約9万620人となり、高齢化率は36.2%に。
全国平均は29.1%でした。
1999年の時点で、全国平均を上回る高い高齢化率ですが、2024年にはさらに高齢化率が上昇しているのがわかります。
このように、高齢化率が年々上昇している現状をうけて、下関市は高齢化社会の整備に力を入れています。
「在宅サービス」「地域密着型サービス」「施設サービス」など、ジャンル分けをして細やかなサービスを行っています。
「在宅サービス」では、在宅介護の方が利用者負担限度額を超えた場合、利用料を助成するサービスを行っています。
また、下関市ではグループホームは「地域密着型サービス」に属し、要支援2から入居できます。
そして、特別養護老人ホームなどの公的介護施設は「施設サービス」となります。
興味のある方は地域包括支援センターなどに相談するとよいでしょう。
下関市の特別養護老人ホームの待機者数は、場所によって違いがあります。
受け入れ人数の許容量にもよるようですが、300人以上の待機者がいる施設もあれば、数名のみの施設もあります。
とはいえ、高い介護度や経済的な問題がある方から入居が優先されるシステムですので、介護度が軽い方などは早期入居が現実的ではなさそうです。
特別養護老人ホームへ入居を考える場合、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など含めて検討すると良いでしょう。
特養のほかにも、下関市内にはさまざまな介護施設があります。
そのなかでも介護付き有料老人ホームは、入居時の費用が8万円代、月額利用料は10万円前後という価格帯が多く、個室にこだわらなければ、月額利用料が10万円未満のプランもあります。
サービス内容もさまざまですので、各老人ホームに見学に行くなどして確認しましょう。
その場合は、見学予約をしておくことをおすすめします。
下関市の2023年の高齢化率は34.1%
下関市は、山口県最大の人口を擁する街で、九州と本州を結ぶ関門海峡や唐戸市場などが有名。
歴史スポットや観光スポットが多く、海外からの観光客も大勢訪れる場所です。
しかし、高齢化が年々進んでおり、高齢者が多い街となっています。
2015年には総人口が26万8,517人、65歳以上の高齢者人口は8万8,073人、高齢化率は33.0%でしたが、2023年には総人口が25万645人、65歳以上の高齢者人口は9万620人、高齢化率は36.2%となっており、3人に1人以上が高齢者という状況です。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
さらに、2025年には2025年には38.2%まで上昇すると推測されています。
高齢者の内訳を見ると、65歳~74歳までの前期高齢者は、2020年までは緩やかに増加していましたが、ピークを迎えてからは減少傾向に転じる見込みです。
それに対し、75歳以上の後期高齢者は増え続けると推測されています。
2015年には、75歳以上の後期高齢者が高齢者全体に占める割合は16.5%でしたが、2025年には22.5%まで増えると予想されています。
要介護認定者は、75歳以上の人が多いのが現状です。
下関市では、後期高齢者の増加を見据えて健康教室などを開催し、介護予防や重度化防止に努めています。
下関市の高齢化率を地域別に見ると、2022年の調査では豊北地域の高齢化率が56.6%と、地域住民の半数以上が高齢者となっています。
高齢化率が40%を超えている地域がほかにも彦島、豊田、豊浦と3地域あり、下関市全体で高齢化が深刻な状況です。
反対に、山陰地域は30.4%、山陽地域では33.4%であり、最も高齢化率の高い豊北地域ともっとも低い山陰地域を比較すると、高齢化率に26.2ポイントの差がある状況。
地域によって高齢化率に大きく差がある状況ですので、下関市は地域ごとの福祉サービスや高齢者ケアが必要といえるでしょう。
65歳以上の5人に1人が介護保険サービスを利用
下関市では、高齢者の増加にともない、要支援・要介護認定者も増えています。
2010年には1万5,415人でしたが、2015年には1万8,444人、2020年に1万9,662人、2024年に1万9,441人と右肩上がりに推移しています。
なお、介護保険サービスには、自宅で利用できる「居宅サービス」と、有料老人ホームなどの「施設サービス」があります。
居宅サービスは、家事代行や身体介助などを行う訪問介護や、訪問入浴介助、看護士が家庭訪問して看護する訪問看護、理学療法士などがリハビリを行う訪問リハビリテーション、車椅子などを貸し出す「福祉用具貸与」、手すりの取り付けなどを行う住宅改修といったサービスが利用可能。
さらに、食事や入浴、レクリエーションなどが楽しめるデイサービスや、介護老人保健施設や病院でリハビリを行う通所リハビリテーション、一時的に介護施設に入居できるショートステイなど、自宅から通うタイプのサービスもあります。
そして、特別養護老人ホームやグループホームなどに入居する、施設サービスも利用可能です。
介護保険サービスの内容は多岐に渡りますので、地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。
高齢者の筋力維持に「お達者・ぴん・しゃん塾」を実施
下関市は早くから介護予防に目を向けており、運動能力や筋力を高める「お達者・ぴん・しゃん塾」や「お達者筋力足腰教室」などを行ってきました。
2017年以降は名前が変わりましたが、同等の体操教室が開催されています。
現在、「筋力はつらつ若返り教室」「いきいきふれあい教室」「いきいき100歳体操」などさまざまな体操教室が実施されており、さらにプールを使った健康教室「プール元気教室」も開催されています。
種類豊富な体操教室の開催で、高齢者の介護予防に一役買っています。
さらに高齢者だけでなく、下関市民全員で健康維持・身体機能向上に取り組む「ふくふく健康21」を推進。
多くの市民グループが「ふくふく健康21」活動を行っています。
「ふくふく健康21」は高齢者だけでなく、子育てママなどが参加するグループもあり、市民全体で健康づくりや生きがいづくりに取り組んでいます。
ペットボトル体操や健康体操、ウォーキング、ハワイアンフラなど、それぞれのグループによって活動内容が違い内容も多彩です。
また、健康や介護予防への知識を深めるべく、血液さらさら健康講座、介護予防ふれあい講座などを実施。
口腔ケアや認知症などについて学べる介護予防講座や健康講座も行っており、出前講座も可能です。
自力での栄養管理が難しい高齢者を対象に、バランスの取れた食事の宅配も実施。
宅配の際に安否確認を行うため、高齢者の病気やケガの発見にもつながっています。
下関市では「ふくふく健康21」活動を中心に、市民が主役となってさまざまな介護予防活動を展開しています。
子どもや成人男女も参加できるのも魅力です。
一人暮らしの高齢者には緊急通報装置を貸与
下関市では、「下関市いきいきシルバープラン」や国の高齢者福祉計画をもとに、地域包括ケアシステムを構築中です。
健康維持にも目を向け、健康診断や予防接種などを行い、健康づくりのサポートをしています。
「緊急通報装置事業」では、一人暮らしの高齢者に対し、緊急通報装置を貸与。
いざという時に素早く連絡することが可能です。
また、「日常生活用具給付事業」では、火災報知器や電磁調理器などを給付しています。
生活支援訪問サービス事業では、家事代行などを行い、自宅で暮らす高齢者の生活を支援。
自宅での自立した生活を支援するために、寝具乾燥サービスや訪問理美容サービスなども実施しています。
外出は介護予防につながるとして、高齢者の外出支援も行っています。
介護用の車両で病院などへ送迎したり、格安でバスや船が利用できる「いきいきシルバー100」の交付を実施中です。
さらに、健康づくり運動などを行う老人クラブや、高齢者がコミュニケーションを楽しめる活動を支援。
70歳以上なら銭湯の利用料金が助成してもらえる「いきいきシルバー銭湯デー」を設けるなど、出かけたくなる環境を作っています。
認知症高齢者とその介護者を守る事業も展開しており、認知症についての講演会の開催や、認知症になった時にどういったサポートが受けられるのかをまとめた「認知症ケアパス」の配布も実施中です。
このように、下関市の福祉サービスは充実しています。
地域包括支援センターなどに聞けば、必要なサービスを紹介してもらえるでしょう。
下関市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
下関市では、高齢者の悩みや苦情を受け止める、相談窓口が用意されています。
主に下関市社会福祉協議会が窓口になっており、高齢者だけでなく地域住民からの苦情なども受付中です。
「地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業)」では、福祉サービスの利用に関する支援や相談を実施。
「福祉サービス利用援助」も実施しているので、「どの福祉サービスを使えば、今の状態が楽になるか」と相談すれば、必要なサービスを紹介してくれます。
「福祉サービス利用援助」の相談窓口では、相談内容は介護に限定されておらず、日常的な悩みも相談可能。
さらに、福祉サービスの申し込みなど、行政手続きも手伝ってもらえるのが魅力です。
さらに「日常的金銭管理サービス」では、お金の管理を支援。
福祉サービス利用料だけでなく、家賃や日用品などの料金支払いもフォローしてもらえます。
「印鑑がどうしても行方不明になる」といった相談も可能で、銀行印や不動産権利書といった大切な物を代行管理してもらえ、お金や貴重品に関することは何でも相談できます。
そのほかにも、山口県国民健康保険団体連合会が、介護サービスへの不満や苦情を受け付ける無料相談を実施。
地域包括支援センターも、高齢者とその家族、地域住民の悩み相談を行っています。
「最近、お隣のおばあちゃんの姿を見ない」といった気がかりなことも相談できます。
最寄りの地域包括支援センターが分からない人は、区役所(長寿支援課地域包括ケア推進室)に聞くと、教えてもらえます。