“ちょっと散歩に…”も楽しめる優雅な街並みが特長
言わずと知れた日本最大の観光都市。
京都市は、第二次世界大戦の戦災被害を免れた数少ない都市のため、神社仏閣をはじめとした古い史跡や街並み、文化財などが数多く残されており、国内外からの観光客であふれています。
高齢化率は政令指定都市の中でもかなり高い数字となっており、市内では11の区のほとんどで20%を超えています。
中でも北区や上京区、東山区などの半数を超える区において、75歳以上となる後期高齢者の割合が65~74歳人口である前期高齢者の割合を上回っているという特徴がありますが、それに見合うだけの老人ホームが整備されているとは言えないのが現状です。
とはいえ京都市は、京都府内にある老人ホームの約半数を抱える大都市で、その絶対数が多いために選択肢は数多くあります。
介護保険の施設サービスである特別養護老人ホームと介護老人保健施設をはじめ、介護付・住宅型有料老人ホームや高齢者住宅、グループホームなどのさまざまな高齢者用住居が多く存在。
ニーズによって選択できるフレキシビリティがあります。
また、数が多いだけに利用料の幅も大きいのが特徴。
入居一時金が1~5,000万円で月額利用料が20万円以上といった高額の有料老人ホームもあり、そうした施設では24時間看護や医療施設との密接な提携といった、手厚いサービスが展開されています。
一方で、入居一時金が0円で月額利用料も18万円前後といった低額で利用できる施設もあり、経済的な負担を考えながら希望条件をすり合わせていくこともできます。
京都市は優雅な街並みを誇っており、散歩など少し出歩くだけでも豊かな気分になれることは間違いありません。
しかし、市内は高速道路・一般道路ともに道路の渋滞が慢性化しており、特に観光シーズンともなると「まったく車が動かない」といったシーンもちらほら見受けられます。
そのため、例えば入居者の家族が面会に行く際などは車の利用は避けるのがベストで、公共交通機関を使っての交通アクセスを鑑みて、入居先の老人ホームを検討すると良いでしょう。
京都市で一番高齢化率が高いのは東山区で33.4%
2023年には総人口138万5,190人となりました。
その中で65歳以上の高齢者は39万3,290人を占めており、高齢化率は28.4%となっています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
つまり京都市内では、約4人に1人が65歳以上の高齢者ということになります。
2023年度の日本全体の高齢化率が29.0%ですので、京都市の高齢化率は全国的にみても平均的であることがわかります。
今後も高齢者数は増加の一途をたどり、団塊の世代が75歳に到達する2025年以降には、75歳以上の高齢者1人を15~64歳の3.1人で支える時代がきます。
2030年には高齢化率は30%を超える見込みです。
高齢者の性比をみていくと、65歳以上の男性は17万1,962人、女性は23万9,328人で、女性が多数という状況です。
特に85歳以上でその差が顕著となり、男性が2万5,221人であるのに対し、女性は5万4,899人と大幅に差が開いています。
これは、平均寿命の違いとも関連しており、全国的にみても同じ傾向にあります。
行政区ごとの高齢化率をみていくと、一番高齢化率が高い区は東山区の33.4%です。
逆に一番高齢化率が低い区は下京区の23.5%となっており、その差は約10ポイントになっています。
行政区ごとの高齢化率の差は拡大してきていますが、基本的にどこの行政区においても高齢化が進んでいます。
居住サービスの需要が右肩上がり
2000年から介護保険制度が開始になりました。
要介護度別の認定者数は、2023年には9万9,603人となっており、10万人を超えるのも時間の問題です。
介護保険開始当初からの増加率は全国平均を上回る結果となっており、2016年4月時点の介護サービス利用者は6万6,397人。2024年には8万5,889人となっています。
自宅で暮らし、訪問や通所を行う「居宅サービス」の利用者数は、6万1,055人で全体の約71%を占めています。
また、居住系サービスを含めた「施設サービス」の利用者数は1万1,622人となっています。
「地域密着型サービス」の利用者数は1万3,212人となっています。
2010年から一貫して各サービスの需要が大きくなっている中で、とりわけ居住サービスははっきりとした右肩上がりを示しています。
居宅サービスの利用者を認定区分別にみていくと、要支援者(要支援1、2)は35.5%。
要介護に関しては1の区分の19.1%と2の区分の28.1%がボリュームゾーンとなっています。
一方、施設サービス利用者の認定区分別にみてみましょう。
グループホームでは、要介護1と要介護2の利用者が29.3%、要介護3の利用者が34.1%と合計63.4%もの割合を占めています。
重度の介護区分である要介護4、5の利用者が多いのは介護療養型医療施設で、それに次ぐのが介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)です。
リハビリを行い、自宅復帰を目指す介護老人保健施設(老健)では、要介護2~4の方が多く利用しています。
居住地によって地域包括支援センターの担当が決まっている
京都市における介護予防の柱は「総合事業」であり、その対象は介護保険の第1号被保険者(65歳以上の高齢者)および第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)となっています。
主な内容には65歳以上であれば無条件で受けられる健康教室や、事業該当者および介護認定を受けている方が受けられる介護予防・支援サービスなどがあります。
支援の必要はなくとも今の健康を維持したい65歳以上の方は、一般介護予防事業(健康教室等)を利用することも可能です。
また、介護認定を受けるほどではない、もしくは非該当の認定を受けた方でも基本チェックリストに該当する「事業対象者」は、先の一般介護予防事業に介護予防・生活支援サービスをプラスして受けることができます。
さらに、介護保険で要支援1・2の認定を受けた方は、これらにプラスして介護予防サービスを受けることが可能。
一般介護予防事業は地域包括支援センターか地域介護予防推進センターが中心となって行っていますが、地域包括支援センターは居住地によって担当が決まっています。
一方の地域介護予防推進センターは居住地の区に配置されています。
要支援認定を受け、介護予防サービスや介護予防・生活支援サービスを利用する場合および「事業対象者」は、地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成してもらうことになります。
京都市における介護予防は、段階的に受けられる事業が決まり、その方に合わせた健康維持や暮らしのサポートが利用できるようになっています。
地域包括ケアシステムとして「地域支え合い活動創出コーディネーター」は各地に設置
「地域包括ケアシステム」とは、高齢者がいつまでも住み慣れた地域で暮らすための支援やサービス提供のネットワークを意味します。
団塊の世代が75歳に到達する2025年を見据え、各自治体や都道府県が主体となって地域ごとに構築する計画となっています。
京都市では2017度の介護保険法の改正に合わせ、総合事業を地域包括システムの中に取り入れています。
これは従来の要支援1・2の方が利用していた介護予防の内容を移行したもので、「事業該当者」という新たな区分を設けることで介護予防サービスを受けられるようにしています。
この事業対象者は、従来の介護保険のように認定を受けるのではなく、チェックリストでその規定に該当するかどうかを判定します。
全てのサービスが受けられるわけではありませんが、気軽に支援を受けられるのがメリットになるでしょう。
サービスの中には、京都市独自のカリキュラムにより養成した従事者による、訪問型のヘルプサービスも設けられています。
また、高齢者の相談窓口である地域包括支援センターは市内に61ヵ所設置。
一般介護予防事業や介護予防ケアプランの作成などはこちらで行っています。
さらに、市内12ヵ所に地域介護予防推進センターが設けられていることに加え、「地域支え合い活動創出コーディネーター」も各区に配置されています。
その他にも「地域支え合いボランティア活動」や「健康長寿サロン」への助成を行うなど、地域の高齢者を支えるネットワークを構築しています。
京都市の苦情解決制度とは?
介護サービスを受けている場合、何か問題があったとしても、そのサービスを提供してくれている人には面と向かって直接言えないことが数多くあります。
そのような時には、契約時に事業所と取り交わした重要事項説明書内にある苦情対応窓口(担当者)に問い合わせをしてみることができます。
どうしても同じ事業所内の人に相談しにくい場合は、ケアプランを担当しているケアマネージャーや、地域包括支援センター職員に相談することも可能です。
また京都市では、「介護相談員派遣事業」を行っています。
これは、介護を提供する施設等を介護相談員が巡回、高齢者やその家族から相談を受けることで、必要に応じて提供側との橋渡しを行う活動です。
苦情に発展する前の活動であることや、その介護相談員が市民参加によるものであることも非常に有意義であるといえます。
さらに社会福祉協議会では、介護保険のみならず、高齢者が安心して暮らせる支援体制を整えています。
例えば、仲間づくりや生きがいづくり、生活資金に関する相談等も受け付けていますし、利用した事業への問題まで相談できる体制があります。
各所属部署には担当者がいますので、どのような相談にも対応してくれます。
介護保険全般に関しての相談は、区役所や支所・出張所で受付けています。
これまでの問題が解決に至らなかったり、その問題の改善に向け、市から指導や助言を受けたいときに利用することができます。