文化財や公園などが多く、高齢者の住まいとして最適な環境が整う
大津市は滋賀県の県庁所在地であり、県の南西端にある中核市です。
1300年以上の長い歴史があり、世界遺産である延暦寺や日吉大社など神社仏閣が多い街。
国の指定文化財の数は、京都市、奈良市に次いで3番目の多さです。
地理的には、比叡山や琵琶湖があり、比叡山を境にして京都市と隣接。
琵琶湖の湖畔エリアは自然と都市が融合した美しい景観が広がり、エリアの中心である「なぎさ公園」は「都市景観100選」と「関西自然に親しむ風景100選」に選ばれました。
交通アクセスとしては、JR西日本の「琵琶湖線」や「湖西線」、私鉄は京阪電気鉄道の「京津線」などが通っています。
観光客向けに、「びわ湖バレイロープウェイ」も運行中。
市内には鉄道だけでなく、「京阪バス」や「近江鉄道バス」などのも走行中です。
道路は国道1号などの幹線が整備され、車での移動に活用されています。
大津市の人口は、2023年の統計では約34万4,000人でした。
総人口の推移はここ数年ほぼ横ばい状態ですが、高齢者数は増え続けています。
2012年には21.4%だった高齢者率は、2023年には27.3%となり、4人に1人は65歳以上の高齢者という状況が訪れました。
大津市は増加する高齢者のために、高齢者福祉サービスや介護施設の充実に努めています。
介護予防の拠点となる「あんしん長寿相談所」を設置し、介護や福祉についての相談に対応しています。
また、大津市は認知症対策に力を入れており、「認知症SMILE大津」というプロジェクトを立ち上げました。
認知症相談窓口を市内全域に70ヵ所以上配置。
認知症相談医も市内に60ヵ所以上あり、認知症の方とそのご家族の手助けとなっています。
大津市は介護施設の確保に努めていますが、特別養護老人ホームは入居待ちの高齢者が絶えない状態です。
入居したい特別養護老人ホームがあれば早めに予約をし、グループホームやサービス付き高齢者住宅などを入居の検討材料にするのが良いかもしれません。
サービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームは、入居時の費用が300万円台、月額利用料は10~20万円という価格帯の施設が多いようです。
食事などは付きますが、そのほかのデイサービスなどは付加サービスとなります。
グループホームはさらに格安で、認知症の方にはおすすめです。
大津市の高齢化率は2030年には30%に
大津市は琵琶湖の南西にある街で、主要港湾である大津港を擁します。
歴史が長く、江戸時代には東海道の宿場町としても栄えました。
風光明媚な土地で、「おごと温泉」や「瀬田の唐橋」、「近江神宮」など観光資源が豊富。
琵琶湖でのウォータースポーツや冬場のスキーなど、アウトドアやリゾートも盛んです。
大津市の総人口は、2014年以降、減少傾向となっています。
高齢化率は、前述したように2012年が21.4%、2023年には27.3%となっており、11年間で約6%上昇しています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
また、年齢別に人口の割合を見ると、40歳未満の人は減少していますが、高齢者は増加中です。
2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となるため、後期高齢者が急増すると予測されています。
後期高齢者になると、要支援・要介護認定者が急増することがわかっているため、大津市は介護保険サービスの普及や一層の充実に急いでいます。
高齢化が進むなか、大津市は「地域の中で支えあい、安心していきいきと、最期まで住み続けられるまち おおつ」を基本理念に掲げ、「大津市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」を策定。
2040年には、団塊ジュニア世代がすべて65歳以上になるため、高齢化はさらに深刻になると予測されます。
大津市は福祉計画に基づき、介護保険サービスだけでなく高齢者の生活支援や介護予防なども重要とし、さまざまな角度から高齢者をサポートしています。
あんしん長寿相談所を設置して介護サービスの利用を促進
要支援・要介護認定者の増加とともに、介護保険サービスの受給者数と介護保険サービス給付費は増加しています。
介護保険サービスの受給者数は、2024年には1万8,022人となりました。
要支援・要介護認定者数は、2024年には1万9,452人と2万人に迫る勢いです。
年々、後期高齢者数が増えており、それにともない要支援・要介護認定者も増えているのが現状です。
要介護度別にみると、要支援2認定者と要介護2認定者が比較的多め。
高齢化が進むにつれ、重度化する人が増える懸念も出ています。
大津市では、市内を7つの「保健福祉ブロック」に分け、各ブロックに地域包括支援センター「あんしん長寿相談所」を設置しました。
ブロック別に人口や高齢化率、要介護認定率を見ると、志賀ブロックや南部ブロックで高齢化率が高くなっています。
また、要支援・要介護認定率は中北部ブロックや中部ブロックで高い状態です。
大津市では自宅で暮らす高齢者が多いため、訪問介護などの居宅サービスが人気です。
訪問看護も需要が高く、市内数ヵ所にサービスの拠点となる訪問看護ステーションが設置されています。
手すりの取り付けや段差解消を行う「住宅改修」や、車椅子や介護ベッドなどが借りられる「福祉用具貸与」もニーズが高いです。
そして、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)や看護小規模多機能型居宅介護サービスなどの「地域密着型サービス」のニーズが高まっており、市は施設の充実化を急いでいます。
介護度が高い人は在宅介護が難しいため、特別養護老人ホームや地域密着型介護老人福祉施設(小規模特別養護老人ホーム)などの施設サービスが必要です。
そのため、大津市は介護施設の増設に向けて取り組んでいます。
大津市では生涯現役を目指して介護予防を展開
大津市では、「生涯現役」を目指し介護予防や重度化防止活動を行っています。
介護予防・日常生活支援総合事業の通所型サービス「おおつ元気アップ教室」では、介護予防教室を市内各地で実施しています。
高齢者スポーツの振興・老人健康広場整備事業では、楽しく散歩が続けられるよう「いきいき健歩・ウォーキング」を開催。
「ニュースポーツ用具貸し出し事業」によるスポーツ用具貸し出しや、大石淀グラウンドゴルフ場の整備など、高齢者がスポーツしやすい環境を整えています。
介護予防には社会参加が効果的であるため、福祉バスの運行などを通して高齢者の外出支援にも力を入れています。
さらに、足腰の弱った高齢者が快適に移動できるよう、ノンステップバスの導入促進や、鉄道駅のバリアフリー化などにも取り組んでいます。
「セカンドライフサポート事業」や「シルバー人材センター」の活動支援を通し、高齢者の就労も支援。
「老人クラブ」や「老人クラブ連合会」への支援も行い、高齢者同士の交流をサポートしながら、「老人憩いの家」や「老人福祉センター」を活動の拠点として提供しています。
交流や文化活動も重要な介護予防活動として、北部地域文化センターでは「ほくぶん地域塾」、和邇文化センターでは「げんき塾」を実施。
ボランティア活動なども支援しています。
また、「要支援・要介護になったきっかけが病気や怪我」という高齢者が多いため、針・灸・マッサージの施術費を助成し健康維持を支援。
インフルエンザの予防接種や、がん検診などの普及も推進しています。
認知症高齢者のための見守りネットワークも充実
大津市では、滋賀県の「レイカディア滋賀高齢者福祉プラン」や「滋賀県高齢者居住安定確保計画」などを踏まえ、「健康おおつ21」や「大津市地域福祉計画」、「大津市保健医療基本計画」などの福祉計画を策定。
これらの計画に基づき、地域包括ケアシステムを構築しています。
サポート内容は実に多彩で、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け住宅の確保、家庭のゴミ出しを手伝う「家庭ごみふれあい収集」などを実施。
介護予防事業の一環として、病気などで外出が困難な高齢者を対象に、看護士が自宅訪問を行い生活習慣などを指導しています。
また、「紙おむつ給付」や「寝具丸洗いサービス」なども需要が高く、在宅介護を行う家族のサポート体制強化が進められています。
認知症高齢者が増えているため、認知症サポーター養成講座を開催。
出前講座も行っています。
さらに、徘徊高齢者に対応するべく「行方不明高齢者早期発見ダイヤル」や「大津市高齢者等地域見守りネットワーク」を設置。
地域ぐるみで高齢者の見守りを行っています。
そして、ひとり暮らしの高齢者宅の安全対策としては、民生委員児童委員が高齢者宅を訪問し、火気管理指導や住宅用火災警報器の設置や管理の指導を実施。
大津市では、高齢者が住み慣れた町で日常生活を送れるよう、医療や介護、介護予防、住まいの確保、日常生活の支援など、さまざまな角度から高齢者をサポートしています。
大津市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
大津市では、高齢者やその家族、周りを取り巻く地域住民が気軽に相談できるように、各エリアにある地域包括支援センター「あんしん長寿相談所」に総合相談窓口を設置しています。
大津市では、生活支援コーディネーター「地域支え合い推進員」が「あんしん長寿相談所」と連携を取りながら生活支援を実施。
生活に関する悩みなどを相談すれば、悩みに合わせた支援が受けられるよう働きかけてくれます。
また、介護相談員を介護サービスの事業所へ派遣し、サービスの利用者やその家族の不満や不安、疑問などに対応。
その後、相談内容に関して対象施設や事業所と検討し、サービスの質を向上させています。
そして大津市社会福祉協議会では、「隣の家がうるさくて眠れない」「家族間のトラブルが起きて、孫が心配…」など、心配ごとなら何でも相談できる「ふれあい相談(心配ごと相談)」を実施。
「生活費が足りず、家賃が払えない」などの金銭的な悩みに対応する「生活相談(貸付事業)」も実施していますし、「自立相談支援事業」では、状況に応じた支援を行いながら、ときには就労支援も行います。
地域福祉権利事業では、認知症などにより「福祉サービスの申し込みなどが難しくてできない」「お金や貴重品の管理がわからなくなってきた」という人に向けて、申し込みや金銭管理の代行サービスを行っています。
代行サービスを利用する場合は有料ですが、相談は無料です。