病院と密接に結び付いた施設や長屋を改造した施設など特徴的なホームも
岡崎市は、愛知県旧三河国の中央に位置する市。
西三河地方を代表する市で、中核都市として重要視されています。
愛知県の味噌といえば赤味噌が有名ですが、岡崎市は赤味噌の産地として知られている地域です。
赤味噌メーカーとして有名な「カクキュー」や「まるや八丁味噌」の本社があり、愛知県独自の文化発祥の地です。
岡崎市は、隣にトヨタ自動車で有名な豊田市があることから、そこで働く人たちの住居も多数建ち並んでいます。
ファミリーが多い土地柄のため、主要国道沿いに大規模なショッピングセンターがオープン。
駅前の商業施設もさびれることなくきちんと残っているほか、場所によっては非常に活気ある商店街もあり、夕方には買い物をする人で賑わいを見せます。
交通の便も良く、市内には「JR東海」と「名古屋鉄道」「愛知環状鉄道」が走行。
各地域に行きやすく、市内から市外への通学・通勤者が多くなっています。
車での移動も、愛知県内の主要道路が通っているため便利です。
路線バスも充実しており、病院や大型商業施設行きのバスが頻繁に運行されています。
ただし、平日の夕方や土日などは少々道が混雑する傾向があり、市では対策を講じているようです。
そんな岡崎市には、異色のアピールポイントがあります。
岡崎市非公認のゆるキャラ「オカザえもん」は、市内や県内に留まらず全国的に大人気。
個性的な外見がうけ、「ゆるキャラグランプリ2013」では22位にランクイン。
岡崎市の存在を日本中にアピールするきっかけになりました。
岡崎市の人口は、2023年時点で38万4,422人。
そのうち65歳以上の高齢者人口は9万2,893人で、高齢化率は24.2%でした。
ほかの地域に比べれば緩やかですが、確実に高齢化が進んでいる状態。
高齢化率は、今後ますます増加していくと予測されています。
岡崎市では、細やかな助成金制度が魅力です。
「日常生活用具購入助成金」や「ねたきり高齢者見舞金」、「位置情報検索システム初期費用の一部助成制度」など、さまざまな援助が用意されています。
また、「訪問理容サービス利用券」や「家具転倒防止金具の取り付け」なども支援しており、高齢者にとっては非常に暮らしやすい地域といえるでしょう。
また、地域の高齢者が生き生きと楽しく生活できるよう、「生きがい活動支援通所」を設置。
さまざまなケアだけでなく、市営のデイサービスセンターでイベントを開催するなど、地域の高齢者に憩いの場を提供しています。
そんな手厚いケアが期待できる岡崎市の有料老人ホーム数は、ほか同規模の地域と比較してやや少な目です。
とはいえ比較検討できる数はありますし、現在建設が予定されている施設も多数。
老人ホーム選びにおいて、これからますます注目が集まる地域といえるでしょう。
岡崎市では、病院と密接に結び付いた施設や長屋を改造した施設など、特徴的なホームが多いのが特徴です。
気になる施設があれば、積極的に足を運んで比較検討してみましょう。
岡崎市の高齢化率は2023年には24%を超えた
岡崎市は、豊田市と並んで西三河を代表する中核都市で、鎌倉街道や東海道の宿場町として栄えた歴史があります。
城下町としても賑わった場所で、史跡が多く残っています。
前述した八丁味噌を筆頭に、花火や石製品、「額田の豆腐」などの名産品が有名です。
このように地場産業が豊かなお陰もあり、岡崎市の総人口は増加傾向にあります。
2023年の総人口は38万4,422人となっていますが、高齢者人口も同じく増え続けており、高齢化率は24.2%に。
全国平均の29.1%に比べると、岡崎市の高齢化率はまだ低い方ですが、2025年には26.4%まで上昇すると予測されています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
また、高齢化率を日常生活圏域別にみると、最も高いのは額田エリアので、3人に1人以上が高齢者です。
反対に、最も低いのは六ツ美エリア。
エリアによって格差が生じ、高齢化が深刻なエリアがあることがわかっており、地域に合わせた高齢者サポートが必要となっています。
岡崎市は、高齢者の増加にともなって、ひとり暮らし高齢者や高齢夫婦だけで構成された「高齢者のみ世帯」が増えると予測。
認知症高齢者が増えていくことも想定し、高齢者の徹底した生活支援や認知症高齢者とその家族への手厚いサポートなど、高齢者福祉に力を入れています。
2024年の調査では約1.5万人が要支援・要介護認定を受けている
岡崎市の介護保険による要支援・要介護認定者数は、年々増加傾向にあり、2024年の調査では1万5,981人となっています。
要支援・要介護度別に認定者数を見てみると、要支援1、要支援2、要介護1の人が多く、この3段階を合わせると全体の約5割。
認定者のなかでも、軽度の人が多いことがわかります。
しかし今後、高齢者の増加にともない認定者も増えていくことが予測されています。
特に、2025年は団塊の世代すべての人が75歳以上になる年。
75歳以上になると、急激に要支援・要介護認定者が増えることがわかっており、岡崎市では要支援・要介護認定者の急増に対応するべく介護保険サービスの提供体制を整えようとしています。
岡崎市では、送迎付きで入浴や昼食、レクリエーションなどができる「通所介護(デイサービス)」を利用している高齢者が多く、次いで家事代行や身体介助をしてもらえる「訪問介護」が多いです。
通所リハビリテーションや短期入所生活介護(ショートステイ)の需要も高く、訪問介護などの居宅サービスや居宅介護支援とともに、通所サービスを利用しながら自宅で生活している高齢者が多いようです。
また、地域密着型サービスの認知症対応型通所介護も利用者が多く、認知症あるいは認知症の傾向がある高齢者が多いことがわかります。
さらに、介護保険施設サービスでは特別養護老人ホームを利用する人が多く、入居費用が安い施設が必要とされているのが現状です。
格安の介護施設の増設も岡崎市の課題といえるでしょう。
「寺子屋★脳きらり」では脳トレで介護予防
岡崎市では、健康寿命を伸ばすための介護予防活動を推進中。
病気が要介護状態になるきっかけになる人が多いため、栄養指導などの健康教室を開催しています。
生活習慣病の改善方法や血管を若く保つコツが学べる教室、転倒や腰痛予防教室などを実施。
高齢者の肺の健康講座や、誤嚥予防体操も行っています。
介護予防教室は、65歳以上なら誰でも参加可能で内容も豊富です。
「きらりシニア塾」では、健康体操やストレッチ、レクリエーション、介護予防をテーマにした講話を実施。
「寺子屋★脳きらり」では、認知症予防につながる体操やストレッチ、脳トレなどを行っています。
「お元気アップ貯筋教室」では、運動器の機能向上につながる体操や認知症・うつに効果的な体操などを行っていますし、「食楽食善教室」では栄養改善指導などを実施しています。
「すっきり健口教室」では、口腔機能を向上させたり、認知症予防になる体操教室を開催しています。
岡崎市の介護予防教室は、認知症予防を行う教室が多いのが特徴です。
「岡崎ごまんぞく体操」は重りを使った6種類の筋力体操で、週1回以上のペースで毎週開催されています。
継続して参加することで、生活にリズムが生まれると好評です。
生きがいがある人や社会で居場所がある人の方が、認知症などになりにくいという調査結果が出ています。
そのため岡崎市では、高齢者の生きがいづくりと社会参加を支援。
さまざまな方面から、高齢者の介護予防をサポートしています。
地域包括ケアに向けて「岡崎市地域包括ケア計画」を推進
岡崎市では、2015年に団塊の世代がすべて65歳以上になって以来、高齢者数はますます増えています。
高齢者数の増加にともない、認知症高齢者の増加と介護者の疲弊問題、一人暮らし高齢者や高齢夫婦世帯など「高齢者のみの世帯」の増加、高齢者の孤立化、高齢者虐待など、さまざまな問題が出てきています。
さらに、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、要支援・要介護認定者も急増すると予測されており、より現実的な高齢者福祉施策、自立支援・重度化防止活動が必要とされています。
岡崎市は、こいった問題を解決するべく「健やかに安心して暮らせるまちづくり」を基本理念として掲げ、「岡崎市地域包括ケア計画(高齢者福祉計画・介護保険事業計画)」を策定。
計画に基づいた地域包括ケアシステムを構築中です。
地域包括ケアシステムとは、ニーズに合わせて、医療や介護、介護予防、住まい、生活支援が一体的に提供される仕組みのこと。
岡崎市では、医療機関と介護の事業所が連携し、介護や看護が同時に受けられる体制を整えています。
また介護予防だけでなく、病気予防にもつながる予防教室や栄養・運動指導などを実施。
生涯現役を目指し、高齢者の外出支援や社会参加支援も行っています。
そして、「生活サポート付き高齢者向け住宅」の増設や、自宅での生活が楽に続けられるよう「手すりなどを付ける住宅改修費の援助」など、さまざまな角度から高齢者をケアしています。
岡崎市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
岡崎市では、アンケート結果から「悩みを相談する人がいない」「相談に行くことができない」と考えている高齢者が多いことがわかっています。
高齢者の多様化する悩みを解決するべく、岡崎市はさまざまな高齢者相談窓口を設置しました。
「岡崎市社会福祉協議会の苦情申出窓口」では、訪問介護・看護などの福祉サービスについての不満や苦情を受け付けています。
「デイサービスでいじめられる」「訪問介護を頼んだけれど、酷い言葉を投げかけられた」など、福祉サービスに関することなら何でも相談できます。
また、社会福祉協議会が中心になり行っている「福祉サービス利用援助事業」では、認知症などの理由でお金や書類の管理などが難しくなった人を対象に、代行サービスを行っています。
病院や介護施設に入居している人も利用できるサービスで、お金や通帳・ハンコなど貴重品に関する相談も可能。
代行サービスは有料ですが、相談は無料です。
地域介護予防活動の中心となっている「いきいきクラブ」や「ふれあい健康クラブ」では、食生活改善推進員や体操指導員などによる介護予防活動が定期的に実施されています。
レクリエーションや健康体操などを通じて交流や体操を行う活動ですが、健康や運動に関する質問などが直接できる機会です。
また、岡崎市では認知症高齢者の増加に対応するべく、認知症への理解を深める認知症講座や、認知症予防教室「認知症予防遊びリテーション」を実施。
認知症に関する疑問や悩みについて、指導者に質問したり仲間と話し合ったりできます。