入居一時金0円という介護施設も選択肢が多数
愛知県の北西に位置する一宮市は、かつては紡績工業の名地として知られた場所です。
時代の変化に伴ってそれらの産業は縮小していきましたが、新手の繊維工業などへの切り替えや、交通上の要衝に位置することを利用し、ベッドタウン化してうまく巻き返しに成功してきました。
一宮市はJR東海道本線と名古屋鉄道本線、さらに尾西線が通っています。
そして明神高速道路や名古屋高速16号(一宮線)、そして東海北陸自動車道などの高速道路と繋がる場所がたくさんあります。
その他幹線道路の種類や本数にも恵まれており、市外・県外に出かける際には選べるコースもたくさんあって便利です。
市外の移動についても自家用車やタクシーで移動しやすく整備されているのですが、高齢者にとって何かと頼りになる路線バスも充実しています。
名鉄バスの活躍ぶりが目立ちますが、市当局が名鉄バスに委託している「i-バス」と呼ばれるコミュニティバスも運行しています。
それに加えて、市が直接運営しているコミュニティバス(生活交通バス)も存在します。
ちなみに2002年から、市内の自動車学校が自社のスクールバスに、高齢者や障がい者に無償で乗せるサービスをはじめており、高齢者の移動がますますスムーズになっています。
要介護認定者の数が2011年の時点で11,000人を大きく超えており、一宮市では少子高齢化対策、そして高齢者福祉政策を取り続けていくことが当面の課題です。
施設関係のサービスはこの地においても需要が高いですが、一宮市の場合、民間の施設は特に安いというわけではない様子です。
ただし少数ではあるものの例外的に安い(たとえば、入居一時金が発生しない)ところもありますし、入居一時金と月額使用料を合計しても50万円以内に収まるようなところなら苦労せずに発見できる可能性があります。
それに施設の種類や数については、公営・民間いずれもなかなか多くてバランスが取れているエリアです。
この特徴を活かすためには、見学をする際になるべく多めに回った方がよいと考えられます。
一宮市の高齢化率は2023年に27.2%と着実に上昇
一宮市は愛知県北西部の都市。
交通アクセスとしてはJR東海東海道本線や、名鉄こと名古屋鉄道の名古屋本線と尾西線が市内を走っています。
市の中心駅はJRの尾張一宮駅と名鉄一宮駅です。
両駅は並ぶような形で駅があるため、相互乗り換えも可能。
両駅の周辺には商業施設も集まっています。
路線バスとしては名鉄バスや一宮市循環バス「i-バス」生活交通バスが市内を循環。
岐阜駅発着の「ドリームなごや号」や「北陸ドリーム名古屋号」といった長距離バスも利用可能です。
ちなみにJR尾張一宮駅から快速に乗れば、名古屋駅まで直通で11分程度。
アクセスの良さもあり、他市に比べ、急激な人口減少は見られない都市です。
しかし、65歳以上の高齢者は増加しており、0歳から14歳までの年少人口や15歳から64歳までの生産年齢人口は減少。
いわゆる少子高齢化が進んでいます。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2010年に22.1%だった高齢化率は2023年時点で27.2%となり、4人に1人以上は高齢者という状況になりました。
2023年の高齢化率の全国平均が29.1%、愛知県の平均が25.2%なので、全国平均は下回っていますが、県平均は上回っています。
今後も少子高齢化は進み、2025年には高齢化率30.0%を超える見込みです。
また、地区によって高齢者数などの差が出ています。
地域格差などに対応するべく、一宮市は地域ごとに地域包括支援センターを設置。
地域に合わせた高齢者福祉サービスを実施しています。
要介護1~3の中程度の高齢者が多い傾向
一宮市では介護保険サービスの要支援・要介護認定者が年々増加しています。
2010年には1万1,012人でしたが、2024年には1万8,577人に。
特に要介護1の認定者が最も多く、増加率も高いです。
次いで要支援2、要支援3の認定者が多く、要介護1~3の中程度の人が多いことがわかっています。
2020年のデータをみると、一宮市の認定率は16.2%。
全国平均は18.7%ですので、平均より低くなっています。
介護保険サービスを実際に利用している人は2024年度のデータをみると1万6,662人で、2010年度の1.68倍に。
利用内容は居宅サービスが75.9%、地域密着型サービスが10.9%、施設サービスが13.2%です。
サービスの利用状況をみると、炊事・洗濯・掃除といった家事や身体介助をしてもらえる「訪問介護」、送迎付きの「デイサービス(通所介護)」、病院などに通って本格的なリハビリを行う「通所リハビリテーション」、一時的に入居できる「ショートステイ」などが特に需要が高いです。
さらに、看護士が自宅まで来てくれる「訪問看護」、介護ベッドや車イスなどが借りられる「福祉用具貸与」などの利用者も多数います。
また、地域密着型サービスの中では「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」や認知症対応型デイサービスなどの利用者が多く、施設サービスは特別養護老人ホームが人気です。
生涯学習出前講座「いちのみや出前一聴」を開講している
一宮市では高齢者を多角的にサポートするため、地域包括ケアシステムを構築中です。
高齢者の総合相談や権利擁護、介護保険や介護予防のケアマネジメントを行う地域包括支援センターの機能を強化し、より深いサポートができるように努めています。
また、地域住民主体の地域ケアを実現していくために、地域ケア会議を開催。
住民が地域における実際問題などを話し合い、一宮市に直接提出することで市もムダのないサポートができるようになるでしょう。
また、地域包括支援センターや医師会などのつながりを持たせ、住宅医療と介護の連携を推進。
一宮市は医療サポートと介護が同時に受けられる体制づくりに励んでいます。
全国的に認知症高齢者の増加が問題となっており、一宮市でも「認知症初期集中支援チーム」を結成し、認知症の早期発見・早期治療を目指しています。
認知症について理解し、サポートを行う認知症サポーターの養成を実施しており、生涯学習出前講座「いちのみや出前一聴」や、認知症介護家族の体験談などを含めた養成講座「わかってちょうよ認知症」などを行い、認知症高齢者とその家族の理解者を増やしています。
そして、自宅での介護を行う介護者をサポートするべく、介護教室や介護用品の給付なども実施。
徘徊高齢者家族支援サービス事業も推進しており、行方不明高齢者を早期に発見するための捜索メール配信やケーブルテレビ、ラジオなどで捜索協力を仰ぐ情報発信を行っています。
転倒予防教室「健脚ころばん塾」で介護予防を展開
一宮市では2017年から「あんしん介護予防事業」を実施し、要支援認定者が利用できる介護予防・生活支援サービス事業とともに、さまざまな介護予防活動を行っています。
訪問型介護予防事業や運動器の機能向上事業、口腔機能の向上事業、認知症予防事業、うつ・閉じこもり予防事業など、多角的な介護予防を市内各地で実施。
具体的には、転倒予防教室を開催したり、心身の健康を維持するための頭と体の体操教室を実施したりしています。
特に、転倒が要支援・要介護認のきっかけになる人が多いため、転倒予防教室「健脚ころばん塾」を定期的に開催。
運動器の機能低下予防、転倒骨折予防に効果的な集団体操や個別運動プログラムなどを行います。
健康維持のためには栄養も重要であるため、実際に調理実習を行う「高齢者簡単料理教室」や、栄養士や食生活や栄養の指導を行う「栄養改善教室」を実施。
高齢者の低栄養を防いでいます。
食べたり飲んだりする力も重要として、口腔機能の向上のための「お口の健康づくり教室」も開催。
嚥下能力や噛む力を維持するため、歯科医師などによる歯磨き指導、嚥下力を鍛える体操などを行います。
認知症予防となる「脳の健康教室」では、音読や簡単な計算などを行い、脳を活性化させます。
うつや閉じこもりの予防のためには「元気はればれ教室」を開催。
レクリエーションや手先を使う手工芸、転倒防止体操などを行い、高齢者同士で楽しく交流ができるようにしています。
一宮市の高齢者相談
一宮市では高齢者とその家族、周辺住民の相談に対応するべく高齢者に関する相談的口を設置。
地域包括支援センターや市の高年福祉課などが中心となり、高齢者に関する悩みや問題の迅速な解決を目指しています。
実際、地域包括支援センターには介護保険サービスなどの福祉サービスに対する疑問や、高齢者の生活上の悩みや不安など、さまざまな相談が寄せられており、相談件数も増えています。
また、介護サービス事業所などに介護相談員を派遣し、利用者の相談に対応。
一宮市は介護相談員の増員も検討中です。
高齢者虐待など、幸せに生きる権利を侵害する事件も増えているため、高齢者の権利擁護も推進しています。
高齢者本人だけでなく、地域住民からの匿名通報も受け付けており、「最近隣のおばあちゃんが虐待されているみたい」といった相談も可能です。
一宮市でも高齢者の増加にともない、高齢者虐待に関する相談件数は増加しており、問題解決のための支援の延べ件数も増加しています。
市は今後も民生委員や介護サービス事業者、警察、医療機関などと連携を取りながら虐待防止、早期発見を目指す予定です。
加えて、成年後見制度利用支援事業では、認知症などでサービスの手続きや金銭管理が難しくなった人を対象に、代行サービスを行っています。
「通帳がすぐどこかへいってしまうので、代わりに管理して欲しい」といった相談ができます。
社会福祉協議会の日常生活支援事業でも福祉サービスの利用手続きのサポートや金銭管理の代行を実施。
「サービスの申し込みがよく分からない」といった不安がある人は、すぐに相談してみると良いでしょう。