東三河地方の中心地。介護事情についても先駆的存在に
愛知県の東端に位置し、三河湾に面している豊橋市。
東三河地方の中心的役割を果たす都市で、渥美半島の付け根一帯に広がるという立地条件から、交易や流通上の一大拠点として長らく栄えてきました。
豊橋市周辺は、江戸時代には城下町が発展したほか、吉田宿・二川宿に代表される東海道五十三次の宿場町が置かれ多くの旅客が訪れる土地でした。
当時から海運業の発展もめざましく、今なお三河港は貿易の要として、日本経済全体に莫大な収益をもたらしています。
豊橋市の交通インフラは、関東と関西をつなぐという大きな役割を果たしており、大規模なものが中心です。
鉄道では、最大の設備はJR東海道新幹線ですが、在来線の東海道本線や飯田線の重要性も非常に大きいです。
そのほか市内の移動といえば、名古屋鉄道の名古屋本線や豊橋鉄道の出番となります。
渥美線と路面電車の東田本線は、多数の駅や停留場を抱えており利便性が高いです。
自動車での長距離移動に関しては、東名高速道路が最大の足掛かりとなるでしょう。
ただし、市内にインターチェンジなどはありません。
その点、国道1号線と23号線は、バイパスの多さや使い勝手を考えると大変便利です。
また、国道259号線・県道31号線・県道502号線においては、他の道路との接続がスムーズです。
市内の路線バスは、豊鉄バスと独自のコミュニティバスの2種類が走行しています。
市内の人口は、21世紀に入るとかなりペースは落ちたものの、それまでと変わらずに増加していました。
しかし、2010年前後を境に微減するようになり、いずれは減少が続くものと推測されています。
2010年の調査では、高齢化率が20.3%、少子化率が14.8%となっており、ともに県全体の結果とほぼ一致していました。
高齢者を抱える世帯にとって有益な点は、豊橋市は人口や経済性などの面で豊かであり、介護施設の数や種類に関して恵まれている点です。
辺境の自治体ではなかなかめぐり会えない施設でも、豊橋市内では見つけることが可能です。
特に、高齢者専用住宅の種類については種類が豊富です。
サービス付き高齢者向け住宅は特に多く、利用料が安めの施設も増えています。
豊橋市の高齢化率は2025年には29.5%になる
豊橋市は愛知県の南東部にある街で、東三河地方の中心都市。
東三河地方の人口のおよそ半数を占める大きな街です。
豊橋市の総人口のピークは2008年で、その後は減少していますが、反対に高齢者人口は増え続けています。
団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年には、豊橋市の高齢化率は29.5%になり、4人に1人は高齢者という状況が訪れると予想されており、要支援・要介護認定者も増加するといわれています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高齢者の年齢層を詳しく見ると、65歳~74歳の前期高齢者は、団塊の世代が65歳となった2012年~2014年の間に急増し、その後2016年をピークに減少傾向に転じました。
一方、75歳以上の後期高齢者は増え続けており、豊橋市は2025年には前期高齢者数を後期高齢者数が上回ると予測されています。
また、高齢者単独世帯の年齢を見ると、65歳~74歳までの前期高齢者世帯は2025年あたりから減少していく見込み。
それに対し、75歳以上の後期高齢者世帯は2021年あたりから急激に増加中です。
75歳を超えると、要支援・要介護認定される人が多くなることがわかっており、2025年あたりの後期高齢者の急増とともに、要支援・要介護認定者も急増するという予測のもと、豊橋市は介護保険サービスの普及などを急いでいます。
さらには、高齢者世帯の生活支援の充実も必須として、見守りサービスや家事代行など生活支援サービスの浸透にも力を入れています。
デイサービスやショートステイなどの介護サービスの需要が高い
豊橋市の要支援・要介護認定者数は年々増加しており、2019年には1万5,000人を超え、ますます増加すると予想されています。
認知症高齢者も増えており、2025年には認知症高齢者数が約4,500人となるという予測も。
そのため、豊橋市はグループホームの増設や認知症対応デイサービスの充実などを急いでいます。
介護保険サービスは、居宅サービスと施設サービス、地域密着型サービスに分類されており、居宅サービスには訪問介護や訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーションなどがあります。
介護ベッドや車椅子などの貸し出しを行う福祉用具貸与、段差解消工事の費用助成などを行う住宅改修費支給なども利用可能。
デイサービス(通所介護)や通所リハビリテーション、ショートステイ(短期入所)も需要が高く、訪問介護・看護と組み合わせて利用する人が多いです。
また、地域密着型サービスには、夜間に定期的な巡回訪問を行う「夜間対応型訪問介護」や、小規模デイサービスセンターで入浴や食事、機能訓練などを行う「地域密着型通所介護」などがあり、施設サービスには特別養護老人ホームやグループホーム、ケアハウスなどがあります。
豊橋市では、介護職員不足を解消するべく、介護人材の確保に加え介護現場へのAI導入など先駆的な取り組みを実施しています。
さらに、一時的に利用限度額以上の介護サービスが必要になった場合、限度額の上乗せをする「在宅サービス利用限度額上乗せサービス事業」なども行っています。
「ええじゃないか豊橋 ほの国体操」で介護予防を実践
豊橋市では、要支援・要介護状態を予防する介護予防教室や、要介護認定を受けていない高齢者を対象とした運動機能・口腔機能の向上のためのプログラムを行うなど、さまざまな介護予防事業を実施しています。
老人福祉センターでの「体操で若返り教室」では、概ね65歳以上の人を対象として、無料で健康づくりにつがなる運動について学べます。
また、豊橋創造大学協力のもと市が独自に作った「ええじゃないか豊橋 ほの国体操」では、健康づくりや介護予防に役立つ体操を実践。
個人の体力に合わせて、気持ちよく体が動かせます。
みんなで運動する機会を増やし健康づくりを促進するため、高齢者向けスポーツ大会などを実施し、シルバースポーツを普及させています。
さらに、楽しく健康づくりができるよう「とよはし健康マイレージ」を導入。
これは、1日に歩いた歩数や健康に関する講座やイベントへの参加回数、健康診断の受診などでポイントが貯まり、ポイントは記念品などと交換できるシステムです。
「生活習慣病予防事業」では、認知症の原因ともいわれる生活習慣病予防のため、糖尿病検診など各種検診を実施。
該当リスクがあると診断された人には、保健師が健康相談を行い生活改善を支援します。
豊橋市では、高齢者の健康づくりを手助けする人材の養成講座を開催し、人材確保にも努めています。
豊橋市は「安心して暮らせるまち」を目指して地域包括ケアを展開
豊橋市は「いつまでも健やかで、安心して暮らせるまち」の実現を目指し、「高齢者福祉計画・介護保険事業計画」を策定。
計画に基づいた地域包括ケアシステムを構築中です。
高齢者の住まいと介護サービスの充実、在宅医療と介護の連携による高齢者支援、健康で生きがいを持てる高齢社会の実現、認知症高齢者とその家族への総合支援、生きがいづくりと社会参加の促進などを柱として、さまざまなサポートを実施しています。
食事は健康維持に不可欠として、一人暮らしの高齢者など、高齢者のみの世帯で要介護認定を受けている人を対象に、昼食配食サービスの利用料を一部助成。
配食の際に安否確認も行うため、高齢者の病気やケガを早期発見し、孤独死の防止につながっています。
また移送サービス事業では、外出が難しい高齢者を対象に、ショートステイ(短期入所サービス)までの移送を行っています。
豊橋市では高齢者が増加していますが、元気な高齢者も増えており、就職やボランティア活動など高齢者の活躍の場を広げることにも力を入れています。
高齢者社会参加援護事業では、高齢者の外出支援のため、70歳以上の高齢者に電車やバスの乗車券やタクシー料金助成乗車券を交付。
さらに、一声運動(声を掛け合う声かけ運動)や友愛訪問(寝たきり高齢者訪問)などを行う「老人クラブ」の活動を支援し、地域ぐるみの見守りや支えあいを促進しています。
高齢者等見守りネットワーク事業では、市内の事業者が住民の異変に気付いた場合、市に連絡して安否確認を実施。
高齢者の徘徊や怪我の早期発見につながっています。
豊橋市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
豊橋市では、「人権を守り、幸せに暮らしたい」と願う高齢者のために、各種相談窓口を設置しています。
基本的に、地域包括支援センターが総合相談窓口となっており、介護や福祉サービスの利用調整や総合的な相談に応じています。
地域包括支援センターでは、高齢者の権利擁護活動、介護予防啓発の講習、各種福祉・保健サービスの紹介に加え、総合相談を実施。
高齢者だけでなく、その家族や親族、地域の人々も相談可能で、高齢者虐待の相談や通報も受け付けています。
また、成年後見支援センターの「日常生活自立支援事業」や「福祉サービス利用援助事業」では、認知症などの理由で金銭管理や福祉サービスの適切な選択や契約ができない人のために、サービス利用手続き援助・代行、金銭管理代行などを行っています。
「金銭や大事な書類がすぐどこかへ行ってしまう」「不動産や貯金などの財産管理がどうしてもわからなくなってきた」といった悩みを抱えている人は、成年後見支援センターに相談すると良いでしょう。
代行サービスは有料ですが相談は無料で、電話でも対応しています。
さらに、心の病に悩む人やその家族のために、保健師による相談を行っています。
臨床心理士による「こころの健康相談」も開催されており、「眠れない」「死にたい」など深刻な悩みにも対応。
心の健康電話「あいちこころほっとライン365」では毎日電話相談が可能ですし、精神科医による相談「精神保健福祉相談」では医学的なアドバイスがもらえます。
そのほかにも、法律相談や薬物・アルコール相談など、豊橋市にはさまざまな相談窓口があります。