サービス付き高齢者向け住宅の増設が着々と進行中!
2007年に政令指定都市へと移行した浜松市は県庁所在地ではないものの、静岡県内で最大の面積と人口を誇り、政令指定都市の中では数少ない超高齢社会(高齢化率21%以上)を形成しています。
人口は減少傾向の一方で高齢者人口は増加傾向にあり、今後も高齢化率は上昇し続けるものと見込まれています。
市が行った実態調査では、6割を超える家族等の介護者が「将来的に入所させたい施設」として希望しており、施設の整備・増床が求められています。
現状では入居待機者も多くいますが、少しはその状況も緩和されていくと思われます。
これから特別養護老人ホームへの入居を考えている人も、今のうちに申し込みを行なっておくと良いでしょう。
一方で、有料老人ホームはさらに数少なくなっています。
選択肢の幅も狭く、希望の条件に合った施設を見つけるのもなかなか難しいような状況です。
しかし、サービス付き高齢者向け住宅が徐々に開設され始めており、特別養護老人ホームや有料老人ホームにかわる高齢者用の居住施設として、浜松市内では注目度が高まっています。
サービス付き高齢者向け住宅のメリットはなんといっても、有料老人ホームより低額で利用できるというということ。
浜松市内においては、入居一時金が数十万円、月額利用料が13万円台~というところもあり、入居への経済的なハードルは低いと言えるので、積極的に入居を検討してみるのも一考です。
浜松市は北部に赤石山系、南部は広大な砂丘からなる遠州灘、東部の天竜川、そして浜名湖の西部と、豊かな自然に囲まれた環境が魅力です。
市内の各所には舘山寺や奥浜名湖、白倉峡といった景勝地があり、風光明媚な景色の中で暮らすことができます。
また、浜松医科大学や浜松医療センターをはじめ、聖隷三方原病院や聖隷浜松病院、遠州病院などの大規模で充実した設備を誇る医療機関が集中しています。
そのため、緊急時の医療対応という面でも安心感があり、高齢者が生活していくにあたって最適な環境が整っていると言えるでしょう。
今後は後期高齢者の数が増加する見込み
2008年まで増え続けていた浜松市の総人口はそれから一転し、減少の一途を辿っています。
浜松市の総人口は2008年時点で82万5810人。
その後は毎年2~4,000人ペースで減少しており、2014年には81万642人にまで落ち込みました。
浜松市の人口規模縮小は今後も続くと見込まれており、2025年には約75万人近くにまで減少するとされています。
それに対して高齢者人口の増加傾向は同様に続くと見られ、2025年には約22万人にまで増加、高齢化率は30%近くにまで達するとの見込みです。
また、2014年時点での65~74歳の高齢者と75歳以上の高齢者の数はほとんど差がありませんが、今後は75歳以上の高齢者がますます増加していき、2017年には65~74歳の高齢者の数を超える見込みです。
さらに、2025年には65~74歳の高齢者人口が約9万3,000人、75歳以上の高齢者人口が約12万8,000人と3万人以上の差がつくと予測されており、高齢者に対するケアがより重要視されるようになるでしょう。
介護保険事業費の増加への対策が急務
浜松市の介護保険事業費は、制度の定着や高齢者人口の増加とともに年々増加しています。
高齢者人口の増加は今後もしばらく続く見通しで、市では介護保険制度の改正などを踏まえた介護保険事業費の推計を行っています。
2012年時点での介護・予防サービス費等給付費は約507億6,000万円、地域支援事業費は約8億7,000万円でした。
2013年には介護・予防サービス費等給付費が約535億4,000万円と30億近く増加し、地域支援事業費も約9億1,000万円と4,000万円近く伸びています。
2014年以降も同様のペースで増加。
こうした介護保険事業費の伸びは今後も続くと見込まれており、2015年以降は介護・予防サービス費等給付費が毎年15~30億円ペース、地域支援事業費が8~13億円ペースで大幅に増加する予測が立てられています。
2025年時点での試算では介護・予防サービス費等給付費が約865億1,000万円、地域支援事業費が約37億5,000万円にまで達する見込みで、さまざまな費用を合算すると914億円にものぼる見込みで、早急に費用削減のための対策を講じる必要があります。
介護保険事業費の増加とともに要介護認定者数も伸び続けており、2025年には約4万2,000人近くにまで膨れ上がる見通しです。
浜松市では今後の推計値とともに予防事業効果を見込んだ目標値も設定しており、目標達成を目指しながら費用削減に取り組んでいます。
「口腔ケア・栄養改善支援事業」で介護予防を推進
浜松市では介護予防事業として高齢者の生活機能低下を調査するための「基本チェックリスト」が行われています。
具体的なチェック項目としては「やる気の減退」や「物忘れの進行」、「足腰の衰え」に加えて「歯の喪失や顎の力の衰えによる食事の幅の狭まり」など生活に関する基本的な悩みが記載されており、チェックリストの実施により、生活機能低下の自覚と介護予防意識の向上を図っています。
「ロコモーショントレーニング」は運動器症候群を予防するトレーニングのことで、健康寿命を延ばすという目的で行われています。
聞きなれない名称から複雑な運動を連想する方もいるかもしれませんが、ロコモーショントレーニングでは椅子を使ったスクワットや開眼片足立ちなど簡単な運動を行うことで、バランス感覚や足腰の筋力など基本的な運動機能の向上を図ります。
また、高齢者にとって大切な食事の栄養バランスを整えることも介護予防における重要なポイントです。
「口腔ケア・栄養改善支援事業」は誤嚥や窒息を防ぐための口腔機能の向上を目的として行われています。
それに加え、専門家による口腔ケアや低栄養予防についての講話を通じて高齢者の食事の楽しみを守り、栄養バランスの偏りを防止することもこの事業の大切な側面となります。
そして、高齢者の社会参加を奨励・支援するものとして、「ささえあいポイント事業」が行われています。
これは65歳以上の高齢者が介護施設や高齢者サロンなどでボランティア活動を行う際に換金可能なポイントを付与する制度で、高齢者の社会参加を促進することが目的です。
この取り組みにより、高齢者の生きがいづくりを支援し、それとともに地域における支え合い活動の活性化も図っています。
サービスの充実した介護施設の整備に力を入れている
浜松市では介護を必要とする高齢者が住み慣れた地域で人生を全うできるように、医療・介護・住まい・予防・生活支援という5つのサービスを軸とした、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
その地域包括ケアシステムの中心を担っているのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターは生活に関する悩みを抱えた高齢者などを対象とした相談窓口で、市から民間委託された公的機関として市内22ヵ所に設置されています。
地域ケア会議の開催や、地域関係者のネットワーク構築にも役立っており、多角的な視点から地域の人々の生活を支えています。
介護予防対策としては通所型・訪問型介護予防事業の普及や、地域の人々が集まるサロン活動の立ち上げなどを行っています。
また、新たな取組として、運動器症候群を予防して健康寿命を伸ばす目的で考案されたロコモーショントレーニングの普及も挙げられます。
住まい提供の面では特別養護老人ホームのような費用の安い介護施設はもちろん、サービス付き高齢者向け住宅や介護付有料老人ホームなど、サービスの充実した介護施設の整備も進めており、高齢者の選択肢を広げる取り組みを行っています。
その他、生活支援コーディネーターの配置によるサポートや高齢者の社会参加を促す仕組みづくりなど、さまざまな視点から高齢者の生活を支えています。
また、支援プラン策定にあたり、高齢者や要介護認定者などに向けたアンケートを行うことで、人々がどのような活動に意欲を持っているか、健康への関心はどのような病に向けられているかを把握し、地域包括ケアシステム構築の指針としています。
浜松市の「はままつあんしんネットワーク」とは?
浜松市では一人暮らしの高齢者が増加していることや核家族化の進展、地域の繋がりが希薄化している現状を受け、孤立に悩む高齢者を支える「はままつあんしんネットワーク」づくりに取り組んでいます。
こうした取り組みを通じ、地域や行政機関、民間事業者との連携をとることで、認知症を患う方やその家族への支援、高齢者の孤立や虐待・消費者被害の防止を図っています。
また、ネットワークの中核としては高齢者相談センター(地域包括支援センター)が市内22ヵ所に設置されており、高齢者や障がいを抱えた方を中心に悩みを抱えた市民の相談窓口として機能しています。
相談内容としては生活支援・福祉サービス等に関するものや介護や保険・福祉などの全般的なもの、家事や買い物など日常生活におけるものなど多岐に渡ります。
施設入所や病気に関する相談にも対応しており、さまざまな方が日々相談窓口を利用しています。
ネットワークの構築には民生委員による実態調査と情報の共有、それに応じたボランティアやNPO、医療機関等による見守り活動の相互的な協力が必要不可欠です。
一人暮らしの高齢者や在宅介護を行っている家庭では孤独死や徘徊、老老介護などの問題が発生しやすいため、新聞配達や配食事業者などの民間企業にも協力を仰ぎ、見守り活動の強化を行うことが大切です。
異常を発見した際の通報先としては「高齢者見守り110番」が設置されており、異常が発生した際には即座に対応できる体制が整っています。
通報後はすぐさま実態調査情報の確認を進め、必要に応じて緊急連絡先への連絡することで、現場確認などの初期対応を行います。