サ高住が市内に90以上。選択肢の多さが魅力
青森市は青森県の県庁所在地であり、行政や商業においても重要な役割を果たす街です。
県の中央部にある中核市で、青森湾に面しているため、青森港から津軽海峡フェリーや青函フェリーなどが運航されています。
港だけでなく青森空港もあり、交通においても主要な都市。
観光としては、三内丸山遺跡や青森ねぶた祭が有名で、特にねぶた祭は、大勢の観光客が訪れる一大イベントとなっています。
交通アクセスとしては、JR東日本の東北新幹線、津軽線、青い森鉄道などが運行中。八甲田山には八甲田ロープウェーも走っています。
バスはラ・フォーレ号などの高速バスや、青森市営バスなどの路線バスが市内を走行しています。
他の地域と同様に、青森市の高齢化も進行しており、高齢化対策及び高齢者福祉サービスの充実がさらに必要とされています。
青森市は地域包括支援センターを各地に設け、高齢者とその家族の介護や福祉などに関する相談に対応しています。
また、介護が必要とならないように、高齢者や熟年層の介護予防にも力を入れています。
そのほか、認知症などの理由で金銭管理ができない方のため、管理代行サービスを実施。ボランティアが行う「地域の見守り」など、高齢者が安心して暮らせる街を作っています。
高齢者の居住場所の確保も行っており、特別養護老人ホームなどを整備し、介護度の重い方から受け入れています。
グループホームは入居率が高く、場所によっては待機になる場合もあるようですが、入居の順番は認知症の度合いにもよりますので、希望があれば申し込みをしてみると良いでしょう。
サービス付き高齢者住宅には、入居時の費用が0円・月額利用料も10万円未満という格安な施設も存在します。
日常生活で介助が必要な方は、訪問ヘルパーなどを依頼する必要がありますので、予め見学に行って金額の見積もりを出してもらうことをおすすめします。
高齢者人口は2023年には8.8万に
りんごの名産地で、自然豊かな緑の美しいエリアが多い青森市では、人口が減少傾向にある反面、高齢者数は増えています。
全国的に高齢化が進むなか、特に青森市は高齢化が深刻な街です。
団塊の世代が65歳以上となった2015年には、青森市の高齢者人口は8万1,923 人、高齢化率は28.5%で、すでに青森市民の4人に1人以上は高齢者という状況です。
2023年には総人口27万1,544人、高齢者人口8万8,007人、高齢化率は32.4%となっています。青森市の総人口は、2000年に31万8,732 人を記録したのを頂点として、年々減少しています。
将来推計によると、2045年には総人口が約18万4,000人まで減少し、最大の人口を誇っていた2000年から約13万人減少すると予測されています。
一方、65歳以上の高齢者数の推移については、1995年には高齢者数4万4,491人・高齢化率14.1%でしたが、2023年には高齢者数8万1,923人・高齢化率28.5%まで増加、2023年には高齢者人口8万8,007人、高齢化率は32.4%となっています。約30年で約2.3倍に増えているのがわかります。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高齢者数は現在も増加し続けており、2045年には高齢者数は8万7,477人・高齢化率は45.7%になると予測。
青森市内は3人に1人以上が高齢者という状況のため、高齢化対策や福祉サービスの充実に努めています。
ちなみに、0歳~14歳までの年少人口と15歳~64歳までの生産年齢人口を合わせた割合は1995年は85.6%でしたが、2015年には71.5%まで減少、2023年には67.6%となり、この傾向は今後も続くと推測されています。
それに対し、65歳~74歳までの前期高齢者数は、1995年には2万8,462人でしたが、2015年には4万2,331人まで増加、2020年には4万4,360人となっています。
75歳以上の後期高齢者数は、1995年には1万6,029人、2015年には3万9,592人、2020年には4万3,736人と約25年で倍以上に増えています。
将来推計によると、2035年には前期高齢者は3万5,628人、後期高齢者は5万4,858人まで増えると予測されており、より充実した高齢者サポートの普及が課題とされています。
要介護等認定率は19.6%と全国平均よりやや高水準
青森市では、高齢者の一人暮らしや高齢夫婦のみの世帯が増えており、在宅での自立生活の支援が課題となっています。
青森市の介護保険の第1号被保険者(65歳以上)の要支援・要介護認定者数は、2017年に1万6,334人を記録。この2023年には1万7,231人となっており、今後も増え続ける見込みです。
2019年のデータでは、要介護等認定率は青森市では19.5%と、全国平均よりもやや上回っていました。
しかし、青森市の第1号被保険者の要介護等認定率は、2023年には19.6%、その後数年で21%まで上昇すると予測されています。
このため、青森市では高齢者が気軽に介護保険サービスの利用ができるよう、環境を整えています。
青森市では、数ある介護保険サービスのなかでも居宅サービスの需要が高く、訪問介護や訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護、訪問看護・介護予防訪問看護、訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導などが利用されています。
さらに、デイサービスや通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション、短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)といった、通所型のサービスと居宅サービスを組み合わせている人が多く、「週2回はヘルパーさんに家事をしてもらって、週1回はデイサービスに行って入浴している」といった高齢者もいます。
そして、特別養護老人ホームやグループホーム、ケアハウスといった、高齢者向けの施設サービスもあり、介護度が上がり自宅での生活が厳しくなった場合は、施設に入居する人も多いです。
介護予防のために「高齢者福祉乗車証」を交付している
青森市の高齢化率を生活圏域別に見ると、6圏域の高齢化率が32.7%となっており、該当圏域では概ね3人に1人が高齢者という状況です。
青森県の平均寿命は、2015年に男性が78.67歳・女性は85.93歳で、男性、女性ともに全国平均を下回っています。そのため、青森市では高齢者の健康づくり、介護予防に力を入れています。
青森市では、介護の要因となる「運動器」「栄養」「認知症リスク」「口腔機能」「転倒リスク」「うつリスク」などを介護予防の柱とし、全てのリスクを取り除く手助けをしています。
また、「生きがいを持っている人の方が認知症や要介護リスクが低い」という調査結果から、青森市は高齢者の生きがいづくりにも積極的です。
70歳以上の人を対象に、市営バスなどが低料金で利用できる「高齢者福祉乗車証」を交付することで、高齢者の外出を支援しています。
さらに、高齢者が集まりやすい場所や、寿大学・寿大学院など生涯学習の場を提供し、老人クラブやボランティア団体・町内会など地域活動への参加を促進しています。
高齢者向けの就労支援なども実施し、健康づくりや介護予防を強化。身体活動・運動習慣づくり推進のため、定期的なロコモ体操や、栄養・食生活の知識が学べる講座なども開催しています。
うつ病などを正しく学び、こころの健康を維持するための勉強ができる教室なども積極的に開いていることに加え、胃がんや大腸がん検診などを実施し、病気の早期発見・早期治療を支援しています。
高齢者の住宅支援を通じて地域包括ケアを構築
青森市では、2030年に高齢化率は37.1%となり、市民の3人に1人以上が高齢者になると予測されています。
そのため、「青森市高齢者福祉・介護保険事業計画」「青森市地域福祉計画・地域支え合いプラン」などの、高齢者を守るための老人福祉計画に基づき、医療や介護の連携・介護予防・住まい・日常生活の支援といった、さまざまな角度から包括的なケアを行えるシステムを構築中です。
介護予防・日常生活圏域ニーズ調査によると、認知症になるリスク(可能性)がある高齢者の割合は、2016年に調査対象となった高齢者の45.4%とされています。
半数近い人が認知症になる危険性があると予想され、青森市では認知症対策や認知症高齢者と家族の支援にも力を入れています。
また、青森市では、高齢者の年齢が上がるとともに、持ち家の老朽化も問題となっています。
そのため、手すりの取り付けなどができる「住宅改修費支給・介護予防住宅改修費支給」で、高齢者向けのリフォーム、バリアフリー化工事の料金を助成。
さらに、「福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与サービス」で、車椅子や介護ベッドなどを貸与し、自立生活がしやすい家づくりの手助けをしています。
加えて、「介護慰労金支給事業」や「在宅高齢者介護用品支給事業」により、おむつ代などを助成することで、自宅介護者を支援。
そのほかにも、「鍼・灸・マッサージ利用料金助成事業」による鍼灸施術料金の助成や、一人暮らしの高齢者に栄養バランスの取れた食事を提供する「配食サービス事業」などを実施しています。
青森市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
高齢者向けのアンケート結果から、青森市では「家族や知人以外で相談相手があまりいない」と感じている高齢者が多いことがわかっており、青森市ではさまざまな相談窓口を設置し、高齢者の悩みに対応できるようにしています。
基本的に地域包括支援センターが総合相談窓口となっており、介護だけでなく金銭や人間関係のトラブル、健康のことなど何でも相談可能です。
家族や地域の住民も相談できるのが魅力で、「おばあちゃんの認知症が酷くなってきた」「最近近所の●●さんの顔を見かけない」といった心配事の相談もできます。
さらに、虐待などで生活の権利が奪われている人のための権利擁護活動、振り込め詐欺などの消費者被害の防止、災害時の避難支援なども行っていますので、気になることがあれば相談してみて下さい。
高齢者からの相談内容は多様化してきており、心の健康に関わる相談が増えていることから、うつ病や自殺などの深刻な相談に対応する「こころの相談窓口」を設置。漠然とした不安や心配などにも対応してもらえます。
また、市庁舎での「市民なんでも相談室」や、元気プラザ内の青森市保健所「健康づくり推進課」による「栄養士による栄養相談」なども実施。冬期には、この地域ならではの「雪に関する相談窓口」も設置されます。
また、高齢者支援課や障がい者支援課、浪岡事務所健康福祉課が相談窓口となり、「成年後見制度」を実施しています。
認知症などで契約や貯金などの財産管理ができなくなった人の代わりに、福祉サービスの契約や金銭の管理を代行するサービスです。
「お金の場所が分からなくなる」「介護を受けたいけど、契約などがさっぱり分からない」といった相談ができますし、高齢者本人だけでなく家族も相談可能です。