ベッドタウンで、静かな老後を

大阪府箕面市は、京都府・兵庫県に近接し、多数の交通機関が交差する要衝でもあります。
そのため、戦後しばらくの間はベッドタウンとして発達してきた都市のひとつです。
箕面市には修験道の舞台となってきた歴史があり、寺社仏閣が数多く残っています。
箕面滝のような自然の恵みもあるため、観光地としても、また高齢者の定住の場にふさわしい場所でもあるのです。
高級住宅地として有名な区画もあります。
商業地も発展していますし、交通機関も整備されており、生活する際に困ることはほとんどない土地です。
箕面市の人口は、今なお伸び続けています。
1990年代後半に一時的に減少した時期がありましたが、すぐにまた増加に転じました。
これからも緩やかに伸び続けると見込まれています。
高齢化率は、他の自治体と比べれば深刻だとは言えませんが、2010年の調査でとうとう20%を突破。
高齢化率はその後も上昇しています。
箕面市でも介護関連の制度拡充に取り組んでいます。
2023年には、要支援・要介護認定を受けた市内の高齢者は6,483人でした。
増え続ける介護の需要に応じるため、地域包括支援センターの配置人数を増やしたり、活動の周知に努めたりする方向で動いています。
こうした努力は成果を着々と上げており、市による介護保険サービスに関するアンケートで、内容に満足していると回答した要支援者は約70%に、要介護者は約80%に達しています。
特別養護老人ホームや老人保健施設のような、行政が管轄する施設の増加も検討段階に入っています。
有料老人ホームのような民間の施設に注意を向けると、入居一時金が安くても15万円以上かかるという施設もあります。
入居一時金が、月額の使用料より高めに設定されている施設も、現在は目立ちます。
もちろん、費用に見合った最新式の設備や、質の高いサービスが提供されます。
箕面市の場合は、これから施設のサービスや価格に幅が広がっていく段階だと考えられます。
箕面市の高齢者人口は全国よりも緩やか
箕面市は大阪府北部の都市です。
大阪都市のベッドタウンとして発展した街で、市の人口はほぼ南部に集中しています。
交通アクセスとしては阪急電鉄の箕面線と北大阪急行電鉄の南北線が運行しています。
北大阪急行南北線の延伸工事も進み、箕面市にも新しい駅が2つ設置される予定です。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
市内には阪急バスやオレンジゆずるバスなども巡っていますし、高速道路としては新名神高速道路が箕面とどろみICから利用可能です。
全国的に人口が減少する都市が多い中、箕面市は総人口が増加中で、2023年には13万9,128人となりました。
後期高齢化率(75歳以上の高齢者の割合)や高齢化率も、全国平均を下回っています。
2023年の高齢化率は25.4%と全国平均の29.0%と比較すると低い水準で推移しています。
箕面市は高齢者の増加が全国平均よりも緩やかです。
しかし、75歳以上の後期高齢者人口は年々増加、2025年には団塊の世代が後期高齢者となるためより一層高齢化が進行します。
今後も全国的に後期高齢者人口は増加し、15歳から64歳までの生産年齢人口は減少すると予測されています。
箕面市でも生産年齢人口は横ばい状態ですが、後期高齢者は全国平均を上回る速度で増加するようです。
後期高齢者の増加にともない、要支援・要介護認定者も増加中です。
そのため、箕面市では介護保険サービスも含めた高齢者福祉サービスを普及させています。
認知症対応型デイサービスが増えている箕面市の介護保険サービス
箕面市の要支援・要介護認定者は1999年度から2015年度まで増加していましたが、要支援認定者に関しては2015年度から制度が変わったため、減少しています。
2024年時点での要介護認定者数の総数は6,483人、要支援・要介護認定者の内訳をみると、最も多いのは要介護1で1,405人でした。
軽度認定者の割合が多いですが、全国や大阪府の平均に比べると、箕面市は軽度認定者が少ない方です。

要支援・要介護認定者を年齢別にみると、65~69 歳までが1.2%、70~74歳が2.5%、75~79歳が4.9%、80~84歳が14.8%、85~89歳が39.1%、90歳以上が72.9%…となっており、年齢が上がるほど、認定者が増えているのがわかっています。
全国平均と比較すると、全年齢において箕面市の認定率は全国平均を下回っていますが、介護保険サービスを必要とする人が徐々に増えていますので、箕面市は介護保険サービスの普及に努め、気軽にサービスの利用ができる環境を整えているところです。
また、要介護1の認定原因疾患は「認知症」が圧倒的に多いのが現状です。
そのため、市は認知症予防や重度化防止活動の推進とともに、自宅で暮らす認知症高齢者とその介護家族のフォローを進めています。
介護家庭の負担を減らすべく、身体介助や家事代行を行う訪問介護や、認知症の人も通える認知症対応型デイサービスなどのサービス量を増やしています。
また、段差などが把握できず、骨折するケースも多いため、家の段差解消などの工事費用を助成する「住宅改修」も実施中です。
4世帯に1世帯ある”高齢者のみ世帯”を支える地域包括ケアシステム
箕面市では高齢者の生活を支えるべく、地域包括ケアシステムの深化をはかっています。
箕面市では高齢者のみの世帯が増えており、2016年度の調査によると全世帯数の59,866世帯に対し、高齢者のみの世帯の割合は26.8%でした。
4世帯に1世帯以上が高齢者のみの世帯となっており、高齢者の自立支援や外出支援、生活サポートが重要な課題となっています。

箕面市は、市内の約14の小学校区を日常生活圏域とし、圏域ごとに地域に根付いたサポートを実施中です。
社会福祉協議会や地域包括支援センターが中心となり、高齢者の医療サービスや保険・福祉サービス、介護サービスなどを提供しています。
箕面市は約4つの地域包括支援センターに加え、基幹型地域包括支援センターを約5ヵ所に設置し、高齢者の相談などに対応中です。
センターを中心に介護相談や、在宅医療と介護の連携、地域ケア会議の開催などを行い、高齢者を包括的にケアしています。
認知症高齢者とその介護家族にも目を向けており、認知症キャラバンメイト・認知症予防推進員・認知症サポーターの育成と支援。
認知症への理解を持つ市民を増やし、認知症高齢者と家族が孤立しないように配慮しています。
さらに、高齢者ふれあいいきいきサロンなどの通い場を確保し、認知症高齢者と介護する人々が気軽にコミュニケーションをとれるようにしています。
2015年から導入された「あんしん生活サポート事業」では、箕面市独自の通所型・訪問型サービスを実施。
生活支援サポーター養成研修の修了者が、調理や家事といった生活援助サービスを行います。
「箕面シニア塾」を開講し、介護予防の知識向上を進める
2017年に、要支援・要介護認定の原因疾患について調査してみたところ、要支援1・2は「骨関節疾患」が28.4%と一番多く、次に「骨折」が15.3%と多いことがわかりました。
また、要介護1は「認知症」が46.8%で、次に「骨関節疾患」が10.1%となっています。
要介護2以上では「骨折」が16.4%で、次いで「認知症」が15.7%という結果が出ました。

全国的にも骨関節疾患・骨折・認知症は介護認定の原因疾患として多いのが現状です。
箕面市は要介護状態にならないよう、一人ひとりにあった運動プログラムを提供したり、気軽に集まって運動できる場所を確保したりして、予防支援を行っています。
運動器の機能維持や認知症予防、口腔機能の向上を目的とした介護予防教室を実施。
足腰が弱って外出が難しい人には、指導員が生活指導や自主トレーニングの指導を実施し、自宅で手軽にできる運動などを提示しています。
また、地域のシニアクラブや地区福祉会、自主サークルなどで介護予防活動を行うリーダーも育成中です。
さらに、社会への参加意欲や学習・運動意欲を高めることは、閉じこもり防止や介護予防、健康づくりにもつながります。
そのため、健康づくりや介護予防に関する勉強ができる「春秋講座」や「箕面シニア塾」を開催中で、気軽に運動に通えるよう、市立のスポーツ施設を整備。
用具や備品も揃えています。
また、図書館も高齢者の通い場として利用が増えているため、高齢者向けの本を増やしたり、高齢者施設に対して団体貸出をしたり、移動図書館を提供したりしています。
「男性介護者のつどい」など、介護についての相談窓口がしっかりと整備されている

箕面市では高齢者のための相談窓口を用意しています。
地域包括支援センターや箕面市社会福祉協議会では、高齢者やその家族の生活に何か問題があった場合などに、相談が可能です。
全国的に高齢者の増加にともない、高齢者虐待も増加。
高齢者虐待防止のため、地域住民からの通報も受け付けています。
また、認知症などで介護サービスなどの手続きや金銭管理が難しくなった人を対象に、手続きや管理の代行サービスを実施しており、介護と介護にまつわること、生活や金銭的問題など何でも相談可能で、「息子がいるが、引きこもりなので親子で立ち行かない…」「お金がなくて介護保険サービス代が払えない」といった悩みも打ち明けられます。
箕面市では介護をしている男性が年々増加しており、男性の方が女性よりも社会的に孤立しがちという問題を解決するべく、「男性介護者のつどい」を開催しています。
交流会やミニ講座を通して男性同士で介護のことが話し合えるので、小さな悩みなども相談しあえます。
高齢者向け体力測定会では、専門職による介護予防関連の講話、健康相談、運動指導なども実施。
健康に関する不安を聞いてもらえます。
箕面市は、高齢者が孤立しないよう、市内各地に街かどデイハウス、箕面市立多世代交流センター「稲ふれあいセンター」、箕面市立老人いこいの家、コミュニティカフェなどの集い場を設置。
高齢者がお互いに悩み相談できる場所となっています。