ケアハウスが充実しているのが特徴
枚方市は、大阪府北河内地域の都市です。
京都府や奈良県との府県境にあり、古くから交通の要として活気がありました。
現在は大阪と京都を結ぶ京阪電車や、大阪と奈良を結ぶJR学研都市線が通る街。
そして市内には、東京と大阪を結ぶ国道1号や、バイパス的存在の第二京阪道路などが走っています。
このように交通網が発達した中核都市ですが、年々高齢者の数が増え、高齢化の波が押し寄せています。
枚方市の人口に対する高齢者の数は、2000年は総人口が約40万人に対し、高齢者数は4.4万人。
2023年には総人口約40万人に対し、約11万人になっています。
高齢者の数が増加していることが分かります。
高齢化の波に対応するべく、枚方市は「高齢でも元気に楽しく生きていける街づくり」を計画。
自宅で生活している介護度の高い人への下水道料金の減免や、おむつの支給、認知症高齢者の家族支援、介護予防教室の開催、医療費の助成、マッサージ施術費の一部助成などなど、 驚くほど多岐にわたった高齢者福祉サービスを展開しています。
そして、「高齢社会室」という他市でいうところの介護保険課が、枚方市内の福祉サービスをほぼ全て統括しており、「枚方市で高齢者福祉サービスを受けたい」と思ったら、枚方市役所の「高齢社会室」に連絡を取れば大抵のサービス内容が分かります。
これは大変分りやすいシステムです。
また、枚方市には多種類の介護施設があります。
特別養護老人ホームは、公的介護施設なので利用料が安いのが魅力ですが、枚方市内には1ヵ所しかありません。
また、身寄りがなく独立した生活が難しい高齢者向けのケアハウスは市内に数ヵ所ありますが、やはり公的な介護施設は数に限りがあるので、どこも入居が非常に難しい状態です。
それに比べると、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、そしてサービス付き高齢者住宅の数は比較的多く、入居が現実的です。
有料老人ホームの料金は、公的介護施設よりも割高ですが、その分サービスも充実しています。
住宅型と介護付きがありますが、住宅型の方がやや料金も安く、月額利用料が15万円程度のホームもあります。
ただ、介護付き有料老人ホームの方が、介護や看護サービスが豊富ですので、介護度が高い方や医療看護が必要な方は、料金的に高くても介護付き有料老人ホームを選択した方が楽かもしれません。
サービス付き高齢者住宅の方は、10万円未満で入居可能な施設もあります。
ただ介護が必要な方は、介護ヘルパーさんを別に雇う必要があるので、やはり介護度や金銭面をよく考慮して、自分に合った施設を選ぶことをおすすめします。
枚方市の高齢化率は2035年には35%まで上昇する見込み
枚方市の総人口は2000年から2009年まで増加していましたが、その後は緩やかに減少に転じています。
しかし高齢者数は年々増加しており、高齢化率も上昇中です。
2000年には12.1%だった高齢化率は2010年には20%の大台に乗り、2016年には26.4%まで上昇。
2023年には28.8%と枚方市民の4人に1人以上が高齢者という状況で、市は早急な介護予防サービスの充実を求められています。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
今後、75歳以上の後期高齢者の数はますます増えると予想されており、2025年には「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になるためさらに高齢化が進むと見込まれます。
枚方市は高齢者の介護や医療体制を整え、来るべき時に備えようとしています。
他市と比べると、枚方市は高齢夫婦世帯の割合が多いのが特徴。
2020年には全世帯数17万2,253世帯中、高齢者夫婦世帯は2万4,118世帯でした。
高齢夫婦世帯は今後ますます増えると予想されており、訪問介護などの老老介護対策や、夫婦で入居できる老人ホームの整備などが市の重要な課題です。
高齢者の多い枚方市ですが、要介護認定を受けている人の介護支援サービスの利用率は、全国平均を上回っています。
介護支援サービスの普及は比較的上手くいっているといえるでしょう。
枚方市では介護施設を積極的に増設
65歳以上の人口が着実に増えている枚方市では、要支援・要介護認定者も増加しています。
2015年に17.1%だった認定率は2022年には19.3%まで上昇、介護が必要な高齢者はさらに増えるようです。
特に要支援・要介護認定者の中でも、要支援認定者が2020年から急激に増え、高齢者の健康維持や体力増進を目的とした、健康教室や栄養指導などを含めた「介護支援サービス」に重きを置いています。
介護支援サービスの中には、施設に行ってサービスを受ける「施設サービス」と自宅でサービスが受けられる「居宅サービス」がありますが、枚方市では特に介護施設を積極的に増やしています。
介護老人福祉施設や認知症対応型共同生活介護、介護予防特定施設入居者生活介護といった施設は増設予定で、施設サービスは徐々に充実していっています。
介護保険サービスの利用者数は1万8,821人となっています。居宅介護サービス利用者は1万4,404人、施設介護サービス利用者は1,968人、地域密着型サービス利用者は2,449人です。
介護保険サービス利用者の76.5%が居宅介護サービスを利用しており、今後も増加していく見込みです。
そのため、枚方市は訪問介護や訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリテーションといった居宅サービスを高齢者が気軽に利用できる環境作りに励んでいます。
「ひらかた元気くわらんか体操」で介護予防を促進
高齢者、特に75歳以上の後期高齢者の増加に伴い、要支援・要介護認定者が増加しています。
そのため、枚方市では「介護予防・生活支援総合事業」を通して、高齢者の健康増進、介護予防を推進中です。
介護予防・生活支援サービス事業としては、転倒防止教室「エクサルク教室」、「ここから介護予防教室」、ラジオ体操と転倒防止体操を組み合わせた「ひらかた元気くわらんか体操」などを実施しています。
加えて、趣味を通じて介護予防ができる「ノルディックウオーク教室」や「山登り会」などを開催し、楽しく体力づくりや介護予防ができるように配慮。
高齢者が定期的にスポーツ施設で運動ができる制度もあり、積極的に運動する環境が整っています。
一方、病気などで外に出られない高齢者向けには、訪問型のサポートも用意。
自宅に居ながら、リハビリや栄養指導などが受けられるので便利です。
また、一人暮らしの高齢者への定期連絡サービスや、高齢者福祉タクシーの基本料金補助事業、訪問理美容事業など、さまざまな生活支援サービスを提供し、高齢者が快適に暮らせるよう努めています。
枚方市では、高齢者がこういったサービスを活用することで、少しでも長く自宅で自立生活を続けて行けるよう促しています。
介護予防支援サービスを用いることで健康的な自立生活が維持できれば、それが介護予防へと繋がるでしょう。
介護予防サービスは要支援・要介護認定者だけでなく、65歳以上の人なら誰でも受けられるサービスも多いので、興味のある人は高齢者サポートセンタ-(地域包括支援センター)に聞いてみて下さい。
「元気づくり・地域づくりプロジェクト」を展開している
枚方市では、地域ごとに「元気づくり・地域づくりプロジェクト」を行い、継続した介護予防、地域での支え合い、高齢者の生きがいづくりを推進中です。
地域包括ケアシステムとして、保険・介護・医療・福祉でのサポート体制の連携にも注力し、各分野のスタッフの情報共有などを強化。
切れ目のない介護や医療を提供できるように努めています。
高齢者サポートセンタ-(地域包括支援センター)が中心となって介護支援サービスを普及させており、要支援・要介護認定者だけでなく、65歳以上の高齢者とそのご家族、さらには地域の人々も相談ができるようになっており、高齢者サポートセンタ-は地域全体の支えとなっています。
実際介護だけでなく、心の病気や金銭的な問題など、高齢者のあらゆる悩みに対応しています。
また、高齢者の増加に伴い認知症高齢者も増えているため、枚方市では認知症の人が安心して暮らせる街づくりの一環として、「新オレンジプラン(認知症対策推進総合対策)」を実施。
認知症サポーターの育成や、認知症関連の支援情報が載っているガイドブック「認知症ケアパス」の配布などを行っています。
さらに、家族介護支援事業や、認知症ケアの拠点である「認知症カフェ」などを通じ、認知症高齢者だけでなく介護する家族が孤立しないようにサポートしています。
こういった介護支援活動は多岐に渡っており、高齢者とその周囲の皆さまのさまざまなニーズに応えています。
何か悩みや心配事がある人は、気軽に地域包括支援センターに相談してみると良いでしょう。
枚方市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
枚方市では、高齢者向けの相談窓口がいくつかあり、基本的に高齢者サポートセンタ-(地域包括支援センター)が相談窓口となっています。
高齢者サポートセンタ-は各地区にあり、お住まいの地域にあるサポートセンターが対応してくれます。
高齢者サポートセンタ-には、社会福祉士や保健士、主任ケアマネージャーなどがおり、ケアプランの作成や介護支援サービスのコーディネートだけでなく、高齢者の虐待防止、成年後見制度によるお金の管理なども請け負います。
さらに、地域住民の介護にまつわるお悩みにも対応しており、高齢者だけでなく全年齢の人が気軽に相談できる支援機関となっています。
また、高齢者や障がい者が利用できる「ふくし相談」や「心の相談教室」「福祉情報相談」などを社会福祉協議会が実施していますし、枚方市が「いきいきネット相談支援センター」を福祉事業として市内に3ヵ所ほど設置しています。
いきいきネット相談支援センターには「いきいきネット相談支援員」が常駐しており、心配事や困っていることなど、全般的な悩み相談にのってくれます。
枚方市には、想像以上に高齢者が相談できる窓口が多いです。
「どこに相談に行ったらいいか分からない」という人は、地域包括支援センターや社会福祉協議会、区役所などに相談してみましょう。
法律などが関わる難しい相談でも、専門家に繋いでもらえます。
直接相談窓口に行けない場合でも、電話で相談できるのが魅力的です。