郡山駅をはじめ、喜久田・安積永盛中心に多数の老人ホームが

福島県の中通り中部に位置する郡山市は福島県の中では最多の人口数を誇り、東北地方のなかでも宮城県仙台市に次ぐ中核都市。駅前には「ビッグアイ」という高層ビルが建ち、近代化が進んでいます。
郡山市は、東北地方のなかでも重要な商業・経済・流通の拠点となっており、福島県の県庁所在地ではないものの、ローカルのテレビやラジオ放送などで独自の文化を育んでいます。
また、郡山市は音楽の街として知られており、有名アーティストやオーケストラを招いたイベントが定期的に開催。市民参加型のコンサートも随時主催され、人気を集めています。
主要道路には商業施設が集まっていますが、駅前が栄えているのが高齢者にはうれしいところ。車がなくても気軽に買い物が楽しめるため、駅前は若い人からシニア層まで多数訪れています。
また、先述した「ビッグアイ」の最上階は、展望台として開放され、美しい自然と、西に広がる猪苗代湖を望むことができ、市民の憩いの場となっています。
東北地方といえば、雪深い地域でお年寄りには少々住みづらいイメージがあるかもしれません。確かに真冬には20㎝程度の降雪がみられることもありますが、実は周囲の地域よりも寒さが緩やかなのが特徴。夏は35度を超えるような猛暑日は稀であり、東北のなかでは比較的住みやすい地域といえるでしょう。
そんな郡山市では、基本的な助成金などはもちろんのこと、介護認定を受けていない70歳以上の方に、温泉などの施設利用を助成するなどのサービスを実施。ほかにも、理美容や針灸、マッサージの施術費を助成したりと、細やかなサービスが魅力的です。
郡山市の有料老人ホームは、郡山駅をはじめ喜久田・安積永盛を中心に多数見受けられ、選択の幅が広く、入居費用については、敷金程度や0円など負担の少ない金額の施設も少なくありません。
なかには、通常のマンション程度の月額料金で入居可能なホームも存在。比較的グループホームが多い傾向がありますが、特別養護老人ホームも多数あり、現在郡山市に住んでいない方も充分に検討する価値のある地域です。
郡山市の高齢化率は2023年には27.5%に
郡山市は、東日本大震災の影響で一時人口が減少しましたが、その後緩やかに増加し高齢者も増えています。
2023年の調査によると、福島県の高齢化率は32.4%と高く、一番高齢化率が高い金山町では高齢化率61.4%となっており、福島県全体で高齢化が深刻です。
そのなかで郡山市は、福島県内では比較的高齢化率が低く、西郷村の25.5%に次いで2番目に低い数字となっています。
郡山市の高齢化の流れを見ると、2012年は総人口32万5,847人に対して高齢者数は6万9,301人、高齢化率は21.3%でしたが、5年後の2017年には総人口は33万人となり、高齢者数は8万1,169人、高齢化率は24.6%まで上昇。さらに2023年には総人口31万7,486人、高齢者数8万7,360人、高齢化率27.5%となっています。
この数字は全国平均の29.0%を下回ってはいるものの、2040年には高齢化率36.5%まで上昇すると推定されており、3人に1人以上が高齢者という状況が訪れようとしています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2040年になると、総人口は26万人まで減少する一方、高齢者数は9万3,025人まで増加し、高齢化率は35.2%まで上昇すると推測されています。
65歳~74歳までの前期高齢者と75歳以上の後期高齢者ともに増加しており、2020年までは後期高齢者よりも前期高齢者の方が多い状況でしたが、それ以降は後期高齢者が増加、2023年には後期高齢者数が前期高齢者数を上回っています。。
郡山市は、紅枝垂地蔵ザクラや大安場古墳、フラダンスや安積歴史博物館、開成館や高柴デコ屋敷、布引高原など、さまざまな観光資源に恵まれた場所。磐梯熱海温泉、郡山うねめまつりなども有名で、郡山市は観光資源を活用して人口増加を目指しています。
2023年の要介護認定率は18.5%
郡山市では高齢者の増加にともなって、要介護認定者も増加。2012年に1万2,361人だった要介護認定者が、2017年には1万4,998人、2023年には1万6,450人となっています。

さらに2025年には、高齢者数9万1,528人のうち、要介護認定者は1万8,665人、要介護認定率は20.4%になると推定されています。
郡山市では、一人暮らし世帯の増加にともなって総世帯数が増えており、なかでも高齢者のいる世帯が急激に増加1985年は、総世帯数9万1,658世帯のうち、高齢者のいる世帯は1万9,381世帯でしたが、2010年には総世帯数は13万1,548世帯まで増加し、高齢者のいる世帯も4万4,567世帯にまで増加、2023年には総世帯数14万5,385世帯、高齢者のいる世帯は6万1,889世帯にまで増加しています。
また、在宅介護を行っている世帯も多く、郡山市では居宅サービスをはじめ、施設サービスなども充実。居宅サービスでは、介護ベッドや車椅子などの福祉用具貸与、手すり設置や段差解消のための住宅改修サービスなどがあり、介護保険サービスは内容も多彩です。
訪問介護や訪問看護、病院などに通い、作業療法を行う通所リハビリテーション、デイサービスなどの通所介護の利用者が多く、訪問入浴介護やショートステイなども人気のようです。
特にヘルパーが自宅に訪問し、食事や入浴などの介助を行う「訪問介護」は利用回数が多く、1年間の利用回数は2015年が40万9,709回で、2017年には42万758回となっています。
介護予防のための生活習慣病予防相談会も開催

郡山市では、介護予防のための健康づくりに尽力。健康づくりの普及のため健康手帳を交付し、減塩・禁煙運動の推進、健康診査、歯周疾患検診、健康相談、予防接種などを実施しています。
高齢者向けのインフルエンザ予防接種や、胃がん検診、大腸癌検診などが気軽に受けられる環境づくりに取り組んでおり、筋力・体力維持などを目的とした健康体操の普及、高齢者健康長寿推進事業では、はり・きゅう・マッサージ・温泉などの費用を助成。
健康維持に必要な栄養改善指導や、骨粗鬆症予防事業などを通して健康づくりのための情報提供も行っており、生活習慣病予防のための相談会なども開催しています。
また、高齢者の生きがいづくりにも積極的で、地域のコミュニティへの参加促進、社会奉仕や生きがいづくり活動を行う老人クラブや地域のボランティアの活動支援、シルバー人材センターによる就労支援などを実施。
さらに、公民館での定期講座開催事業では、公民館で市民大学やIT学習会などを開催したり、生涯学習支援事業では市政について学べる「市政きらめき出前講座」などを実施したりしています。
長寿社会推進対策事業では、県内の大学で福祉や生活、芸術などが学べる高齢者向けの講座を開催。敬老祝い金の支給も含めた敬老会の開催や、高齢者作品展・スポーツ大会の開催、地域交流センターへの参加など、文化的なサポートも充実しています。
高齢者の閉じこもり対策で地域包括ケアを展開

郡山市では、高齢者が健康かつ快適に暮らせるよう地域包括ケアシステムを作成。地域包括支援センターによる総合相談や介護マネジメント、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の整備など、高齢者の住宅確保、訪問医療などの医療サポートを実施しています。
訪問・通所介護などの介護サポートやゴミ出し代行、配食サービス、安否確認サービスなどの生活支援を行い、自宅で自立した生活を送る高齢者と、その家族を支えるのと同時に、高齢者の居場所づくりにも積極的で、認知症カフェや高齢者サロン、老人クラブや就労などを支援しています。
また、高齢者の外出を促進することで介護予防にもつなげ、閉じこもりや鬱病の予防事業のほか、こころの相談窓口も設けています。
さらに、体操教室や認知症予防教室などの介護予防教室の開催や、高齢者向けの予防接種や健康診断を実施。介護度が上がらないよう、健康や運動能力の維持などにも力を入れており、在宅医療や介護の連携にも努めています。
そして、認知症高齢者とご家族をフォローするための認知症地域支援推進員の配置や、認知症サポーター養成といった認知症対策も推進。
そのほかにも、徘徊高齢者家族支援事業や介護者支援事業、総合相談支援事業、高齢者の虐待防止などの権利擁護、介護サービス相談員派遣事業などを推進しています。
郡山市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
郡山市の郡山市社会福祉協議会では、福祉サービスについての意見や苦情を受け付ける、苦情相談窓口を設置。
苦情解決責任者はホームヘルプサービスセンターや指定居宅介護支援事業所などのスタッフで、苦情内容を、電話や面接などで苦情受付担当者や第三者委員に伝えると、苦情解決責任者は内容について検討し、解決案の提案や調整を行うシステムです。

また、地域包括支援センター内に併設された「福祉まるごと相談窓口」では、介護だけでなく生活に関する相談などが可能。専門家のアドバイスが必要な場合は、さまざまな相談機関を紹介してもらえます。
地域包括支援センターには高齢者虐待に関する相談窓口もあり、高齢者の安全を確保するための養護者支援も行っています。身体的な虐待だけでなく、暴言や放置といった心理的な虐待にも対応。資産を横取りするなどの経済的虐待や性的虐待、介護放棄など、あらゆる虐待に関して相談できます。
また、一人暮らしであまり外出ができない高齢者を対象に、電話相談や家庭訪問による相談を行う老人福祉相談員もおり、安否確認や孤独感の解消も目的としており、さまざまな相談に乗ってくれるのが魅力です。
さらには、生活に困っている人向けに郡山市自立支援相談窓口などもあるので、悩みのある高齢者は区役所や地域包括支援センターに相談し、各種相談窓口を紹介してもらうと良いでしょう。