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宇佐美典也の質問箱

質問 Q.1 介護の現場からは「役人は現場のことを何も知らないで介護報酬引き下げなんて…」などという言葉が聞かれます。官僚の人たちはこうした声が上がっていることについて、どのように感じているのでしょうか?(ケロリン・介護福祉士)

2015年の介護報酬改定で、特にデイサービスの経営が悪化しているようです。私が働いている特別養護老人ホームも他人事ではなく、大幅な介護報酬引き下げによって経営的に大打撃を受けており、少なくともこの先1~2年の昇給は難しいだろうと…。毎年、給料が上がる国家公務員は、こうした介護現場の現状についてどう思っているんでしょうか?

厚生労働省の官僚の本音としては「俺たちだって自分のできることは最大限やっているんだ」という感じでしょう

まず大前提として霞ヶ関の役人が現場を知らないのは当たり前です。なぜなら、当たり前のことですが、役人は介護の現場にいないからです。

そもそも霞ヶ関の役人の仕事は介護そのものではなく、介護保険制度を運営するために必要な膨大な予算の確保や制度改正を政治家や財務省と調整して実現することです。厚生労働省の官僚は、そのために毎日一生懸命働いているわけで、そういう人達に対して「現場を知らない」と批判したところで、その批判は「俺たちだって精一杯頑張ってんだ」と受け流されるだけです。ちなみに厚生労働省は霞ヶ関で一番残業時間が多い省庁で、その過半はサービス残業です。

とはいえ現場の情報がなければ「どれくらいの予算が必要か」ということがわかりません。そのため厚生労働省の官僚は現場の情報を得るために二つの手段を用います。一つは統計調査で、もう一つは現場をよく知る人・組織からのヒアリングです。

厚生労働省の官僚はこの二つの情報源を元に介護報酬の水準の案を作り、社会保障審議会介護給付費分科会や国会の厚生労働委員会などで審議を進めて関係者の意見を調整して介護報酬の水準を決めていきます。この時彼らとしては予算をたくさん取れれば取れるほど手柄になるので、なんとか予算を獲得しようと最大限努力します。その結果が今の介護報酬の水準なのです。

ということで、えなりかずきさんではないですが、厚生労働省の官僚としては「現場を知らないくせに」と批判されたところで、「そんなこと言ったって仕方ないじゃないか。俺たちだって自分のできることは最大限やっているんだ」というように感じているのではないかと思います。