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第246回

終活相談に多いお墓の悩み。親子での話し合いを大切にしよう!

最終更新日時 2021/07/26
#親の介護 #看取り・終活
皆さんこんにちは。終活カウンセラー協会認定講師でジャーナリストの小川朗です。終活相談で最も多いのがお墓の問題です。高齢者だけでなく現役世代にも、お墓の問題でお悩みの方は少なくありません。近年は「生前墓」や「改葬」を希望される方も増えていますが、子世代とのトラブルに発展するケースも見受けられます。今回は、そんなお墓の悩みについて解説いたします。

皆さんこんにちは。終活カウンセラー協会認定講師でジャーナリストの小川朗です。

本日は終活カウンセラー協会の「終活相談」に最も多く質問が舞い込んでいる「お墓」の問題について掘り下げていきたいと思います。

都市部への一極集中で管理が難しくなった地元のお墓

高齢者だけでなく現役世代にも、お墓の問題でお悩みの方は少なくありません。それは都市部への一極集中の動きの中で、先祖代々のお墓を故郷に残してきた方が多いからでしょう。私も18歳のときに大学に進学するため上京してから、43年間首都圏に住んでいます。先祖のお墓は山梨県の甲府市にありますが、帰郷するのは盆とお彼岸程度です。

都市部にお住まいで、実家近くにあるお墓を維持するために大変なご苦労をされているケースは珍しくもありません。遠方の地方都市の共同墓地にあるお墓はすぐに雑草が生えてくるため、周囲のお墓の持ち主から苦情を受けることもあると聞きます。

こうしたお悩みに応え、お墓参り代行のサービスなども珍しくなくなりました。墓石クリーニング大手のアシストーンでは墓じまいまでの間(5年、7年、10年を設定)、お墓のクリーニングと点検保守(年2回)、防草(草むしりなど)を行う「お墓じまい見守りパッケージ」をスタートさせています。

超高齢社会での「改葬」という考え方

終活カウンセラー2級検定の講義の中に、カテゴリー別のお墓の数をみんなで考えるワークがあります。これは地方公共団体が経営する公営墓地、公益社団法人などが経営する民営墓地、宗教法人が経営する寺院墓地、村落や共同墓などの個人墓地(みなし墓地)、(「墓地埋葬等に関する法律」が施行された1948年以前からある墓地)の4つのカテゴリーの中で「一番多いのはどれか」という問題です。

実は一番多いのが、みなし墓地。その数は70万2,214にのぼります。(2016年度厚生労働省衛生行政報告例より)。こうしたお墓の維持管理の負担は「墓守」と言われるお墓の所有者にかかる場合が多く、それを次の世代の宿題として残すことを、心苦しく思う親世代が多いことも事実です。

2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、多くの人が親世代を介護する「老老介護」の時代がやってきます。認知症高齢者の数も730万人を超えるという予測値(内閣府『平成30年版高齢社会白書(全体版)』)もあり、それは認知症を発症した子供が認知症の親を介護する「認認介護」の時代の到来を意味しています。そうなる前にお墓の問題をクリアしておきたいと考える方も多いのです。そのため、私も2級検定で「お葬式・供養」の講義を担当する際には、「改葬」に関して多くの時間を割くようにしています。

改葬の流れは次の通りです。

  1. お墓の管理者から改葬の了承を得る
  2. 新しい墓所の管理者から受け入れ証明書を発行してもらう
  3. 今までのお墓がある市町村役場で改葬許可申請書用紙を入手してお墓の管理者から署名捺印をもらう
  4. 改葬許可申請書と受入証明書を今のお墓がある市町村役場に提出して改葬許可証の交付を受ける
  5. お墓を閉じる
  6. 新しい墓所に改葬許可証を提出して納骨

改葬の費用はケースバイケースですが、総額200万円から300万円ほどだとも言われています。その中で、よく問題とされる高額の離檀料を要求されるトラブルは、(1)番のお墓の管理者との了承を得ることを怠ってしまった場合に多いとされています。

「改葬」における「生前墓」

そうした流れの中で、亡くなる前にご本人が自分のお墓を建てる「生前墓」という考え方も珍しくなくなっています。例えば、今年4月3日に亡くなった俳優の田村正和さん。横浜に生前墓を建てていたことが複数のメディアに報じられ話題になったことを覚えている方も多いでしょう。

生前墓をめぐるトラブルへの対処法

一方で、生前墓ではこんな実例があります。滞りなく葬儀が終わり、代々伝わる一族のお墓に納骨した後に、実はご本人が亡くなる前に新しいお墓を購入し、用意していたことがわかったというのです。せっかく生前墓を用意していたというのに、親族にその存在を知らせていなかったことから、こうした問題が発生したのです。

終活カウンセラー協会の公式終活ノートである「マイ・ウェイ」の18ページには「自分のお墓について」という項目があり、その時点における「自分が入るお墓の有無」や「お墓に対する要望」などを書く欄があります。ここに生前墓があることを書き、親族にもこのノートの存在を知らせておけば、今回のようなトラブルは回避できたはずです。

また、最近よくあるのが、霊園の樹木葬などに「改葬」するケース。しかし、この「改葬」一つ取っても、トラブルのケースはいくつもあります。実は親が「子どもたちのために」と思ってしたことが、子どもたちの思いとは食い違っていた、というトラブルが意外に多いのです。

例えば、都内の霊園の樹木葬に、親世代が当選したBさんのケース。高い競争率をクリアしただけに喜び勇んで子世代に報告したところ「遠いけど、お墓の方がいい」との返事を受けたそうです。「樹木葬では、どこに眠っているかわからないから実感が湧かない」というのがその理由でした。親世代の決断に子世代が反対する例は多く、Bさんの場合もせっかくの当選をキャンセルし、お墓に入る決断をしたそうです。

今や改葬の選択肢は納骨堂や海洋散骨、手元供養や宅墓(自宅に置く小さいお墓)、バルーン葬、宇宙葬など多岐に渡ります。選択肢が増えた分だけ悩みも多様化するのは無理もありません。相談が「お墓」に関するものが最も多いのもうなずけます。

しかし、そのトラブルの多くが、親世代の思い込みから来ていることも事実です。そのため終活カウンセラー協会では「供養において大事なこと」を「承継者とともに決めること」としています。親世代と子世代のコミュニケーション不足がトラブルの原因となっているだけに、まずはお墓を承継する人の意志を明確にすることが重要なのです。

改葬のトラブルを防ぐために親子でのコミュニケーションを大事にしよう

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