10年以上前から健康都市を宣言し、高齢者の暮らしに貢献

名古屋市の北東部と近接する尾張旭市。
広大な都市ではありませんが、有史以前から定住する人が少なからず存在したことが確実視されており、歴史のある市街地です。
遺跡や寺社仏閣なども所狭しと並んでいます。
愛知県森林公園や城山公園など、深い緑に覆われた公園が多い点もこの都市の大きな特徴でしょう。
このように、安らぎや落ち着きを味わえる場所が多い一方で、近年は住宅開発や工業化が進む地域も目立っており、名古屋市の衛星都市の中でも少しずつ頭角を現しつつある状況です。
近年の尾張旭市の新たなイメージに「健康都市宣言」があります。
2004年に、WHOが後援する地域的な連合に加盟したばかりですが、それ以後「寝たきりにさせない街づくり」などのスローガンを掲げた事業に継続的に打ち込んでおり、高齢者にとって安心して住める街づくりで成果が上がっているところです。
小さな都市である以上、鉄道の種類はどうしても限定されますが、幸運なことに名古屋鉄道の瀬戸線が市内を走っています。
その他の鉄道あるいは高速道路などの利用に関しては「いったん市外に出て利用する」という市民が少なくありませんが、国道の363号線については市内にいたまま乗り入れができます。
市内に進出している主なバス会社をあげるなら、名鉄バスとJR東海バスになるでしょうか。
ただし名古屋市の隣にあるため、名古屋市営バスや名古屋ガイドウェイバスの利用も不可能ではありません。
最近は高齢者を中心に、市営バスの使用頻度が上がっているという報告が出ています。
尾張旭市は、過去半世紀を通じて人口が止まることなく伸びてきた都市です。
そのペースは、21世紀に入ると徐々に落ちていましたが、2010年以後は横ばいに近いペースにまで下がっており、いずれは減少に転じるという予測が出ることが多くなりました。
新興住宅地が多く、少子高齢化の問題はまだ顕在化していません。
2023年の計算結果を見ますと、高齢化率が26.1%となっており、全国平均である29.1%と比較しても比較的良好な数値です。
今後は、すでに定評が高い健康事業を中心に、新たな福祉政策や人口維持政策を打ち出していくことが大事でしょう。
市内の介護施設を俯瞰で観察すると、グループホームや特別養護老人ホームが比較的多いことがわかります。
とはいえ近年急速に増えているのは介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームです。
どちらも「新興勢力」と呼ぶのがふさわしいくらいのインパクトを持っています。
手ごろな価格設定になっているところも入っていますから、自信をもって見学を推薦できます。